アスリートの魂「魂のストレート 広島 大瀬良大地」 2015.07.16


今年1月。
一人のプロ野球選手がふるさとにある思い出の橋を歩いていました。
去年の新人王…高校時代空港へと架かるこの橋をプロを夢みて走り続けていました。
心と体を鍛え上げた原点です。
(場内アナウンス)「大瀬良大地」。
大瀬良投手最大の武器は150キロを超えるストレート。
闘志を前面に出し真っ向勝負を挑みます。
1年目から10勝をあげ新人王に輝きました。
うれしい!めっちゃうれしい!将来球界を背負う期待のピッチャーです。
しかし飛躍を誓った2年目の今年大きな試練が待ち受けていました。
先発として勝ち星を伸ばせずシーズン途中から中継ぎへ。
立ちはだかったのは打たれる事への恐怖心。
体に異変も現れました。
…っていうのが勝ってしまって。
どうしたら恐怖心に打ち勝てるのか。
目指したのは自分と同じ14番を背負った伝説のピッチャー。
魂を込めて強気に攻め抜く。
自らの心と闘い続ける姿を追いました。
都内のトレーニングジム。
大瀬良投手は2年目のシーズンに向け動き始めていました。
チームのエース前田投手と共に行う自主トレーニング。
新人王を獲得した大瀬良投手は更なる飛躍を誓っていました。
今年は数字としては背番号にちなんで14勝ぐらいできるように精いっぱい頑張っていきたいなと思ってます。
(場内アナウンス)「大瀬良大地」。
開幕から先発を任された…4月から5連勝。
1年間ローテ−ションを守り2桁10勝をあげました。
最大の武器は150キロを超えるストレート。
追い込んでからが大瀬良投手の真骨頂です。
昨シーズンツーストライクからストレートを投げ込む割合が59%と球界ナンバーワン。
勝負どころで真っ向勝負を挑みました。
しかし華々しい活躍の陰で大瀬良投手はプロの厳しさも感じていました。
オフに集まった高校時代のチームメート。
気心知れたかつての仲間に苦しい胸の内を語りました。
プロの怖さを痛感したのは交流戦のソフトバンク戦。
自慢のストレートをことごとくとらえられます。
2回もたずに10点を奪われました。
脳裏に焼き付いているのは松田選手に投じた一球でした。
勝負球として投げ込んだ渾身のストレートを打ち返されました。
打たれる事への恐怖心から大瀬良投手は腕を思い切り振れなくなりました。
2か月間勝てない試合が続き体に異変が現れました。
登板前日になるとじんましんに襲われました。
やっぱりどうしても気持ちは強い気持ちでいかなきゃいけないっていう思いはもちろんあったんですけどそれよりもやっぱり……っていうのが勝ってしまって。
おはようございます。
おはようございます。
2年目のキャンプが始まりました。
打たれる怖さに勝つために。
最大の武器のストレートを一から磨き直していました。
6789OK。
やばいやばいやばいやばい。
勝負どころで最後に頼れるのはストレート。
その信念は大学時代に培われました。
野球の強豪九州共立大学に進んだ大瀬良投手は1年生からエースとして活躍。
しかし当時の監督仲里清さんは表情を変えずに淡々と投げる大瀬良投手にもの足りなさを感じていました。
闘志を前面に出して投げればプロでも十分活躍できる。
仲里さんはバッターに向かっていく心を教え込みました。
常に言い聞かせてたような気がします。
だから…まっすぐ!ボールに思いを込めるようになった大瀬良投手。
圧倒的な成績を残し大学ナンバーワン投手といわれるまでに成長しました。
OK。
すばらしい!ナイスボ−ル!OK!大瀬良投手には憧れを抱いた一人のピッチャーがいました。
津田恒実さん。
広島で活躍し32歳の若さで亡くなった伝説のピッチャーです。
気迫を前面に出して向かっていく姿から炎のストッパーと呼ばれました。
まっすぐが速くてみんな空振りしてるんでこういうボール投げたいなと思いましたね。
本当に投げっぷりもそうですけど跳びはねて投げてますしピッチングそのものが本当にかっこいいなと思ってこういうボール投げたいなと思って。
ドラフト1位で広島に入団した大瀬良投手。
その背中には津田さんが背負った14番がありました。
打たれる怖さに打ち勝つためにストレートを磨いてきた大瀬良投手。
しかし大リーグから復帰した黒田博樹投手のピッチングを見てその考え方に変化が現れました。
黒田投手は打たせて捕るピッチングで内野ゴロを重ねました。
投げていたのは…バッターの手元で僅かに変化しバットの芯を外します。
少ない球数でバッターを抑えていきました。
ツーシームを覚えて勝負どころでのストレートを生かしたい。
大瀬良投手は黒田投手から投げ方を教わりました。
投球の幅を広げる事で打たれる怖さに立ち向かおうと考えたのです。
大瀬良投手の2年目のシーズンが始まりました。
初回からいきなり満塁のピンチに立たされます。
ここで選んだのはツーシーム。
内野ゴロで打ち取りたいと考えました。
しかし…。
(歓声)満塁ホームラン。
完璧にとらえられました。
3回7失点で負け投手。
飛躍を誓ったシーズンはスタートからつまずいてしまいました。
2戦目も勝てず迎えた3戦目。
(歓声)この日も打ち込まれます。
ツーシームを中心にコースを狙って打ち取ろうとしていました。
最大の武器ストレートで抑えるピッチングは影を潜めていました。
5回を投げて5失点。
ベンチに戻るとキャッチャーの石原選手に声をかけられました。
相手の抑え澤村投手を見ろと言われたのです。
打たれる怖さを乗り切りたいと覚えたツーシーム。
そのボールに頼るあまりバッターに向かっていく気持ちを失っていました。
地元広島での試合を終えた大瀬良投手のもとを大学時代の恩師仲里さんが訪ねてきました。
来るのも見えるんだ。
仲里さんにはどうしても伝えたい事がありました。
思ってるより遅く見えるんだ。
う〜ん…。
そうやろ?恩師の言葉は見失っていた原点を思い出すきっかけとなりました。
次の登板は5月4日の巨人戦。
まだ勝ち星がない大瀬良投手。
思い切り腕を振る事だけを考えてマウンドに上がりました。
(歓声)ストレートで押すピッチング。
8回を2点に抑えます。
同点で迎えた9回。
ここまでの球数は114球。
大瀬良投手は続投を志願します。
対するは5番フランシスコ選手。
ツーボールツーストライクからの5球目。
この試合初めてサインに首を振りました。
キャッチャーの要求はインコースへの変化球。
大瀬良投手が選んだのはストレートでした。
(歓声)この日一番のボールでした。
その裏チームはサヨナラ勝ち。
ようやくつかんだ2年目の初勝利でした。
そうですねはい。
もう本当に…うれしいね。
ありがとうございます。
はい。
ありがとうございます。
ハハハ。
頑張って下さい。
じゃあお疲れさまでした。
開幕から2か月。
広島は最下位に沈んでいました。
その原因はリリーフ陣の不振。
逆転負けする試合が続いていました。
大瀬良投手も好投しながら勝ちがつかない試合が続き1勝6敗。
勝てない焦りからピッチングに狂いが生じていました。
浮上のきっかけをつかめないチームはリリーフ陣を立て直す大きな決断を下しました。
緒方監督は大瀬良投手を中継ぎに配置転換する事を決めたのです。
リードした試合を確実に勝つためだと伝えました。
決断の裏には大瀬良投手に短いイニングを任せる事で本来のストレートで押し切るピッチングを取り戻させるねらいもありました。
こだわりを持っていた先発の座から外れる事になりました。
まあ自分自身に対しての歯がゆさとか申し訳なさチームに対しての…もありましたし。
やっぱり悔しいっていう気持ちはもちろんありました。
何て言うんだろうこの…今の期間だけを考えればやっぱりすごく悔しい思いも強くあるんですけどまあ長期的に見て僕の野球人生がまだまだ何年も続くっていうふうに考えた時にまあこの経験っていうのはすごくあの…これからに生きてくると思いました。
大瀬良投手はリリーフとして毎試合ブルペンに入る事になりました。
6月10日。
交流戦の西武戦。
チームが逆転した6回。
大瀬良投手に登板に備えるよう指示が入ります。
先発とは違い試合展開に合わせて肩を作り気持ちを高めていかなければなりません。
この日は先発の野村投手が好投。
6回2失点に抑えました。
(場内放送)「野村に代わりましてピッチャーに大瀬良が入ります。
3番レフト鈴木背番号51」。
7回2点リードの場面。
プロで初めてリリーフのマウンドに向かいます。
2イニング目。
1点を返されなおもピンチが続きます。
(歓声)ストレートを打ち返され同点とされてしまいました。
初めて味わったリリーフの緊張感。
抑えなければという重圧から打たれる怖さが増し本来の気持ちをのせたボールを投げ込む事ができませんでした。
立ちはだかる大きな壁。
大瀬良投手は数々の修羅場を経験してきたエースの前田投手に悩みを打ち明けました。
球界を代表するピッチャーでさえ打たれる怖さに苦しんでいたと初めて知りました。
大瀬良投手には壁にぶつかる度に見返す映像があります。
大学時代から憧れてきた津田恒実さんのピッチングです。
真っ向勝負を挑む津田さんの気迫を最も感じた試合がありました。
三冠王バース選手との対戦。
9回裏ツーアウト満塁。
絶体絶命のピンチ。
(実況)空振り。
(実況)あ〜っといい球見逃した。
どうか?空振り!三振!一点の迷いもないストレート3球勝負。
絶対抑えてやるっていう気持ちが見ててもやっぱりすごい感じるじゃないですか。
弱気に入って打たれてしまうよりかは自分がベストを出し切って打たれてしまうんだったらしかたないなっていうボールをやっぱり一球一球投げていきたい。
津田さんのように強い気持ちでストレートを投げ抜きたい。
メリハリメリハリ。
1本目強く1本目強く…。
シーズン中にもかかわらずその土台となる下半身をいじめ抜いていました。
もういっちょ。
駆け抜け駆け抜け…。
来た!784。
よっしゃ〜。

(場内アナウンス)「ピッチャージョンソンに代わりまして大瀬良」。
(観客)大瀬良!大瀬良!大瀬良!大瀬良投手3試合目のリリーフ登板です。
ここまで2回はいずれも失敗。
正念場のマウンドです。
チームが勝ち越したあとの8回。
相手のDeNAは1番からの好打順。
大瀬良投手は真っ向勝負を挑みます。
力のあるストレートで押します。
ツーボールツーストライクからの6球目。
(歓声)魂を込めたストレート。
強い気持ちで投げ抜きました。
この回一人のランナーも出さずチームを勝利へと導きました。
強気のピッチングをよみがえらせたいとリリーフを任せた畝コーチ。
「今の気持ちを忘れるな」と伝えました。
やっと仕事ができたなとほっとしてます。
「ナイスピッチング」いろんな人に言ってもらって「ほっとした」ってみんなに言ってもらったんで心配かけてたんだなと思いながら。
よかったです。
そうですね。
やっと仕事ができましたと。
やっぱり明日も次の試合もどんどん投げなきゃいけないのでそんなに一喜一憂せずにまた明日しっかりとベストを尽くせるように頑張りますと伝えたいです。
ありがとうございました。
お疲れさまでした。
大瀬良大地投手24歳。
打たれる怖さと向き合う日々。
どんな壁にぶつかっても。
直球勝負を貫く覚悟です。
何ですかね…ずっとやっぱりストレート磨いてやってきたので…。
う〜ん…何だろう。
自分が野球やっていく上での相棒というかそういうものかなと思います。
背番号14の誇りを背負い。
大瀬良投手は今日も魂のストレートで挑みます。
2015/07/16(木) 02:00〜02:45
NHK総合1・神戸
アスリートの魂「魂のストレート 広島 大瀬良大地」[字]

去年プロ野球セ・リーグで新人王を獲得した広島の大瀬良大地投手、24歳。活躍の陰で己の弱い心を克服する闘いを続けていた。飛躍を誓った2年目、その苦闘の日々に密着。

詳細情報
番組内容
去年6月の交流戦。持ち味のストレートをことごとく打ち込まれた。飛躍を誓った2年目の今年。投球の幅を広げ、先発の軸になる投手を目指したが、勝てない日々が続いた。大瀬良投手が目指しているのは、かつて同じ広島の背番号「14」を背負い、気迫を全面に出したピッチングで“炎のストッパー”と呼ばれた津田恒実さん。心の弱さに打ち勝ち、魂をこめたストレートで真っ向勝負を挑めるのか。大瀬良投手の闘いの日々を見つめた。
出演者
【語り】山本耕史

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
スポーツ – 野球

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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