集団的自衛権:「武装した日本」、韓国には諸刃の剣

安倍首相「確信があるなら前に進むべき」
衆院本会議、参議院で否決される可能性低い

 「(審議を)やればやるほど支持率が下がるだけだ」

 衆議院特別委員会の採決を前に、自民党と連立政権を組む公明党の幹部が日本メディアの記者に対し、こう胸の内を明かした。過去2カ月間、日本の主要メディアが相次いで世論調査を行ったが、「安全保障関連法案について理解した(政府の説明は十分だ)」という回答が20%を超えたことはなかった。国会の審議が長期化するにつれ、反対する世論が高まり、安倍政権の支持率は低下した。

 今年4月末、安倍晋三首相が日本の首相として初めて米国議会の上下両院合同会議で演説した時点でも、安倍内閣の支持率は60%近かった(読売新聞の世論調査)。だが今月に入り、朝日新聞や毎日新聞、日本テレビが実施した世論調査では、支持率は30%台後半から40%前半にまで下がった。支持率と不支持率が逆転する現象も共通して見られた。

 11日、安倍首相の口から「決めるべきときが来たら決める」という発言が飛び出した。国民も野党も説得がうまくいかないため、自分の思い通りに採決を強行しようという意味だ、と日本メディアは報じた。15日、衆議院特別委員会は安全保障関連法案を与党の自民党と公明党による賛成多数で可決した。まだ衆議院本会議と参議院の議決が残っているが、そのどちらでも否決される可能性はゼロに近い。

 この日の衆議院特別委員会では、野党の議員たちが「自民党 感じ悪いよね」などと書かれたプラカードを掲げ、「強行採決反対」の声を上げる中、安倍首相が「確信があれば前に進んでいくべきだ」と述べた。問題はその「確信」が、韓国にとっては新たな実験台になりかねないということだ。

 かつて日本は「自国が攻撃されない限り、他国を攻撃しない国」だった。自国が攻撃された場合に反撃できる「個別的自衛権」のみ行使できるというのが、日本の伝統的な憲法解釈だった。ところが安倍首相は昨年7月、それを変更した。同盟国や周辺国が攻撃を受けた場合、日本の存立に対する重大な脅威になると判断されれば、日本が攻撃されたものと見なし相手国を攻撃しても、憲法違反にはならないというわけだ。いわゆる「集団的自衛権」の行使容認だ。

 取材班が会った日本人の国際問題専門家たちは「今、日本には韓国を武力で攻撃する意思はない。それは日本が善良になったということではなく、領土の拡張は今や収益性がない時代だからだ」「日本が集団的自衛権の行使を容認するのは、主に中国をけん制するのが目的だ」と指摘した。一方、韓国の専門家たちは「韓国の国力によって、北朝鮮情勢や北東アジアの勢力図によって、あるいは韓国が米国・日本・中国と結んだ関係によって、『武装した日本』は韓国にとって得することも損することもあり得る」と語った。

 15日、野党の議員たちが安倍首相に対しヤジを飛ばす中でも、自衛隊はオーストラリア北部で、史上初めて米軍、オーストラリア軍との2週間にわたる合同演習に参加していた。英紙ガーディアンなど西欧メディアは「米国が日本、オーストラリアと結ぶ三角の軸を通じ、中国をけん制している」との見方を示した。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員 , 東京=ヤン・ジヘ特派員
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