復興庁説明会:支援縮小に怒号 自主避難者「切り捨てだ」

毎日新聞 2015年07月18日 21時03分(最終更新 07月18日 21時16分)

浜田副復興相が会場を去った後も復興庁の担当者に激しく詰め寄る避難者ら=東京都港区で2015年7月17日午後7時40分ごろ、日野行介撮影
浜田副復興相が会場を去った後も復興庁の担当者に激しく詰め寄る避難者ら=東京都港区で2015年7月17日午後7時40分ごろ、日野行介撮影

 東京電力福島第1原発事故の自主避難者を支援する「子ども・被災者生活支援法」の基本方針改定案について復興庁は17日に東京都内、18日に福島市内で説明会を開いたが、出席者からは「避難者切り捨てだ」などの怒号が飛び交った。両会場とも終了時間が過ぎても抗議がやまず、復興庁は「会場の都合」などとして打ち切った。

 改定案は、被災地の放射線量の低下を理由に「避難指示区域以外の地域から避難する状況にはない」と明記。現在、福島県内の33市町村を指定している支援対象地域の「縮小、撤廃が適当」として、将来的な見直しを打ち出した。また、福島県が2017年3月末で自主避難者への応急仮設住宅提供を打ち切る方針を示したことを受け、帰還・定住支援に重点を移すとしたが、具体的な施策は新年度予算の概算要求後に取りまとめるとして盛り込まれなかった。

 約50人の避難者らが参加した東京会場では「『避難する状況にない』とは誰が判断したのか」と迫られた浜田昌良副復興相が「原子力規制庁の見解」と回答。約30人が集まった福島会場では、復興庁が6月25日に受け取ったとする規制庁の見解が読み上げられたが、文書自体は「規制庁と相談したい」として示されなかった。

 また、線量の低下について「以前は『被災者を分断したくないから線量は決めない』と言っていたのに今回は『線量の低下』を理由にするのはおかしい」と、元々の基本方針との矛盾も指摘された。

 説明会は1時間半の予定で、浜田副復興相は時間通りに退席。だが、両会場とも出席者の質問がやまず、残った復興庁の担当者に詰め寄る場面もあった。

 改定案は8月8日までパブリックコメント(意見公募)を受け付け、閣議決定される見通し。【日野行介】

 【ことば】子ども・被災者生活支援法

 原発事故による自主避難者を支援するため民主党政権時代の2012年6月に議員立法で成立。国が事故後に定めた避難指示基準(放射線量が年間20ミリシーベルト)を下回る地域の住民も被災者と認め、居住、避難、帰還のいずれを選んでも国が住宅支援などを行うよう求めた。しかし、復興庁が13年8月にまとめた基本方針は、支援対象地域を福島県内に限定し、全119施策のうち自主避難者の支援は4施策のみだった。

最新写真特集