人生デザイン U−29「寄宿舎指導員」 2015.07.13


(一同)お〜!ドルルルルルル…。
(笑いと拍手)今回の主人公は大西賢士さん27歳です。
特別支援学校の寄宿舎で指導員をしています。
(笑い声)
(大西)ほら翔太淡々と食べてはる。
(笑い声)実は大西さんは京都大学を卒業した高学歴の持ち主。
ところが就職活動では大苦戦。
4年かけてやっと見つけたのがこの寄宿舎での仕事でした。
全く想像をしていなかった今の自分。
苦労の末にようやく見つけた居場所とは。
島根県の山あいの町邑南町。
大西さんの働く特別支援学校の寄宿舎はここにあります。
知的障害のある生徒たちが通う県立石見養護学校。
そこに併設している寄宿舎の指導員として1年前から働いています。
(井)おはようございま〜す。
おはようございま〜す。
おはようございます。
おはようございます。
寄宿舎には自宅が遠くて通学ができない15人の生徒が生活しています。
気を付け礼。
(一同)おはようございます。
大西さんの仕事は寄宿舎で共同生活を行う生徒たちの指導です。
生徒が自立して生活できるように掃除洗濯などのサポートを行います。
(掃除機の音)はい。
おはようございます。
失礼しま〜す。
あ〜っ!達哉さん…はい!はい。
はい。
行って下さ〜い。
生徒の多くは卒業後グループホームなどの福祉施設で生活します。
寄宿舎は集団生活を送るための練習の場でもあるのです。
あっ服が…。
どうしたの?なんやて?さまざまな個性の生徒たち日々ちょっとした事件が起こります。
福間君。
(福間)はい。
この日は服が洗濯機に放置されていました。
(福間)はい。
分かりましたか?分かります。
すぐ謝って下さい。
はい。
行ってらっしゃい。
行ってらっしゃい。
ヨイショ。
行ってきま〜す。
他に誰か…。
生徒が学校に行くと指導員が集まり早番から日勤へと生徒の様子を引き継ぎます。
井君…。
何て言ってました?井君なんか…「楽しい」って言っとった。
指導員は12人。
それぞれ1人から2人担当の生徒を受け持ち朝昼泊まりと3交代で対応しています。
よし。
は〜い配りま〜す。
夕方5時半夕食の準備が始まりました。
今日のメニューはチキン南蛮。
あ〜おいしそう。
大西さんが担当している生徒は…チキン南蛮いる人。
明るい性格でちょっとお調子者なところがあります。
(4人)じゃんけんほい。
しゃ〜!たっ!イヒヒヒ!肉。
最初はグーじゃんけんほい。
はぁ〜。
どんまい。
どんまい。
あ〜井君負けちゃいました。
最初に「お代わりしたい」って言ってたのに。
この1年ずっと井君を見てきた大西さん。
ふ〜ろふろふろふろ。
常に一緒にいる事で心を通わす努力を続けていますが…。
去年のほうが良かった。
ええ。
はい。
はい。
はい。
(井)え?「寄宿舎の雰囲気が暗い」。
予想外のひと言です。
井君は時々そっけない態度をとる事があり大西さんの悩みです。
なんかいい感じないかなと思って。
大西さんは泊まり勤務のない日は寄宿舎近くの寮に帰ります。
指導員になって1年足らず。
今も分からない事だらけです。
(ドアチャイム)はい。
どうぞお入り下さ〜い。
お〜こんばんは。
ああ。
お疲れさまです。
(藤川)お疲れです。
やって来たのは近くに住む指導員の先輩たち。
一番の相談相手です。
お疲れでした!お疲れです…。
週に一度程度飲み会をして先輩たちの話を聞いてきました。
(笑い声)僕ですか?寄宿舎ってすごいこう何だろう答えのない世界で…生徒たちの心をつかむ。
難しいですよね。
週末になると大西さんは2時間かけて帰る場所があります。
島根県出雲市にある大西さんの妻の実家です。
去年11月7年交際を続けた美佑紀さんと結婚しました。
今は別居生活です。
ただいま。
(美佑紀)疲れた?あ〜疲れた〜。
ヨイショ〜。
美佑紀さんは出雲市内で働くためここで両親と暮らしています。
去年までは大西さんもこの家で暮らしていました。
もともと大西さんは生まれも育ちも大阪です。
小さい頃からお笑い好きで友人と外で遊ぶ事が大好きな少年でした。
しかし進学校に通っていた中学時代大西さんはいじめに遭います。
明るく調子のよい言動をからかわれるようになりある日突然のけ者にされたのです。
周りを見返したい。
その一心で難関の京都大学を目指す決意を固めました。
猛勉強の末京都大学でも難関の一つといわれる建築学科に合格。
しかし建築に特別な興味があった訳ではありませんでした。
就職活動では建築に関係のないさまざまな業種を受験しました。
有名企業ばかり20社です。
しかしどの企業からも合格の知らせはありませんでした。
気付けば大学を2年留年。
就職が決まらず次第に追い詰められていった大西さん。
自分は不必要な人間だと感じ周りを避けるようになりました。
そんな大西さんを救ったのが当時つきあっていた美佑紀さんです。
「実家のある島根に来ないか」と誘ったのです。
なんか手伝いましょうか?はい。
美佑紀さんの言葉に甘え大西さんは島根で就職活動を再開。
しかし就職先はなかなか決まりませんでした。
そんな大西さんを支えてくれたのは美佑紀さんたち家族です。
大西さんが島根に来た事を喜び仕事が決まらない事は気にかけず島根を案内してくれました。
(笑子)ハハハ…。
母の笑子さんは大西さんを一番に応援し一緒になって就職先を探しました。
そして見つけたのが寄宿舎指導員です。
家族の厚意に応えたい。
大西さんは奮起しました。
島根に来て2年。
採用試験に合格し晴れて指導員となったのです。
そうですね。
来る時は。
一晩で。
(笑い声)うまくいかない自分を美佑紀さんと家族が優しく受け入れてくれた事それが自信になりました。
こちらが大西さんの一週間。
早番と日勤があり週に一度は泊まり勤務です。
生徒が自宅に帰る土日が休み。
美佑紀さんの実家に帰ります。
月収は手取りで18万。
毎月5万円は将来のために貯金しています。
大西さんは週に2回陸上部の練習に参加します。
人一倍時間のかかった4年間の就職活動。
うまくできない不格好な自分。
担当する井君にはそんな自分のありのままの姿を見てもらおうと思っています。
用意。
(笛)ピッ。
実は大西さん陸上は苦手。
それでも一緒に走ります。
ナイスラン。
ハァ…。
毎回ゴールするのは最後です。
ハア!ハア〜疲れた!うん。
練習も終盤を迎えみんなに疲れが見え始めた頃。
井君はいきなり「足が痛い」と言いだしました。
あ〜つった。
痛。
用意。
(笛)ピッ。
井君を休ませて練習をみんなで続けます。
待ってるから。
えっ?井君の足はなんともない様子。
大西さんは「頑張ってもう一度走ろう」と促します。
ダメですよ。
待ってる。
ダメです。
さっきいっぱい休んだから俺も休む。
ダメです。
そう!頑張ったらいい。
4本目はい用意。
(笛)ピッ。
大西さんも結局一緒に走ります。
2人とも最後まで走りきりました。
夜大西さんはいつものように寄宿舎の見回り。
はい。
ガスだけつけますか?うん?井君に呼び止められました。
俺が覚えてない。
島根伝統の舞石見神楽を一緒にやりたいと井君からの誘いです。
これ意味が分からんか。
なくていいかじゃあやっぱり。
(井)入れますか…?入れる?神様が弓矢を使って鬼を退治する二人一組の舞。
井君のお気に入りの演目です。
でこうやってこうやって。
はい。
了解。
あいさあいさ。
あいさ〜あっ。
よっ。
よっ。
あいよ〜…。
神楽の練習では井君が大西さんをリードします。
フフフ。
いや〜でも…
(笑い声)うれしいですね。
てれるね。
(井大西)ハハハハハ!いい。
ありがとうございます。
指導員になって1年。
大西さんの初めての年が終わろうとしています。
この日大西さんは故郷の大阪へ帰りました。
つらい過去を思い出したくない。
これまで大西さんは大阪の友人たちとは関係をたってきました。
しかし就職を機に10年ぶりに友人たちと連絡を取り初めて結婚式に呼ばれたのです。
おっ。
あっハハハハハ…!あれ?あれ?ハハハハ!見えにくい所おって。
お久しぶりです。
あ〜皆さん大人になってほんと。
今?はい島根県。
結婚して「定住するよ」って…。
友人たちに初めて自分の仕事を説明します。
えっ寮の寮長?
(笑い声)なんで笑う?なんか今日どや顔した…。
今の自分を正直に伝える事ができました。
台本しゃべってるみたいな…。
(笑い声)式に誘ってくれた新郎の登場です。
(一同)・「超絶かわいいユリちゃん!」
(一同)・「タクヤ!」さあみんな〜キュッキュッ入って〜。
実は大西さん中学高校時代の卒業アルバムや写真を捨て去っていました。
あんま笑えん。
暗〜くなる。
どうもごめんなさい。
またゴールデンウイークに。
ゴールデンウイーク連絡して。
再会を約束します。
入ってる?みんな。
入ってる。
はいチーズ。
(シャッター音)はいオッケーで〜す。
この日撮った写真は50枚。
これからもっと増えていきそうですね。
そんな大西さんに最後に質問です。
おめでとう!おめでとう!
(拍手)じゃあね。
はい。
あしたからチョー寂しくなりますよこの寮。
本当だよ〜!めっちゃしんみりしますよ。
タッちゃ〜んよかったね…!バイバ〜イ!バイバイ!2015/07/13(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「寄宿舎指導員」[字]

今回の主人公は、大西賢士さん・27歳。京大に入学するも有名企業ばかりをねらった就職活動はことごとく失敗。去年から特別支援学校の寄宿舎で指導員として働き始めた。

詳細情報
番組内容
今回の主人公は、島根の特別支援学校の寄宿舎で働く大西賢士さん・27歳。京大に入学した大西さんは就職活動で有名企業ばかりを受験するも、ことごとく失敗。失意の中、恋人が暮らす島根に移住する。とにかく定職に就こうと考えた大西さんが出会ったのが寄宿舎での仕事。自分の気持ちを表現するのが苦手な子や、すぐに落ち着きをなくしてしまう子に大西さんは自分の経験から「失敗しても大丈夫」と伝えたい、と考えているのだが…
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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