巡査鉄兵の推理日誌 2015.07.07


(三波鉄兵)待てーっ!止まんなさい!三波巡査から山手ヶ丘交番へ!駅前駐輪場より自転車を盗んだ男を追跡中!場所は山手町3丁目!待ちなさい!止まりなさい!
(自転車泥棒)しつけぇぞコラッ!!あぶないっ!
(悲鳴)大丈夫ですかっ!?…あ赤ちゃん!大丈夫かおい!?ケガないか?よしよし…。

(大槻巡査)先輩!赤ちゃん頼むぞ。
それとお母さん病院に連れてったって。
俺は自転車泥棒を追いかける!女子どもをケガさせやがって!…絶対許さんっ!よっしゃ!おいどこや!?出て来いっ!!・
(物音)ウリャーッ!!さあ起きろ!ウワーッ!アホンダラ!せやから抵抗するなって言ったやろ!立てコラ!何しとんのやそんな所で?寝とんのか?
(小島晴美)ハコ長〜書類の書き方全然わからないんですよ〜。
(山川巡査部長)えっ?
(晴美)いっぱいあるんだもーん。
いいか。
交番勤務で一番大変なのが報告書の作成だ。
活動日誌被害届保護カード注意報告書微罪処分手続書そして巡回連絡カードだ。
これ全部書くんですか…?そういうこと。
見習い期間中によーく覚えておけ。
(無線の呼び出し音)はい山手ヶ丘交番。
「ハコ長三波です」死体です!死体を発見しました!死体!?…場所は?山手町3丁目3−16自動車解体工場跡。
被害者は男性で全裸。
顔が潰され…あっ!腹にケロイド状の手術痕があります。
触るなっ!現場保存だ。
本署にはこちらから連絡する。
大槻と小島をそっちに向かわせるから三波巡査は立入禁止区域の設定!了解っ!
(パトカーのサイレン)チャッチャとせい!はいっ!モタモタすんなよ。
はい…。

(パトカーのサイレン)立入禁止区域の設定終わりました。
(桜庭由加里警部補)ご苦労さま。
自分が第一発見者でして…。
(平田刑事)話はあと。
カッコイイ〜!やっぱ刑事は警察の花形ですよね!警察っちゅうのはなチームワークや。
俺らは俺らの仕事をやったらええ。
晴美ちゃん。
通りに出て入ってくる警察車両以外は全部迂回させてくれ。
はい。
なんやお前…たるんどるやないか!ピーンと張れ!ピーンと!はいっ!…オーケー。
警部補。
第一発見者の三波巡査長です。
三波。
県警の桜庭警部補だ。
三波です。
階級章曲がってるわよ。
えっ?あっ…どうも。
そう。
(山川)本署の平田君は知ってたよな?平田巡査部長は見習い期間中うちの交番におられましたのでよーく知っております。
あなたには随分シゴかれました。
やれ言葉遣いが悪いとか先輩を敬う態度が見られないとか。
〔…ったく!〕だからって鉄拳教育はないでしょ!?鉄拳ではありません。
あれは愛のムチです!あのねぇ!なんやとぉ!?よしなさい!旧交を温めるのはそれぐらいでいいでしょ?死体だけど発見したときの様子をもう少し詳しく聞かせてくれる?第一印象は顔が潰されてたんで身元を隠すためだと思いました。
それと指紋です。
指紋も焼かれてました。
ですから…身元を捜すためにはここのキズ痕やと思います。
まぁ近くの病院で…。
誰が推理してくれと頼んだ?そんっなになめ回すように見たの?あなたの仕事は現場保存と立入禁止区域の設定でしょ?すみません…。
あなたみたいな警察官がいるから初動捜査にミスが生じるのよね。
交番巡査なら交番巡査らしく職分を守りなさい!すみません。
申し訳ありませんでした。
結局刑事になりたいんですよね…あなたも。
こんな制服脱いで。
お言葉ですけどねわかったように言わんといてください!俺はこの制服が好きやねん!交番巡査が生きがいなんや!三波誰に口きいてるんだ!平田君は巡査部長だぞ!これだけは譲れません!なめ回すように見たのも被害者がこの街の人間だったらどないしようと思ったからです!頭ん中ではいつも街の人間のこと考えとるんや!それが俺の仕事やねん!!山川巡査部長。
こういう人にはあとで十分注意を与えてください。
捜査に支障をきたす恐れがありますから。
なんやとコラァ?おい…!?やめろっ!!お前らなんかにわかってたまるかー!どうじゃ!?どうじゃーっ!?
(ジャズ)どうもありがとうございました。
(一同)お疲れさまー!
(水谷加奈子)大成功!皆さんとても喜んでました。
(木崎佳美)そう?ドキドキしちゃって…人前で歌うなんて何年ぶりだもの。
(村田光男)こっちもさ3曲目まで指が全然動かなくて。
鉄兵ちゃん…ありがとう!こういう機会を作ってくれて。
別に…俺はただお二人の才能が埋もれてしまったらもったいないって加奈子さんに提案しただけやから。
(咲子)でも肝心の鉄兵さんは聴いてなかった。
それは…昼間事件があって…。
(松永泰彦)殺人事件なんでしょ。
被害者の身元わかったんですか?まだなんです。
けど…。
(松永登記子)あなたここに来てる鉄兵さんは警官じゃないの。
ひとりの男として加奈子の元に通って来てるんだもんね?いや…そんな別に。
登記子よしてよ!困ってるじゃない鉄兵さん。
じゃ咲ちゃん後片づけして。
私表の看板消してくるから。
俺も手伝ってこよう。
あ俺やります。
ありがとう。
…気にしないでね。
登記子は自分が幸せなもんだからすぐああやって人からかうの。
俺は悪い気はしません。
かえって加奈子さんに気を使わせて恐縮です…。
(鉢が割れる音)
(水谷正臣)久しぶりだな加奈子。
元気そうじゃないか。
なんやお前?何者や?亭主だよこいつの。
亭主…?おう。
正臣…!水谷君…。
久しぶりだな登記子。
風の噂で聞いてるよ。
こいつのライフルが暴発して歩けなくなったんだって?バカだよな〜医者のくせにそんな趣味持ってるからだよ。
あら木崎のおばちゃん。
また店を放っぽり出して歌手のマネ事か?女つくって7年も女房を放っぽり出してた男に言われたかないわ!ホンマですか加奈子さん?ホンマにこの人が…。
主人よ。
でも関係ないのもう…。
電話で言ったでしょ!あなたと私は赤の他人だって。
でも戸籍上夫婦だよ。
それにねこの土地とビルは本来俺のもんなんだよ。
俺が水谷家の当主なんだから。
あんたが帰って来ないからいけないんだろう!?あんたのお母さんだって死に水を取ってくれた…。
他人は黙ってろ!!これは俺と加奈子の問題なんだよ!遺書にどう書かれてようとお袋言ってたんじゃねぇのか?俺が帰ってきたらよろしく頼むってさ…。
図星だろ?その辺も含めてよじっくり話し合おうぜ。
えなに?その話し合いもヤダってか?わかった…いいわ。
すみません…今日はごめんなさい…。
何なんだよおめぇは?どうぞ。
おっワインあんじゃねーか。
待ってて。
やめてっ!やめてじゃねーだろうが!俺ら7年ぶりに会ったんだよ?やめて!人呼ぶわよ!
(正臣)呼べよ勝手に。
夫婦のことだよ。
誰も相手にするワケねーじゃねえか。
イヤ…!イヤ…!いい女になったじゃねーか。
(加奈子)やめてやめて…!なんで俺あんな女に引っかかっちゃったかなぁ?やっぱりお前が一番いい女だよ。
やめてーっ!!…何やってんだお前?来ないで…!こんな物はなしだよ。
心配すんなよ。
7年間の償いだよ。
これから毎日かわいがってやるからさぁ。
イヤ…イヤ…!仲良くしようよ。
ヤダッ…!ヤダッ…!
(正臣)いいじゃねぇか!ハッ…!住民の移動はなしと…。
(管理人)でもね2階の佐藤さん決められた日以外にゴミ出すの。
お巡りさんから言ってくれないかな?…わかりました。
それとなく注意しておきましょう。
そういうのは私たちの仕事じゃないでしょ?杓子定規に考えない。
できるだけ住民のトラブルを回避する。
それも俺らの大事な仕事や。
だからお巡りさん好きよ〜!お巡りさんにうってつけの人がいるんだけどお見合いしてみない?ちょっと待ってね!写真持ってくるから!ちょ…ちょっと困ります!空き巣が流行ってますんで戸締まりを!…早よ来んかい!まいったな…。
いいじゃないですか写真ぐらい。
俺は今そんな心境やないねん。
俺は誰とも結婚せん。
一生独身を貫くって心に決めたんやから。
あ失恋したんでしょ?…じゃかあしい!行くぞ!巡回連絡は交番巡査にとって大事な仕事やねんから…。
先輩!三波さーん!お前駅前のパトロールに行っとったとちゃうんかい?ええそうなんですけど…聞いちゃった聞いちゃった!すごいですようちの刑事課。
もう容疑者絞り出してるんですから。
容疑者?あっ昨日の事件の。
誰だったんです?村田光男。
たしか2丁目でメッキ工場を経営してる男で…。
村田…。
そんなアホな!!貸せ!!ちょっと先輩…!なんでや…?なんで村田さんが容疑者にされなあかんねん…?アホ女の刑事め…!待った待った待ったーっ!鉄兵ちゃん!どういうことですか!?これは逮捕ですか!?任意出頭よ。
理由は?なんで出頭させらないかんのですか?教えてくれないんだ。
話を訊きたいの一点張りで。
そんなら拒否もできるで。
任意出頭は自分の任意で行くも帰るもオッケーなんや。
捜査を妨害する気!?地域住民の味方として正当な理由を提示してほしいと言うとるだけです。
その必要はないわ。
なら行かない。
任意なんだろ?…じゃ言います村田さん。
あなたは一昨日の夜死体の発見された廃工場に車を運び入れましたね?それからもうひとつ。
被害者の指紋を焼いた化学薬品が硫酸だとわかりました。
硫酸はお宅の工場で1番使用してる化学薬品ですね?村田さん釈明せい!廃工場に行ったのは理由があったんやろ?三波さんちょっと…。
村田さん!村田光男は17年前ケンカで人を過って殺した過去があるんです。
えっ…?鉄兵ちゃん…今なに言われたか顔見てわかったよ。
行ってくる。
(子どもたち)お父さん…。
大丈夫。
お父さんすぐ帰ってくるから。
(広美)お父さん!
(村田里枝)お家に入りなさい。
(広美)でも…。
いいから。
奥さん。
…大丈夫やと思います。
ホンマに村田さん事件に関係ないんやったらすぐに帰ってくると…。
あの人…昨日喜んでたのよ。
久しぶりにピアノが弾けたって。
うちの人がミュージシャンをやめたのあの事件のせいなの。
服役して私の父の工場を継いでくれてからもピアノにだけは触らなかった。
だけど…だけどね…お巡りさんらしくないお巡りさんの鉄兵さんが作ってくれたきっかけだったからあの人は吹っ切れたのよ!でも…結局あなたもただの警官だった…。
そうやって一生色眼鏡で見ていくのね…うちの人のこと。
〔はいメリークリスマス!〕
(村田)〔メリークリスマス!〕〔鉄兵ちゃん最高だよ〜!俺みたいな奴でもさこの子たちこんなに喜んでくれて…〕〔ありがとう!誘ってくれて本当にありがとな!〕〔おーし!まだもらってない子はいるか〜?〕嘘や…村田さんには人は殺せん…。
昔のことは知らん。
あの人は変わったんや…!「産廃」?産業廃棄物のことです。
この不景気で業者に取りに来てもらう金が惜しいんであの廃工場に捨てたんです。
申し訳ありませんっ!…芝居はやめましょうよ。
あなた3日前従業員に遅れてる給料を払いましたね?その金はどこから?子どもたちの学資とかをやりくりして…。
たしかに貯金は下ろされていた。
でもそれはカモフラージュで誰か金の持ってる人間を呼び寄せ殺し指紋を焼いた!冗談じゃないよっ!!俺はそんな殺人なんかに関係ないよっ!!・山手ヶ丘交番活動日誌12月24日。
・管内の養護施設「たんぽぽ園」に村田光男さんと慰問に行く。
鉄兵ちゃん…?あの男…!本官と村田さんは今後もこういう活動を…。
よしなさい!なんのマネよこれ!?自分はどうしても村田光男さんが今度の殺人事件に関わってると思えませんのでその人となりを知ってもらおうと思いこうして活動日誌を持って来たんです!鉄兵ちゃん…。
ちょっと来て…!村田さん!俺は信じてるからなーっ!自分のしたことがわかってるの!?これは明確な捜査妨害よ!そうですか?俺は過った捜査を元の道に戻す勇気ある行動だと思います。
とにかく彼の容疑が晴れたら返すからジャマしないで!お宅らはそれでいいかも知れんが疑われて連れて行かれるだけで世間の噂や見る目が違ってくるんですわ!それがどうだと言うの?私は真実を突き止めるために今のやり方を変えるつもりはないわ。
少しは殺された人間のくやしさも考えなさいよ!ムチャな嫌疑をかけられて父や夫を連れて行かれる家族の思いも考えてみたらどうですか?とにかく今日のことは報告しておきますから!どーぞ!始末書なんて怖いこともなんともあらへんわ!…ガタイのわりに肝っ玉小さいくせに!ちょと待ちいな!見たんか俺の肝っ玉?…そんなんやから「90日の女王」なんて言われるんじゃ!90日の女王…?寮のみんなが言っとったんや。
あんた結婚して90日で離婚したらしいな。
ハッ…!鼻っ柱の強さと人の見る目のなさ…ちょうどいいニックネームや。
ハハハ!ハハハ!大笑いやな!人のプライベートをあげつらって喜ぶなんて最低の人間のすることなのよ!気をつけるのね!すみません…。
…せっかくだから教えとくけど私の結婚生活は65日。
3か月も我慢するほどヤワじゃないの。
以上!65日…。
信号を左に曲がって300メートルぐらい行ったところが外人墓地です。
(女学生たち)ありがとうございました。
何しとんねん?こうして人に道を尋ねられたら…仮にお前が訪ねて来たとする。
こうやってな背中向けたらあかんわけや。
失礼だからですか?アホ!…ちゃうわ!婦人警官は持ってへんけども俺らは…拳銃持っとるからな。
人を疑うワケじゃないが…。
今日の指導はこれで終わり。
立ち番頼むぞ。
あっ先輩…!・加奈子さん!どうしました?あいつに殴られたんですか?そうですね?…クソッ!警察官は民事不介入やけど俺はひとりの男として…人間として許さんっ!!待って!…私が悪いの。
どんな理由があるにせよ女に暴力を振るう男は最低や!私がバカなことを訊いたから…。
「本当は主人じゃないんじゃないの」なんて…。
…どういうことですか?主人のお腹には手術の痕があったの。
ケロイド状の…。
ケロイド状…。
でもなかった…歳とともに消えたのかもしれない。
それで私疑って…。
それホンマの話ですか?消えないですよ!あったキズが消えたりしません!俺もね5歳のときの脱腸のキズちゃんと残ってます。
でもそんな…。
つかぬこと伺いますけどお宅の資産どのぐらいありますか?事件に関係あるかもしれんから訊くんです。
主人の母が残してくれた土地だけでも3億ぐらい…。
土地だけでも3億…。
ご主人が手術した病院わかりますか?ええ…。
教えてもらえますか?間違いありません。
亡くなった女房の父親が昭和59年に手術したと書いてあります。
ああ…そのとき水谷正臣はケロイド体質で思った以上にキズが残ったと書いてある。
ホンマですか?ええ…ここに。
なんや…横文字はあきませんねん。
書いてあるんやったら結構です。
ありがとうございました。
あらどうしたの?なーに?加奈子の相談?想い切れないとか?堪忍してください。
…けど俺彼女の幸せだけは願ってますから。
それだけは間違いありません。
…じゃ。
何しに来たの鉄兵さん?正臣のこと調べてるらしいんだ。
(登記子)水谷君のこと?これがこの間工場で発見された死体のキズです。
手術痕に見覚えはありませんか?あ…いえまさか…そんな…。
ちょっと待ってください…いいですか?今必要なのは7年前家を出る前に残していったご主人の指紋なんですよ。
何かありませんか?確実に残ってるものが…。
ないわ…このビルを建てるときにお義母さまの命令で全部処分にしたから…。
でも間違いです。
ニセ者だなんて私の思い違いです。
忘れてください。
加奈子さん…。
私…お義母さまに亡くなる前に言われたんです…。
もし万が一あの人が帰って来たら自分に免じて許してほしいって…。
でもそれがニセ者だって可能性もあるんですよ?なりかわって…本物を殺して…現れた。
そんな…!・
(水谷)あれどうしたの?あれ…?あんたお巡りさんだったんだ。
山手ヶ丘交番の三波といいます。
今日は巡回連絡で伺いました。
大変だねぇお巡りさんも…。
もらうぞ。
ええ…。
この7年間どちらにいらっしゃいました?答えなきゃいけないの?できましたら…。
断ります。
…俺昔からお巡りさんが大っ嫌いなんだよ。
その制服見てるとヘドが出る。
(加奈子)やめてあなた…。
あんた…加奈子に気があんじゃねえのか?そう顔に書いてあるよ。
制服着て安心させて…そうやって人の女房に近づく奴は信用できないな。
悪いけど…お引き取り願えますか?
(佳美)正臣が別人!?シッ!…例えばですよ。
そういうのがあったかなと…。
顔が似てるけどどっか違うとか…。
ママあれから何回か「ライトハウス」行ってるでしょ。
ああ…そういえば昨日変なことがあったわねぇ…。
(水谷)〔なんだこの飯は!?〕〔ポークのしょうが焼きあなた好きだったじゃない〕〔おちょくりやがって…俺は豚肉食わねえだろっ!!〕食べ物の好みが変わった?普通ないでしょ?好きな食べ物が嫌いになるなんて。
たしかに…。
水谷君がニセ者?そう思えてならんのですよ。
加奈子さんも疑い始めてます。
そう思いたいだけよ加奈子は。
水谷君から逃げたいから。
そういう言い方はないだろ!友達が不安でおびえてるのに…。
優しいのね…あなたは加奈子に。
で本物かニセ者か見極める方法はないんですか?家を出ていく前の水谷正臣の指紋が付着してるものが何かあればいいんですがね…。
…あるわ。
ホンマですか!?それよ…その優勝カップ。
神奈川県高校テニス選手権大会…男子ダブルス水谷井上…。
私たち高校の同級生。
うちの人と水谷君はテニス部のキャプテンと副キャプテンでね私と加奈子はマネージャーだった。
ならそのときの…。
ああ…それになら指紋も残ってるかもしれない。
お借りできますか?
(工藤鑑識官)…ダメですね。
えっ…?このワイングラスに付着していたものと同じ指紋はカップからは検出されません。
ほんなら別人?…と言うよりこのカップからはまったく指紋がなかったんです。
指紋というのは空気の流通がある所だと埃などが付着して2〜3か月しか残らないものなんです。
17年前の指紋が残ってるワケないですよ。
そんな…。
三波さん!…なんで交番巡査が鑑識に来る必要あるんです?お前な…いちいち「交番巡査が何々しない」「交番巡査のくせに…」って突っかかってくるけどそんなことしてオモロイんか?チームワークやルールを無視する人間にはタガをはめないとね。
俺がいつ無視したっちゅうねん!?現にその口のきき方がそうじゃないですか!巡査長のくせに巡査部長の僕に突っかかるようにしゃべる!警察はタテ社会なんですよ?命令系統が非常に大事なんです。
気をつけましょうよ。
口のきき方ひとつにも。
申し訳ありません…!本官は冷酷無比な巡査部長殿と会話させていただくほど暇ではございませんのでこれにて失礼しますっ!左向け左っ!駆け足!オイッチニ!オイッチニ…!指紋もダメか…。
どないしたらええんや…。
…イタッ!村田さんとこの…。
最低よ警察なんて!キライよ警察なんて…!お父さんを返せ!バカヤローッ返せっ!バカッ!バカッ!すまん!…許してくれ。
俺の力がなかったばっかりに。
ハコ長!おいっ三波!あはい…。
今度は何をしでかした?単独であれこれ動いてるって話だし…。
あれほど言っただろう?もう捜査妨害はするなって!俺にはもう守りきれんぞ…。
ちょっと来て。
いいか?逆らうんじゃないぞ。
警官続けたければ逆らうんじゃない。
ハッキリ言うわ…捜査に行き詰まって困ってるの。
あなたが村田に「俺は信じてる」なんて言うもんだからあれ以来村田は捜査に協力しなくなった。
容疑を産業廃棄物の遺棄に切り替え逮捕状も取った。
これで最大25日は調べられる。
別件ですか!…キッタな〜!こっちだってそんな手使いたくないの!だから…あなたの口から言って。
捜査に協力するようにって。
これは命令なのよ!警察官としての。
三波巡査長!…こっちこそお願いします!俺の捜査に協力してください!俺の捜査…?気にすることないですよ。
この男ワケのわからないことをひとりで調べてるんです。
なに調べてるの?話してみなさい。
…この街に「ライトハウス」というパブがあります。
その店のママの亭主があの死体の発見された日突然帰ってきたんです…7年の失踪にケリをつけて。
そしてその男の腹にはあるべきはずのケロイド状の手術の痕がないんです!あなたまさか…?ありえると思うんです。
あの死体には手術の痕があった…指紋が焼かれていた…顔がメチャクチャやった…。
ひょっとしてその亭主を殺して入れ替わったんじゃないかなって…。
バカバカしい!…何のために?そのライトハウスの資産は土地だけで3億。
犯人がその資産に目がくらんだとしたら…。
…なぜそのことを私たちに話すの?私たちのこと信用してないんじゃなかった?…俺は灯台になりたいんです。
灯台になりたくて交番巡査になったんです!灯台?早ように両親を亡くして大阪でゴンタばっかりやってた俺はええ加減な気持ちで東京に出てきたんです。
浪速男の名を挙げようと思って…。
そのとき東京のヤクザ者にメッタメタにのされて半殺しの目に遭ったんです。
倒れると思ったそのときやった…交番の光が見えたんです。
立っているお巡りさんの制服が見えた…。
(鉄兵)〔お…お巡りさん…〕そして俺は助かった…。
そのお巡りさんがごっつうええ人で俺はコンコンと説教されお巡りさんの家にまで呼ばれてしかられた…。
…その人にあこがれたのね。
初めて知る…人間の温かさでした。
俺そんとき思うたんです!交番は…交番のお巡りさんは…街行く人の灯台やって!この制服見たら助けてもらえる…救ってもらえる!俺も困ってる人の灯台になろうって…!お願いします!水谷正臣という男を調べてください!俺ひとりの力では限界があるんです!頼んます!わかったわ…調べてみる。
警部補…!?お願いしますっ!まさか警部補…本気で入れ替わった線で捜査を…?ありえない線じゃないわ。
いやでも…。
「マルタンゲール事件」って知ってる?1556年フランスで起こった事件よ。
行方不明になっていたマルタンゲールという人物になりすまし家や財産を乗っ取ろうとした男がいた。
そのときはマルタンゲール本人が現れて犯行は失敗に終わった…。
でも本物のマルタンゲールを殺して入れ替わったとしたら?突飛すぎますよ話が…。
じゃなぜ指紋を焼いたの?顔を潰したの?そのことの答えは明確にはつかめてないわ。
俺は反対です!あんな奴の捜査に乗るなんて…。
私情は捨てなさい。
真実を突き止めるためにあらゆる可能性を捜査する…それが捜査の基本でしょ?…俺はもう一度村田の周辺を徹底して洗います。
そうして。
私はそのライトハウスという店の主人を洗ってみるわ。

(刑事)どうなんだ?早く言って楽になれ。
いい加減に本当のことを言えっ!!嘘なんか言ってませんって…!
(正臣)なんで俺の周りに刑事がうろつくんだよ?お前…俺がニセ者だとでもお巡りに言ったんじゃねえのか?ハーン…そうやってこの家の財産を独り占めする気なんだ。
そんな気持ちこれっぽっちも…ただあなたが怖い…。
お前とは別れないよ。
イヤッ!お前がますます愛おしくて…。
(正臣)絶対別れない。
ではそもそもの原点に戻ります。
4月12日午前10時27分。
横浜市山手町3丁目自動車解体工場跡地で男性の全裸死体が発見されました。
(刑事)後頭部に強く鈍器で打った痕があり死亡推定時刻は10日の午後8時から11時の間。
殺されてから身元をわからなくするために顔はひどく潰され硫酸で指紋が焼かれてました。
で唯一残された手がかりがこの腹部の手術痕です。
法医学者の話では術後15〜20年は経ってるんじゃないかと。
それは水谷正臣が胃潰瘍の手術をした時期と一致してます。
(刑事)その水谷ですがコンピューターで過去の写真と骨格等を照らし合わせたところほぼ本人に間違いありません。
ですが骨格と指紋は違うのでそっくりな人間がいてもおかしくないと思います。
(東警部)水谷の指紋は?過去のものと照合したのか?
(刑事)できません。
7年間家を離れていたため照合するにも肝心の7年前の指紋が…。
で…結論は?はい…。
(平田)個人的な見解ですが今度の事件と水谷の入れ替わりを重ね合わせるのは少し無理です。
もし私が本物の水谷正臣を殺害し入れ替わろうと思うのならあんな所に死体を放置しません。
山に埋めればいいのだから。
その点はどうなんだ?殺されたときの状況が把握できない以上水谷を捜査線上から外すのは早いんじゃないでしょうか?そんなことを言ったら誰も捜査線上から外せんよ。
(東)殺したときの状況は殺した人間と殺された人間以外誰もわかってないんだからな。
(一同苦笑)どうでした捜査会議の結果?暗に水谷は捜査線上から外せって言われたわ。
刑事課は何考えてるんですか!?あなたのよこしまな恋心には協力できないって結論が出たんですよ。
…どういう意味や?わかってるんですよ。
あなたが水谷の女房の加奈子という女に惚れていることは。
俺はそんな気持ちで…!よしなさいっ!殴れば認めたことになるわよ!刑事課のやり方はムチャムチャやないですか!?見損ないました…もう頼りません!人の気持ちをそんな色眼鏡で見る人間はあてにしません!なんでや?どんな些細な情報でも見逃さんのが刑事やろ!それをあいつら…!もうええ!俺がやったる。
俺が捜査やったるわ!よせよ!こんな所に入ったって意味ないだろ。
いいでしょ。
入りたいから入りたいって言ったのよ。
診察があるんでしょ。
病院へ帰りなさいよ。
一人で入るから。
松永さん!二人ともどうしたんですか?びっくりしたなぁ!仲のええお二人が声あらげてるなんて初めて見たから…。
こいつが少しわがままなんです。
鉄兵さんが言ってた正臣がニセ者かということにぜんぜん興味がなかったくせにいきなりこんな所に入るって言い出すから。
あなたや鉄兵さんのような加奈子ファンの心理をちょっと知りたくなっただけよ。
(松永)それは嫌みか?仲のいい友達を助けたいと思うのは当然だろう!友達ね…。
いかん。
診察が始まる。
帰ろう。
大丈夫よ。
一人で帰れるから。
(松永)登記子!あの…俺が送っていきますわ。
それじゃ…よろしくお願いします。
なんか虚しいわね…。
えっ?奥さん!いつもそうなの…。
わがままを言っても文句を言ってもあの人はそれに従う。
優しい旦那さんやないですか。
義務なのよ…。
自分のライフルでこんなふうに私をしてしまったという申し訳なさへの償い…。
もともと置かれていたライフルをいたずらした私が悪いんだしあの人にライフルの趣味を押しつけたのも亡くなった私の父なのに…。
なにも言わずに私に従う。
従ってるんやないですよ。
義務でもない。
愛してるんですよ…。
松永先生奥さんのことを。
愛されたい…。
えっ?義務とか償いとか…そんなんじゃなくて…。
一人の人間として…女として愛されたいの…。
抱きしめられたいの…。
好きなんですね…。
奥さんも松永先生のことを。
これ以上ないくらいにね。
こんなに好きになって…なんか気持ちメチャクチャになりそう。
いいなぁ…最高ですよ。
そういう夫婦の愛って。
鉄兵さん。
はっ?いいの…なんでもない…。
あなたに話しても無駄だものね。
どうしたんですか奥さん?何かわかったんですか?ごめんね。
行くわ…。
大丈夫。
一人で帰れるから。
奥さん!水谷…?やっぱり来たわね…。
来ると思ってた。
これを掘り起こされたらおしまいだもんね。
でも私の言うことをきいてくれたら黙っててあげる。
私の交換条件はただ一つなの。
(雨音)だめかな…?この交換条件のめない…?
(パトカーのサイレン)なんでや?なんで奥さんが…?どういうこっちゃ!?
(大槻)あっ先輩!遺体はあっちか?ハコ長が立入禁止区域の設定ちゃんとやれって。
ええんじゃ!俺は証人や!ちょっと先輩!
(松永)登記子…登記子!奥さん…。
昨夜奥さんと話しました。
そのとき奥さん今度の事件の真相をつかんだようなことを…。
この事件も廃工場の事件と結びつけるんですか?本当にそう言ったの?言いました。
そしてその話してるところをあの水谷が見てたんです!でも廃工場の事件とこの場所とどういう関係があるのよ?タイムカプセルだ…!タイムカプセル?17年前高校卒業するときクラスでこの辺りにタイムカプセルを埋めたんです。
自分たちの思い出の品を詰めて。
タイムカプセルなら密閉されてて空気に触れてない。
ということはそん中に…本物の水谷正臣の指紋が残ってる可能性が…。
このへんに掘られたみたいな跡があるわ。
…鑑識さん!ちょっとこのへん掘ってみて。
(鑑識官)はい。
俺も手伝います!あった!気をつけて出して。
そっとよ。
開けてみて。
空や…。
どういうことよこれ?決まってるやないですか。
本物の水谷正臣の指紋が出てきたらヤバイと思って犯人が取り出したんですよ。
水谷正臣に話を聞くわ。
はいっ!昨日の夜…?11時から1時の間です。
どちらに…?家にいましたよ。
ここで酒のんでたから。
そうだよなぁ?
(加奈子)え?ええ…。
加奈子さん。
ほんまのことを話してください!
(水谷)なんなんだよそれ?いったい何があったんです?松永登記子さんが先ほど遺体で発見されました。
殺されたんです。
登記子が…?バカバカしい…じゃなに?あんたたち俺が犯人だとでも?とぼけたって無駄じゃ!お前…俺と松永さんの奥さんがしゃべってんの見とったろ!タイムカプセルを掘りに行った松永さんの奥さんをつけて!三波巡査!えっ?あ…。
タイムカプセルってなんなんです?なんでもないんです。
気になさらないでください。
この男は案内してくれた巡査で捜査には関係ありませんから。
まったく不愉快だな…。
なんで俺が疑われるのかさぁ?今の段階ではまだお話しできないこともあるんですよ。
アリバイというのは奥さんや親族が証明したのでは成り立たないことになってます。
なにかほかにあなたがここにいたという証明がされれば幸いなんですが。
そんなもんないですよ。
俺はここでワインを飲んでいた。
(水谷)ただそれだけですよ。
もう一度だけ訊きます。
奥さんそれは本当ですか?加奈子!本当です…。
すみません。
捜査の秘密になるようなことをうかつに…。
いい加減にしてほしいですよ!これだから捜査の素人は困るよ。
水谷加奈子があなたを頼ってくるかもしれない。
そのときは相談にのってあげて。
彼女のおびえて閉ざした心を開かせることが今回の事件解決の一番の早道かもしれないから。
わかりました!なに考えてんだ警察はよ!お前までまさか俺が登記子を殺したって疑ってんじゃないだろうな?なんだよその目はよ…。
ふざけんじゃねえぞっ!いやっ…!
(水谷)お前なぁこのやろう!!てめえが勝手に思いこんでんだ!わかってんのかよ!俺はななんにも知らねえんだ。
…ああっ!?
(加奈子)いやっ!いや…!加奈子さん。
ほんまのこと話してください。
登記子さんは友達なんでしょ?その友達が殺されたんですよ!加奈子さん!鉄兵さん。
私をどこかへ連れてって。
支度してくるからお願い…!どこに連れてってくれるの?交番早退したし時間たっぷりあるんです。
あ…「海ほたる」なんかどうです?いっぺん行ってみたかったんや。
海ほたる抜けて木更津の方へ…。
いや!湘南にして。
内房より湘南の方がいいわ。
はい…。
どうなんですか?水谷正臣がいや…正臣のニセ者が登記子を殺したんですか?まだ断定するわけには…。
だからかかわるなと言ったんだ。
でもやっぱりあいつは加奈子さんのことが心配だったから…。
失礼ですが昨日の夜11時から1時の間はどちらに?夕方に一つ大きな手術を終え疲れて眠ってました。
で奥さんが出かけたのにも気づかなかった?知ってれば止めました!ただ我が家はあれが一人で出かけることができるようにそういう設備を整えてましたし。
でもそれが逆にあだに…。
クソッ…!
(加奈子)登記子はねぇ私たち4人の中では一番強い人だった。
迷うことなくいつでも最初に自分の生きる道を決めた。
井上君との結婚もそうだった。
井上?ごめん。
松永君の旧姓。
彼との結婚も自分が思うように決めてそれを実現させたの。
私彼女の強さがうらやましかったなぁ…。
加奈子さんはなんで水谷正臣と結婚したんですか?正臣が…2番目ぐらいかな強さでいうと…。
ぐいぐい私を引っ張ってくれていろんな所に連れてってくれた。
正臣が私に見せてくれるもの与えてくるものすべてがまぶしかった…。
彼はなんで変わってしまったんですか?バブルに踊らされたのよ。
(加奈子)一時月に何千万円ってお金が入ってきてあの人目の色が変わった。
そしてバブルがはじけてなんだか全部荒んでしまった…!人は変わる…。
よくも変われば悪くも変わる。
でもね俺たまらんのはそういう自分の欲望や野心のために人を踏みにじる奴です。
人の命を命とも思うてへん。
これは許せません。
加奈子さん考えてみてください。
登記子さんの…松永さんの奥さんの悔しさを!どんな思いで死んでいったか気持ちを考えてあげてください!加奈子さん!戻るわ…。
もう一度あの人と話してみる。
それで…その後でちゃんと鉄兵さんに本当のこと言う。
加奈子さん…。
じゃあ私話してきますからここにいてください。
何かあったら呼びます。
ええ。
俺は死んでもあなたを守ります。
ありがとう…。
(むせる)
(せき込む)
(加奈子)鉄兵さん!来て!鉄兵さんっ!!はいっ!!加奈子さん!加奈子さん!アーモンド臭…青酸カリや!携帯お持ちですか?お借りします。
…あ動かない!ここの物は触らないで。
…横浜中央署ですか?山手ヶ丘交番の三波です!特捜本部まで大至急お願いします!大至急!!…はい!死体を発見しました!場所は…。
詳しくは解剖を待たないとわかりませんが死因は青酸カリ。
死亡推定時刻は今日の夕方5時から7時の間かと…。
遺書があったって?ええ。
これです。
ワープロで打たれて…。
「申し訳ありません」「私は水谷と競艇場で知り合い親しくなり今度の計画を思いつきました。
しかし水谷と松永登記子の両名を殺しその計画が悟られた以上私の生きる道はもうありません」強気な外面とは裏腹に内心は相当追いつめられてたみたいですね。
(刑事)警部補。
こんな物がバッグの中に。
血痕か…。
松永登記子を殺害時に着ていたものかもしれませんね。
自殺とみて間違いなさそうね…。
(やじ馬)ねえ自殺だって?お巡りさん!ねえ黙ってないでさなんとか言いなよぉ!〔大至急!!〕・
(トイレの水音)・
(山川)三波!はっ?結局お前の読みが正しかったな。
刑事課の連中も反省してるぞ。
お前の言ったとおり動けばこんないくつも死体が上がらなかった。
俺もうここいいですか?んっ?…ああ。
三波…?なんでや…?あのマンションの構造からすると玄関に入ったらすぐ死体を見つける。
死体を見つけてからトイレに入ったんか?それから…俺を呼んだことになる。
なんでや…?なんでやっ!?〔来て!鉄兵さんっ!!〕ハァ…45秒…!どうも。
山手ヶ丘交番の三波です。
ちょっとお願いがあるんですけど。
(水が流れる音)
(ストップウォッチの音)1分33秒…。
どうもありがとうございました!エレベーターであの部屋へ到着するのが38秒。
俺が階段で駆け上がって45秒。
トイレの水の音がなくなるのが1分33秒…。
あぁ…ややこしいな…。
とにかくそれやったら死体を発見してからトイレに行ってそんで俺を呼んだってことか。

(村田)鉄兵ちゃん!疑いが晴れてよかったですね。
(村田)鉄兵ちゃんのおかげだよ。
あの「信じてるから」って一言嬉しかったよ。
そうだ!いや…なんですか?俺ほんまに忙しいんやから!なに言ってんだよ!命の恩人黙って通り過ぎさせたらハマっ子の沽券にかかわるよ!ほんまに勤務中やで!大丈夫大丈夫!いいからちょっとだけ!ちょっとだけだからさ!おい里枝!鉄兵ちゃんだよ!広美!克行!正義の味方だぞ!お巡りさんありがとう!
(広美)あのときはごめんなさい。
あのときって?いや…ええねんええねん。
でもお父ちゃん帰ってきてよかったなぁ!うん。
うん!そうだお祝いだ…!お祝いって?ほら里枝!
(里枝)はーい!
(里枝)この人のとっておきのワインなの。
はいっ!どうぞ。
いやいやあきません!まだ勤務中です。
なに言ってんの!1杯や2杯!ほら氷!氷!氷…?普通ワインに氷なんて入れないでしょ?この人ったら赤ワインには氷。
もう…変でしょ?なに言ってんだ。
最近赤ワインに氷を入れて飲んでる人多いぜ。
(里枝)あぁ〜せっかくのワインが。
そうか…氷か…。
氷やっ!村田さんおおきに!助かりました!
(村田)ちょっと!鉄兵ちゃん!?そうや…氷や!氷!これやったら成り立つで!待てよ…?確かに成り立つけど…。

(クラクション)ちょうどよかった!今あなたのところに行こうと思ってたの。
今回の事件の功績を認めて県警部長賞を進言しといたから。
そんなんより俺の話を聞いてほしいんです!事件の重要な手がかりをつかんだんです!どういうこと?事件はまだ終わってない?俺は犯人は別にいると読んでます。
誰なのそれ?水谷正臣がワインに氷を入れて飲むという癖を知っている人間。
ワインに氷?そしてその人間はあらかじめ氷に青酸カリを溶かしていた…。
それを知らない水谷正臣はいつものようにグラスにワインを注ぎそこに氷を浮かべた。
そしてその人物はその時間完璧なアリバイを作っておき帰宅する…。
そしてその後あらかじめワープロで打っておいた遺書を水谷正臣の遺体の前に置く。
ところが水で薄まったワインがあとで分析されるとまずいと思いその人物はそれを解けていた残りの氷と一緒にトイレへ捨てた…。
あなた自分が言ってることわかってるの?あなたの推理はあなたが一番想いを寄せている人を犯人だって言ってるのよ?わかってます。
でも俺は警察官やから…。
俺は知りたいんです。
なんでその人はそんなことしたのか…。
なんでそこまで追いつめられたんか…。
なんで救ってあげられへんかったか…。
わかったわ。
私もつきあうわ。
警部補。
これは俺のまったくの独断と偏見の推理で立証できるかどうかは…。
私の父親は刑事だったの。
真犯人を追って家庭も顧みない父親にあるとき私言ったわ。
「バカみたい」って…。
その3年後父は病気で亡くなった。
最期のベッドで父は私に訊いたの…。
「俺の人生バカみたいか?」って…。
私答えようとした。
でも答えようとしたとき父は息を引き取ったの…。
警部補…。
そのとき言えなかった答えなの。
私が刑事になったのは。
だから私も真犯人を見逃すわけにいかないの。
警察官として。
その父親の娘として。
わかりました。
一緒に行ってください。
お願いします。
でもどこへ行くの?海ほたるです。
海ほたるへ行くのすごく嫌がってましたから。
海ほたるの向こうに犯人が守りたいもんあるような気が…。
海ほたるの向こうっていうと木更津か内房ね。
了解。
それともう一つ頼みたいことがあるんです。
はい平田です。
…ああ警部補。
水谷正臣のカルテ…?そんなもん調べてどうするんですか?事件終わったんじゃ…?「いいから大至急調べて!」…はい。
さぁ?見たことないですねえ。
そうですか。
どうもすみません。
海ほたるダメでしたね。
…どうします?あなたが言ったように犯人の守りたいものが海ほたるの向こうにあるなら犯人は車で行ってたはずよ。
ガソリンスタンドを片っ端から当たりましょう。
了解。
それが警部補の言ってた水谷正臣のカルテなんだけど。
警部補がそこまで言うなら赤外線写真で調べてみましょう。
ああこの人…。
知ってるんですか?ええ。
井上さんの奥さんですよ。
井上…?その井上さんて方どちらに?この先の上畑沢町って別荘地です。
今は来てないんじゃないかな?あんなことがあったから…。
あんなこと?もともと月2回土日だけ保養に来るご夫婦だったんです。
それは仲のいいご夫婦でしてね。
でも先月瀬戸山進というこの町でも評判の悪い男にからまれましてね。
どうしてからまれたかは…?それはわかりません。
ただなんか脅されてるようなそんな感じがしてたんです。
それで瀬戸山進という男は?それがここ1週間ばかり姿を見ないんです。
あちこちで相当恨まれてた男ですからね。
どっかで殺されたんじゃないかと噂してたんです。
殺された!?その別荘までの地図書いてもらえませんか?ええいいですよ。
すみません。
「井上」は登記子さんの夫松永泰彦の旧姓…。
ええっ?廃工場で殺されたのはその瀬戸山進という男…。
その可能性高いわね。
どうもありがとうございました。
ご協力ありがとうございました。
(携帯電話の音)はい桜庭!カルテが改ざんされてました。
赤外線写真でわかりました。
水谷正臣は昭和59年に食中毒で入院していますが胃潰瘍の手術にインキ消しを使い書き換えられています。
そう。
それじゃもう一つお願い。
木更津南警察署に連絡とって瀬戸山進という男の犯歴と体に手術の痕がないか調べて。
ここね…。
入りますか?令状がなくて入れば証拠捏造を疑われてもしょうがないわ。
今連絡とるから待って。
・その必要はない!松永!?ここで…月に2回夫婦の真似ごとしてたのね?俺と登記子とそして加奈子と正臣…。
俺たち4人は組み合わせを間違えた夫婦だった。
組み合わせ…?俺は登記子の強引な申し出でつき合い始め結婚した。
医者の道へ進んだのも彼女の意思だった。
でも本当は俺は高校時代からずっと加奈子が好きだったんだ。
なにやと!?あんたと登記子さんは人も羨む夫婦やったやないか。
このライフルの暴発事故で登記子がケガをする前まではな。
だがケガをし足が不自由になってあいつは人が変わった。
自分のいたずらで暴発させたのにすべて俺のせいにし俺を恨んだ。
そうやない。
そりゃ一時はあんたに当たったかもしれん。
けど登記子さんはそれを後悔しとったんや。
もう嫌だったんだ。
あいつの気まぐれに振り回されるのは。
いつからなの?水谷加奈子とつき合い始めたのは。
正臣が女をつくり家を出てから。
見ちゃいられなかった。
しじゅう暴力を振るわれそれで置き去りにされた加奈子を…。
俺たちは結ばれるべくして結ばれたんだ。
勝手なこと言うな!そんなもん逃げやないか!夫婦がちゃんと向き合わんと逃げて慰めおうただけやないか!うるさいっ!!さっき署から連絡があったわ。
瀬戸山進のここに手術の痕があったと。
瀬戸山進を殺したのはあなたね?俺と加奈子は3年前水谷の母親が死んでからここでこういう生活を始めた。
すべてはうまくいってたんだ。
でも1か月ほど前俺たちの素性にあの瀬戸山という男が気づいた。

(松永)そして金を強請りしまいには加奈子のことまで…。
(松永)〔ふざけるなっ!!〕
(瀬戸山)〔あっ…!〕〔あなた…!〕そしてその瀬戸山進の顔を潰して指紋を焼き水谷正臣の死体に仕立てようとしたのね?ちょうど水谷から帰りたいという電話が加奈子にきてたからほかに方法がなかった。
もう誰にも俺と加奈子のここでの生活を邪魔されたくなかった!ふざけるな!ほんなら俺は何なんじゃ!?思いどおり動いてくれた。
自分の管轄地域で死体が発見されれば死体の特徴も知ってるだろうし。
本物の水谷をちゃんとシナリオどおりにニセ者だと疑ってくれた。
…おのれっ!動くな!動くと撃つぞ!撃つんやったら撃て!俺はなお前らみたいに自分さえよかったら人はどないなっても構わへんて考えは許せんのじゃ!愛ってそんなもんと違うやろ?もっとすばらしいもんじゃ!このうつけっ!動くなーっ!!離せっ!!
(銃声)鉄兵さんっ!!離せ!離せっ!愛ってもっと素敵なもんじゃ!もっと大切な大事なもんじゃ!!・
(加奈子)やめてーっ!!加奈子さん…!加奈子…なんで来たんだっ!?二人で地獄に堕ちる覚悟でやってきたんだもん。
一緒よ!あなたと私はいつまでも一緒!加奈子…!なんでや?なんでこんなことしたんや?加奈子さん!メチャクチャになった私を支えてくれたのその人だもの!私に襲いかかった瀬戸山を殺してくれて…。
今度は私が応える番よ!私のせいで人生メチャクチャにしたんだもの。
応えたいじゃないのっ!!加奈子…!放してよっ!
(加奈子)救いだったのよ…。
ここでのこの人との暮らしが。
登記子には申し訳ないと思ったけど…月に二日だけこの人を貸してほしいと思った。
バラバラになっちゃうもん…。
もう気持ちもなにもかもメチャクチャだったんだもん!水谷のこと何度殺そうと思ったかしれない。
水谷が家を出たあとも水谷のお義母さんの介護に明けくれてもうクタクタだった…。
私の人生なんなのかって思った。
いけないの?月に二日。
二日だけこの人を借りちゃ!怖かった…。
計画どおりにすべて進めて…ニセ物の遺書…青酸カリ…。
(トイレの水音)でももう止められなかった。
私を支えてくれたこの人を今度は私が支える番だもん!必死だったわ。
あなたをだましたのは悪かったけど必死だった!間違えてる…。
あなた間違えてるよ!あんた登記子さんの強さがうらやましい言うとったな?けどそうやない!ほんまにうらやましかったのは登記子さんの方なんじゃ!〔一人の人間として…女として愛されたいの…〕〔抱きしめられたいの…〕これ以上ないぐらいに松永さんを好きやって…こんなに好きになって気持ちがメチャクチャになりそうやてな!あの人あんたのやってることに気ぃついとったんや。
けど俺に言わんと「ごめんね」って悲しそうに謝っとった。
なんでや?…この男とやり直したかったからと違うか?あんたに取られてもな…この男とやり直したかったんじゃ!
(登記子)〔私の交換条件はただ一つなの…〕〔加奈子と別れて…!あなた…〕そうやろ?あんたに殺されることを知って登記子さんはあんたに交換条件出したんやろ!嘘…!登記子は私たちのこと暴こうとしてたんじゃないの?あんた…やり直そうとする登記子さんの気持ちメチャメチャにしたんや!卑怯やっ!人の気持ち踏みにじってそんなん愛やない…!絶対愛やないよ!登記子…。
ひと言もあんたらを責めずに死んでいった登記子さんの気持ち考えな加奈子さん…あんた人間やない。
人間であるかいっ!登記子…。
登記子…ごめんなさい…ごめんなさい!
(泣き声)
(パトカーのサイレン)世の中にどのくらいいるのかしら…?ちゃんと向き合って逃げないでお互いを見つめあってる夫婦…。
わからんな…。
あんたも向き合うてなかったから65日の結婚生活やったんやろ?もう二度と結婚でけんで。
なに言ってるのよ?私はねぇ65日で相手のこと見抜いたの。
それよりねぇその「あんた」ってちょっと気安くない?なんで?あんたやからあんたやないか。
俺はビンビン感じてるで。
警部補と巡査長の身分の違いを越えて尊敬と愛情の入り交じったあんたの視線をな…。
冗談じゃないわよ。
なにが尊敬と愛情よ…。
…ちょっと大丈夫!?ケガしてんだったわよね?三波巡査!やだ…!鉄兵さん!鉄兵ちゃん!鉄兵ちゃん!鉄兵ちゃん!しっかりして!鉄兵ちゃん!あの女刑事が俺が倒れたときに「鉄兵ちゃん大丈夫!?」言われてな!抱きしめられて!本当ですかぁ?ホントにあの警部補が「鉄兵ちゃん」って?泣きそうな声やったからな。
あれは俺に惚れとるで!本気にするな。
あのインテリがこんな奴に惚れるわけないだろ!あっ警部補!ほら見てみぃ!花を持ってかわいいもんやで!ね?俺はもてる言うたでしょ。
子どもみたいにはしゃいで。
ほなちょっと!ウヒャヒャヒャ…!ねえ村田さんたちのコンサートに持ってく花これでいいかしら?…なんや?俺に持ってきてくれたんとちゃうんか?なんで私があなたに花なんてあげるのよ?頭おかしいんじゃないの?そんな言い方ないやろ。
ケガまでしとんねんで。
もうちょっとさ…自分の気持ちに素直になった方がええんやない?ビックリしたぁ!警部補!事件です!殺しです!殺し?…あげるわ!俺も行く!おたく管轄じゃないでしょ!交番巡査がなに考えてんだ!?なにぃ?鉄兵ちゃん!あなたはこの街の灯台になってなさい。
じゃあね!ちょっと待って!おい!くっそ〜俺は灯台かい?…そうや!俺は灯台や!ありがとう…
子どもたちが大好きな給食の時間
2015/07/07(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
巡査鉄兵の推理日誌[再][字]

顔と指紋のない死体!7年ぶりの夫は別人!?3億の遺産を相続した妻は夜の寝室でおびえて…

詳細情報
◇出演者
赤井英和、大島さと子、袴田吉彦、余貴美子、木村理恵、筧利夫 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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