くらし☆解説「ついに見えた!冥王星の正体」 2015.07.16


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうのテーマはこちらです。
太陽系のはるかかなた冥王星におととい14日、史上初めて探査機が最接近しました。
どんな探査で何が分かってきたのか、土屋敏之解説委員に聞きます。
ついに冥王星に到着したんですか。
いえ、到着はしていないんです。
このニューホライズンズという探査機は、冥王星に着陸したり周りを回るわけではなくて通り過ぎるときに映像やデータをとるという計画なのでおととい予定どおり冥王星のそばを通り過ぎましたという話なんです。
今では冥王星を通り過ぎて離れて行っているということですか。
せっかく行ったのになぜ通り過ぎてしまうんですか。
ひと言で言うと、これは冥王星が遠すぎるのでそうするしかなかったんです。
このニューホライズンズはNASAが2006年、9年前の1月に打ち上げたものなんです。
冥王星は地球から太陽までの距離の30倍以上と非常に遠くにありますので限られた時間で着こうとするととにかく猛スピードが必要なんです。
それでニューホライズンズは過去最高速の探査機になったんです。
時速5万キロメートルピンとこないと思いますが東京から大阪まで30秒かからないぐらいのスピードなんです。
それでも冥王星までは9年半かかっているんですがとにかく猛スピードなので冥王星でとどまるように減速することができないんです。
ですから、とにかく一気に通過するときにたくさんのデータをとろうということで普通のカメラのほかにも赤外線や紫外線や電波やプラズマなどいろいろなものを調べる観測機を7つも積んでいるんです。
猛スピードで移動しながら観測すると。
それで撮られた映像がこちらですか。
冥王星の全体像です。
けさ先ほど、これのさらに詳しい画像が部分的なんですけれども公開されました。
南半球の一部、大体300kmぐらいの幅の範囲です。
ご覧のとおり、かなり細かい起伏がありますよね。
これ一つ一つが氷の山なんです。
高いものは標高3000m以上と、富士山並みの高さの氷の山がたくさんあるということが分かってきました。
あと専門家が注目したのがクレーターのようなものがほとんどないですよね。
これは宇宙ではかなり珍しいことで月の表面にはたくさんクレーターがあるじゃないですか。
長い年月の間には天体どうしの衝突が起きてクレーターというのがたくさん残るのが普通なのでそれがなくて、しかも山があるというのは山を作ったりクレーターを消してしまうような冥王星内部の何か活動が起きている証しだというふうに考えられるんです。
それにしてもずいぶん鮮明ですね。
比較のためにニューホライズンズが行く前はどういう映像だったかというと。
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた映像でもぼやっとして具体的なことは分からないですよね。
地球からの観測ではこれが限界だったので冥王星の直接探査に対して世界の科学者が期待していたんです。
特に熱心だったのがアメリカです。
今回の探査機はアメリカが打ち上げています。
もともと冥王星は1930年にアメリカの天文学者クライド・トンボーが発見したんです。
アメリカ人が発見した唯一の惑星だったんです。
ですからニューホライズンズにはトンボーさんの遺灰の一部も積まれているんです。
これまで冥王星は、惑星とありますが今は惑星でしたっけ?実は冥王星は第9惑星と呼ばれていたんですが2006年ニューホライズンズが打ち上げられた直後国際天文学連合の会議で惑星ではなく準惑星へといわば降格されてしまったんです。
なぜ惑星じゃなくなったんですか。
冥王星の直径が2370kmと地球の6分の1ほどしかないんです。
これは惑星どころか月と比べてもずっと小さいです。
しかも21世紀になってから冥王星の周辺に同じくらいの大きさの星がいくつもあることが分かってきました。
冥王星を惑星のままにしておくと惑星と扱わなくてはいけない天体が今後どんどん増えてきていくつになるか分からないという状況もあったんです。
惑星じゃなくなってほかにも似たような天体がたくさん周りにあるんだとしたらわざわざ冥王星に探査機を送る必要はあったんでしょうか。
実は、ほかにもこういう天体があると分かったことでむしろ冥王星に行く意義が増したと言われているんです。
というのも冥王星を調べることで私たちの地球のような惑星がどうやって出来てきたのかそのプロセスを解き明かす手がかりになるからなんです。
どういうことですか。
太陽系の惑星は今から46億年前にガスやちりの中からまず惑星の卵とでも呼ぶべき小さな塊がいくつもたくさん出来ましてそれが何度も何度も衝突、合体を繰り返して成長して惑星になったと考えられるんです。
ただ太陽から遠いところでは惑星まで成長することができずに小さなまま残された天体がたくさんあると分かってきましてその代表格が冥王星なんです。
しかも太陽から遠いところというのは、冷たいので惑星になる途中のものが氷づけになった状態で残されている、いわば太陽系のタイムカプセルのような場所だというんですね。
昔のことが分かるから貴重なんですね。
今の時点ではどういうことが分かっているんですか。
冥王星にどんな物質が存在するのか、惑星の材料になったのではという視点で非常に注目されているんですが、それが徐々に分かりつつあります。
先ほどの映像で氷の山があるという話をしましたがそれだけではなくて冥王星全体に水と氷が豊富にあっていわば氷の岩盤に覆われているようなものではないかと指摘されています。
しかも内部にはひょっとすると、液体の水も存在しているのではないかと言う科学者もいます。
さらに注目されている地形が丸で囲った白っぽいところ、ハートマークのようなところがありますね。
ここは、実は分析によってメタンや窒素、一酸化炭素といった普通だと地球では気体になってしまうようなものが凍りついて霜や雪のように降り積もって白っぽく反射しているのではないかということが推測されています。
さらには冥王星は僅かですけれども窒素などの大気があることも分かってきています。
ニューホライズンズにはこうした物質を調べる装置が積まれているので今後データを分析することで冥王星のどこにどんな物質がどう存在しているのか、だんだん分かってくると思いますしそれによって太古の太陽系の様子が浮かび上がってくると期待されています。
猛スピードで通過しながらこれだけのことが分かるんですね。
ほかにはどういうところが注目されていますか。
冥王星の衛星も注目を集めています。
冥王星の周りには今のところ5つの衛星があると分かっているんですが、その中でもいちばん大きいものがカロンというもので冥王星の半分以上の大きさなんです。
このカロンについても先ほど新しい画像が届きました。
かなり詳しい状況が分かってきました。
見てのとおり、やはりこちらもクレーターがそんなに多くないんですよね。
また長さ1000kmにも達するとみられる崖や峡谷のようなものがある。
こうした地形からやはりカロンの内部で何か活発な活動が起きているのではないかと言われています。
理由はまだ分からないですけれども、冥王星が仮にこの野球ボールのサイズだとしますとカロンはピンポン球ぐらいの大きさです。
距離も60cmくらいしか離れていません。
お互いに強く引き合って互いに回転するような運動をしています。
強く引き合う力がひょっとすると、こうした冥王星やカロンの活動に関係しているのかどうかということも今後研究が待たれています。
ニューホライズンズは今、冥王星を通り過ぎて今後はどうなるんですか。
その周辺にあるもう1つ別の天体も観測できないかということで、今どこに向かうか検討されているんです。
さらにそのあとは太陽系の外に向かって孤独な旅を続けていくことになります。
その間も送られてきたデータを世界中の科学者が分析、研究してきますので今後ひょっとすると数年以内に太陽系や地球の成り立ちについて驚くような発表があるかもしれませんね。
土屋敏之解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
もうすぐ夏休み。
子連れで海や川に遊びに行く人が増える季節です。
万が一、家族や友人が溺れたときどう行動したらいいのか。
担当は津屋尚解説委員です。
2015/07/16(木) 10:10〜10:20
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「ついに見えた!冥王星の正体」[字]

NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢

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出演者
【出演】NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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