旧国立復刻を!設計書“流用”で費用1000億円以下に 1級建築士・森山高至氏提案
政府が建設計画の見直し方針を固めた新国立競技場の問題について詳しい、1級建築士で建築エコノミストの森山高至氏(49)は「まだ間に合う」と話した。デザインの代替案としては、現代の最新技術を駆使した「旧国立競技場の復刻」を提案した。
「現時点で政府が新国立競技場の問題点を認識してくれてよかった。ぎりぎりですが、まだ間に合います」。2年前から、新国立の建設に対して疑念を抱いていた森山氏は、ようやく見直し方針を固めた政府の動きを評価した。
政府はデザイン変更と、工期延長の両案を検討しているというが、森山氏は「(現行案の)ザハ案は廃案にしないと難しい」と2本の大きなアーチを使った独特なデザインの変更を要望した。
これまで政府はデザイン変更すると、19年ラグビーW杯開催までに間に合わないなどと主張してきたが、森山氏によると、変更しても、19年ラグビーW杯に間に合わせることも可能だという。「円や、だ円といった単純な形状にして、工場で作った同じパーツをなるべく多く使い、組み立てる」ことによって、工期は3年程度で済むという。
森山氏が考えた代替案が、旧国立競技場の設計を軸に最新の技術によってよみがえらせるという「国立復刻案」だ。「建築に使う材料や工法が、当時から進化しているため、合理性や機能も格段に改善される」という。また、大きな意味として、「同じ(競技場の)シルエットであればレガシー(遺産)の意義がより強まる」とした。
現行案では、総工費が2520億円にまで膨れあがったが、「復刻案」であれば人件費などを削り、1000億円以下で作れるという。旧国立の設計書をベースにするため、デザインにかかる時間も減り、工期も短くなる。
「ゼロベース」によるデザイン変更を求める森山氏だが、もしコンペを再び開催するのであれば「募集要項に、ある程度の規格を示したほうがいい」と話した。そして、競技場完成後に遺恨を残さないためにも、ラグビーW杯になんとか間に合わせる必要があるとし、「森さん(元首相)に恥を欠かせないように」と加えた。