では今日はこの辺で失礼いたします。
「『やばい!マジでかすぎ!』。
入学して私が牛と初めて出会った瞬間でした。
これまでは農業とは無縁だった私は間近で見る牛を前に大きくて怖いと同時に触れてみたいという興味が湧きました」。
先月宮城県の農業高校で牛に出会い人生が変わったと発表した生徒がいました。
生徒は学校で震災の津波を生き延びた「奇跡の牛」と呼ばれる牛を育てています。
4年3か月前東日本大震災でこの高校の牛舎を津波が襲いました。
ああ!
(牛の鳴き声)当時34頭の牛がいましたが14頭が生き延びたのです。
その命を生徒たちが4年にわたり代々つなげてきています。
出ないっす!震災から4年余り牛の命をつなぎ続けてきたその力を見つめました。
(塚原)よしよし…きれいにしようきれいに。
今週月曜日私は高校の牛舎を訪れ牛の世話の手伝いをしました
おお〜…おお〜!でかいよ。
牛の世話ってほんとにやってみて分かったんですけどすごく大変です。
大人でもほんとにすぐに音を上げたくなるような作業なんですけれども宮城県農業高校の女子高生たちはこの牛たちの世話を毎日取り組んでいるんですね。
番組では去年11月に生徒たちの日々を伝えました。
4月から新たに後輩が加わり活動が続けられています
かわいい?かわいいっす。
ほんとに懐いて。
宮農の牛はみんな懐いてるんですごいかわいいです。
今牛より大事なものってあるの?大事なのは友達だったり家族だったりとかなんですけど優先的なのは今は牛で。
今しかできない事って今ここで牛育てる事だと思うんですよ。
ナンバーワンですね。
ナンバーワンですって。
彼女たちが中学生あるいは小学生の時に東日本大震災を経験しました。
当時は牛と全く縁もゆかりもなかったんですがこの学校に入学して牛と出会いました。
そして今彼女たちにとって牛と向き合う日々が掛けがえのないものになっています。
1年生の時から牛の世話を続けています。
現在牛の世話をしているのは1年生から3年生6人の女子生徒です。
リーダーのいっちゃんは作業も手慣れたもの。
(取材者)ちゃんと出るね。
後輩たちはまだ牛をうまく引く事ができません。
ほら…モエ。
(取材者)どう先輩たちは?
(笑い声)いや〜。
(笑い声)・りーは牛の方見なきゃいいんだよ。
(笑い声)ねえ逃げ…。
(笑い声)・りーカウボーイしねえとカウボーイ。
放課後やって来ては日が暮れるまで酪農家と同じように乳を搾り出荷しています。
いっちゃんは高校に入るまで牛とは全く無縁の生活でした。
(土谷)すごいっす!響く。
(取材者)すごい。
(取材者)すごいね。
いいっすここ。
震災があったのはいっちゃんが中学1年の時でした。
津波が押し寄せた校舎で電気のない中一晩過ごす経験をしました。
そうですねこの本なかったら多分…。
いっちゃんが「奇跡の牛」を育てる事になったのは一冊の本がきっかけでした。
牛がどう生き延び命がつながれてきたのかその日々がつづられています。
すっかり痩せてしまった牛を先輩や先生たちが懸命に世話してきた事を知ったのです。
せ〜のよいしょ…。
1年生の7月から世話するようになったいっちゃん。
はい引っ張っていいよ。
わあ〜。
出た。
すぐに出産に立ち会いました。
命が誕生する現場を初めて目の当たりにし牛を育てる喜びを実感するようになったのです。
しかし楽しい事だけがあるわけではありません。
初めていっちゃんが出産に立ち会ったあの牛が子供を産む事になりました。
ところが出産の際子牛が産道をうまく通り抜けられず死産したのです。
いっちゃんたちはその直後亡くなった子牛と対面しました。
2年間牛の命と向き合ってきたいっちゃんにとって初めて経験する死でした。
「目の前にみる子牛の死体は今にも動き出しそうな身体、脚。
それなのに動かず冷え切ったその身体から初めて『死』とゆうのを、実感した」。
「なぜだか涙が止まらず助からなかった子牛に対する悲しみの感情が溢れた」。
この翌日私たちは牛舎を訪れました。
もうさ…はい!いっちゃんはいつものように後輩の指導をしていました。
後輩たちに悲しむ様子を見せてはいませんでした。
出産がうまくいかなかった母牛は体調を崩していました。
こっちから入れて。
栄養剤を飲ませたり炎症を抑える薬を塗ったりして元気になるよう懸命に世話していました。
・擦り込め擦り込めってか。
あ〜!OK!楽しい事も悲しい事もある…。
先輩から後輩へ。
そうした日々が4年余り積み重ねられてきたのです。
押してみ。
普通に転がるから。
絶対落ちない自信ある。
ねえ待って。
それは勢いあまりすぎだって。
乗っかってみ!けつ〜!けつ〜!「そう」?そうですそうです!
(一同)「そうです!」。
(笑い声)手…ウケる。
やめようよねえ!近いっすねこれ。
そうそう目に入るわって。
生徒たちにとって憧れの人が学校にやって来ました。
イノウエ。
お願いします!
(一同)お願いします。
(先生)はいお願いします。
座って下さい。
教育実習で訪れた…
(先生)今自己紹介にありましたが…。
(先生)挙手。
見たことある人。
おっ結構いるね。
読んだ事ある?
(一同)え〜!?震災のあと牛の命をつなぎ始めたのが当時高校2年だった古木さんたちでした。
古木さんが教育実習に来た原点には「奇跡の牛」と過ごした高校時代がありました。
今も続いている活動日誌は4年前古木さんたちがつけ始めました。
もともと牛の世話をした事がなかった古木さんにとって手探りの連続でした。
そんな中自分が世話する事にいろんな表情やしぐさで応えてくれる牛に夢中になっていったのです。
お疲れさまでした。
(取材者)お疲れさまでした。
古木さんはもっと牛の事が知りたいと北海道の大学に進学し酪農を専攻してきました。
実習着は?
(古木)恥ずかしいんですけどね。
(取材者)懐かしい?これですか?いや〜ハハハ。
恥ずかしいです。
いっちゃんにとって憧れの古木先輩。
(古木)そうだね。
はい。
かっこいいっす。
(土谷)まあ最終的にはそうなんですかね。
3年生のいっちゃんとゆーみんは今卒業後の進路について考え始めています。
就職か進学かまだ決めかねていますが何らかの形で動物と関わる道に進みたいと思うようになっています。
(鳴き声)この日二人は先輩の古木さんに進路の相談をしました。
でも曾我っちはさ動物が好きじゃん全般的に。
大好き。
(古木)獣医になるとなりやすいね。
待つのが嫌いなんで。
(曾我)そうですねほんと細かい知識も…。
(古木)私もそう思って…
(土谷)なるほど。
(土谷)一個ずつ…ねっ。
(土谷)牛と一緒に?うん。
もう幸せだよねこう見れてるだけで。
平和って感じ。
4年3か月前震災をきっかけに始まった牛の命をつなぐ日々。
(牛の鳴き声)先輩から後輩へ。
絶やす事なく続けられてきました。
そして今生きる力を育みこれからの人生を切り開いていこうとしています。
(土谷)「牛と出会ってこの時ほど牛をいとおしいと思った事はありませんでした。
今まで以上に愛情を込めてしっかり世話していこうと思います。
毎日牛を洗い毛刈りの練習や調教に励み毎日が忙しくでもとても楽しくて充実しています。
震災で津波にのまれながら生き延びた『奇跡の牛』から始まり先輩たちから託されたゴールのない命のバトンを後輩たちに確実につなぎ託していこうと思います。
そして私は今日も見えない命のバトンを持って牛歩のごとく一歩一歩歩んでいきます」。
(拍手)2015/07/14(火) 03:11〜03:38
NHK総合1・神戸
クローズアップ東北「牛の命をつなぐ2〜継続は力なり〜」[字]
震災から4年3か月。宮城県農業高校の生徒たちが、震災で奇跡的に助かった牛とその子孫を育てている。必死に、そして真剣に牛の命と向き合い続ける高校生の姿を見つめる。
詳細情報
番組内容
震災から4年3か月。宮城県農業高校の生徒たちが、震災で奇跡的に助かった牛とその子孫を育てている。番組では去年11月、その姿を伝えた。いま、新しいメンバーが加わり、高校1年から3年の女子生徒たちが牛の命をつなぎ続けている。しかし、その日々は苦労の連続だ。毎日、放課後は牛の世話に追われ、牛の死に立ち会うこともある。それでも牛の命に真剣に向き合う高校生の姿を見つめる企画の第2弾。
出演者
【キャスター】塚原泰介,【語り】柳生聡子
ジャンル :
ニュース/報道 – ローカル・地域
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
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