報道圧力:大西議員「発言問題ない…マスコミを懲らしめ」
毎日新聞 2015年06月30日 19時54分(最終更新 06月30日 23時10分)
自民党の若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で報道機関への圧力を求める発言をして厳重注意処分を受けた大西英男衆院議員(東京16区)は30日、自らの発言について「問題があったとは思わない」と反論した。そのうえで「日本の国を過てるような報道に対しては広告を自粛すべきだと個人的には思う」と語り、発言の正当性を訴えた。国会内で記者団の質問に答えた。
大西氏は、朝日新聞の従軍慰安婦に関する報道や、安全保障関連法案に関し徴兵制導入に言及した報道があったことに対し、「こういうことを懲らしめなければいけないんじゃないか。マスコミのやりたい放題じゃないか。そういうことで何かいい知恵はありませんか、と百田(尚樹)先生にたずねた」と説明。さらに「(報道機関を)懲らしめようという気はある」と明言した。
大西氏は25日の懇話会で講師の作家、百田氏に対し、「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番だ。文化人や民間人が不買運動、日本を危うくするマスコミは、とんでもないと経団連などに働き掛けてほしい」などと発言していた。
大西氏の発言に対し、自民党の二階俊博総務会長は30日、記者団に「言いたい放題を言って歩いたらいいというもんじゃない」と批判。与党国対委員長会談では、公明党の大口善徳氏が自民党の佐藤勉氏に「党のガバナンス(統治)にも関わることで、看過できない」と伝えた。民主党の枝野幸男幹事長は記者団に「安倍晋三総裁(首相)をはじめ、自民党がどういう対応を取るのか、厳しく見守りたい」と語った。
大西氏の発言に先立ち、自民党の谷垣禎一幹事長は30日昼にあった党代議士会で「仕事が前に進むようにするのが与党議員の使命だ。脇を締めて腰を落として頑張るつもりなので協力を心からお願いする」と呼び掛けたばかりだった。公明党の山口那津男代表も記者会見で「報道の自由は憲法で保障された基本的人権の中核で、それを損なうような発言は厳に慎むべきだ」などと苦言を呈していた。
一方で、自民党内には若手議員を中心に、党執行部が懇話会代表の木原稔前青年局長を1年間の役職停止、大西氏ら不適切な発言をした3人を厳重注意とした処分に対して「厳しすぎる」という不満もくすぶっている。30日の自民党正副幹事長会議では、出席議員から「処分は過剰反応ではないかと地元で言われている」などと異論の声が上がった。【影山哲也】