台風11号 JR「これだけ雨が降り続くとは」 阪急「雨だけで運休することは、ほぼない」
産経新聞 7月18日(土)23時2分配信
JR西日本は、台風通過後の大規模運休という異例の措置に踏み切り、完全復旧は夕方にずれこんだ。JR西関係者は「(雨量の規制値など)基準が私鉄より厳しい」と理解を求めるが、運転再開に向け安全確認の点検が必要な線区が広範囲に及んだことで「作業にあたる人員が不足した」とも。始発から運行した私鉄各社と対応が分かれた。
「これだけ雨が降り続くとは思わなかった」。JR西の広報担当者はそう漏らす。JR西は安全上必要と判断した場合、前日までに京阪神地区の在来線の運休を予告する。今回は台風の進路が同地区の中心部から外れることなどから、予告運休は実施しなかった。
JR西は線路の地盤なども考慮し、各雨量計に規制値を設定。これを超えれば地盤が緩み、線路などに影響が出る可能性があるとして運休などの措置を取る。雨は18日も降り、始発から運休に追い込まれた。
大阪環状線も例外ではなかった。一部で線路が盛り土の上にあり、2つの雨量計で24時間雨量が205ミリの規制値を超えたため、始発から運転を見合わせた。午前8時から歩いて線路の状態をチェックし、点検用の電車を走らせるなどして安全を確認。運転再開は午前11時40分だった。
阪神電車は沿線で1時間あたりの雨量が50ミリを超えたり、降り始めからの総雨量が100ミリ、200ミリを超えれば、その都度、現場の線路状態を係員が点検。異常が見つかったり、線路がまたぐ淀川や武庫川の水位が一定以上に達したりしていれば運休となるが、今回は運行を続けた。
阪神と乗り入れる山陽電車は、総雨量が300ミリを超えたため18日の始発から午前9時45分までの間、山陽垂水−山陽須磨間を徐行運転。並行するJR山陽線は始発から広範囲で運休しており、違いが際立った。
阪急電鉄は1時間の雨量が70ミリを超えるか、降り始めからの雨量が260ミリを超えた場合、一律時速45キロ以下で徐行するよう規制している。担当者は「強風で運休することはあるが、雨だけで運休することは、ほぼない」とする。
こうした対応の違いについて、交通計画コンサルティング会社社長の阿部等さんは「過去に事故が起きているため、JRは雨や風への規制は厳しめに設定している」と指摘している。
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