韓国人研究者ら「『核の傘』は北の核攻撃に対応できない」

 「北朝鮮が核兵器を使った攻撃を仕掛けてきた場合、米国が提供する『核の傘』は想定通り機能しない可能性があるため、韓国は核の傘の運用に直接関与しなければならない」と複数の大学教授が主張した。

 韓国国防研究院(KIDA)は15日、ソウル・ロッテホテルで「21世紀における戦略環境の変化と国防パラダイムの転換」をテーマとするセミナーを開催した(朝鮮日報社後援)。セミナーで韓南大学の金鍾夏(キム・ジョンハ)教授と国民大学のパク・フィラク教授は「北朝鮮が核兵器で韓国を攻撃してきた場合、米国は直ちに核兵器で報復すると約束しているが、これが絶対に守られるとは確信できない」と指摘した。

 金教授は韓半島(朝鮮半島)の「核の傘」を「破れた傘」に比喩した上で「米国は『核の傘』という言葉を1970年代から使用してきたが、北朝鮮が最初の核実験を行った2006年からは『拡張抑制』という言葉に変えた。この『拡張抑制』は核兵器による攻撃を受けた場合、核兵器ではなく通常兵器で報復するという意味合いも含まれているため、北朝鮮がこちらの意図を読み違えることもあり得る」と指摘した。金教授はさらに「米国が安全保障関連の約束を守るかどうかは、その時点での国際情勢や国内情勢に左右されるのは致し方ない。そのため韓国による核抑止政策は非常に脆弱(ぜいじゃく)で不安定と言わざるを得ない」とした上で「北朝鮮による核兵器攻撃を阻止するには、核の傘の運用に関する指揮権や統制権といった主な意思決定に韓国も参加しなければならない。すなわち『核共有』という概念を導入する必要がある」などとも主張した。

 中央日報のキム・ジン論説委員は「韓国軍はこれまで政治状勢を意識し『核攻撃を受ける危険性』を非常に低く報告してきたが、これは勇気ある対応とはいえない」と指摘し「北朝鮮の核兵器を軍事面で阻止することは不完全な状況にあるという事実を知ってもらわねばならない」と訴えた。

 世宗研究所のイ・サンヒョン主席研究委員は「事案によっては戦略的にあいまいな立場を維持すべきときと、立場を明確にすべきときがあるが、他国にばかり解決を求めるからあいまい戦略にだけ固執する結果をもたらしている」「米国の終末段階・高高度防空ミサイル(THAAD)や中国のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)などに対する韓国政府の対応を見ると、われわれには体系的に戦略を練ってこれを樹立する仕組みがないと考えざるを得ない」などと指摘した。

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