生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは、10時5分です。
「くらしきらり解説」きょうの担当は島田敏男解説委員です。
テーマはこちらです。
国民の間にさまざまな意見がある法案ですけれども衆議院の特別委員会でいつ採決するかが焦点になってきているんですね。
島田⇒そうですね。
そういう緊迫した場面を前にして、先週の金曜日からおとといの日曜日にかけて今月のNHK世論調査が行われました。
結果は安倍総理大臣にとって厳しいものでした。
第2次安倍内閣が発足して以降、初めて安倍内閣を支持しないと答えた人が支持すると答えた人を上回ったんです。
僅かですけれども支持しないほうが多かったんですね。
安倍内閣を支持すると答えた人は先月より7ポイント下がって41%、これに対し支持しないと答えた人は9ポイント上がって43%という結果だったんです。
逆転した数字の差は僅かに2ポイントですので統計的には誤差の範囲で横並びの位置づけになるんですけれどもね。
でも、これまでになかったことですよね。
この理由をどう考えたらいいんでしょうか。
1つは安倍内閣の支持率を支えてきた経済政策に対する評価のかげりです。
6月には評価すると答えた人が54%だったんですが今月は48%、6ポイントダウンです。
最近の株価の不透明感や物価の上昇が経済政策に対する評価を下げているようなんです。
しかし、より大きな内閣支持率の下げ要因は安全保障関連法案に対する国民の厳しい視線だと思います。
政府が進める安全保障の法整備そのものに厳しい視線が向けられているということですね。
整備というこの仕事、政府の取り組みに対する評価は評価しないが61%、全体での数字で評価するのほぼ2倍近くに上っています。
幅広い国民の理解を得ているとは言い難い数字です。
野党支持者や無党派層では8割前後の人たちが評価しないと答えています。
安倍総理の足元の与党の支持者でも評価するがなんとか過半数超えという状況なんです。
この時間でも何回も取り上げてきた法案ですが、とにかく内容が複雑で分かりにくいという面がありますよね。
複雑で、多岐にわたっているのは間違いないです。
全体では新しい法案が1本、改正法案が10本でしてそれを大きな柱にまとめると日本の平和と安全を目的にしたもの、そして国際社会の平和と安全を目的にしたものに分かれます。
そして自衛隊がどういう状況でどのような活動をするかによって集団的自衛権の行使を可能にする内容外国軍隊への後方支援を拡大する内容に分かれているんです。
この中でも論戦のいちばんの焦点は集団的自衛権の行使容認に関する部分ですよね。
長年にわたって政府自身が憲法上できないと言ってきたことを条件をつけてできるようにするというわけですから憲法学者、あるいは内閣法制局長官の経験者といった人たちから憲法違反だという指摘が相次ぎましたね。
これに対して現在の内閣法制局長官の横畠さんを先頭に政府は安保関連法案は憲法違反ではないと繰り返し説明をしてきています。
しかし、この説明に納得できるという人は24%、4人に1人です。
納得できないが66%という数字になっています。
納得できない66%は野党支持者と無党派層では圧倒的多数を占めています。
与党支持者ではどうなんでしょうか。
与党支持者について見てみますと納得できると納得できないが47%と46%ですのでほぼ横並びなんです。
安全保障政策が合憲か、違憲かというのは国の基本に関わる問題ですのでその部分で与党支持者の声が真っ二つに割れているというのは自民党と公明党の力不足です。
そんな中、与党側は議論は尽くしたということで今週中に採決を目指しているようですね。
そうですね。
自民公明両党は去年12月の衆議院選挙で勝って多数を持っていますから特別委員会の採決、衆議院本会議の採決、これを確実に可決に持っていって今週中には参議院で法案を送る構えです。
ただ議論は尽くされたかという質問に対して国民は厳しい見方を示しています。
全体の56%の人が議論は尽くされていないと答えています。
野党支持者と無党派層では7割前後の人たちが議論は尽くされていないと答えています。
与党支持者を見ましても尽くされた、どちらともいえないよりも多い半数近くの人たち56%がまだ議論は尽くされていないと答えています。
世論調査の傾向はかなりはっきりしていますけれども安倍総理は決めるときには決めると繰り返していますよね。
安倍総理は4月のアメリカ訪問の際に上下両院の合同会議で行った演説の中でこの法案を夏までに成立させる、今の国会で成立させると決意表明したんです。
その成立を確実なものにするために9月27日までの95日間の大幅な会期延長を行ったんです。
今の国会で成立ということには必ずしも賛成の人ばかりではないような気もしますが。
そうなんですよね。
6月、7月と政府与党の今の国会で成立させるという方針に賛成ですか、反対ですかという同じ質問をした結果です。
賛成は、先月も今月も18%で変わっていません。
今月はどちらともいえないが減りまして反対が先月の37%から44%へ7ポイント増えています。
こういう国民の声を安倍総理や政府与党の人たちがどう受け止めるかですよね。
先ほども見ましたように一つ一つの法案は重要な法案なんですよね。
それを、あれもこれもいっしょくたにして審理して成立をさせる、こういう基本設計にどだい無理があったと私は思います。
政府与党はさらに慎重な審議を重ねる、あるいは政府案に厳しい限定を加えるための修正を行うということも考える必要があるんじゃないかと思いますね。
そういうことが一切ないままで数の力で衆議院を通して参議院へ送ったとなりますとこれは参議院にいってから相当の困難になると思います。
それにしても安倍総理も自民党もかなり強気ですね。
その理由がこちらです。
今月の政党支持率を見ますと自民党、赤いラインですが今月は34.7%、先月より1ポイント近く下がってはいるんですが依然として民主党など、ほかの政党との間に大きく水をあけています。
一強の自民党、これがやや減った分は無党派層、グレーのラインですね、ここが増えているんです。
そういう形になっています。
野田内閣当時に民主党が分裂して政権を失ったあと野党陣営は大きな勢力に結集する動きが止まっているんです。
それが安倍内閣の強気一辺倒の姿勢を許している面があります。
そういう中で今、行われています今回の安全保障関連法案を巡る与野党の駆け引きをどう見たらいいでしょうか。
安倍総理大臣は来年夏の参議院選挙でも大きな勝利を収めることを目標にしていましてそのためには安全保障関連法案のような難しい課題はできるだけ早めに片づけておきたいというのが腹の内の本音だと思うんです。
しかし昔からせいては事を仕損じるということわざがあります。
数の力で強引に押し通したという印象を国民に与えたならばその後の政権運営にとって、マイナスの面が出かねません。
ここは野党各党の出方も見ながら政府与党は慎重に対応すべき局面だと思います。
島田敏男解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
織り、編みから染色、縫製まですべて国内で生産した服にJクオリティーという認証マークが付けられ、早ければ来月後半から店頭に並びます。
そのコートやジャケットなどをスタジオで紹介しながら日本製の服を見直そうという動きの背景や課題について解説します。
担当は今井純子解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/07/14(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「安保関連法案と国民の視線」[字]
NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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