東京電力が18日、福島第1原子力発電所で建設を進める「凍土遮水壁」の現場を公開した。記者が歩いて改めて感じたのは、汚染水対策の切り札とされるこの設備の巨大さだ。冷凍機が収まる建屋から外に延びる、直径55センチの太い配管が印象に残った。装置が稼働すれば管内をマイナス30度の冷媒(塩化カルシウムの水溶液)が秒速2メートルで流れる。
凍結プラント建屋から外部に延びる冷媒を運ぶ配管(18日、東電福島第1原発)=代表撮影
凍土壁は1~4号機を囲う形に1500本以上の凍結管を埋め込み冷媒を循環させる。地中に氷の壁をつくり、汚染水の元凶となる建屋に流れ込む地下水を遮断する。
その心臓に当たる「凍結プラント建屋」がこの日、初めて公開された。2棟からなる建屋の中には冷凍機が計30台。「1台当たりの能力は約70冷凍トン(1冷凍トンは1日に1トンの0度の水を氷にするために除くべき熱量)。マグロ漁船2隻分です」と東電の担当者が説明した。
冷媒の温度を保つ冷凍機=代表撮影
凍土壁の配管の総延長は3.5キロ。地中の熱を吸収して戻ってきた冷媒の温度はマイナス二十数度に上昇しており、これをフロンで再び冷やす。原理は家庭の冷蔵庫と同じだ。凍結開始時は30台がフル稼働するが、凍土壁ができた後は半分程度を止められるという。
凍結管などの設置工事の進捗率は15%ほど。囲いの山側(西半分)に限れば9割前後に達しており、東電は海側ができ上がる前に、山側から凍結を始める予定だ。
4号機南側の工事区画では配管の設置が終わっていた。冷媒が通る地上の配管の直径はここでは約20センチまで細くなる。地中の凍結管は約10センチだ。循環ラインでつくった冷蔵庫に1~4号機をすっぽり収めてしまうようなイメージが浮かんだ。
凍土壁の施設は3月末までに完成の予定だった。作業員の死亡事故がおき、東電は安全点検のため約2週間、構内の作業を中止した。3日から再開したが、凍土壁の工事は半月~1カ月ほど遅れるとしている。小野明・第1原発所長は記者団に「安全第一でいく。工程(の順守)より安全を優先する」と強調した。
4号機の建屋近くに設置された凍土壁の配管=代表撮影
第1原発で働く作業員のおよそ半数は福島県の人々という。被災地をこれ以上悲しませないためにも安全優先は当然だ。
この日の福島第1原発は雪。手袋をしていても手はたちまち寒さで痛くなり、被曝(ひばく)防止用のゴーグルは曇ってよく見えない。1日6千数百人が働く廃炉の現場は依然、厳しい。
(福島支局長 中丸亮夫)
福島第1原子力発電所、東京電力
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