新・おみやさん 2015.07.14


(鳥居勘三郎)
日本国内では様々な事故により年間5000人を超える死者が出ている
新聞の三面記事に書かれたそれらの事故の裏側には多種多様の人間模様がある
それらが新たな事件を生む危険性をもはらんでるとしたらお宮入りの事件と同様疑惑の残る過去の事故についても詳細な見直しが必要となる
(鐘の音)
(チャイム)
(栗原絹子)菊池さん!
(絹子)ああっ…!いや…。
(カメラのシャッター音)
(茅野太一)ガイシャは菊池恭子28歳か。
(高岡俊介)首を絞められてますね。
間違いなく殺しですね。
(吉川新平)しかし豪華な家だなぁ。
ここに28歳で一人暮らしですか。
(星野康夫)争った形跡はないな。
顔見知りの犯行かな?
(兵藤兵吾)あなたはこのベランダからならあの五重塔のいい写真が撮れるって玄関のチャイムを押した?そう…そうそうそうよ。
しかしねあんた見も知らない他人の家をいきなり訪ねるってのは…。
写真はアート。
ね。
アーティストとオバサンはずうずうしいの。
茅野さん。
(茅野)うん?あれ?これなんだろ?亡くなった方の仕事は?家族は?捜査内容は外部の人間には話せないんですよ。
へぇ〜秘密主義なんだ。
(山田春馬)これなんでしょうか?
(緑川みどり)死因は頸部圧迫による窒息死。
絞殺ね。
(会沢桂子)はい。
索条痕からみて背後からひも状のもので首を絞められたものと思われます。
例の繊維片は?
(山田)はい。
ガイシャの首の付近から検出された繊維片は首を絞めたロープのようなものの一部だと思われます。
今鑑識で特定を行ってます。
それ急がせて。
(桂子・山田)はい。
死亡推定時刻は?
(茅野)はい。
えっと昨夜の9時から11時までの間です。
ただ10時前にガイシャが帰宅しているのを近所のピザ屋の宅配が目撃してるんです。
だとすると10時から11時までの間の1時間に絞られるわね。
はい。
(みどり)ガイシャ菊池恭子さんの職業は?はい。
2年前まではコンパニオンの仕事をしていたようですが現在は不明です。
(吉川)あの家の賃貸料はかなりの額です。
普通のOLだったとは思えません。
(みどり)他にガイシャに関する情報は?
(高岡)あはい。
ガイシャの手帳の明日の日付の欄に「12時T」という書き込みがあります。
もしかしたら誰かと待ち合わせをしていたのかもしれませんね。
うーん…。
ねぇヘイさん。
この栗原絹子っていう死体の第一発見者だけど写真を撮りにガイシャ宅に来たって言ったわね?はい。
どんなカメラ所持してた?いやカメラはなかったような気がしますね。
それおかしくない?どうしてそこ真っ先に突っ込んで聞かないかな。
すいません。
けど犯行時刻に弁当屋の同僚とカラオケに行っていたというアリバイがありまして。
至急裏を取って。
はい。
課長ガイシャが握ってたこのピンクのチケットなんですが園祭の際鉾町の喫茶店が配っていた冷やし飴の無料券でした。
日付のスタンプは2010年になっています。
すいません。
(シャッター音)
(みどり)鳥居さん!刑事課の捜査資料を勝手に撮影されては困るんですけど。
2年前事故で亡くなった人が持ってたのと同じなんです。
(みどり)事故?こっちは殺しのヤマなのよ。
写真を撮るなら私をどうぞ。
(シャッター音)ヘイさん事件の第一発見者栗原さん?ええ。
鳥居さん人の話聞いてます?はい。
(シャッター音)ありがとうございます。
(青山ちはる)すいませんでした。
いやぁ相変わらずだな。
はい会議に集中!2年前の事故ってなんですか?おみやさん事故も調べてるんですか?うん。
気になったやつだけリストアップしてる。
資料課は時間あるからね。
「園祭の日の悲劇」…。
2年前の宵山の日鉾町のマンションの建設現場から建築資材の鉄パイプが落下。
祭り見物の帰りだった通行人を直撃。
1人死亡1人負傷。
亡くなった栗原誠さんが持ってたのがこれ。
この冷やし飴のサービス券…。
昨日のガイシャが持ってたサービス券がこれ。
今日さ…うどんやめてそばにしよう。
あ…はい!2年前の事故に関して1点おかしな点があった。
事故現場に居合わせたのは3人。
亡くなった栗原誠さんケガした田中春樹さんそれと氏名不詳の髪の毛の長い女性だった。
だがその女性は事情を聞こうとする警察官の制止を振り切って姿を消した。
確かに気になりますね。
ん…?2年前事故に遭ったのが栗原さんでゆうべの事件の第一発見者も…。
そう栗原さん。

(絹子)あなたの名誉は必ず私が挽回してみせるから。
(ため息)
(同僚)栗原さん!聞いたで。
死体見つけたんやって?
(絹子)いやもう…びっくりしたなんてもんじゃないわよ。
(絹子)よくほら人間びっくりすると腰を抜かすって言うじゃない?あれ本当。
しばらく立てなかったもん。
顔は?見た?見た。
それが結構な美人。
えぇ〜!?すいません。
栗原さんっていらっしゃいます?私ですけどどなた?あっ鴨川東署の者です。
もう犯人わかったんですか?あいえ私たちは過去の事件の資料を整理している資料課なんです。
鴨川東署の鳥居っていいます。
(絹子)鳥居勘三郎…。
あなた2年前園祭の時事故で亡くなった栗原誠さんの身内の方ですか?ええ栗原の妻ですが。
えっ!?じゃああの…現場から姿を消した若い女性の話って知ってます?さあ…。
あっ…鳥居勘三郎ってもしかして…鳥居善次郎さんのお孫さん?はい善次郎は僕の祖父ですけど…。
私結婚して姓が変わってるけど京極慶三郎の孫娘です。
えっ…京極精工所の創始者の?あ…奇遇ねぇ。
善次郎さんとうちの祖父はずいぶん親しくさせていただいてたのよねぇ。
ええ慶三郎さんのご自慢の茶道具を茶室でよく見せていただいたって聞いてます。
(絹子)今は昔よねぇ。
鳥居家のお坊ちゃまが警察勤め。
しかも資料課なんて聞いた事もないような部署に…。
昔話はまた伺うとして彼女の家訪問されたのは本当に偶然ですか?えっ?あの…彼女ご主人が亡くなった時に持ってたのと同じピンクのチケットを持ってたんです。
あっ…あら?私…記憶にない。
あの…サボってるとお客さんに迷惑かかるんでど…どうも。
あっすいません!あの部下とのツーショット撮っていただけますか。
はぁ…若い部下とのツーショットなんて鳥居家のお坊ちゃまもオジサン丸出しね。
(シャッター音)
(絹子)はい。
じゃあ。
ありがとうございます。
気のせいかなぁ…。
彼女何か隠してるような気が…。
まあ私の勘はあんまり当たらないですけどね。
大丈夫。
10回に1回ぐらい当たってるよ。
え…本当ですか?2年前事故で亡くなった栗原さんこの部署でお勤めでしたよね?この人栗原さんの知り合いですかね?
(大倉)いや知りませんね。
そもそも栗原さんに関する事は謎だらけですから。
謎?あいえ…。
話していただけませんか。
僕がここに配属になる前の事なので詳しい事は不明なんですが事故に遭われたのち栗原さん懲戒免職になっているんです。
亡くなられたあとに懲戒免職に?ええ。
理由はなんですか?上からの指示だったとそれだけしか聞いていません。
お気の毒にそのせいで奥さんには退職金も支払われずに…。
あっ兵藤さん…。
おみやさん…どうしてここに?いえちょっと…。
それよりそっちは?ああ…殺害された菊池恭子さんの部屋にあった写真にここの専務の守屋氏が写っていたんです。
(守屋健三)これでしたら2年ほど前になりますか。
うちの創業50周年記念パーティーの時にコンパニオンとして来ていた女性と一緒に撮った写真でしょう。
この女性菊池恭子さんが昨夜殺害されました。
殺害?菊池さんとはどういうご関係だったんですか?アハハ…関係も何もこのパーティーの時に知り合っただけですよ。
名前も記憶にない。
では昨夜10時から11時の間はどこにいらっしゃいました?あ?どなたにでもする質問です。
お気を悪くしないで。
えーゆうべはフランスからの来客を茶室でもてなして家へ帰った。
あ…そのあと研究員の田中君が来たんで家で飲んでましたよ。
田中さんですか?
(守屋)ええ。
どうもお手間取らせました。
(守屋)ええ。
守屋さん1つお聞きしていいですか?はあ。
2年前事故で亡くなった経理課の係長の栗原誠さん懲戒免職になってますよね?理由なんですか?栗原君の事をなんで今頃…?私たちは資料課で過去の事件の資料の整理をしているんです。
その関係で2年前の栗原さんの事故について調べておりまして。
ああ…あの突然の事故にはまったく驚いた。
免職の件に関してはあの当時絹子さんにも…。
(絹子)なんでうちのが懲戒免職になんてなるのよ!理由は?何?守屋君!答えて!栗原絹子さんとお親しいんですか?ああ…彼女と僕は大学の時同じ工学部で机を並べてましてね。
あの事件が起きる前まではたまに一緒に食事をしたりも…。
ただあの件に関しては僕も答えようがなかった。
免職の理由については一切知らなかった。
私も人事の件までは関与してないからね。
来客があるのでこのあたりで。
ありがとうございました。
下は上の指示だと言い専務は下の事は知らないと言ってる。
みんな責任逃れしてますよねぇ。
まあ普通経理課の係長がクビになるケースっていうとさ…。
使い込み!おお今日鋭いね。
ありがとうございます。
田中さんの家は…この先を右だ。
へぇ〜こんな町家に住んでるんだ。
絹子さん…!?またお会いしましたね。
(絹子)アハハ…偶然。
私ねあの…チラシ配りのバイトもしてるの。
田中春樹さん。
あなたのご主人の事故の時に一緒にいた京極精工所の研究員の方ですよね。
その人に会いに来たんじゃないの?いや…そういや…。
殺された菊池恭子さんを訪ねたのも写真うんぬんってあれ嘘でしょう?2年前の事故に関係あるからそれを聞きに行った。
違います?いや…私は写真が趣味だから…。
写真が趣味な人ってこんな逆光で写真撮りませんよ。
私頭の切れる男って嫌い。
僕嘘が顔に出る人って嫌いじゃないですね。
とにかく私田中さんに会いたいのよ。
もう何べんも会いに来てるんだけどどうしても会ってくれないの。
警察だったらドア開けるわよね。
さあ早く。
さっさと。
栗原絹子のアリバイの裏が取れました。
シロか…。
でも彼女に関しては資料課もこだわってたみたいね。
(吉川)課長!いやぁ参りました。
菊池恭子の周辺洗ってみたんですが兄弟親戚友人も浮かんできません。
2か月に1度ほど銀行口座に300万近い金が入金されていますがなんの金なのかも不明。
そもそも菊池恭子が何をして食べていたのかあの豪華な家に住んでいたのか疑問だらけです。
うん…。
どうやら真っ当な暮らしをしてたんじゃなさそうね。
明日待ち合わせをしている人物だけが彼女の素性を知っている。
すごい機械ですね。
(田中春樹)さっきも警察の人が来たんで昨夜は守屋専務のお宅にいたと話しました。
まだ何かあるんですか?2年前栗原さんが亡くなった事故についてお尋ねしたいんですが…。
その時現場から消えた女の人って…この人ですか?
(田中)この人は殺された女性でしょ。
事故の時に栗原さんと一緒にいた人とは違いますよ。
そうですか…。
忙しいんです。
帰ってくれないかな。
私も質問があるんですけど。
主人はどうして事故のあと懲戒免職になったんですか?前にも言ったじゃないですか。
僕は話したくないと…。
世間の噂になってるんですよ!主人が会社のお金を使い込んだんじゃないかって。
だからクビになったんだって。
でもね主人は堅物で曲がった事の出来る人じゃないんですよ。
使い込みなんてする人じゃないんですよ。
仕方ないな。
じゃあ僕が知ってる範囲内で話しますよ。
ご主人は会社にとって不適切な交友関係があったからクビになった。
不適切な交友関係?何それ?さあね。
ただ僕が2年前に見たのは長い髪の女性の肩を抱いた栗原さんでした。
(田中)偶然ですねこんなところで。
(栗原誠)ああ…うわぁ…!ああーっ!あなたを避けていたのは傷つけたくなかったからですよ。
あの2人はどう見てもただの関係には見えなかった。
まあ出来てるムードっていうか…。
まさか…。
どんなに堅物だろうが男は男って事かな。
(田中)な…なんだ…痛い!ずいぶん取り乱してましたね絹子さん。
まあひどい言われ方してたからね。
田中さんも最初から機嫌悪かったですからね。
あれお弁当の途中だったからですよ。
フッ…食べ物の事になるとよく気がつくね。
シャケ残ってました。
そして30パーセント引き。
(すず)坊ちゃまあの京極家のお嬢様とお会いになったんですって?はい。
様子が気になるから明日も会おうと思っています。
大変!でしたら先月誂えた背広をお召しになってくださいませ。
ワイシャツも新しいのを。
どうして急にそんなおめかしを?お相手は京極家ですよ。
鳥居家の当主として恥ずかしくない格好をしていただかないと恥をかくのはこのすずです。
絹子さんそんな事気にする人かなぁ。
お黙り!この鳥居家はおじい様善次郎様の前の前の代明治初期から続くそれはそれは古い家系で…。
でも今は地方公務員ですよねおみやさん。
ああっ!失礼千万!なんたる侮辱!許せません!
(絹子)昨日はカーッとなっちゃって…恥ずかしい。
主人にもお前は活火山だってよく言われてたんです。
私は休火山って言われます。
でもお気持ちわかります。
ご主人の事信じてらしたんですよね。
鳥居さん。
はい。
こうなったら全部話します。
私殺された菊池恭子さんに電話もらったんです。
どんな内容の?もしもし?
(菊池恭子)「突然すいません」
(恭子)私菊池といいます。
2年前のあなたのご主人の事故の事をお話ししたいんです。
事故?恐れ入りますが私の家で2人きりでお話し出来ませんか?
(恭子)「私の住所は…」2年前事故現場にいたのはやっぱり菊池恭子さん…?あなたが菊池さんに会いに行った時もうすでに殺されてた。
たぶん彼女何か事故に関して秘密を知ってた。
だから殺された。
でもどうしてあなたその事を警察に話さなかったんですか?私…ハリネズミになってるから。
ハリネズミ…?毎年園祭には主人と2人で行く事にしてました。
でも2年前私風邪ひいててあのムッとした人混みの中には出ないほうがいいよって。
主人これを持って1人で出かけたんです。
(栗原)じゃあ行ってくるわ。
(絹子)うん…。

(栗原)うわぁ…!
(絹子)物言わない人になって戻ってきて…。
そのあとすぐに懲戒免職にするっていう通知が…。
混乱しました。
身内はみんなそれ見た事かきっと使い込みをしたんだって。
私と主人との結婚は親族みんなに反対されてました。
みんな私が将来的に京極精工所を背負って立つ男性との結婚を望んでいたから。
命がけであの人を選んだんです。
それだけの値打ちのある人だったって今でも信じてます。
それなのに亡くなったら懲戒免職。
言いたい放題言われて…。
私必ず疑いを晴らしてやるって誓ったんです。
それで防御固めてハリネズミに…。
鳥居さん使い込みだとか愛人だとか主人の汚名返上していただけますよね?なんかこのモヤモヤした謎を解いていただけますよね?はい。
(チャイム)あちょっと失礼。

(ため息)来た。
逃走を図ったら瞬時に確保。
(吉川)あなたですね?菊池恭子さんと待ち合わせしてたのは。
(兵藤)鴨川東署の者です。
よっしゃ…。
昨日警察の方が見えて思い出しました。
これお返しします。
わざわざありがとうございます。
いえ…失礼します。
(絹子)これあの人の遺品だ…。
あれ…?これあの人の日記。
なんなのよこれ!拝見してよろしいですか?
(鳥居の声)「2月1日曇り絹子機嫌悪し。
不愉快」「2月7日晴れ絹子に叱られる」「理不尽極まりなし」
(栗原の声)「2月10日曇り絹子すこぶる機嫌悪し」なんにも言わない。
最近おいしいって言わない。
どこの夫婦だっていちいち言わないさ。
主婦が料理するのは当然だし。
それずいぶん…!私は妻で家政婦じゃない!
(栗原の声)「まったく謝る気になれず」「4月11日雨の日曜」映画行くんじゃなかったの?いや…雨降ってるし。
他に贅沢してないのよ…。
雨だって行きたい!
(栗原の声)「反論せず。
黙って付き合う。
苦痛なり」「5月20日曇り活火山爆発」なんでこんなネクタイもらってくるのよ!いや結婚退職する子が今までの感謝の気持ちにくれたんだよ。
趣味悪い。
下品。
捨てて!いやそりゃないだろう。
じゃ私が捨てる。
いやいやちょっと…ちょっと待て!ちょっと…!あっ…。
(栗原の声)「こちらも爆発寸前。
黙ってじっと耐える」
(絹子)全部私の悪口。
全部私への不満。
はい…。
主人のためにって必死でやってるのになんなのこれ?主人は私の事をわがままで面倒で手に負えない女としか見てなかったわけ?
(ため息)やってらんないもう…。
あなたは菊池恭子と待ち合わせしていたんですね?
(千島洋次)違います。
菊池さんなんて人とは会った事もない。
(机をたたく音)じゃあなぜ逃げた?栗原絹子がガイシャから電話をもらっていた?はい2年前の事故の真相について話したいから来てくれって。
(福島重夫)お待ちどおさま。
食べてる場合じゃなさそうね。
すいません。
私の分キャンセル出来ますか?えっ…あいた…。
あっそれやったら高岡はんか星野はんに食べてもらいますか?ええ…。
ごちそうさまです。
あなたが睨んだとおり2年前の事故と今回の殺しにはつながりがあるようです。
事故に関してあなたがまとめていた資料見せてください。
了解しました。
ただあの…このうどん食べてからでいいですか?いただきます。
おぉ〜なんか張り切ってるね〜。
はい。
こうして資料課が直接事件の解決に関われるのがうれしくて。
わかる!つまり鑑識も堂々とおみやさんのお知恵をお借り出来るってわけ。
うわぁ〜。
ハハハ…。
というわけでおみやさんちょっとこれなんですけどもすいません…。
事件現場に残されていたものなんですが菊池恭子の絞殺に使ったロープかなんかの断片だと思って調べたらこれなんとプラチナだったんですよ。
プラチナ?うん。
なんでこんなものが現場にあったのかさっぱりわからないんです。
あとで考えます。
あっお願いします。
(吉川)課長!千島のやつ菊池恭子と待ち合わせしてた事を断固として認めようとしません。
ただ勤め先だけはなんとか吐かせました。
モルゲン化学の研究所勤務です。
吉川!今モルゲン化学って言った?はい。
それが何か?これ2年前に亡くなった栗原誠さんのノートなんですが。
京極精工所を懲戒免職になった人物ね?ええ。
ここの…7月1日。
「7月1日社内に研究機密が他社に流れているとの噂あり」「由々しきことなり」つまり京極精工所内に企業スパイがいたって事?京極って確か精密機械の製造販売メーカーで光ファイバーの輸出入では国内シェアトップですよね。
うん。
そのモルゲン化学は業界第2位の会社です。
アジア市場ですでに京極を抜いてます。
ひょっとして京極の研究機密を盗んでいたのはモルゲン化学?じゃあ千島が菊池恭子と会っていたのは…。
機密の渡し役。
つまり産業スパイのパイプ役。
ようやくガイシャの正体が見えてきたわね。
千島を締め上げて事実を吐かせて。
(吉川)はい!
(絹子)お待たせ。
わぁ絹子さん素敵!さすがお嬢様ですね。
これはね鎧のつもり。
鎧…?行きましょう。
結構なお点前で。
こうやって向き合うのはずいぶん久しぶりね。
たまにはいいものだ。
昔の武将はこんなふうに生き死にを賭けて茶を振る舞ったのよね。
毒を盛られちゃかなわんがね。
絹子さん…今日はその覚悟です。
主人が懲戒免職になったのは会社にとって不適切な人間関係が…あったからなのね?それがどういう意味なのか聞かせて。
菊池恭子さんと主人がなぜ園祭の日に会っていたのか…?知らないほうがいい事もある。
つまりあなたは知っている。
鳥居さんが調べてくれました。
2年前京極の研究機密をライバル会社に流していた人がいたって事。
つまり…主人がそのスパイだった…。
事故のあと栗原君のパソコンから機密を横流しした痕跡が発見された。
しかしそれを公にするわけにはいかなかった。
事実が外部に漏れれば社の問題に関わる。
だから僕は僕の判断で内々に処理をした。
主人の事…間違った事だけはしない人だって信じてたのに…。
夫婦ってなんなのかしら…。
結局私たちなんにもわかり合ってなかったんですね。
けどまだ事故の真相すべてが明らかになったわけじゃありません。
もう少し時間ください。
鳥居さん…。
私もうこれ以上主人の事知るのが…怖い。
青山君?おみやさん…!どうでしたか?専務とのお茶会。
失礼します。
君また弁当食べてるの?ああ…。
あの…いいお天気だとお腹すくんですよねぇ。
シャケ残ってました。
そして30パーセント引き。
弁当ってさどういう時値引きになるの?え…?あっあの…作って時間が経った時ですね。
閉店前のスーパーだと半額になりますよ。
閉店前…。
昨夜はフランスからの来客を茶室でもてなして家へ帰った。
昨夜は守屋専務のお宅にいたと話しました。
ロープか何かの断片だと思ったらプラチナだったんですよ。
つながった。
防犯カメラ調べて。
あとで。
えっあとで?あと…?えっ今はどこに?
(店主)まあこれは鳥居の坊ちゃま。
(店主)お久しぶりどす。
ちょっといいですか?ええええ。
さあどうぞ。
すごい。
顔パス。
さすがお坊ちゃま。
さあ。
はいどうも。
坊ちゃま…。
紬のええのが入ってますよってたまには着物にも袖通しておくれやす。
いえ今日はその話じゃなくてちょっとあの…教えてもらいたい事ありまして。
なんどす?
(守屋)話すべき事はすべて話しましたが他に何か?
(田中)専務お話ってなんです?2年前の事故の真相についてお話ししたいと思います。
真相…?僕あなたの証言が正しいと考えて行動してきました。
けど逆のバージョン考えてみたんです。
逆…?栗原さんが菊池恭子さんと一緒にいたところを田中さんが目撃したんじゃなくて田中さんが菊池恭子さんと一緒にいるところを栗原さんが目撃したとしたら…。
モルゲン化学に企業秘密を流してたのは栗原さんじゃなくてあなた。
じょ…冗談はやめてください。
経理課勤務の栗原さんよりも研究内容についてはあなたのほうが精通してる。
知らない…。
僕は何もやってない!菊池さんが亡くなった今真偽のほどは確かめようがありません。
ただあなた1つ嘘ついてる。
菊池恭子さんが殺害された時刻あなた守屋さんの家にいたとおっしゃいましたがあなたの部屋にあった弁当箱30パーセントオフの値札あれはあなたの家の近くのスーパーが9時30分から閉店までに売り出すものです。
確認しました。
スーパーの防犯カメラにその時刻あなたがレジにいるのが撮影されていました。
菊池恭子さんが殺害された時刻あなたにアリバイはない。
あなたにもない!僕がその菊池恭子さんとやらを殺したと…?動機はなんですか?彼女を利用しようとしたんです。
あなた機密漏洩の罪を栗原さんにかぶせて田中さんをかばった。
それと同時に企業機密漏洩というピンチをチャンスに変えた。
菊池恭子さんを買収して二重スパイにして育て上げモルゲン化学から機密を盗もうとした。
知らん!僕はそんな話知らん!バカバカしい。
守屋さん!これなんだと思います?なんだねこれは?プラチナです。
プラチナの箔を裁断して糸にしたものです。
これと同じものが菊池恭子さんの殺害現場にありました。
京都の着物好きは帯にも凝ります。
こういったプラチナを糸と一緒に帯に織り込みます。
極めて少数ですが西陣で作ってます。
その購買者のリストにあなたの名前が載ってました。
事件当日あなた外国のお客様を茶席で接待しましたよね。
その時着物を着用していた。
その帰り道に菊池恭子さんを訪ねた。
彼女を殺したのはあなたです。
(守屋)京極精工所を守りたかった…。
どんな事をしても…モルゲン化学にアジア市場を奪われるわけにはいかなかった。
だがモルゲン化学は最先端を行く技術を数多くものにしていて現状では追い抜かれるのは時間の問題だった。
僕は…京極のブランドを守りたかった。
専務…。
うん?私もう嫌です!二重スパイなんてもううんざりだわ。
栗原さんを犠牲にして生きていくのも耐えられない!君…。
あの人は私の命の恩人なのに…。
よう田中君。
係長…!?祭り見物か?え…はあはあ。
あっよかったらこれを。
あ…はあ…。
あっ君も。
あっ危ない!
(栗原)うわぁ…!
(恭子の声)あの時栗原さんが私を突き飛ばしてくれたから私は助かったんです。
本当だったら私が死んでいた。
(守屋)過ぎた事はしょうがないじゃないか。
いいえこんな後ろ暗い気持ちで生きていくのはもう嫌なんです。
君はわかってない。
我々は先進医療機器の開発をやってるんだ。
うちの研究で何万人という人の命が救われるんだよ。
栗原さんの奥さんに明日何もかもすべて正直に話します。
それはいかん!君の存在が世間に知れたら我が社はどうなる!誰のおかげでこんな生活が出来るんだ?そんな事をしたら君自身身の破滅だろう…?破滅してもいいです!許せ…。
恭子さん…2年前の園祭の時にもらった冷やし飴のサービス券捨てる事が出来なかった。
冷やし飴のサービス券?そう。
君も栗原さんからもらったサービス券。
彼女は栗原さんに対する贖罪意識からそれを捨てる事が出来ずずーっと持ってた。
すべて会社のためだった…。
会社のため…?じゃあなぜ機密漏洩の罪を栗原さんにかぶせたんです?それは…。
絹子さんは大学の華だった…。

(ピアノ)
(守屋の声)僕は彼女を射止めようと必死だった。
しかし彼女が選んだのは…地味で風采の上がらない栗原だった。
(守屋の声)社でも目立たず出世もせず…。
そんな男に対して僕は心のどこかで今でも嫉妬していたのかもしれない。
だから罪を彼に…。
(ため息)警察へ連れてってください。
ただ…この話は絹子さんには伏せておいてほしい。
わかりました。

(絹子)主人が私をどう思ってたか…それはもう考えない事にしました。
だって私はやっぱり幸せだったから。
小さな不平や不満がたまってばっかりの毎日だったけどあの人と過ごした日々は私にとってかげがえのない時間だった。
言えるものならあの人に一言ありがとうって…。
ご主人のノートお返しします。
この…10月6日…。
「10月6日晴れ絹子朝から上機嫌。
平和なり」ご主人のこんな言葉を聞いた方がいます。

(鼻歌)何かいい事あったんですか?あ…小さい事だ。
今朝カミさんの機嫌がとってもよかったんだ。
こんな事は1か月に1回あるかないかだ。
1か月に1回?そりゃ大変ですね。
大変だ。
けどたまにしか見せないカミさんの笑顔がたまんなくいいんだよ。
えぇ〜?こっちまでうれしくなるような笑い方するんだ。
あれ見ると恋愛時代を思い出してね。
やっぱいいカミさんを持ったな…なんてな。
じゃあ。
(絹子)いいカミさん?主人がそんな事…。
そんなふうに…。
あの人私の事ずーっと好きでいてくれたんですね。
よかったですね。
うん。
これからはあの人との思い出を大事に生きていきます。
鳥居さんありがとう。
いえ素敵な話ありがとうございます。
フフフ…。
ああやっぱりいいですねぇ。
お坊ちゃまとお嬢様の笑顔のツーショット。
品があります。
いや…本当ね坊ちゃまって呼ばれるの嫌いなの。
やめてくれる?ハハ…でも鳥居のお坊ちゃまはお坊ちゃまですよね。
ですよね?本当に嫌なんだから。
やめてくれる?
(ちはる・絹子)お待ちください!お坊ちゃま〜。
(ちはる・絹子)お坊ちゃまお坊ちゃま…!2015/07/14(火) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
新・おみやさん[再][字]

「利用された夫婦愛!祇園祭に消えた美女の殺人計画!!」

詳細情報
◇番組内容
あの人気シリーズが新レギュラーを迎え、生まれかわる!京都鴨川東署資料課の窓際警察官(渡瀬恒彦)が、過去の迷宮入り事件の資料を武器に難事件に挑む極上のミステリー!
◇出演者
渡瀬恒彦、京野ことみ、戸田恵子、林泰文、鷲尾真知子、不破万作、小野寺丈、一條俊、中山卓也 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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