TPA法案:米大統領が署名、成立 TPP交渉加速

毎日新聞 2015年06月30日 09時53分(最終更新 06月30日 13時22分)

上下両院で可決された米大統領に交渉権限を一任する大統領貿易促進権限(TPA)法案に署名するオバマ大統領(中央手前)=米ホワイトハウスで2015年6月29日、西田進一郎撮影
上下両院で可決された米大統領に交渉権限を一任する大統領貿易促進権限(TPA)法案に署名するオバマ大統領(中央手前)=米ホワイトハウスで2015年6月29日、西田進一郎撮影

 【ワシントン清水憲司】オバマ米大統領は29日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に不可欠な大統領貿易促進権限(TPA)法案に署名し、同法は成立した。TPA取得によりオバマ大統領は通商交渉権限を一任され、交渉妥結に向けた自主的な判断が可能になる。日本など交渉参加国も妥協点を探るための「最後のカード」を切りやすくなり、TPPは7月中にも見込まれる大筋合意に向けて交渉が加速する。

 オバマ氏はホワイトハウスでの署名式で、「TPPは労働者と環境への強い保護措置を含んでいる。『(労働条件の改悪など)下への競争』になりがちな世界の貿易を転換させ、アジアや欧州での米国の主導的役割を強めるものだ」と強調した。「厳しい交渉がまだある」とも述べ、最終局面を迎える各国との交渉に、強い姿勢で臨む考えを示した。

 TPA法の成立で、日米など交渉参加12カ国は、政治決着の場となる閣僚会合や、それに先立つ首席交渉官会合の調整を本格化させる。米通商代表部(USTR)は交渉が進んでいないカナダのほか、TPPの中核となる日本との協議を急ぐとみられる。

 TPAにより、米議会は政府間の合意内容に対し、修正を加えずに賛否だけを判断する。米産業界や労働組合の影響を受ける米議会に修正される恐れがあるうちは、いったん政府間で合意しても、再交渉を迫られる可能性が高いため、各国は妥協案などのカードを切れず、交渉停滞を招いていた。

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