昨年4月に韓国南部で起きたセウォル号沈没事故に関連し、船体引き揚げ作業を中国国営企業が担当する見通しとなった。
韓国海洋水産部(省に相当)は15日、セウォル号引き揚げ作業の優先交渉対象者の1位業者に中国の上海サルベージと韓国の水中工事専門業者、オーシャンCNIによるコンソーシアムを選んだと発表した。上海サルベージは中国版セウォル号事故と言われる遊覧船「東方之星」を長江から引き揚げた経験があり、オーシャンCNIはセウォル号事故の救助、現場調査でバージ(はしけ)を投入した業者だ。
2位業者には中国の煙台サルベージによるコンソーシアム、3位業者には米タイタンとオランダのスビッツァーによるコンソーシアムがそれぞれ選ばれた。世界のサルベージ業界大手3社が競争で敗れたのは異変と受け止められている。大手3社のうち、オランダのスミットは入札保証金不足で脱落。合併手続きが進むタイタンとスビッツァーのコンソーシアムは3位業者にとどまった。
大手3社を抑え、1位業者となった上海サルベージは中国東部沿岸、2位業者の煙台サルベージは中国北東部沿岸で引き揚げ作業を独占しており、いずれも中国交通運輸省傘下の国営企業だ。入札で各社が提示した引き揚げ費用は、上海サルベージが851億ウォン(約92億円)、煙台サルベージが990億ウォン、タイタン・スビッツァーが999億ウォンだった。
このため、韓国政府の引き揚げ方式に従い、低価格で応札した中国企業が有利だったとの指摘も聞かれる。しかし、船体引き揚げ推進団長を務める延泳鎮(ヨン・ヨンジン)海洋水産部(省に相当)海洋政策室長は「価格競争力以外に高い技術力を持つ業者が選ばれた」と説明した。
1951年に設立された上海サルベージは最近、設備と従業員を大幅に拡充。作業員数1400人、年間売上高3200億ウォン(346億円、2014年)というダークホースに急成長した。これまでに1900件を超える引き揚げ経験がある。
上海サルベージは海洋水産部の技術検討タスクフォースが提案した通り、船体を安全地帯へと2キロメートル移動させた後、平たいU字型の船舶建造設備であるフローティングドックに引き揚げる。ただ、右舷に100個の穴を開けるという政府案ではなく、大型の鉄製の支え棒24本を海底側(左舷)に敷き、支え棒ごと引き揚げる方式に変更された。支え棒は幅1.8メートル、長さ28メートルあり、セウォル号の重さを分散させる役割を果たす。
海洋水産部関係者は「右舷の外壁が破断する懸念、内部の貨物で下部の左舷面が崩壊する可能性を軽減する工法だ」と評価した。国民からの意見提示があったエアバッグへの空気注入による浮力浮揚も採用された。それにより、船体の水中での重さが約5000トン軽くなり、海上クレーンには現代重工業の1万トン級クレーンが1台使用される見通しだ。海洋水産部は「クレーン同士で引き揚げチェーンが絡まる危険性が低下した」と指摘した。
海洋水産部は20日から詳細な契約条件に関する交渉を開始する。上海サルベージとの交渉が不調に終わった場合には、2位、3位業者へと交渉相手を変更する。引き揚げ終了時期は当初予定の来年10月から来年7月へと3カ月前倒しされ、引き揚げ後は船体を木浦新港に移すことにしている。