東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

歴史学者ら74人「侵略明記を」 70年談話で声明発表

戦後70年の総理談話に関する声明を発表する学者たち=17日午前、東京都千代田区で(北村彰撮影)

写真

 安倍晋三首相が今夏発表する予定の戦後七十年談話について、歴史学者や国際法学者、国際政治学者ら七十四人が十七日、声明を発表した。安倍首相談話で一九三一年の満州事変から四五年までの太平洋戦争について、日本の侵略戦争と明記しない場合、「過去への反省について関係諸国に誤解と不信が生まれる」として、首相に侵略戦争と明記するように求めた。

 声明をまとめた代表の大沼保昭明治大特任教授(国際法)は東京の日本記者クラブでの会見で「総理は逃げるのではなく、国際社会で共有されている日本の戦争は残念ながら違法な侵略戦争だったと明確にすべきだ」と強調した。

 同じく代表の三谷太一郎東大名誉教授(日本政治外交史)は安倍首相談話について「アジアの近隣諸国民との間の国際的コミュニケーションのあり方が左右される」と、アジア諸国との関係を意識した談話にする必要性を指摘した。このほか、声明には小此木政夫慶応大名誉教授(韓国・朝鮮政治)、毛里和子早大名誉教授(中国政治)ら学者や、現代史家の半藤一利氏、保阪正康氏らが名を連ねた。

 声明では戦後五十年の村山首相談話や、六十年の小泉首相談話で使った「侵略」や「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」が継承されるべきかが論議される中、「重要な言葉が採用されなかった場合、関係諸国に誤解と不信が生まれるのではないかと危ぐしている」と強調。

 その上で「安倍首相を含む歴代の総理は、侵略の定義は定まっていないという趣旨の国会答弁などを行っている」が、「日本による違法な侵略戦争であったことは、国際法上も歴史学上も国際的に評価が定着している」と指摘した。

 

この記事を印刷する

PR情報