ゆう活:朝型勤務、霞が関でスタート…8月末まで
毎日新聞 2015年07月01日 11時01分(最終更新 07月01日 19時09分)
東京・霞が関の各省庁で1日、職員に朝型勤務を促す「ゆう活」が始まった。8月末まで出勤時間を1〜2時間早めて午前7時半〜8時半とし、退庁後の夕方以降を有効活用する試みだ。対象は地方の出先機関を含めて約22万人。政府は地方自治体や民間企業にも広げたい考えで、中央省庁が率先垂範できるかどうか注目される。
ゆう活は政府が進める「働き方」改革の一環。余暇の充実による個人消費の底上げも期待されている。安倍晋三首相は1日午前、「日本の長時間労働の慣行を変えるきっかけにしたい」と記者団に語った。首相は同日夕、東京都内の美術館を訪れる予定だ。
この日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局では、多くの職員が午前8時半には前倒しで仕事を始めた。普段は午前9時半に出勤する女性職員(33)は「朝の方が仕事が進みやすい。今日は夕方に美容院も予約した。本当に早く帰れるか不安だが、できるだけ頑張りたい」と話していた。
旗振り役の内閣人事局は5月にゆう活を先行導入し、職員はそれぞれ「朝型勤務実施中 16時15分に退庁」などと目標時間を記したプレートを机の上に置く。共働きの辻恭介参事官補佐(38)は週2回、朝型勤務を選び、夕方以降は保育園に通う3人の子どもと過ごす時間にあてている。
政府は「原則、午後4時15分以降の会議禁止」を各省庁に指示している。ただ、国会が9月27日まで延長されたうえ、来年度予算編成作業も本格化するため、職場によっては今後も長時間勤務が避けられない。「午後4時15分以降の会議禁止は実現不可能だ」(次官級幹部)という声もあり、当面は試行錯誤が続きそうだ。
内閣府の勤務経験がある大和総研の長内智エコノミストは「長時間労働が必要な部署とそれ以外の部署で格差が広がるリスクもある。政治家と内閣人事局がリーダーシップを発揮し、省庁幹部が本気になることが成功の鍵だ」と語る。【細川貴代、加藤明子】