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【群馬】

集団的自衛権 群大生が賛否 「反対」が「賛成」の3倍

弁護士に質問する学生=前橋市で

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 衆院で安全保障関連法案が可決された十六日、前橋市の群馬大荒牧キャンパスで二人の弁護士が集団的自衛権について賛否それぞれの立場から講義した後、約二百人の学生が賛否を投票するというユニークな授業があった。結果は反対が百五十八票、賛成が四十七票となり、反対が賛成を三倍以上も上回った。若者の間でも法案への懸念が広まっている現状が浮き彫りとなった。 (菅原洋)

 社会情報学部の藤井正希准教授(憲法学)が、来夏の参院選から選挙権が十八歳以上に引き下げられる予定となったことから、学生に戦後安全保障の大転換となるこのテーマを熟考してもらい、有権者としての自覚を促そうと企画した。

 まず法案に賛成する高崎市の田中善信弁護士が登壇。「集団的自衛権は憲法違反ではなく、どの国でも保有できる当然の権利だ。法案は行使を最小限に抑えており、他国が日本に戦争を仕掛けることを抑止し、日本を守る役割がある。日本一国だけでは、平和を守ることは無理」と主張した。

 続いて、法案に反対する前橋市の下山順弁護士が「日本は太平洋戦争の際『自衛のため』として始めた。既に世界で行使された集団的自衛権の十数事例をみると、大国が小国に軍事介入する際の口実として利用されてきた。戦争を誘発し、戦争になれば歯止めが利かなくなる」と指摘した。

 学生からは弁護士に対し、「日本がテロに狙われる危険が高まる。個別的自衛権で対応できるのでは」「軍事ではなく、経済的に他国と交渉することで日本を守ることも考えたらどうか」「法案の成立は安倍首相が米国で約束したことなので、やむを得ないのでは」などと質問が相次いだ。

 取材に、理工学部一年の福島奨志(しょうじ)さん(18)=埼玉県上里町=は「賛成派の意見も聞ける良い機会だった。ただ、日本も集団的自衛権を行使すると、戦争が拡大し、世界の平和を守ることができなくなる。高い軍事力を持つ自衛隊を使い、他国を恐怖で押さえ付けようとするのならばおかしい」と法案の可決に反対していた。

 

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