(佐野瞳)そろそろお客様が来られるわよ〜。
いらっしゃいませ。
どうもこんにちは。
いらっしゃい。
待ってたよ。
(佐野)
私は創業100年をこえる老舗旅館で女将をやっています。
いろいろ悩みやストレスはあるものの元気に働いておりました
いらっしゃいませ。
それがあんな目に遭うなんて…
初めは軽いおなかの違和感が次第に我慢できない痛みに変わっていきました。
とにかく声を出す事もできないくらいの激しい痛みでした。
そしてとうとう動く事もできなくなったんです
うっ…。
おい瞳!大丈夫か?ま待ってろよ!今救急車呼んでくる。
見てるだけで痛くなっちゃう。
救急車というのは異例ですよね。
ここまでの痛みは相当ですよね。
旅館の女将さんというのはいろいろ心労たたりますからね。
ストレスとかあるのかな…。
でもちょっとは我慢できるんですかね。
即ではなかったですもんね。
お薬ものんでる跡がありましたね。
僕も前尿管結石やった事がある。
あれは痛かったよもう。
「七転八倒」という言葉がぴったり当てはまるぐらい。
いやこれは痛そうだった。
かなりの内部に大きな変化起きてるような気がしたわね。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちはその人を「ドクターG」と呼ぶ。
今回のドクターGは徳田安春先生。
この春誕生した地域医療機能推進機構の研修センター長に任命された。
全国57もの病院を飛び回り地域医療の担い手となる総合診療医の育成に力を注いでいる。
診察これからするんですよ。
医学生や研修医を実際の患者の前に立たせ丸ごと人を診る診断力を身につけさせる。
臨床の現場で見逃されがちな症例を持ってドクターGがやって来た。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)先生肩書が変わりましたね。
はい。
地域医療を推進していくそういう新しい病院群ですね。
私の役割は総合診療医を目指す人たちの教育です。
地域地域飛び回るんですか?飛び回ってますね。
で現場のリアルの患者さんを相手に教育する事が大事なのでそこで研修医そして医学部の学生さんを教育しています。
病気を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
はいご紹介しましょう。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
さあ松尾先生志望の科は?救急科に行きたいと思って…。
(玉ちゃん)救急科。
大変なとこじゃないですか。
倒れている人を助けるのが自分の中の医師像であって地域医療にも貢献できるんじゃないかと思って…。
(玉ちゃん)なるほど。
大変ですよでもほんとに。
「ドクターG」はご覧になった事は?はいあります。
見ながら自分でカンファレンスしながら考えて…。
全然当たらないです。
(玉ちゃん)頑張って下さいよ。
さあ大道先生志望の科は?自分は小児救急を志望してます。
(玉ちゃん)その心は?小さい子供たちの緊急時の対応にまずは対応できるようになりたいと思っていて…。
今はそれを目標に頑張っております。
(玉ちゃん)VTR見てどうですか?あの女将。
かなりおなかを痛がっていて最後は膝を曲げて痛がるぐらいだったので炎症の波及が腹膜とかそちらの方にも及んでいる…。
痛がり方までみてますね。
(玉ちゃん)そうなんだよね。
清川先生志望の科というのは?
(玉ちゃん)知らない。
何ですか?そこは。
例えば手術で胃を切ったりとかするわけじゃないですか。
摘出した胃を顕微鏡でがんの種類がどういったものだったかとかそういったものをちゃんと解剖してその方の死因を明らかにするという仕事もあったりします。
女将さん見てどうですか?痛みが続いてる時間とかどういった場面で具体的に痛みが起きているのかなというのはすごく気になるところではあります。
今回の症例なんですけれども…。
結構タフなケースですね。
(玉ちゃん)あら大変だ。
でもクイズじゃないですからね。
いきましょう。
さあそれでは病名を探るための再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えて下さい。
ドクタージェネラル!おはようございます。
おはようございます。
先生。
救急で来られた患者さんの事で少し相談したいんですが…。
どういう患者さんですか?44歳の女性です。
何時ごろ来られたんですか?深夜3時ごろです。
(堀田)
とにかくおなかが痛いという事で旦那さんと2人で来られました
こんなに痛がってるのは今夜が初めてです。
それでさっき救急病院へ行ったんですが検査をして異常がないからって帰されたんです。
どこら辺が痛みますか?
(堀田)
何でも他の救急病院でCTを撮ったそうなんですが異常がないという事でご自宅に帰されたそうです。
それでうちに来られて…。
僕もレントゲン心電図などの検査をしたんですが異常は見当たらなくて…
痛み止めを処方して経過を観察するために入院して頂きました。
なるほど。
その後…痛み止めが効いたのか今は少し落ち着いています。
では患者さんのところに案内して下さい。
はい。
こちらです。
佐野さん指導医の先生を連れてきました。
おはようございます。
お世話になっております。
おはようございます。
佐野さん大変でしたね。
佐野さん横になって頂いても大丈夫ですよ。
はい。
うっ…。
いえ大丈夫です。
そのままでかまいませんよ。
おなかの痛みが出た時の事をもう一度聞かせて頂けますか?はい。
あれは…確か…4日前だったと思います。
イテイテテ…。
(武雄)どうした?おなか痛くなっちゃった。
薬取ってこようか?うん。
風邪薬もお願い。
分かった。
(佐野)
夕食の時から何となくおなかに違和感があったんです
いえ大した事はありません。
少し熱っぽかっただけで…
実は5年ほど前からよく胸焼けを起こすようになったんです。
近所のクリニックに行ったら…
そこでもらった薬をのんだら1時間ほどで痛みは和らぎました
ところで…
クリニックのお医者さんにはストレスだって言われました
う〜ん…。
子供に恵まれなかった事でしょうか。
それと…
当館の女将でございます。
私は15年前老舗旅館の息子だった主人に嫁ぎました。
昔は繁盛していたんですけど今はお客さんもまばらで…
ハ〜ッ…。
自分で言うのもなんですが責任感のある性格で旅館の経営の事が四六時中頭から離れずなかなか気が休まりません
またため息か。
もうちょっと気楽にやらないと体がもたないぞ。
うん…。
そのストレスからでしょうか。
寝る前に1杯飲みながらつまみを食べるんです
缶ビールを1本ほどです。
ここ最近少し体重が増えたかもしれません。
それと…正直言いますと一番ストレスなのは…
ありがとうございました。
ハァ…。
(トシ江)あら瞳さん!あらまあ随分お疲れのようね。
大女将本日はどうされたんですか?旅館の顔である女将がそんな疲れた顔をしてどうするのかしら。
母さん!そもそも!
しゅうとめの大女将です。
ひどい腰痛持ちだったしゅうとめは5年前に主人の説得をようやく聞き入れて女将の仕事を私に譲ったんです。
ただちょくちょく様子を見に来ては…
いいですか瞳さん女将としての自覚を持って下さ…。
あ…アイタ…。
母さん無理しちゃ駄目だって。
とにかく瞳さんいくら作法と姿勢が良くてもそんな疲れた顔してたら女将失格だわよ。
アイタ…。
母さん。
はいおかあさま。
あら信一君。
瞳おばちゃん大変だね。
毎年夏休みに家族で来てくれる信一君にかっこ悪いところを見られてしまいました
(武雄)瞳。
どうも。
佐野さんのご主人です。
どうもお世話になります。
ちょっと売店に行ってたもんで。
ほら。
あっあり…。
ありがとう。
そこ置いといて。
うん。
ご主人もよかったらおかけになって下さい。
はい。
昨日はずっと奥さんとご一緒だったんですね。
はい。
あんなに痛がってるところを見た事がなかったのでほんとにびっくりしています。
では瞳さん4日前におなかに痛みを感じてから…はい。
次の日は久しぶりに団体のお客様をたくさん迎えたので無理をして仕事をしていたんですが…痛みは少しずつひどくなって…。
最初はおなかの奥の方が痛かったんです。
次第におなかの右上の辺りも痛くなりました。
なんとか我慢していたんですが…
佐野さん今日はどうされました?あのおなか…。
朝からおなかの痛みがひどくなり仕事を抜けて近所のクリニックで診てもらったんです。
腸の動きが少し変だと言われお薬をもらいました
腸の痙攣を抑える薬ですね。
はい。
そうです。
でも…。
あ〜…。
昨日はおなかの痛みが治まらず我慢も限界でとうとう仕事を休んでしまったんです。
その時背中の方にも痛みを感じるようになりました。
そしてその夜…。
おなかの痛みはひどくなる一方で…。
さしこむような痛みと言うんでしょうかこれまで生きてきた中で最もひどい痛みでした。
クリニックでもらった薬を何度かのんだんですが全く痛みは治まらなくて…
おい瞳!痛い…。
大丈夫か?う…。
ま待ってろよ!今救急車呼んでくる。
頑張れ!それで他の救急病院に運ばれたんですね。
でもCTで異常がないって言われて一度家に帰されまして…。
わらにもすがる思いでこの病院に来たんです。
僕もレントゲン心電図を撮ったのですが異常は見当たりませんでした。
(武雄)先生妻は何か変な病気なんでしょうか?堀田君念のため検査結果をみせて下さい。
はい。
大丈夫です。
必ず診断をつけますよ。
(玉ちゃん)さあさあ…。
患者の佐野瞳さん44歳のバイタルデータですが…。
ちょっと体温微熱ですか?そうですね。
何かがある事は間違いないですね。
脈拍はどうですか?先生。
脈拍は76というのはあの激しい腹痛からするとそれほど上がってないと言っていいと思います。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
頭抱えてるよ。
(玉ちゃん)ねえ。
さあVTR見ていかがでした?
(尾木)痛みもあちこち変化してますよね。
最後の方は背中にまで来ていて。
(早見)腰痛があるというのも気になりませんか?後ろから突き刺すような痛みって言ってましたよね。
痛みのタイプもありますよね。
ちょっとオーバーウエイトですよね。
結構毎晩飲んでますしね。
でも1杯は大酒じゃないですよ。
おつまみも食べてたよ。
サラミとか食べてました。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン。
どうぞ。
松尾先生からお願いします。
(玉ちゃん)大道先生。
(玉ちゃん)清川先生。
何だそりゃ?ここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!
(玉ちゃん)あの清川先生の病気知らないな。
何でしょうね?それぞれの病気について説明と根拠をお願いしたいと思います。
それでは松尾先生からお願いしてよろしいでしょうか。
すい臓のすい液が漏れだしたりとか…。
上腹部が痛むのが特徴で痛みの程度は軽度から激痛までさまざまです。
吐き気や発熱などの症状も表れます。
突然の発症で場所が心窩部あと食事中に痛みが発症していたように思えたので急性すい炎も考えられるのかなと思いました。
この患者さんの食事の内容について覚えてます?豚カツを食べてたような…。
脂っこいものですね。
脂っこいものを食べると胆のうの奥がどうなります?収縮して石が…。
胆石ですね。
胆石が落下してすい管胆道に詰まるという。
痛そうだな〜。
そういうところも…。
要因にはなる可能性あるんですね。
可能性はあるわけですね。
今度大道先生にお願いしたいと思いますね。
大動脈で動脈に膜が3枚あるんですけど…。
大動脈解離は体の中心を走る大動脈の内側の膜が裂け全身への血流が阻害される命に関わる病気です。
リスクとしては肥満があるという事とアルコールはそんなには飲まれていないのであとはストレスがあるという説明はつく…。
あれぐらいの痛みもあるという事ですか?それでは清川先生お願いします。
骨盤内例えば子宮とか女性器の方からクラミジアという菌が肝臓の周囲に炎症が子宮から波及したもの。
右側の方を押さえている感じがしたので場所としては肝臓のある場所なのかなと考えて女性である事と痛みの場所からとりあえずは考えました。
今3人の先生方のご意見をお聞きしていろいろなキーワードが出てきましたけれど…拾い上げてみたいと思います。
研修医はいずれも激しい腹痛から考えられる病名を挙げた。
頑張れ!ドクターGは激しい腹痛を訴える患者をみる時その症状から見逃してはならない危険信号患者のアラームサインに注目するよう促した。
アラームサイン。
それを客観的に表すために数字を使うとどういう表現?そうするとこの患者さんは…?10分の10という事になりますね。
絶対入れないといけませんね。
(佐野)
さしこむような痛みと言うんでしょうかこれまで生きてきた中で最もひどい痛みでした
3つのアラームサイン。
もっと追加でありますか?やっぱり増悪するというのは何か重篤な病気が隠れている可能性がありますよね。
(佐野)
痛みは少しずつひどくなって…
3つのアラームサイン2つ目は…次に何かありますか?広範囲に痛みがある。
広範囲。
しかも最初の症状の場所と比べて…?広がっている。
そうしますとこの方は…3つもあるわけです。
最悪だよ女将さん。
瞳さんの症状にはドクターGが指摘した3つのアラームサイン。
この場合…それは…。
このような3つのアラーム症状を持つ場合「急性腹症」というキーワードがありますが…。
急性腹症とは病名ではなく…患者に急性腹症の疑いがある場合緊急手術が必要かどうかを迅速に判断しなければならない。
今回の急性腹症の疑いの腹痛の患者さんが緊急手術がどのタイミングで必要となるのかこれで考えてみたいと思います。
でまず最初にカテゴリー1。
数分以内に手術しないといけない。
どういうものがあるかというのを挙げてほしいと思います。
血管疾患。
例えば…そうですね!かなり重篤ですね。
破裂した動脈を迅速に止血する手術をしなければ死に至ります。
外傷ではどうでしょうか?臓器損傷。
どういう臓器ですか?肝臓ひ臓。
そうですね。
それではカテゴリー2に行きましょう。
翌日まで待っていては遅いという病態は腹痛の中にありますでしょうか?できれば数時間以内には手術したいところですね。
そして?絞扼性イレウスは腸閉塞の一種で…他にないでしょうか?子宮外妊娠とか…卵巣のう腫がクルッと捻転して数時間以内に手術しないといけない。
めちゃめちゃ痛そうですね。
で次に3つめのカテゴリーにいきたいと思います。
そういう病気は何でしょうか?そうですね。
他にないでしょうか?先ほど挙げた…。
急性すい炎も保存的。
「保存的」というのは「手術しない」という事を意味してる言葉です。
4番目ですね。
4番目のカテゴリーはトリッキーです。
なぜかというとおなかが痛いという事で来られて実際おなかの中の病気ではないという。
そのカテゴリーにはどういう病気があるか挙げて下さい。
説明お願いします。
腹痛やあと皮疹が出る事および血尿なども出たりします。
他にないでしょうか?カテゴリー4。
心臓でもおなかが痛いって。
心臓の病気。
特に心筋梗塞が…。
場所が近いですね。
患者さんによってはおなかが痛いとおっしゃる。
最後のカテゴリー5は何ですか?これらが全部ありえないといってしかも症状が軽い。
経過観察するために付ける診断名が…急性何々って即手術を必要とするのかなと思いましたがちゃんと数分以内数時間以内経過をみるってこういうふうに分かれているのはちょっとびっくりですね。
大道先生が挙げた大動脈解離は急性腹症のカテゴリー1。
松尾先生が挙げた急性すい炎は急性腹症のカテゴリー3に分類される。
それでは病歴で合わないといった所見説明してもらいましょうね。
まず急性すい炎を出した松尾先生。
初発の場所もやはりちょっと…すい炎だったら左か背部かが多いと思うので違うのかなと思いました。
分かりました。
瞳さんは右上腹部の痛みを訴えていた。
松尾先生の挙げた急性すい炎では…そして大動脈解離を挙げられた大道先生。
気になったのがCTで異常がなかったという事でちょっとそこは合わないかなと思います。
それでは清川先生お願いします。
こちらの方でも肝周囲に炎症の像が認められたりするのでそういう点はCTでは異常所見がないという事からは外れるかなと思われます。
非常に重要なポイントですね。
(堀田)
何でも他の救急病院でCTを撮ったそうなんですが異常がないという事でご自宅に帰されたそうです
大道先生と清川先生の挙げた病名の可能性は下がった。
不思議なのはCTスキャンを撮っているんですよね。
であんなに痛いのに異常が出ないんですか?実は総合診療は問診と診察で診断するというのもありますが検査で見つからなかった病気も診断するという役割もあります。
診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!先生こちらが佐野さんが救急病院で撮ったというCTです。
旦那さんが持ってきて下さいました。
大動脈解離を疑って撮ったようですが異常はありませんでした。
こちらがレントゲンです。
あおむけの状態で撮りました。
腸閉塞を疑ったのですがこちらも異常ありませんでした。
最後に心電図です。
心筋梗塞でもないようです。
分かりました。
佐野さんに確認したい事があります。
もう一度病室に戻りましょう。
はい。
先生何か新しい事は分かりましたか?少し気になる事があるんですが…先ほど熱っぽかったとおっしゃっていましたね。
そうですね…。
おなかの痛みが出る少し前でした。
じゃあ上座は2つでこっちの横は3つね。
お願いします。
(佐野)
確かその日は朝から少し喉が痛くて…。
頭痛とだるさもあったんです。
まあ風邪のひきはじめかなと…
それはありませんでした。
女将の仕事は風邪なんかで休んでられませんからこんな時はよく栄養ドリンクと気合いで治すんです
俺はひいてないしな…。
従業員も病欠は一人もいないしな。
あっ!でもそういえば…。
あっ!いらっしゃいませ。
どうもこんにちは。
(武雄)
常連客のお子さんで5歳になる信一君が到着して早々熱を出してしまったんです
(佐野)
赤ちゃんのころから毎年来ている信ちゃんが他人のような気がしなくて…
早く海で泳ぎたいな…。
もうちょっとお熱下がらないとね。
(せき)
でもすぐに良くなって…そのあとはいつもどおり海に行って遊んでましたけど…
他に旦那さんから見て何か気になる事はありますか?はい。
瞳さん?はい!あらまあ今度は姿勢までたるんできて…。
まあまあ母さんいいじゃないか。
あらあんたどっちの味方なの?どっちの味方もないよ。
そんなに怒ってるとまた腰痛くするよ。
ありがとう。
(武雄)
おなかが痛くなってから前かがみの姿勢が多くなったような…。
何か関係あるんですかね?
なるほど…。
佐野さんもう安心して下さいね。
病名はほぼ見当がつきましたよ。
(玉ちゃん)おお〜っ?さあさあさあさあねっ。
CTみてレントゲンみて心電図までみちゃったんでしょ。
それでも異常なかったんでしょ?ドクターはもう分かったと。
もう考えちゃってますよ皆さん。
(早見)考えられてますね。
ちょっと難しそうですので…やられた検査100%ですね。
私が診察する時点では既に胃カメラ血液検査行われてましたのでそれを全部出して診断お願いしたいと思います。
ドクターGは朝の回診をした時CTレントゲン心電図の他に胃カメラ血液検査の結果も報告を受けていた。
そこで研修医たちに…まず胃カメラ。
胃カメラの結果を…。
(玉ちゃん)きれいじゃないですか。
きれいですね。
ストレス性胃潰瘍はなしです。
そして血液検査お願いします。
数字が分からないですからね…。
ひと言で言うとほとんど異常なしですね。
(玉ちゃん)う〜んどうでしょうか?さあそれでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
これは困ってますよ。
(玉ちゃん)全部出たんだから。
逆に言えば検査結果全部出すと可能性は全部外れていきますから「あれも違うこれも違う」って…。
「病は気から」とか言うじゃない。
気持ちがそうなっててどこにも異常ないんじゃない?そうだ。
大女将のプレッシャーに耐えられなくなり…。
「仮病」の事「詐病」と言いますけど。
大道先生と清川先生やっぱ止まっちゃってるのね。
(早見)途方に暮れてどこか遠いところ見てますものね。
(玉ちゃん)さあさあ研修医の皆さん…。
もしですね…今回は特別に認めたいと思います。
「特別に」という事はそれだけレアなんだ。
(早見)大人しかならないですか?…という事でもないんですね。
(玉ちゃん)大道先生いくか?起こる時は起こる。
さあ…時間も刻々と迫ってまいりました。
ちょっと待って下さい。
もう書きます。
(玉ちゃん)女将の運命はどうなるのか?番組始まって以来の難問に…研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)松尾先生からお願いします。
(玉ちゃん)大道先生。
(玉ちゃん)そして清川先生!すみません。
これだけでは分かりませんでした。
(玉ちゃん)う〜ん…「クエスチョン」というのが出ましたね。
さあそれでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!では清川先生本当に勇気あるすばらしい行為だと思います。
もし自分が分からないところは分からないと素直に認めてそしてチームで解決するように努力する。
それで患者さんのためになるわけですから。
勇気あるクエスチョンマークという事ですね。
そうですね。
そうしますと新しく出てきた「結節性多発動脈炎」の説明をお願いします。
体の中くらいか小さい血管特に腎臓とかの血管に炎症波及する事が多いと思うんですけど…。
中・小の動脈に炎症が起きる原因不明の全身性疾患です。
炎症が起きる部位によって皮膚潰瘍血便腹痛や不整脈などの症状が表れます。
このVTRとか血液検査からみるともうちょっと炎症反応あがっててもこの疾患だったら。
それでまあ否定的かなとは思うんですが…。
ちょっと分からなかったんですが書かせて頂きました。
否定的かもしれないけれども可能性があるのを残したと。
そうすると大道先生のご意見もお聞きしたいですね。
腹膜の中で炎症所見はあがってないけれども非典型的ではあるんですけど書かせて頂いた。
松尾先生が挙げた結節性多発動脈炎大道先生が挙げたフィッツ・ヒュー・カーティス症候群では共に…もう一度カギとなるシーンを見ながら考えていきたいと思います。
この方の症状が出る前にどういう病歴があったのか。
(玉ちゃん)風邪…。
微熱…。
咽頭痛がありましたね。
(佐野)
確かその日は朝から少し喉が痛くて…。
頭痛とだるさもあったんです
咽頭痛というと何をまず思い浮かべます?溶連菌感染。
細菌感染でも咽頭できますけど頻度としてもっと多いのは?ウイルス性の何ですか?感染…。
感染症ですね。
…を考えるわけですね。
そういうイベントがありました?この方に。
ちっちゃい子に接触した。
ちっちゃい子が熱を出してました。
そうするとウイルス感染症が一つのポイントである。
(せき)腹痛の謎を解くカギまずはウイルス感染だ。
もう一つは実は我々検査所見で異常がないとみてましたが前のドクターが…「前医」と言いますけど。
前医の話をそのままダイレクトにうのみにはできないと。
我々も必要に応じてダブルチェックする。
本当に異常がなかったかどうかもう一度見直してみましょう。
こちらがレントゲンです。
あおむけの状態で撮りました。
謎を解く更なるカギはレントゲンにあるのか?レントゲン写真をもう一度じっくり時間をかけてみて下さい。
ご指摘お願いします。
あのねこういう単純X線写真をみる時重要なのはまず全体像をみると。
最初から局所をみると見えないものが実は見えてくるんです。
「木を見て森を見ず」。
そうですね!どの方向に?こういうふうに…。
なってますね。
森を見て下さい。
今森が見えたんです!そこに診断の実は最大のヒントがあったんですね。
この所見が残ってたんです。
検査を受けた時まっすぐに寝る事ができず脊椎が曲がっていたのだ。
ではなぜまっすぐに寝る事ができなかったのだろうか?そうするとこれから何が言えます?痛くて右の筋肉を緩めようとしている印象…。
そうですね。
そうすると痛みの原因はどこなんですか?右の…。
体表になるかもしれない。
今おっしゃった臓器名は何ですか?さてこの人の症状を引き起こしている場所が筋肉だったかどうか。
それを示唆するようなシーンがありました?上げていた時に痛かった。
そうでしたね。
手を上げた時に痛がってましたね。
他には?横に寝れない。
最初診察室に私たちが入った時にどういう姿勢でした?佐野さん横になって頂いても大丈夫ですよ。
はい。
うっ…。
ドクターGが回診した時瞳さんは横になる事ができなかった。
ほら。
あっあり…。
ありがとう。
そこ置いといて。
瞳さんの痛みの原因は筋肉にあったと考えられる。
診断のカギを握った2つのポイントを。
これをつなぐとどうなります?そうですね病名が出てきました。
今まさにおしゃったウイルス感染症の一つで…。
でこの病気は…いろいろなウイルスがウイルスの中でありますがある特定のウイルスは筋肉をおかしくする。
筋肉に感染しやすい。
10分の10程度になりうるんですか?10分の10程度になるのが実はこの病気の特徴で…。
場所が胸部とか腹部背部に多いと。
筋肉が原因であればCTにも出てきませんし血液検査にも表れにくいと。
(玉ちゃん)じゃあもう一度言ってもらいましょう。
もう一度言って下さい。
3人で同時に。
(玉ちゃん)せ〜の。
正解です!瞳さんのカーネット徴候は陽性だった。
う〜っ!そしておなかの圧痛も認められた。
瞳さん?はい!瞳さんはおなかの筋肉に痛みがあったため背筋を伸ばす事ができなかったのだ。
流行性筋痛症は…まれに意識障害や髄膜炎などを合併する事もありますが多くは免疫力によって1週間ほどで自然に回復します。
ドクターGは病名を特定し…お客様の前では姿勢正しく身だしなみは美しく。
瞳さんは痛みに対する不安もなくなり旅館の女将として元気に働いている。
初めの方にCTやら検査値やら全部出されてしまったのでどういう事なんだと思ったんですがこういう事だったんだなと納得をする事ができました。
患者さんのお姿も確かに病室にいらっしゃった時の姿が比較的落ち着いてらっしゃったと確かにあとから見ると思うので患者さんの表情だったりしんどさだったりというのをしっかり生身に接する事もすごく大事なんだなと感じました。
でも勇気あるクエスチョンマークでした。
すばらしい!この病気は診断が難しいんですよね。
ですけれども我々総合診療医としてはこれだけの症状を来す病気をやはりどういう病気が原因になってるかというのを我々が最後まで患者さんと一緒に考えながらそして患者さんにそれをお伝えする。
そうする事によって患者さんは安心されてまた次のご本人の生活が始まると。
こんなにもたくさんのファクターを考えて一つの病名を出すんだなと改めて感動しました。
お医者さんは結局患者さんの事をしっかりみてでよく聞いて教育の僕らの領域に似てんだなと思って驚きました。
もう一つ研修医の先生方があんなに悩んでる姿を見てこれからお医者さんには協力しようと思いました。
(玉ちゃん)悩める若者の姿というところが美しかったですよね。
次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるんでしょうか。
さようならどうもおつかれさまでした。
2015/07/07(火) 14:05〜14:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターGセレクション「おなかが痛くて痛くて」[字]
老舗の温泉旅館を切り盛りする若女将(おかみ)が、腹痛に見舞われた!痛みは徐々にひどくなる…。CT検査でもわからない痛みの正体をドクターGはある事実から診断した!
詳細情報
番組内容
患者は老舗旅館の若女将(44歳)。遠のく客足や姑(大女将)のいびりによるストレスで、5年前から逆流性食道炎を患っている。ある日の食事中、お腹に違和感が…。その後、たくさんの団体客を迎え無理をしていたところ、痛みはさらにひどくなり、たまらず救急車で病院へ。しかし、CT検査の結果、異常は見つからず帰されてしまう。それでも、お腹の痛む若女将は、夫に付き添われドクターGの病院へ駆け込んだ!病気の正体は何?
出演者
【出演】地域医療機能推進機構 研修センター医師…徳田安春,【ゲスト】早見優,尾木直樹,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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