きょうの健康 大腸がん 徹底解説「内視鏡治療で治す」 2015.07.07


「きょうの健康」今週は「大腸がん徹底解説」と題してお送りしています。
今日も松本明子さんと共にお伝え致します。
よろしくお願い致します。
大腸がんというのは早期発見をすればほぼ100%治るというお話でしたよね。
そうなんですねだから本当に検査に行くというのが大切な事なんだなと思いました。
内視鏡検査となるとちょっと恥ずかしいかなという思いもありましたけれどもでもその検査があって何もなかったという安心がありますからね。
そうですよね。
さあ2日目はどうでしょうか。
内視鏡治療?ええ。
お話伺いましょう。
お話をして下さる方ご紹介致します。
今日も…どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
内視鏡治療と内視鏡の検査これはどう違うと考えたらいいですか?そうですね基本的には本来大腸内視鏡というのは内視鏡スコープを腸の中に入れて大腸の病気がポリープですとかがんがあるかないかを調べるためのものなんですね。
ただ最近では内視鏡の機器の開発も進んで見つけたポリープあるいは早期がんを内視鏡的に取ってしまう切除する事もできるようになってきていましてそれを内視鏡治療というふうに私たち呼んでいます。
松本さんはこの大腸内視鏡検査を受けられたと伺っておりますが。
そうです受けました。
実はですね内視鏡検査を受けて頂く事が非常に大事になってくるんですね。
内視鏡治療が可能な段階で見つかると大腸がんはほぼ100%治せるという事になります。
ですから松本さんが大腸内視鏡検査を受けられたという事は非常に大事だという事になります。
ポリープもなかったという事を伺ってます。
ポリープが全てがんになるのかという事でもないんですよね?大腸のポリープとひと言で言っても腫瘍と腫瘍でないものにまず大きく分ける事ができます。
その腫瘍の中でも悪性と良性というふうに分けられましてただし見つかった良性の腺腫性ポリープというのが将来的にどれががんになってどれががんにならないかそれがなかなか早い段階では予測ができないんです。
実際には大きさが大きくなるとやはり良性の腫瘍であっても一部にがんが含まれてくるという事がありますので全てががんになる訳ではないけれども良性の腺腫の場合にある程度の大きさになってきたら内視鏡治療をさせて頂くというのが今一般的になっています。
取った方がいいという?そうですねある程度大腸がんを予防する意味でも内視鏡でポリープを摘除する事がある程度大腸がんの発生と死亡を抑制するというのが海外では証明されているのである程度良性腫瘍が大きくなってきたら取った方がいいという事は間違いないと思います。
それではその内視鏡治療ですねどんなものなのかお話よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
大腸がんの治療の方法に関しましてはがんの進行具合あるいは場所とかによって変わってくる訳なんですけども基本的にこちらの図でご説明したいと思います。
大腸の壁というのは非常に薄いんですけれどもいくつかの層構造になっているんですね。
一番表面に粘膜というのがあります。
こちらですね。
大腸カメラで見える所が粘膜という事になる訳ですがその下にいくつかの層があってがんは深く深く壁の中に入ろうとしてきます。
こういった形でがんの深さによって治療方針が変わってくると。
なぜ変わるかというとその深さによってリンパ節とかほかの臓そういった所への転移とかそういった危険性が深くなればなるほど高まってくるという事があります。
ですのでがんの深さですねそれに伴っていろんな治療法が変わっていく訳ですね。
当然今日のテーマである内視鏡治療のターゲットになるのはまさにこの粘膜ここにできた良性の腺腫あるいは早期がんの中の粘膜内がんといいますけれども一番表面のここに関しては内視鏡治療の適応になります。
これを内視鏡で取る事で早期がんであっても根治できるという事になる訳です。
内視鏡治療と一口で言っても取り方いろいろありますがこういったポリープにもいろんな形があるので取り方が変わってくる訳ですが先ほどお示しした良性の腺腫というものの中にもこういったいぼ状にポコッと盛り上がったいわゆる皆さんがいうポリープこういったものあるいはここ分かるでしょうか。
ちょっと分かりづらいですが赤い平べったいのが壁に張り付いてるんですね。
これはがんになる前の腺腫という段階のものですが中にはくぼんだものとかくぼんだ腫瘍というのもあります。
実際にはがんじゃなくても良性の腺腫これですねこういったものがやはりがんの予備群として考えられていますのでこういったものも内視鏡治療のよい適応になるというふうになります。
最近ではいろいろ内視鏡の技術が進んできまして拡大内視鏡というスコープを使う事で…。
大腸のポリープがんの表面の模様構造をピットパターンと私たち呼んでますけれども表面構造を見る事で内視鏡で治療して完治できるものあるいは外科手術が必要なものそういった事の線引きができるようになってきています。
これ同じ病変なんですけれどもなかなか色をかけないと分かりづらいですが平べったい腫瘍が張り付いてるんですね。
こういった所に色をつけて見ると腫瘍の範囲が分かりやすくなります。
これだけ大きいものこれで大きさはなかなかイメージ湧きづらいと思いますが4センチぐらいだと思いますがこういった腫瘍があった場合に大きさだけで手術が必要なのか内視鏡治療できるのかそこの判断をする際に先ほどシェーマでお示ししたような予測されるがんの深さというのが大事になってきます。
粘膜という所にとどまっているものであれば内視鏡治療のいい適応という事になるのでそこの粘膜にとどまっているかどうかという判断をする上でピットパターン診断といいますけど拡大内視鏡を使った診断が非常に有用です。
こういった所を100倍ズームまで同じスコープでレバーを倒すだけで見れるんですね。
染色をしたあとのパターンですが次のお写真出しましょうか。
どうでしょうかこういったこれも色素で染めて拡大して見たピットパターンなんですけど松本さんどうでしょう?違いっていうのがあるのはお分かりになりますでしょうか?線の状態…そんな事じゃないのかしら?ちょっと素人目には難しいですね。
きれいな感じ整っている感じと乱れた感じですね。
はいはい。
内視鏡治療で治せる病変要は転移の危険性のないものそういった病変の場合にはその代表例としてこういった規則性のあるパターンが内視鏡治療の適応のパターンである。
一方でこちらギザついた感じでですね…。
崩れた感じですね。
不斉性のあるパターンです。
こういったパターンが見受けられた場合には基本的には外科手術を強く勧めるべき病変というふうに判断ができる訳ですね。
実際の症例1例だけお示ししますけどこういった5〜6ミリの小さな一見するとポリープに見えますがこういったものを拡大内視鏡でピットパターンというのを染色して見てみるとやはり乱れた感じの汚いパターンなんですね。
ですから小さいけれども技術的に取れない事はないんですがやはり腸の周りのリンパ節というのを一緒に外科の先生にお願いして取ってもらった方が安心だという事でそういう診断が可能だと。
そこまで内視鏡の技術も上がってきているという事になります。
代表的な治療法をちょっと解説させて頂きたいと思います。
代表的な内視鏡治療の方法ですけれども…新しい治療方法で…剥ぎ取る治療法ですね。
こういったのが3つ代表的な治療法として挙げられます。
実際にその治療方法のやり方をお見せしますから次いきましょうか。
これがポリペクトミー。
いわゆるいぼ状のこういうポリープこういった形のポリープに関しては内視鏡でこういうふうに見える訳ですね。
この内視鏡スコープの先端からこういう金属のワイヤを出してスネアといいますけどワイヤを出して輪っかを掛けて縛ると。
で高周波の電流で焼き切るというやり方なんですね。
こういった形のポリープは比較的取りやすいんです。
じゃあ次どうでしょうか。
ちょっと壁に張り付いたような平べったいもの。
ちょっと取りづらそうですね。
これぐらいの大きさ1センチ前後のものであればこういった形で粘膜の下の粘膜下層という所に生理食塩水などのお水を入れましてお餅みたいに持ち上げる訳ですね。
あえて盛り上げる。
取りやすい形にして腫瘍を上に持ってくる訳ですね。
そこに先ほどと同じようなスネアという金属製のワイヤを内視鏡の先端から出しましてそこで首を絞めて切っちゃうと。
こういう形になりますね。
こういうやり方がそういう平たんな病変そういったものに対しては有効になってきます。
次ESDですけれども更に大きい腫瘍こちらご覧頂けますかね。
分かりづらいですけどここから腫瘍がずっとここまでずっとあるんですね。
4センチぐらいです。
昔ですとこれぐらい大きいものだと内視鏡で取るにしても先ほどお示ししたEMRというやり方でお水を入れて取って取って分割切除といいますけど小分けにして取る取り方だったんですけれどもそれですとやはり遺残といって残ったり再発するリスクが高いのでやはりこのESDというやり方の最大のメリットである1個で取れるとそういう取り方が非常に有効な治療法として進んできていると。
実際にはお水を入れたあとに先端をメスで切り取るんですね。
剥ぎ取っていくと。
大腸の壁というのは非常に薄いのでそこにはある程度技術が必要になってくるんですが実際のところは今日本では5センチぐらいまでの大きさの病変であれば保険適応されていてこういった形でのESDというものでおなかを切らずに早期がんが治せると。
やっぱりおなかを切らないというのは負担も少なくなる?やはりおなかに全く傷が残らずこういった早期がんを治療できるという事になります。
先生治療の時間はどれぐらいなんですか?ポリペクトミーとかEMRというのは比較的簡単な手技で対象となる病変も比較的小さいので30分前後でほとんど全部終わっちゃいますけれどもこのESDになるとこれぐらいの大きさのものですとやはり1時間とか2時間かかる事もあります。
ESDの場合には基本的に外来でやられる施設は少ないと思います。
一般的には入院でやらせて頂いて大体5日間から7日間まあ1週間ぐらいのご入院を頂く事になると思います。
ただそれでもおなかを切らずに傷なしで元気に帰って頂けるという事でそういった意味ではこのESDというのは非常にいい技術だと思います。
痛みはないんですか?そうですね基本的に内視鏡治療に伴う痛みというのは普通感じないんですね。
大腸の粘膜というのは神経が通ってないので基本的にこういった治療は痛みなくできるという事ですね。
どうですか?その内視鏡治療で取ったらポリープなどそしたらもう治療はおしまいと安心して。
すごく安心してもう何年も検査しなくても大丈夫かなって思いますけど。
大事なポイントが2つありまして取ったあとに取ったものをちゃんと担当の先生が顕微鏡で病理といいますけどその先生に見てもらう事になります。
要は良性の腫瘍か悪性のがんが入っているかどうか。
大体一般的には治療後1週間から10日とかで結果が出て後日外来でご説明があったりという事になります。
あとはもう一つ大事なポイントというのは内視鏡をしてこれでおしまいきれいに取ってもらったからポリープ残ってないからこれで一生安心という訳では残念ながらないんですね。
定期的なポリープあるいは早期がんを内視鏡治療した場合にはそのあとの定期的な検査というのが必要になってくる。
経過観察が必要になってきます。
実際には取ったポリープの個数ですとか大きさですとかその顕微鏡の結果病理の結果によって個人差があります。
ですので一概にどれぐらいのインターバルでというふうには言えないんですけれども大腸ポリープを取ったあとの検査間隔を決める研究が今追跡調査中なんですけれどもその研究結果は最終報告間もなく出ますが基本的にはポリープを取ってそのあと1〜2年の間にもう一回受けて頂いて確認をしてそうしてればそのあとの3年間はある程度余裕を持って生活頂けるというふうな事が分かってきています。
2日間おつきあい頂きましたがどんな感想をお持ちになりました?治らないがんなんだと思い込んでましたけれども自分の気持ちの持ちようといいますか検査に行く事によって自分で防げたり治療できたりするっていう事が聞けてとても安心しました。
そうですよね。
本当に内視鏡治療で治した場合とにかく安心といいましょうかほぼ100%大丈夫という。
がんであっても一番早い段階で見つかれば100%治せる内視鏡治療で治せる状況なんですけれどもとはいってもやはり早期の段階で見つける事が一番大事ですね。
そのためには定期的な検診が必要になってくる訳ですね。
ですので40歳以上の方には年1回便潜血検査というのを検診として受けて頂いて陽性になったら内視鏡を受けて頂く。
ほかに50歳ぐらいになると大腸がんの危険性というのがリスクが少し上がってくるんですね。
ですから50になられた方は一度是非内視鏡検査も受けて頂く事で大腸がん早期発見につながるんじゃないかと思います。
とにかく早期発見早期治療が大事という事になってきますね。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/07/07(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 大腸がん 徹底解説「内視鏡治療で治す」[解][字]

転移の心配がない早期がんは内視鏡で切除することが多い。拡大内視鏡の普及で、より正確な診断も可能になり、これまで外科手術で行ってきたケースでも内視鏡治療が可能に。

詳細情報
番組内容
大腸がんは、大腸の壁の表面・粘膜に発生し、進行するにつれて奥深く侵入する。粘膜表面に留まる早期がんで転移の心配がない場合は、内視鏡治療で完治することが多い。最近では拡大内視鏡が登場。表面の状態を100倍まで拡大して見られるようになり、組織を採取して生検を行わなくても、良性か悪性か、がんの深さ・転移の危険性などがある程度分かるようになってきた。また大きめのがんなどで、高度な技術を要する治療も可能に。
出演者
【ゲスト】松本明子,【講師】国立がん研究センターがん予防・検診研究センター部長…松田尚久,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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