未来世紀ジパング池上彰2時間SP【ヨーロッパの“主役”ドイツ…VS日本】 2015.07.13


私たちは今ドイツにやってきました。
池上さんそれにしても私たちの後ろにあるこの建物ずいぶん古びていてちょっと黒いですよね。
そうですよね。
まだ焼けた跡が残っているということなんですか。
そうなんですね。
ドイツ南部の小さな田舎町シュヴァンガウ
世界中から大勢の観光客が押し寄せている
日本人観光客も多数。
この山中に目的のものがあるという
見えてきたのは…。
断崖絶壁に架けられた細い橋
橋から望むのがこの白亜の城
白鳥城と名づけられ死ぬまでに行きたい世界の名城に選ばれる美しい城だ
香港ディズニーランド眠れる森の美女の城のモデルともいわれている
19世紀後半に
絢爛豪華な城。
世界中から
この城の人気の裏には点と点をつなぐ意外な観光戦略が隠されていた
今回は知っているようで知らないドイツスペシャル
世界のものづくり大国ドイツ。
日本とどっちが強いのか
人々をワクワクさせる
池上が訪れたのは
2つの悲劇を乗り越えた奇跡の復活劇が明らかに!
ドイツから見えてくる日本の未来とは…
黄金の国よ再び
そこから車でおよそ1時間。
人気の観光街道へ
ノイシュヴァンシュタイン城を離れ路線バスに乗り込むと広がるのは田園地帯
いよいよ世界に名高い観光ルートへ
ここロマンチック街道は城のすぐ近くフュッセンからドイツ中部の都市ヴュルツブルクまでのおよそ350キロを結ぶ観光街道
人気の理由は例えばこんなところ。
道沿いにある一見普通の小さな教会。
だが足を踏み入れれば…
観光客の最大のお目当ては祭壇にある像。
鞭にうたれたキリスト。
涙を流した伝説がある
街道沿いのあちこちにこうした名所がある
続いて見えてきた街はドナウヴェルト。
あのドナウ川を渡っていく
あ〜すごい。
街と街点と点を線で結ぶという戦略によってロマンチック街道は一大観光地となった
日本人が初めてロマンチック街道を知ったのは1976年。
あの女性誌『non−no』だった
仕掛けたのはドイツの政府観光局に勤めていた…
この22ページにも及ぶカラー特集は大反響を呼んだ。
記事から40年が経った今ではドイツ観光の代名詞になっている
そんなロマンチック街道で日本人憧れの街がここローテンブルクだ
入り口には街を取り囲む石造りの城壁が。
その城壁をくぐるとそこは…
まるでタイムスリップしたかのような光景が
ここローテンブルクはロマンチック街道で最も中世の街並みが残ると言われる
石畳の通りに花を添えるのは美しいバイオリンの音色
レストランではドイツの伝統料理に舌鼓
豚肉のローストは代表的な肉料理だ。
こちらは雪の玉を意味するあっ!うんおいしい!
街の中であの〜こちらに住まわれててここで結婚式をあげられたんですか?今日は。
あの方とご結婚されるんだ。
あらそう?
お相手はなんとこちらの女性
パートナーの方ですか?びっくりでしたね。
ドイツはキリスト教国だが同性婚が認められているのだ
ハロー!ハロー!ナイストゥーミートユー。
この街の観光戦略に詳しい人物に話を聞いた
昔の街並みがそのまま残されている街だというふうに聞いたんですけれども。
それが可能なのはどうしてなんですか?
実はこの街の建物の屋根や外壁の色は市によって厳しく管理されている。
窓枠には木材の使用が義務付けられアルミサッシなどを使うことはできない。
更に…
店の名前や看板も中世風のデザイン
街には一般の人も暮らしているがエアコンの室外機や洗濯物は人目につかないような配慮が徹底されていた
そんな街並みの保護にひと役買っているものがあるという
街を囲む城壁の上にあがると
あっ!
城壁の補修や街並みの保護に利用されている
こうした街をあげての徹底した取り組みによって世界中から年間200万人以上の観光客が訪れる一大観光都市が作られていた
ロマンチック街道は皆さんご存じでしたか?名前だけは聞いたことあったんですけど。
田園風景の中を進むのがすごい気持よさそうでしたね。
ドライブもよさそうですよね。
さぁということでですね今回の模型こちらロマンチック街道沿いにあるノイシュヴァンシュタイン城を模型にしているわけなんですけれども。
池上さんこのロマンチックっていうネーミング。
やっぱりこれが画期的なんですね。
そうなんですよね。
このロマンチック街道というんですけどこれドイツで1950年に向こうのジャーナリストたちがこういうネーミングを考えたというんですよ。
やはりドイツといいますとねそれはロマンチック街道という観光資源をある意味人工的に作ったというのもすごいですね。
というわけで今回は知られざる注目国ドイツということなんですけれども。
そんなに今ドイツは注目なんですか?これね今ね政治でも経済でも非常に世界の中で存在感を増しているということがある。
言ってみればノリに乗っているところがあると思うんですが。
ということなんですね。
なるほど。
そこで今回の沸騰キーワードはこちらです。
じゃちょっと日本とドイツの基礎データの比較をしましょうか。
はいまず人口ですけれどもドイツと日本を比べてみますとドイツのほうが少ないんですよね。
ただ一方で面積を見てみますとドイツと日本はほぼ同じと言っていいですよね。
そうなんですね。
そして経済力を示すGDPはドイツが世界4位なのに対して日本はその一つ上世界3位ということですね。
ここはやっぱり似てると言ってもいいと思うんですけれども坂下さん。
はい。
何だと思います?これあれじゃないですか。
東西分断したベルリンの壁。
はいそのとおりです。
すばらしい。
やはり戦後のドイツといいますと東西分断ということですよね。
そしてそこを今回秋元さんと私で取材に行ってまいりました。
と言われたドイツの古都へ
私たちがいるのはドイツのドレスデンなんですね。
はいそうなんですいったいどの辺りに位置しているのかというとこちらですね。
はいチェコとの国境に近い場所ですね。
今はこうなってるんですがさあ以前はこのように西ドイツと東ドイツに分割されていた東ドイツ側だったわけですね。
街にはかつての名残が
ああこの信号機見てくださいこの歩行者用の青信号。
ほら。
日本のものと全然違いますね。
違うでしょ。
これ
旧西ドイツ側の信号と比べるとずいぶん愛嬌がある
東西統一後さまざまな規格が西のものに変更されていったなかほぼ唯一残った東の遺産。
アンペルマンはいまやドイツブランド。
統一のシンボルとして観光客に大人気だ
更に東ドイツ時代の郷愁を誘うものが残っていた
ちょっとその人たちに集まっていただいたんですがここ見てくださいほらほらほら。
うわぁたくさん!
ずらりと並んだハ〜イ。
ハ〜イ。
こちらはその愛好家の人たちだ
なんでトラバントが好きなんですか?
1957年から統一直後の91年まで生産された国民車
当時は配給制で10年待ちともいわれた
34年間ほぼ改良されることがなかった車界のシーラカンス。
最大の特徴が…。
この音素材は?
紙でできた車と揶揄され水に浮くという伝説もあった。
インテリアも50年代のまま超シンプル
池上も試乗してみる
(エンジン音)あぁなんか。
この振動。
いいですね。
すごいね。
体に直に伝わってきますね。
足元からホワッと伝わってくるね。
いきなり街に出現したトラビの大群に人気だね。
あぁあんな遠くからも手を。
そうみんな…。
これも今に残る東ドイツの遺産
最後にこんな質問をしてみた
強く平和を願う背景には過去の戦争がある
この黒ずんだ壁は爆撃の傷跡だ
ドレスデンは第二次世界大戦末期の1945年2月連合軍から無差別の大爆撃を受けた。
街は4日間燃え続け
東京大空襲の1か月前のことだった
ここ今こうやって再建されてますけどその前がどういう状態だったかってのこれ写真に残ってますよね。
うわぁ。
ドレスデンの中心にそびえる
爆撃でがれきの山と化した。
そしてなんと
再建の話が進んだのは東西統一後
工事は13年を経た2005年にようやく完了。
この再建はといわれた
あぁなんかこうよく見てるといろんな色が入ってますけどこれ模様なんですか?これねこの黒くなってるでしょ?この部分はもともとのものなんですよ。
これ空襲で破壊されて廃墟の中から探し出してですねこの部分だっていってつけたんですね。
はぁ〜。
パズルでしょまるで。
だからあんなに色が違うんですね。
そうなんですよね。
聖母教会は今復興と統一の象徴になっている
もう1つ壮絶な復活の物語があるという
今からお話を聞きにまいりましょう。
はい。
池上が向かったのはドレスデン近郊にある有名企業
そこで待っていてくれたのはこの男性91。
ねえ見えないですね。
見えないよね。
ランゲさんはランゲ&ゾーネという高級時計メーカーの4代目
これが基本の。
基本ですね。
オーソドックスな。
このランゲ&ゾーネ知る人ぞ知る超高級時計。
19世紀のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世がこよなく愛し今もその技術力とデザインの美しさはスイス勢をしのぎ世界最高峰と称えられる。
フレームは金とプラチナ。
ムーブメントは電池を使わずゼンマイを巻き上げて歯車を回す機械式だ。
最多で1,100もの部品が一つのボディーに組み込まれ時を刻む。
しかしその伝統の時計づくりは爆撃によって一度途絶えたという
会社の工場が破壊されたということを聞いたときはどんなお気持でしたか?
終戦後高級時計の復興を夢見たランゲさん。
ところが東ドイツは社会主義国家となり
会社からはランゲの看板が外され国営時計工場のマークが掲げられた
要するに
しかし
ついにランゲさん執念のブランド
社会主義のもと国有化されてしまったランゲ&ゾーネ。
しかし
すかさずランゲさんはブランド復活に向けて動き出す
かつての顧客が支援に駆けつけた。
そしてランゲ&ゾーネは華麗に復活。
世界中の時計ファンを熱狂させた
世界最高峰の時計づくりは今
その製造現場に立ち入りを許された
この部分を切り出してるんだ。
これが部品になるわけだ。
一つひとつね。
顕微鏡を使いわずか1センチほどの部品に丁寧に模様を彫り込んでいく
時計の裏側から見えるパーツの美しさを追及していた
お花みたいな花びらも全部ちゃんと同じくらいの大きさで。
機械が彫ってるようにしか見えないですよね。
正確ですね。
お〜。
すごい当然ですって。
は〜。
こちらは時計の組み立て工程
こちらの職人手元を覗くと…
完成したのにまた分解しているようだ
いったい何のためなのか?
一度目の組み立ては部品の完成度を確認するためのもの
洗浄後にホコリが入らない無菌室でもう一度組み立て直す。
途方もないこだわりだ
ドイツの歴史に翻弄されながらも見事復活を果たしたランゲさん。
揺るぎのない信念を語ってくれた
日本もドイツと同じようにものづくりをずっとやってきた国なんですけれど最近中国とか韓国にずいぶん追われて苦しい立場になってるんですがね何か日本へのアドバイスってありますか?1回国有化された企業が世界1位にまた這い上ったっていうのはすさまじい成績だと思いますね。
すごいことですよね〜。
だから最後にね日本へのヒントはありませんかって言ったらクオリティークオリティークオリティーだと。
さあここでドイツと日本の似ているところをもう1つ見ていきたいと思いますけれどもそれは…こちら製造力ですね。
あれだけの職人芸の高級時計となるとねなかなか勝ち目ないのかなと思うんですけどということでですねこちらに日本とドイツのライバル関係図をまとめてみました。
はい時計はね先ほど出てきましたけれどもドイツだとランゲ&ゾーネが有名ですけれど一方で日本にもありますね有名なメーカーが。
CITIZENCASIOSEIKO。
そしてスポーツ用品日本ですとasics有名ですよね。
実はドイツも非常に有名なスポーツブランドがありますけれどもこちらadidasです。
アメリカなのかなって思ってたんですけど。
アメリカはねナイキ。
ナイキ。
さあではカメラでは日本はやっぱりCanonにNikon。
Nikonのことをね向こうだとナイコンて言い方されますけどね。
さあ田山さんドイツといえば?それはもうLeicaです。
あ〜さすが。
さすが田山さんならお答えいただけるだろうと思って取っておきました。
まさにライバル関係の日本とドイツ
ではドイツの人たちはどんな製品を使っているのでしょうか?
一般的なご家庭を訪ねてみると意外な結果が
ハローナイストゥーミートユー。
ドイツ南部の都市ミュンヘンでご家庭の持ち物チェックに向かいました
ハロー!ナイストゥーミートユー。
こちらは奥さんの早速リビングルームを見せてもらうと…
あっテレビはLGなんですね。
旦那さんが選んだというテレビは韓国製。
でも…
オーディオがパナソニックですよ日本の。
あっこれもですね。
これもパナソニックだ。
ステレオとDVDはパナソニック。
これも旦那さんのチョイス
奥さんの趣味というカメラはこちら
Nikonの一眼レフ。
更に奥さんがこだわっているという台所を覗いてみると…
使い勝手がよさそうな台所。
あっまずこのオーブンがシーメンス。
ドイツを代表するメーカーシーメンスです。
キッチン家電はどれもシルバーを基調としたドイツ製。
シンプルモダンなデザインで統一されていました
なんでキッチン周りの家電はドイツのものにしてるんですか?
気になるこちらが車だということですけれども。
BMWですね。
ドイツを代表する高級ブランドでした
日本にも結構有名な車のブランドがたくさんあるんですけれどもどれかご存じですか?ちょっと言ってみてください。
あっ三菱…はい。
三菱モータースありますよ。
日産も…はい。
さぁそしてなんと言ってもこちら自動車ですよね。
うわ〜これは大敵だね。
これを見るとまさに世界を代表する自動車ブランドが並びますね。
ほぼ高級車ドイツなんだ。
そうですよね。
どっちが強いですか?乗用車メーカーを合計すると…。
ほらだってこれだけあるわけですから。
でも田山さんドイツ車っていうとそれはそれでなかなかライバルですけど魅力ありますよね。
ありましたね。
わかりますかね皆さん。
ベンベーって何ですか?ベンベーをご存じない?わかんない。
BMWっていうのは英語でしょ?ドイツだとベーエムベー。
さぁ田山さんえ〜と確か…わかりません。
地方の名前でしょうか?全然違う。
でもバイエルン…。
バイエルン州ですから。
バイエルン州の州の旗が水色と白なんです。
これバイエルン州の州の旗のイメージ。
へぇ〜。
この憧れの高級ドイツ車その強さの秘密潜入取材してきました。
高級車市場販売台数トップのBMW。
この日開かれた特別なイベント。
ミュンヘンの本社には世界30か国からおよそ200人以上の記者が集まった
この日は新車発表会
BMWの最上級モデル。
7年ぶりにフルモデルチェンジした7シリーズが初めてお目見えした
その特徴の一つはジェスチャー機能
右に回すと音がどんどん大きくなって左に回すと音が小さくなると。
更に驚きがこれ自動操縦。
リモコンの操作で車庫入れする機能が盛り込まれた
ドイツ本国では今年の秋に発売予定だ
記者たちも早速車に乗り込み興味津々の様子
BMWのプレゼンはこれで終わりではなかった
発表会後記者に振る舞われたのはフランス料理のフルコース。
新車発表会でここまでするメーカーはなかなかない
各テーブルにはBMWの技術者が同席し車の特徴を余すところなく解説する
そんななか3つものテーブルを占めていたのが中国勢だ
中国は今やBMWにとって最大の顧客
特別に通訳までつけるサービスぶりだった
その本社の足もとにあるのがBMWミュージアム
ここには歴代の貴重な車が展示されている
まさに
なんとノイシュヴァンシュタイン城をもしのぐ
その一角で珍しい光景を目にした。
顧客のための特別なサービスが行われるという
やってきた
なにやらお母さん妙にハイテンションだ
いったいこのあと何が待っているのか?
BMWで特別なサービス
やってきたコッセーさん一家。
お母さん妙にハイテンションだ
どうにも興奮冷めやらないという様子。
その先にあったのはこの赤い車
するとスタッフが説明を始めた。
更に
車の前で記念撮影まで。
いったいこれはどういうことなのか?
実はこれ納車式。
BMWの聖地で新車を引き渡すサービスだ。
これはお母さんの用の車。
初めてのBMWだという
この引き渡しには1日に80人ほどが訪れる。
はるばるアメリカやイタリアからもやってきていた
車を持つ感動を演出する。
それもBMWの戦略だ
坂下さんそれにしてもあのお母さんの興奮ぶり。
驚きましたよね。
そりゃ喜ぶでしょ。
あんだけBMW初めてのBMって言ってたから。
あなたのために作った車が今ここにありますよって言われたら何かね僕特別っていうのがね。
特別扱いをしてくれるという。
はいうまいなと思いますけど。
そういったサービスがアメリカからも人を呼びつける何かパワーがあるんでしょうかね?なるほど。
これがブランド力っていうものなんです。
なるほどね。
日本の自動車メーカーもね高級ブランドの開拓に乗り出してはいるんですけれども。
はい世界の高級自動車市場の販売台数を見てみますとですね1位がBMW。
2位がフォルクスワーゲングループのAudi。
そして3位がMercedes−Benzと。
ベスト3はドイツ勢が独占しています。
では日本のメーカーはといいますと。
これはLEXUSでしょ。
はい4位に入っているんですが。
それでも58万台?そうなんですよ。
こういうほんとに強いブランド力こそがドイツのもの作りの神髄なんですね。
そうなんですね。
つまり売れるということですよね。
ここですね。
そうなんですねそこはやっぱりブランド力の違いなのかなってことですよね。
日本とドイツの自動車メーカー1台あたりの利益はご覧のとおり。
少量生産のポルシェを筆頭にドイツ勢が優勢だ。
ブランド力が儲けを上積みしていると分析できる
宣伝というかうまく言えないんだけどそこなんですよね根付くもんじゃないんですけど。
田山さん。
裏付ける制度?そう。
職人の頭みたいのがいて。
はいそうです。
日本で言えば徒弟制度ではないんですけどマイスターで合ってる?そんな感じですよね。
そうなんですよマイスターですね。
マイスター制度というのがありましてマイスターというと職人ですよね。
自動車工場にも必ず国が認めたマイスターがいる
またメルセデスAMGではエンジンを担当したマイスターの刻印が付くという
このマイスター制度実はですねこんなもんじゃないんですね。
そのなかでも開業するのにちょっと見てくださいこれ。
煙突掃除。
(一同)え〜!足場の組み立てとかね。
それもわかんなくはない。
ドイツの場合はこうやってすごい制度なんですけれどもドイツならではのあの商品もマイスターが支えていました。
ミュンヘン郊外に110年続く老舗ベーカリーがある
店内は朝8時にしてこの人だかり
客は毎朝その日に食べるパンを買いにくる。
ドイツパンは種類が豊富なことで知られこちらの店にもずらり。
代表的なプレッツェルは外カリカリで中モチモチ。
更にライ麦パンなど香りと歯応えに特色があり最近日本でも専門店が増えている
この老舗ベーカリーを営むのは4代目
ホフマンさんはこの道40年。
マイスターの資格を持つパン職人。
ドイツではマイスターでないと店は持てない
ドイツベーカリー界のカリスマだ
そんなカリスマのパンの製造現場とは?
そこには黙々とプレッツェルを作る職人たちがいた。
彼らはマイスター手前のゲゼレと呼ばれる職人たちだ
ドイツのマイスター制度には3つの階級がある。
まずレアリングといわれる訓練生。
そこから試験に合格するとゲゼレというプロの職人になれる。
そして頂点がマイスターだ
ホフマンさんはゲゼレからマイスターになるまで4年かかったという。
そんなホフマンさんのもとに駆け寄ってきたのはよく見ると日本人
実はこの店現在3人の日本人を訓練生として受け入れている
田中りささんは福岡で10年以上パン屋さんに勤めていたがマイスター制度にひかれてやってきた
この日のりささんの仕事は終了
りささんが住んでいるのは店の4階のひと部屋
ここを同じ日本人訓練生とルームシェアをしている
りささんはドイツに来て3年目。
1ヵ月後にゲゼレ試験を控えていた
ゲゼレ試験にも筆記がある。
内容は主にパン作りの知識だが当然中身はドイツ語
どんなに技術があっても筆記試験に落ちれば終わり。
仕事のかたわら猛勉強だ
翌日早朝5時
おはよう。
なんとホフマンさん今日はつきっきりでゲゼレの模擬試験をやってくれるという
実際の試験では…
この日はそのなかでも形作りに技術のいる編みこみパン6種類をテスト
マイスターの厳しい目
りささんの手もとをチェック。
すると
ようやく成型した生地をオーブンへ
そして15分後焼きあがった。
ポイントは編みこみの美しさだが
うまくできなかった悔しさか思わず
不安ですか?これすごいいい制度だなって。
なんかうらやましく見てましたけど。
ちょっとアメリカ人とは違うのはパン屋さんがやりたいでも編みこみパンはどうでもいいと思ってる人はいっぱいいると思うんですよ。
あぁなるほど。
なんで私の興味のない分野までマスターしなきゃいけないんだと。
もっと気楽にあぁなるほど。
いやおもしろいですね…。
一長一短だと思うんですけど。
じゃあ続きましてですねこれもちょっとクイズということになるんですが坂下さんこちら見てください。
何の時間でしょうか?ちょっとこれは…。
何だ?これはですね…。
働く時間?働く時間。
全然違いますね。
全然違うでしょう?日本人こんな働いてるんですか?それでもドイツ見てください。
もっとはるかに少ないんですよ。
なのに労働時間がこんなに少ないんですよ。
うわぁこれ悔しいですね。
これはなんかすごくいろいろ考えさせられる数字というかだと思うんですけれども。
そうですよね。
そこでドイツの人たちはいったいどういう働き方をしているのかドイツを代表するあの世界企業の社員に密着しました。
日曜日のミュンヘン市内。
昼どきだというのに人影はまばら…
24時間やっているイメージのあるドラッグストアもこのとおり
どうしたのだろうか?
実はドイツ閉店法という法律がある。
地域によって異なるがミュンヘンでは日曜日の営業は禁止。
通常の営業時間も夜8時までと決められれている
果たしてドイツ人の働き方とは?サラリーマンだというこちらの男性
朝のスタートは6時
目の覚めるようなロックミュージックがかかるジムの中ではサラリーマンやOLが猛トレーニングに励んでいた
みんな揃ってスクワットジャンプ!
そしてまたオール漕ぎ。
フィリップさん最初は相当こたえたそうだが今ではこれをやらないと1日が始まらないという
そんなフィリップさんの勤め先は…
ドイツ生まれのスポーツブランドアディダスだ
創設者であるアディ・ダスラーの故郷の町に4年前に完成した新社屋
ガラス張りでまるで美術館のようだ
オフィスはこちらの部屋。
彼よりも早く出勤している人がいた
おはようございます日本の重田さんです。
よろしくお願いします。
彼の上司はなんと日本人だった。
フィリップさん出社するや仕事に取りかかる。
業務はサッカー代表チームのサポート。
ドイツや日本あのメッシのいるアルゼンチンもアディダスと契約している
コールセンターのように絶えず電話し続けるフィリップさん。
これが仕事を効率化する秘訣だという
世界79か国から社員が集うアディダス。
食堂はさながらワールドレストラン。
フィリップさんと重田さんはイタリアとスペインから来ている同僚と。
彼らにはドイツ人の働き方はどう映るのか?
ランチをきっちり1時間で終えたフィリップさんと重田さん。
午後は重要なミーティングがあるという
フィリップさんが提出したのは担当している業務の一覧表
いったいどういうことなのか?
なんとフィリップさん3か月もの長期バカンス。
ドイツでは決して珍しいことではないというが…
そう言われればフィップさんの隣は空席
ドイツでは
夕方5時半フィリップさんはきっちり8時間勤務で終了
重田さんも仕事を終えひと汗。
日本と香港のアディダスで働いてきたという重田さん。
ドイツ流の働き方をどう感じているのか
日本3ヵ月間休み取ったらクビじゃない?クビっていうか…。
クビっていうか取らせてもらえないですよね。
席がないよね。
出勤しづらくなるよね。
ドイツといいますとこんな話があるんですよ。
ところがある人が労働時間を調べたらだからメルケル首相がもっと働くべきだというべきではなくて労働生産性ってどう計算するかといいますと…。
さぁそれがどれくらいかといいますと日本に比べて時間は25%短い。
生産性は45%高い。
坂下さんねやっぱりネガティブ面も見たがる。
じゃあ坂下さんのリクエストがありますからマイナス面も見ておきましょうかね。
実はドイツでは今こんなことが起きてるんです。
ドイツでは今働く人を悩ませるある症候群が…
労働時間が少ないドイツしかし例外もあるようだ
仕事の仕方をめぐって新たな問題が生じている。
そう指摘する精神科医を訪ねた
理想的な職場の裏にいるバーンアウト患者。
ここ7年で10倍にも増えているという
先ほどまであんなに僕は教訓としてとてもいいなと思ってたんですけど。
この結果を出すっていうのはドイツ人にとってもほんとに大変なことなんですね。
そうなんですよね。
バーンアウトつまり燃え尽き症候群を防ごうとこんなことが検討されてるんだそうですよ。
メールが便利ですからドイツ人と日本人が似てるってことかもしれないですね。
まじめでできるだけ仕事をこなしたい会社のために貢献したいという思いが強くてプライベートの時間でも使って仕事をしてしまう。
こういうメール禁止法ももしかしたら日本人が必要としてるかもしれないですね。
必要かもしれないですね。
では今度はこちらをご覧ください。
ドイツ経済は最近ずっと好調なんですよね。
これ見てください。
GDPがどんどん右肩上がりで上がってるでしょ一方失業率がどんどん下がってますよね。
さぁこれいつ頃からかなというと2005年の頃からですね。
この辺りから失業率が目に見えて下がっていますでしょ。
さぁ2005年何があったでしょう?あ〜。
ピンとくる?残念でございました。
ナイストライ!もうちょっと前なんですよねユーロに入ったの。
もっと前ですか?ユーロ。
もっと前でした。
そうなんですね。
こちらです。
おっすごい。
後光が差して…。
もう首相就任から10年が経つんですがいまだに支持率が70%と高いんですよ。
外交問題でいいますと例えばそんなこの彼女の実力をかいま見ようと思いまして実は先月開かれたドイツのエルマウ・サミットの現場に行ってきました。
向かったのはアルプスのふもと
到着したのはG7サミットの舞台エルマウ。
ドイツ南部のリゾート地だ。
現場へと近づくとなにやら巨大なバルーンが。
そこにはサミットに参加する首脳たちの顔。
その先頭に位置していたのはやはりドイツメルケル首相だ。
更に行くと緑の奇妙なグループが
それにしてもいったい何をしているのか?
グループの1人に新聞を渡された
そこには安倍総理の姿も
そういうことですよね。
そしていよいよサミット取材。
立ち入ることができるのはここまで
国際メディアセンターにやってきました。
実際のサミットの様子はこの映像で見るんですが…。
ちょっとびっくりしましたね。
握手してますね。
実に10回目のサミットとなるメルケル首相。
議長を務めるのもこれで2回目。
オバマ大統領など世界の首脳たちをリードする姿にはもはや貫禄すら漂う
各国のメルケル首相の評価は?集まったプレスに聞いてみた
更に地元ドイツの記者は…
一方イタリアの記者からはこんな声も
イタリア人には少し不評のようでしたけれどもまぁでもこれは今まさに再燃しているギリシャ危機と同じ構図ということなんでしょうかね?そうですよねこのヨーロッパの債務危機いわゆるユーロ危機というものですけれどね。
はいこちらですよね。
これ主にギリシャイタリアスペインなど特に南ヨーロッパの国で起きましたよね。
さぁユーロを守るためにはこうした国に支援はするけど緊縮財政をしなさいと言ったのがメルケル首相というわけですよね。
これ今ギリシャ問題がまたこじれてきてるのはでも一方でメルケル首相は5年前のユーロ危機のときにポルトガルやスペインやイタリアを支援するときにも厳しい緊縮財政政策を求めたわけですね。
じゃあそういう合理的な判断しっかり示すメルケル首相意外にも東ドイツのご出身なんですね。
そうなんですね。
もともと東ドイツ出身。
大学での専攻は物理学。
田山さんでもメルケル首相のこういうイメージどうですか?少し意外?あれだけ女性で引っ張っていく力。
それと今これだけ成功しててそれを崩さない本当はそうなんですよ。
1999年のユーロ導入を境にドイツ経済は好調に転じました
ユーロの相場はかつてのドイツ通貨マルクより低いため輸出品が外国では割安で売れ行き好調
輸出が40%を占めるドイツ経済が潤う構図が定着しているのです
ベルリン市内ある建物に入ると…。
長い行列がこれはいったい?
ベルリン市内のある建物。
朝から大勢の人が集まっていた
いったい何の行列なのか?
どうやらイスラム系の人々だ
彼らは昨日国境を越えてドイツにやってきたばかりの難民たち。
ここで難民申請し数か月にわたる審査を受けるのだ
中東やアフリカからドイツにやってくる人々。
今年の難民申請者は実に去年の倍40万人に達するとみられている
逃げてきた人々はどんな生活をドイツで始めるのか…
池上と秋元がその現場へと足を踏み入れた
ここは難民申請中の人たちが身を寄せているという住居だ
シリアからトルコギリシャセルビアなどを通ってきました。
密入国を繰り返しました。
こちらははるばるアフガニスタンから
森の中で5日間食べることもなく。
見せてくれたのは仮の難民証明書。
彼らは正式に難民認定されるまで必要なものは与えられる
ってことは4万円くらい…5万弱か。
彼は正式に難民と認められれば家族をドイツに呼び寄せるつもりだという
こうして急増するイスラム系住民。
すでにいる移民も含め…
そんな状況をよく思わない勢力が今ドイツを騒然とさせている
彼らの主張は…
この集団はPEGIDA。
ヨーロッパのイスラム化阻止を掲げている
その先頭に立っていたのが
以降夜の散歩と称し毎週月曜市街を行進。
参加者は一時2万5,000人以上に膨れ上がりメルケル首相が警戒を呼びかける事態となった
ドレスデン市内のいたるところにポスターが。
市長選挙が行われるのだ
候補者は6人。
そのうちの1人はデモで先頭に立っていたあのペギーダ幹部だ
ペギーダにとって初めての選挙出馬
投票日一般市民の声は?
投票終了直後ドレスデン市庁舎の前に人だかりが
やってきたのはペギーダの市長選候補者タチアナ・フェスタリング氏だ
ペギーダの幹部たちが出迎えそして…
市庁舎に乗り込むペギーダ。
いったい何をしようというのか?
投票終了直後ドレスデン市庁舎の前に人だかりが
市庁舎に乗り込むペギーダ。
いったい何をしようというのか?
なんと開票作業に不正がないか監視に来ていたのだ。
実はペギーダ下馬評で得票率わずか1%程度と報じられていたため疑心暗鬼になっていたのだ
外には地元メディアが来ていたが…
ペギーダを極右勢力として報道する地元メディアを敵視していた
その夜ドレスデン市内の一角に集結していたペギーダ幹部たちの姿をキャッチした
そこに市長選の結果が入ってきた。
果たしてドレスデン市民の答えは…
果たしてドレスデン市民の答えは…
ペギーダは落選したが10%に迫る票を獲得。
事前の予想をはるかに超える結果だった
選挙翌日の月曜日。
勢いづいたペギーダの姿が再びドレスデンの中心にあった
ペギーダの威力ちょっと怖いですねこれから。
これはですねつまり…。
ドイツにしてみるとでもそうなるとじゃあ日本はどうなのか?日本が閉鎖的だと受け入れるべきだと批判を受けているっていうことをさぁ私たちはどう考えるかっていうことだろうと思うんですよね。
ほんとに日本と似ているようであるところでは日本よりも一歩先進んでいるようなところもあるドイツだと思うんですけれどもいろんな顔がありますね。
そうですよね。
でやっぱり大事なことはだから全部を見習えってわけにはいかない。
ただそこで日本もドイツも一緒に同盟国となって戦争しどちらも負けた。
そのあとの戦後の処理がさぁどうだったのかということですね。
かつてのというところがあるんですよね。
その大きなきっかけとなった演説が実はあるんですね。
こちらです。
過去をしっかり見据えようということです。
これ非常に有名な演説であってまさにヒントになるんじゃないかなと思いますね。
日本の場合もですね安倍総理大臣が戦後70年の談話を今年の夏に出そうとしているわけですよね。
ワイツゼッカー元大統領の演説は多くの人々の感動を呼んでそして記録に残ったわけですよね。
ぜひ日本の総理大臣もですね後世に語り継がれるようなあるいは周囲の感動を呼ぶようなそんな談話が出るといいなと思いますね。
そうですね。
2015/07/13(月) 21:00〜22:48
テレビ大阪1
未来世紀ジパング池上彰2時間SP【ヨーロッパの“主役”ドイツ…VS日本】[字][デ]

「知られざる注目国シリーズ」の第1弾。今やヨーロッパの主役はドイツ。「製造強国」「勤勉」「几帳面」なところが日本と似ているとされるが、その実態は?

詳細情報
番組内容
池上彰が、いま注目するドイツを現地取材&スタジオ解説!
今やヨーロッパの主役は、フランスやイギリスではなく、ドイツだという。いつの間にかヨーロッパの盟主となっていたドイツの強さとは?
内容つづき
敗戦から経済大国になった道のりは日本と似ていて、最近とかく比較されることが多い。「製造強国」「勤勉」「几帳面」といった特質も似通っているとされるが…その実態は?知っているようで知らなかった、ドイツの全貌に迫る。
出演者
【メーンMC】
SHELLY
【進行役】
秋元玲奈(テレビ東京アナウンサー)
【沸騰ナビゲーター】
池上彰(ジャーナリスト)
【ゲスト】
パックン、坂下千里子、鈴木ちなみ、田山涼成

池上彰 紹介
池上彰(ジャーナリスト)
未来世紀ジパング25回目の登場。1950年長野県生まれ。1973年にNHK入局。報道局社会部記者などを経て94年から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役を
務める。2005年からフリージャーナリストとして世界各地を取材。
2012年4月から東京工業大学リベラルアーツセンター教授。
関連情報
【公式ホームページ】
http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/
【公式Twitter】
https://twitter.com/miraiseiki_zipa
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ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 海外・国際

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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