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【神奈川】

「議論不十分」不満根強く 安保法案 衆院可決 

安保関連法案衆院可決に「議論を深めてほしい」と語る黒岩知事=県庁で

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 「違憲」「議論不足」の指摘がぬぐえないまま衆議院で可決された安保関連法案。批判や注文、賛辞や自戒−。歴史的転換点とされる中、米軍基地や自衛隊基地が集中する第二の基地県・神奈川で、首長や各党地方議員、若者、戦争体験者らの反応を追った。

■首 長

 「異常な形での衆院通過となり非常に残念」。黒岩祐治知事は報道陣の取材に、この日の採決に苦言を呈した。安倍晋三首相自身が国民理解の不足を認めていることに触れ、「参議院の議論で、理解が深まっていないことが、どこまで解消されるかを注目してみている」と語った。

 横浜市の林文子市長も定例会見で「議論を尽くして国民の疑問、不安に応えてもらうことを期待している。国民があれだけ国会前に集まっているのを見ると、理解が行き届いているとはいえない」と指摘。相模原市の加山俊夫市長は「引き続き国民に対して丁寧に説明を行うとともに、国会において十分な審議を行っていただきたい」との談話を出した。

■反発する議員ら

 県内では相模原、鎌倉の両市議会と葉山町議会などが、安保関連法案の慎重審議や廃案を求める意見書を可決している。提出議員らは憤りをあらわにした。

 相模原市の松永千賀子市議(共産)は「数の力で強行するのは国民軽視、憲法無視だ」と反発。葉山町の横山純子町議(新葉クラブ)は「憲法解釈の変更でここまでやってよいものか」と語り、鎌倉市の保坂令子市議(神奈川ネット)は「国民の声を無視するのは許せない」と語気を強めた。

 横浜市議会では「法案の慎重な取り扱い」を求める意見書が否決されている。提出した民主市議団の今野典人団長は「議論は深まっていないし、可決の仕方がひどい。結局、慎重審議はされなかった」と嘆いた。

■自公議員

 法案への説明責任の一端を担う自民、公明の地方議員。右派系組織、日本会議地方議員連盟の役員を務める自民の小島健一県議は「中国の脅威などに対処するには当然。憲法改正のハードルが高い中、現実的な対応だ。何百時間やろうが反対派の結論は同じだ」と強行採決を支持した。自民横浜市議団の松本研団長も「時間を十分にかけた。特別委で野党がプラカードを掲げるといった対応は情けない」と野党側を批判した。

 一方、自民のベテラン県議は「法案は支持するが、せめて六〇年安保当時の百三十六時間を超える審議時間はとるべきだった。憲法学者がこぞって違憲と言っているのもダメージは大きい。支持率が下がって来夏の参院選は戦えるのか」と話した。自民川崎市議団のある市議は「戦争をするためのものではなく、必要な法案」と話しつつ「もう少し国民に対して説明してほしかったな、という部分はある」とした。

 ある公明県議は「戦争体験者からは『平和の党が何をやっているんだ』と言われる」と漏らし、「憲法九条を堅持する前提で、党はよく歯止めをかけた。それがしっかり機能するようにしていかなくては」と自身に言い聞かすように語った。

 

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