[新国立見直し] 今度は建設に責任持て
( 7/18 付 )

 ようやく、というべきだろう。膨大な総工費に国民の批判が集まっていた2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場について、安倍晋三首相が建設計画見直しを正式表明した。

 「計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直す」という。19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で新競技場を使うことは断念した。

 見直しは当然としても、五輪開催まで残された時間は限られている。衆知を集めて、今度こそ責任を持って新たな競技場を造らなければならない。

 当初1300億円と想定した総工費は昨年5月の基本設計段階で1625億円、最終的な計画では、開閉式屋根などの設置を大会後に先送りしても2520億円にまで増大した。

 安倍首相は「計画の見直しは困難」としていたが、批判はスポーツ関係者や足元の与党にまで広がった。世論に押される形で見直しを決めたものの、いかにも遅い。ずさんな計画をここまで放置した安倍政権の責任は重い。

 デザインの費用増大の最大の要因は、「キールアーチ」と呼ばれる特殊な屋根の構造にある。技術的難度が高く、765億円を要するとされていた。

 下村博文文科相は、コンペをやり直し、半年以内に新たなデザインを決定すると説明した。

 再び混乱することがないよう、決定の過程には透明性が求められる。費用や財源についても知恵を絞り、国民に丁寧に説明する必要があろう。

 問題は、いまだにここまで迷走した計画の責任がだれにあるのか、明らかではないことだ。

 デザイン採用を決めた審査委員会で委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏は会見で「選んだ責任はあるが、頼まれたのはデザイン案の選定まで」と否定した。東京五輪大会組織委員会会長の森喜朗元首相は「責任は文科省にある」と述べている。

 下村文科相は、「(デザイン)審査ではコストに関する十分な議論が行われなかった」と、検証の必要性に触れている。経緯を調査し、明らかにするべきである。

 もう一つ、気がかりなことがある。反対論が根強い安全保障関連法案を衆院で「強行採決」した翌日に、首相が計画見直しを明らかにしたことだ。

 国民の不満や政権批判をそらす狙いだとすれば、国民を軽んじる行為だ。安保法案も新競技場も、その行方を国民は厳しく見つめていることを忘れてはならない。


 
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