この子はビョーキ
娘から聞いたちょっと残念な話である。 先日の給食に納豆が出た。 入院前の宿泊合宿では朝食に納豆を 美味しく頂いていた娘の姿を クラスのお友達全員が見ていた。 娘が納豆を食べれない理由は 持って生まれた体の一部 心臓が奇形で そこから体のいろんなパーツに繋がる血管(配線)が目茶苦茶だった。 それを修復して動ける姿になるまでに3年の時間と 5回の大きな手術を経緯した。 成功率はもとより そこまで到達した人数はゼロに近い数字だった。
そんな経緯もあって 動けるからだを手に入れた見返りは 母子手帳通り成長していない ハンディキャップである。 納豆が食べれないのは 手術で手に入れた体を維持するために服用している薬 ワーファリンを飲んでいるからである。
娘を小学校に預けるにあたり 触れたくない話題も 娘の前でしなくてはいけなかった。 なぜ 娘は障害者なのか (心疾患による障害者手帳の取得の経緯) である。 子供の前では伏せたいからと頭を下げてお願いしたにもかかわらず 個人情報守秘義務の前で軽く破られた約束だった。
給食の納豆禁止は 薬の効果を維持するためで アレルギーではない。 つまり納豆を食べたからと言ってアナフラキシーによる死亡はない。 でも薬の効果が維持できないと何が起こるか分からないから禁止にしている = ドクターの指示であることは 担任にも説明済みである。
そして宿泊合宿の前は 検査入院3日前の朝食だったので その日の夜からワーファリンストップなので食べさせた。 大好物だった納豆。 離乳食は納豆だった。 というか経管栄養(鼻からチューブを入れている状態)で食べてくれる数少ない食材だった。 今は思い出である。
だからだろうか・・・ 配られた給食を前に カップ納豆を返却する姿を お友達は不思議に思い 先生に質問が集中した。
「どうして 彼女は納豆を食べないんですか?」
子どもである。 疑問は正直に口から飛び出す。
「この子は アレルギーなんです。 だから食べれません。」
担任は 多分説明するのが 面倒臭かったのだろう。 その一言で終わらせたが 以前食べてる姿を目撃しているせいか 質問が集中したらしかった。
「この子(娘)は そういう ビョーキなんです!!」
先生は一喝して 周囲を黙らせたそうだ。 皆はそれで押し黙った・・・ というか食べる事に集中し この問題は解決したらしい。
「納豆食べれないのは 病気のせいなの?」
納豆食べれないのは 薬の服用の関係である。 もちろん担任はそれを知っている。 宿泊合宿の朝食で 納豆が出たら食べさせて欲しいと事情を説明してお願いした。 担任・同行の看護師も 理解してくれたから 娘はお友達と一緒に 同じメニューの朝食を食べる体験が出来た。 納豆の朝食を食べる。 友達と食べる。 何気ない出来事だけど 入院を目前に控えて遭遇した 奇跡である。 彼女にとって きっと2度目は来ない。
娘は モヤモヤした気持ちを抱えて家に帰ってきて 母親に そんな話をしてくれた。 先生=自分の理解者が 自分の事を ビョーキと表現したことに嫌悪感を 感じていた。
「普通級に・・・ 戻りたい」 娘はそう漏らした。
今のクラスは楽しいけれど 勉強も楽ちんだが 足を踏まれても何をしても 先生が間に入って話し合いがないので 何で相手がそうしちゃったのか分からないというのだ。 確かに噛まれた時も 連絡帳に記載され 電話連絡もなく 翌日欠席したら担任から相手の親から電話連絡が入ることを告げられた。 相手の親は謝罪していたが・・・ 学校は 担任は現場を見ていないの一点張りだった。
手厚い支援を 約束してくれた支援級の支援って いったいなんだったのだろうか?
娘の伸びしろ部分を 医学的データー(発達検査の提出)でフォローしてくれるはずだったのに 体育の授業は2時間あるし・・・ 心臓障害部分 無脾症である部分は 考慮されてるのか されてないのか見えてこない。 ただ・・・ 教科書やドリルが1年生に戻り 落ち着きのない子に合わせたカリキュラムをこなしている。 授業をおもしろく 工夫しているともいうが・・・ この数か月で 娘が野生化した気がする。 幼児教室で鍛え上げ 45分椅子に座る訓練は どこに消えてしまったのか・・・ 悩む。
「普通級にいた時は 先生がいなくても お友達が助けてくれたの・・・」 お友達が恋しいという。
実は先日 1-2年生の時 我が家にもよく遊びに来てくれていた友達が 娘に対して一言言ったらしい。
「支援級のくせに 私に気安く話しかけないで!」 ・・・と。 どういう意味? と質問する娘に 一瞬 無言になった。
その子は国籍は日本人だが 母親が外国籍なので保護者会には来ない。 家族の習慣も一般的な日本家庭と違う部分もある。 だから5時で帰る約束も守れずハウスルールの6時帰宅を 冬の暗い中押し通した。 クラスが違ったので電話番号なども分からず 直接話が出来ず 困って学校に相談したこともあった。 問題児という解釈はない。
ただ・・・ かつて娘が週1回の取り出し授業を受けていたのと同じように その子も 日本語レッスンを受けていた。 息子のクラスや他学年でも 外国籍や帰国子女を対象に遅れている部分の取り出し授業はある。 でもそれが問題になる = 支援級への移動の勧告にはなっていない。 娘の場合はなった。 娘もそれを知っている。 だから逆に その子に言われたことが悔しいという。
「自分だって 勉強出来ないくせに! お前も支援級行けって感じなのに・・・」
涙を浮かべる娘を抱きしめ 出てきた言葉は 適切だったか今でも分からない。
「世の中には いろんな考え方の人間がいるんだよ。 小学校はそういった社会へ出る為の 練習の場なの・・・」
子供社会も大変である。 親だからと言って四六時中守ってやれない。 少しづつ 少しづつ 親から離れる練習をする場所が 小学校である。 ただ・・・ それだけ。
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