韓国の生物学・医学分野の教授や研究員の7割は、最近3年間に、自分が属する研究室で「研究不正」を経験もしくは目撃したことがあるという調査結果が出た。
ポステック生物学研究情報センターの公式ホームページ「BRIC」は、14日から3日間かけて、韓国の生物学・医学分野の教授や研究員1145人を対象に「研究倫理アンケート調査」を行った。この調査によると、回答者全体の66%(759人)が「研究に参加していない人物を著者に加えたり著者の優先順位を変更したりする研究不正行為を、最近3年間に経験もしくは目撃したことがある」と回答した。
今回の調査は、最近発覚した国立がんセンター教授の「偽著者」問題を契機として行われた。この教授は2011年から、自分が発表した3本の国際学術誌論文に、当時高校生だった息子を「国立がんセンター所属」「筆頭著者(論文を直接執筆、もしくは最も重要な研究を行った人物)」と記載していたことが露見し、減俸3カ月の懲戒処分を受けた。この教授の息子は、米国ハーバード大学に進学したという。国立がんセンターが研究真実性委員会を開催するなど問題が公になったことを受け、この教授は今年4月から5月にかけて、これらの論文で息子の所属を「陸軍」に変更し、また著者の順序も第6著者など下位に変更した。
BRICによる調査の結果、こうしたことは韓国の科学界では広範囲に行われていた。研究不正を目撃もしくは経験したと回答した人のうち、83%(632人)は「研究に参加していない研究者が著者に含まれたケース」だと回答した。国際学術誌の論文の著者は、10人以内が一般的だ。研究に参加していない人物を、さまざまな理由で著者に含めていく場合、研究を主導的に進めたにもかかわらず論文に名前を載せてもらえない人物が出ることになる。
こうした問題は、「帝王」的な韓国の教授文化が原因だという見方が多い。回答者の45%は「責任著者(教授または責任研究者)が一人で論文著者を決定する」と回答した。「責任著者が決定した後、議論する」が25%、「責任著者と筆頭著者が話し合う」が21%だった。「共著者が共に話し合う」は1%にすぎなかった。
韓国の大学や研究所の、研究不正に対して下す処分があまりにも寛大、という指摘も多かった。実際、3カ月の減俸処分を受けた国立がんセンターの教授について、回答者の41%は「懲戒が非常に足りない」、25%は「懲戒がやや足りない」と回答した。