火災調査官・紅蓮次郎 2015.07.13


(貝塚元彦)そのまま行け…。
さあそのまま…。
(水沢美冴)徹!
(美冴)徹!徹!
(美冴)徹…!徹!
(美冴)何やってんの!?
(美冴)バカな真似はよしなさい!あんた何も悪くないんじゃない!なんであんたが死ななきゃなんないのよ!?
(水沢徹)姉さん…姉さん姉さん…。
(美冴の嗚咽)クソッ…!
(美冴)ちょっとトラスライトあおってみて。
(美冴)手前のバトン上げて。
紅さん…!来てくれたんだ…!あでもリハーサルに現れたって事は明日の本番は…。
(紅蓮次郎)ごめん!昨日の火災の現場でどうしても消防研究所に行かなきゃいけなくなっちゃったんだよ。
ふ〜ん…私のファイナルステージより仕事を取るんだ。
美冴さん…。
ウソ。
来てくれて嬉しい!紅さんには絶対見てほしかったの。
今夜はあなたのためだけに演じるわ。

(拍手)うわっ!アハハ…!フフ…。
アハハ…。
(拍手)ブラボー。
すごいねぇ…!楽しめた?素晴らしかったよ。
(拍手)ありがとう。
ねえ芳村君と何話してたの?別に…芳村は俺の事が心配になって…。
ねえ…とにかくいいから早く会社辞めて。
今あの会社辞めるわけにいかないんだよ!徹…!?ねえ徹って…!どうしたの?あ…嫌だ変なとこ見せちゃったわね。
今の弟さんだよね?うん…一緒にねマジックを見せるレストランをやろうって張り切ってたんだけど急に会社辞められないって言い出して…。
それで姉弟ゲンカか。
まあそんなところ。
(ノック)
(美冴)は〜い!うわぁ…キレイ!入って。
本当は明日渡さなきゃいけないんだけどさ。
(咳払い)え〜今まで長い間お疲れ様でした。
しばらく日本に腰を落ち着けるという事なのでゆっくり休んでこれまでの疲れを癒やしてください。
ありがとう。
フフ。
ハハハ…。
でも本当は惜しいんじゃないの?引退しちゃうの。
フフフ…全然!…って言ったら嘘になるかな。
向こうにいるとね次から次と新しいマジシャンが出てきて「ああもう自分の時代じゃないな」って思うの。
海を渡って10年。
場末のショーパブから頑張って念願のラスベガスの舞台にも立てたし弟とも一緒に暮らしたいし…この辺が潮時なのよ。
嫌だ…こういう話は飲みながらさせてよ。
ねえこれからちょっと行かない?あ…ちょっとね今日はダメなんだよ。
あ…この間2人で一緒に飲んだ時の事気にしてんな?コラ!紅蓮次郎!いつまで死んだ女房の幻追っかけてんだ!?もう順子の事は忘れて再婚しなさい。
ちょっと飲みすぎなんじゃないの?私が結婚してやる。
え!?順子と大親友だった私だったら文句ないでしょ!何言ってんだかね。
ちょっと何よその笑い…!うん?ちょっと私が結婚してやるって言ってるのに何それ…!?いや…そうじゃないよ。
部下の白井がね婚約者を紹介したいって言うんでこれから一緒に食事するんだよ。
あ!よかったら一緒に来ない?フフ…パス。
あそう。
あ〜あ…また紅蓮次郎に振られたか。
ショック。
(寿司政)どうぞ。
大将…じゃあ例のやつね。
へい。
それにしても驚いたよ。
あのちっちゃかった梢ちゃんが洋食屋さんやってんだもんな。
でも何よりも驚いたのがこの白井を選んで結婚する事だよ。
(白井勇一)そこは驚かないでくださいよ…。
いや本当によかった。
田無さんの娘さんだったら誰よりも消防官って仕事理解してくれてるだろうからな。
はぁ…。
(田無梢)あの紅さん…。
はい?訊いてもいいですか?どうぞ。
勇一君本当にこのまま火災調査官の仕事だけを続けてればいいんですか?あ梢さんその話は…。
そうか…梢ちゃんの亡くなったお父さんは素晴らしい筒先だったもんな…。
やっぱり白井にもお父さんと同じように消火活動の最前線に立ってほしいって事か?違うんです!…その逆です。
私…勇一君には危険な仕事はしてほしくないんです。
梢さん…。
亡くなった母はいつも言ってました。
災害の時は真っ先に飛び出しちゃうし私たちは世界で一番頼りにならない夫…父親を持ったのねって。
そして火災現場で命を落としてしまった。
私本当は消防官とだけは結婚したくなかったんです。
アハハ…何言ってんだよ梢さん。
大丈夫だよ!俺は火災調査官の仕事でバッチリ評価されてるんだから今更筒先なんかに…。
「なんか」?あ…すいません。
言葉の選び方悪くて…。
怒ったんですか?いや怒っちゃいないよ。
ただちょっと寂しいだけだ。
お父さんと一緒に火災現場から鎮火報を鳴らして帰る時家から飛び出して真っ先に消防車に手を振ってくれたのは梢ちゃんだった…。
(梢)お父さ〜ん!
(鎮火報)お父さ〜ん!あの時の女の子が今そんなふうに考えてるんだって思ったら…ちょっとな。
やめよう梢さん今日はもうこれくらいで…。
頼むよ。
紅さん…勇一君がずっと火災調査官が続けられるようにしてあげてください!すいません主任こんな事になっちゃって…。
行こう梢さん!だって…!すいません…!
(戸の開閉音)
(ため息)
(寿司政)トロイカ穴子です。
あの人の食べた…。

(咳)なんか久しぶりですね。
(鴇田早苗)あ…あ…。
紅さんごめんなさい。
また…!あ…失礼します!ただいまー!おい俊介タオル!俊介…!
(紅俊介)じゃあ行くわ。
おぅ。
何着替えてんだよ?何って…送ってくよ。
ふざけんなよ。
親に見送られる歳かよ。
おい俊介。
はるばる北海道の大学まで行くんだ。
女の子のケツばっかり追っかけてねぇでしっかり勉強してこいよ〜!あいててて…!父さんこそいい女見つけろよ!うわっ…!アイタ…。
弱っ!歳だな。
何〜!?お前本気で…!戸締まり用心火の用心。
じゃあな!おい俊介…!な〜にがいい女見つけろだ…。
お前よりいい女がいるわけねぇじゃねえかなぁ?
(咳)「咳をしても一人」か…。

(健人)ママー!ママ見て!火事だよ!
(弘美)火事…?ヤダ…!119番!あ…紫の雨が降ってる。

(徹)うわっ…ああ…!
(消防車のサイレン)この先だ!はい!白井以下火災調査班4名出動準備完了しました!現場は美津原市日の出町3丁目のプレハブ倉庫だ。
今のところマル3が1名出たという以外詳しい情報は入っていない。
情報や先入観より自分の目を信じろ!真実は必ず灰の中にある!行くぞ!
(一同)了解!則武的場は第一発見者および近隣住民への聞き込み。
(2人)はい。
高橋は写真撮影。
白井お前は俺と一緒に来い!了解!
(高橋)あ〜いけないカメラ!何やってんだ!?緊張感足んないぞ!
(高橋)すいませーん!
(灰田警部)随分気合入ってるじゃないか。
彼女でも出来たか?やめてください。
そういうプライベートな話は!…何ムキになってんだ?なんだ?お前その顔は。
熱でもあんのか?ここんとこちょっと風邪気味なんですよ。
それよりマル3が出たそうですけど容体のほうは?黒崎刑事が言ってたがお前の知り合いらしいぞ。
自分のですか…!?水沢美冴ってマジシャンの弟で水沢徹。
本当ですか!?そっちのプレハブはそのマジシャンの倉庫で弟は管理を兼ねてここで寝泊まりしていて火災に巻き込まれた。
ねぇ…とにかくいいから早く会社辞めて。
主任病院へ行ってきてください。
何言ってるんだよ…。
そういうプライベートを現場に持ち込むのは…。
被害者から話を聞くのも火災調査官の大事な仕事です!主任ここは俺に任せてください。
白井…。
お願いします!徹…イヤ…。
(美冴の嗚咽)黒さん…。
(黒崎一)おお紅。
ずっと意識不明の重体だったんだがなつい今しがた。
そうですか…。
これから司法解剖だ。
(看護師)すいませんここから先は…。
(嗚咽)美冴さん…なんて言ったらいいか…。
(石橋刑事)黒さん!目撃者が出たそうです。
ゆうべ火災があった時それを雨の中で笑って眺めていた女がいたと。
(黒崎)笑って眺めてた…?真っ赤なコートに赤い傘を差してたそうです。
あの女よ…!あの女が徹を殺したのよ!あの女が火をつけたのよ!美冴さん…。
ねえ室井都!弟の会社の女社長です!お願い!あの女をすぐに逮捕して!お願い!落ち着いて…。
どうしてそう思われるんですか?弟は室井玩具というオモチャ会社に勤めてました。
そこで弟が担当していたオモチャから発ガン性の物質が発見されたんです!弟は会社の反対を押し切ってすぐに回収作業を始めたんです。
1つたりとも市場に残さないでくれ。
子供たちの健康と安全にかかわる事なんだ。
その結果…会社は5億近い損失を出しその責任はプロジェクトのチーフだった弟にすべてかぶせられたんです!お前らなぁ…いくら会社に迷惑かけたと思ってるんだよ!?5億だぞ!5億!
(芳村正樹)しかしあの素材を使おうと言い出したのは専務じゃないですか!少なくとも水沢主任は使う事に反対してました。
言い訳言ってんじゃない!…水沢!お前のおかげで会社潰れるんだよ!300人の社員が職をなくすんだ!2000人の下請けの家族が路頭に迷うんだよ!
(室井都)やめなさい。
つまらない責任のなすりつけは。
いえ…すいません。
でも会社の倒産を救う方法がひとつだけあるわ。
あなた方3人のうち誰か1人が死ねばいいのよ。
どういう事なんですか?それは。
弟は取引先の海外に行く事も多いので会社を受取人にした3億円の保険に入ってました。
他の2人もです!だからあの女社長は…弟たちに自殺を勧めたんです…!自殺を…!?焼けが一番激しいし出火場所はここだな。
(則武)ガス検の結果は?ガソリンも灯油も出なかった。
(都)ええいましたよ。
あの火事が起きた時あのプレハブの前に。
なぜすぐに通報しなかったんですか?実は妙な噂がありましてねぇ。
水沢徹さんの保険金欲しさにあなたが火をつけたんじゃないかという。
フフッ…バカバカしい。
そこの消防官の人火事を見た時に通報しなかったり消火を手伝わなかったりしたらそれが何かの罪になるの?ならないわよねぇ?なりません。
通報義務は消防法に規定はされていますが罰則はありません。
でもそれは通報義務は法律で規定するよりも道徳的な規範として…。
ストップ。
そこまで。
あなたから道徳の話を聞こうとは思っていないわ。
(黒崎)おっしゃるとおりです。
ですがあなたは水沢徹さんに会社を受取人とした多額の保険をかけている。
もし彼が火災の中にいる事を知っていて助けなかった場合それは少し事情が違ってきますね。
会社の損失を補填するために自宅のマンションを売り払った事は聞いてました。
でもどこに泊まってるかまでは…。
それじゃあどうしてあそこにいたんですか?しかもあなた火事を見て笑ってたそうじゃないですか。
笑っちゃいけないんですか?火事を見て笑ったらそれが何かの罪になるなんてそんな話私聞いた事がないわ。
あなたねぇ…!あなたそれでも…!よせ紅。
よせ…。
貝塚専務。
あなたはその時どこにいらっしゃいました?サウナです。
栄町の。
まあそこで社長から連絡をもらいましてね。
火事を知ったんですけど。
正直私も笑っちゃいました。
会社に5億もの損失を出したんですよ彼は。
天罰が下ったなって。
ハハハ…。
ああ…これも何かの罪になるのかなぁ?「笑い罪」…?
(貝塚)「笑害罪」だ…ハハハ…!
(貝塚)うまいな!ハハハ…。
そんな事言ってるんですか!?その女社長と専務って。
許せなかったよ…。
黒さんがいなかったらつかみかかってたかもしれない。
それより出火原因の特定出来たのか?残念ながら…。
ただ赤外線分光分析装置にかけたところカリウムとリンが検出されました。
カリウムとリン…?亡くなった水沢さんのお父さんは以前農業をしていてあのプレハブは肥料の倉庫に使ってたという話ですからそれが燃えて検出されたんだと思います。
紫の雨…。
白井このプレハブの前のマンションからの目撃証言は?自分が聞き込んできました。
ただ相手は5歳くらいの男の子で話に信憑性は…。
バカ野郎…!主任…!紫の雨…。
それじゃあここから紫の雨を見たんだな?うん見た。
すごいキレイだったよ!おい…ありがとな。
主任…。
他にもいくつかの目撃証言が取れた。
あの日紫の雨が降ってた事は間違いない。
最低ですね俺。
それに気づきませんでした。
誰にでもミスはあるさ。
子供の話だからといって高をくくらない事だ。
火災調査官失格ですよね。
俺は梢さんと結婚したいがために一生火災調査官でいられると嘘をつきました。
筒先にはならないと嘘をつきました。
よせ!それとこれとは関係ない。

(観客の感嘆の声)
(拍手)主任!お連れしました。
それでは検証実験を始めます。
これは火災で燃えたあのプレハブの模型です。
美冴さん弟さんはマンションを引き払ってからこちらの部屋で寝てらしたんですよね?ええ。
そして隣の部屋には亡くなったお父様が保管していた肥料が置いてありました。
はい。
このプレハブは築30年以上経ったものでかなり老朽化が進み数か所から相当な雨漏りがありました。
そうですね?ええ。
でもなぜそんな事?白井雨を頼む。
はい!すいませんが一歩ずつお下がりください。
放水!放水!おとといの1時間あたりの雨量は16ミリ。
雨は5時間降り続き雨漏りした水が肥料に染み渡っていきました。

(石橋)あっ燃えた…!紫…?そうです。
紫の炎です。
下がって!消火!
(4人)了解!なぜ紫の炎が出たんだ?実はこのプレハブの中の燃焼物を分析した結果多量のカリウムとリンが検出されたんです。
恐らく肥料が長期保管されていた環境の中でカリウムが水や湿気に反応して自然発火しそれがリンに燃え移りさらにその炎が近くの可燃物を燃やし延焼が拡大したものと思われます。
自然発火…!?ちょっと…ちょっと待ってよ紅さん!じゃああの火事は放火じゃなくて自然に火がついた事故だって言うの!?そうです。
則武!
(則武)はい!これはカリウムを含ませた布です。
そしてこれはリンです。
まずカリウムに着火します。
ご覧のように炎の色はピンクです。
次にリンに着火します。
リンからは青白い炎が出ます。
これはカリウムとリンの炎色反応によるものです。
そしてこの2つを合わせると…。
これが紫の炎。
紫の雨の正体です。
嘘よ…!そんなのデタラメよ!どうしてよ紅さん!なんで犯罪者の味方するの!?あの室井都は火がついて中で焼け死んでいく弟を笑って見てたのよ…!?そういう人間なのよ!美冴さん!君の気持ちはわかるよ。
でも灰の中の真実は1つなんだよ。
間違いなくこれが火災の原因だよ。
見損なったわ…。
あなたがそんな人だとは思わなかった。
ひどい…!美冴さん!これでいいんですか!?人が焼け死ぬのを見て笑っているやつを捕まえる事…!いいわけないだろう!いいわけないが灰の中の真実は動かせないんだ。
…クソッ!ですが黒さん。
もし…もしもですよ。
あの室井都という女社長がこの自然発火を予測出来ていたとしたら…?なるほど…。
それで雨の日にわざわざその可能性にかけてあのプレハブを見に行った…。
そういう事です。
そしてさらにそれを助長するような行為…例えばもっと雨漏りがするように屋根や天井壁に穴を開けるなどの工作をしていたとしたら…。
これは立派な犯罪ですよね?わかった。
その線でもう一度調べてみるよ。
お願いします。
欲しいのは自然発火を予測しそれを増幅させた証拠だ。
頼むぞ!
(則武)はい!クソ…ダメですね。
何も出てこない。
(ブザー)
(アナウンス)「火災指令火災指令」「絹山町4丁目で建物火災」絹山町4丁目…?白井さん梢さんの店のほうじゃ…?「目標は美津原市役所北側100メートル…」
(無線)「美津原1から美津原消防」「春山第一ビル2階の中華料理店厨房から出火」
(消防隊員)頑張ってください…!お願いします!あぁっ…!どうした!?大丈夫か!?店主がパニック状態で火を消そうとして暴れて救助の際…。
(消防隊員)立てるか!?
(消防隊員)はい。
私…やっぱりダメだな…。
(救急車のサイレン)すいません!梢さん!今の怪我をした消防士さんが勇一君だって考えたら…いてもたってもいられない…!ううん…違う。
勇一君が消防隊員として火災現場に向かった…それだけで…多分仕事が手に…。
もちろん消防官の仕事が大事なのは私だってわかる。
でも…辞める事出来ない?辞めて私のために。
お願い!俺…辞められないよ。
そう…。
ダメかな…?続けちゃ。
ごめんね…。

(ため息)壁の内部天井裏くまなく検分したが腐食による雨漏りが2か所認められただけで今のところ工作の痕跡は発見出来ていない。
(ため息)
(咳)
(車の走行音)美冴さん…!俺の事を怒ってるのはわかるよ。
でも…。
「でも真実だから仕方ないだろう」でしょう…?わかってる…。
でもこの腹立たしさどこにぶつけたらいいの?弟は…徹はもう帰ってこないんだから…!美冴さん…!ごめん…弟の写真この倉庫にあると思って取りにきただけだから。
(階段を上る音)これ…!美冴さん!この消火器設置したのいつかな?2年ぐらい前だけど…。
2年前…。
向こうのプレハブも?同時に。
やっぱりそうか…!何をやってるんだ?君は。
ああどうも。
誰の許しを得て…?いや消火器の点検に伺っただけです。
でも1つ不思議な事に気づきました。
何かしら?不思議な事って。
今こちらのビルに設置してあるすべての消火器をチェックさせてもらったんですがなぜかこの1本だけが他の消火器とはメーカーも製造された年も全く違うんです。
しかもこの消火器は先日火災で亡くなった水沢徹さんのプレハブに元々設置してあったものと同じ製品なんです。
(都)そう。
じゃあ水沢君会社のものを持ち出して自分のところの消火器と取り替えたのね。
困った人ねぇ。
それは考えにくいですね。
なぜならお宅の会社に設置されてる消火器はすべて5年前のものなんです。
ところがこれは2年前のものです。
2年前の消火器をわざわざ5年前の消火器に取り替えたりするでしょうか?知らんなそんな事は。
関係ないだろう私たちには。
落ち着きなさい貝塚専務。
私たちは何も悪い事をしてないんだから。
確かに火事で燃えているプレハブを消火しなくても通報しなくても罪にはなりません。
(都)でしょう。
しかし…あらかじめ火事が起きる事が予測出来ていてそこに設置されていた消火器にもしなんらかの細工をしたとしたらそれは立派な犯罪です。
保険金が絡んでいるとすれば当然支払われません。
それだけじゃない。
その他の証拠を集めれば…殺人罪として起訴する事も可能です。
社長…ちょっと…!何おたついてるの!?しっかりしなさい!やっぱりそういう事ですか。
次は俺ですか!?でも俺は水沢主任のように大人しく殺されたりはしませんよ。
芳村…。
あああのプレハブの床壁燃え残ったものをすべて調べてくれ。
わかりましたやってみます。
あの…主任。
なんだ?あ…いえなんでもありません。
俺頑張ります!はぁ?おい白井…。
(ため息)芳村君…!
(美冴)ちょっと聞きたい事あるの!
(美冴)ねえ芳村君!何か知ってるんでしょう!?なんです?なんの話です?ねえ徹はあの女社長と専務に殺されたのよ!ねえその事で何か知ってるんだったら…。
考えすぎです。
僕は何も知りません。
徹はあなたの事信用してたのよ。
自分の仲間だって!ねえ知ってるんだったら何か教えて…!僕は本当に何も知らないんです!芳村君…!美冴さん!あの男は?あ…徹の部下で芳村君っていうの。
一番気心がわかってて信用していた人なの!だから…弟の事で何か知ってるんじゃないかと思って…。
わかった。
じゃあ俺から警察に連絡しておくよ。
黒さんが何か聞き出してくれるかもしれない。
主任!プレハブの焼損物からは消火剤が検出されませんでした!しかも消火器本体からは微量の消火剤が検出されましたがこのホースの中からは全く検出されませんでした!消火器は空だったんです!やっぱりそうか…!あらかじめプレハブに設置してあった消火器と会社から持ち出して中身を抜いておいたものをすり替えて火がついても消火出来ないようにしておいたんだ。

(徹)おいこれ…おい…!おい!?なんだこれ!?おい…!なんてやつらなんだ…!これは立派な犯罪です!黒崎さんたちに知らせましょう!もちろん報告はしなくちゃいけない。
だけど立証出来るのかな?やつらがすり替えたと…。
(的場)何言ってんだよお前!腹立たねぇのかよ!?こんな卑劣な事する連中に…!もちろん立つさ。
だけど感情論だけじゃどうにもならないだろう!これをすり替えた人間を割り出すか目撃した人間を探し出さないと…!白井の言うとおりだ。
そういう人間を見つけるしかない。
(刺す音)
(芳村)ああっ…!
(ノック)紅だけど…。
ああ…うわっ!何があったの?どうしたの?さっき芳村君のマンションに行ってきたの!そしたら彼…殺されてた!殺されてた!?やっぱり彼何か知ってたのよ!だからやつらに…。
警察には連絡した?ううん!どうして!?だって…!
(ノック)
(黒崎)水沢さん!警察ですけど。
ちょっとお伺いしたい事がありまして。
紅…!水沢さん芳村正樹さん殺害の件でお訊きしたい事があります。
署まで来てください。
あなたが芳村さんのマンションから飛び出してきたという目撃証言があるんです。
間違いないわ!私あの人のマジックショーこの間見てきたばかりだもん。
ですから芳村君に電話で言われたんです。
買ってほしい情報があるって。
(美冴の声)それで指定された時間にマンションへ行ってみたら…。

(灰田)買ってほしい情報なんて作り話じゃないのか?あんたは芳村正樹が何かを知ってると思い詰め寄った。
言わなければ殺すと。
私はそんな…。
(灰田)この凶器に芳村正樹の血液とあんたの指紋が付いてた。
え…?それ…!?何これ…!?このペーパーナイフをあなたは捨てたんですね?その時の状況をもう少し詳しく話していただけませんか。
周りに誰かいませんでしたか?それを見てた人とか。
あ…気づきませんでした。
芳村君に会う事しか頭になかったから…。
(紅の声)車の上にペーパーナイフがですか?
(黒崎の声)彼女がそう言ってるんだがな…。
まだ手がかりが何も出てないんだ。
(紅の声)そうですか…。
黒さんありがとうございました。
ちょっとすいません!はい。
昨日の夜の7時から8時の間なんですけれどもあの白い車の屋根にペーパーナイフがあったの気づきませんでしたか?あの車っすか?ええ。
いや見なかったっすね。
あそうですか。
どうも。
ちょっとすいません!ゆうべの7時から8時なんですけどその車の屋根にペーパーナイフが置いてあったのを見てませんか?昨日は来てないから知らないね。
あそうすか…。
すいません。
(ため息)ああお仕事中ちょっとすいません!ゆうべはこちらに配達に見えましたか?来てないです。
そうですか。
失礼しました。
(ため息)
(咳)主任!白井…!?なんだお前。
今日明けだろ?こんなとこ来てないでとっとと梢さんとこ行ってこい。
いいんですその事は。
いいってお前…。
俺…梢さんとは別れましたから。
別れた…?はい。
だから主任の調査を手伝います。
それは断る。
これは火災調査とは関係ない事だ。
やっぱりね。
そう言うと思ってましたよ。
じゃ俺はここを当たります。
なんだ?それ。
室井玩具から持ち出した消火器を水沢徹さんのプレハブの消火器とすり替えたとするとどこかで消火剤を捨ててるはずなんです。
それを突き止めようとこんな地図を作ってみました。
赤丸で囲ってある所が人目に付かない所です。
白井…。
俺だって消防官です。
火をもてあそぶやつはやっぱり許せません。
行ってきます。
おいちょっと待て。
お前梢さんの事そんなに簡単に諦められるのか?一度お前の気持ちを思いっきりぶつけてみろ!本当ですか!?本当にあの車の上にペーパーナイフがあったのを見たんですね?ええ。
通りかかった時なんでこんなもんがこんなとこにあるんだろうってそう思ったから間違いないです。
あなたは車の上にあったこのペーパーナイフをどう手にしてどう捨てましたか?こうだったと思います。
やっぱりね。
指の指紋もその形で付いていました。
つまりねその持ち方だと人を刺すまでの力が入らないというのが鑑識の結論です。
しかしそんな事いくらでも偽装出来る。
それと俺たちが見つけられなかった目撃者を紅が執念で見つけてくれました。
え…?美冴さん…。
もうこれ以上私にかかわらないほうがいいわ。
えっ?私…この先あの連中に何をするか自分でも自信ないもん。
何バカな事言ってるんだよ。
警察だってちゃんと調べるって言ってるんだし。
それ信じよう。
でも…あの連中は徹を殺したのよ!そしてその事を知らせようとした芳村君も殺して私に罪を着せようとした。
確かにそうかもしれないよ。
でもだからって…。
あの女社長だけは絶対に許せない…。
まさか…。
だったら俺は君から一歩も離れないぞ。
君にそんな真似は絶対させないからな。
ほっといて!いつまでいるつもり?君がバカな真似はしないって約束…。
(咳)約束してくれるまでだよ。
ホテルマンに頼んでたたき出してもらう。
たたき出されたらまた張り込むよ。
何度でもね…。
君は…順子が亡くなった時泣きじゃくる俊介を何度も何度も母親みたいに抱きしめてくれた。
俺も俊介も君には本当に感謝してんだよ。
だから今度は俺が…。
抱きしめてくれるの?あいや…それは…。
負けたかもね…紅蓮次郎に。
(笑い)話したかな?私がなぜ手品を始めたか。
いや。
これはね私が最初に覚えた手品。
切って。
母が早く亡くなって父も仕事で忙しかったから弟が寂しがってね。
それを慰めようと手品を覚えたの。
はい。
私は言ったわ。
「徹好きな山を1つ開けてごらん」…。
(美冴の声)「その山の中にはお姉ちゃんのあなたに対する思いが全部詰まってるよ」って。
(徹)ああ〜全部ハートだ!お姉ちゃんすごい!
(美冴の声)弟はすごく喜んだ。
「お姉ちゃんすごーい!」って。
あの笑顔が見たくて…。
あの笑顔に支えられて今まで…。
美冴さん…。
ごめん。
わかってる。
あとは警察を信じて任せて…でしょ?いいわ!今夜はとことん飲む。
くだ巻いて迷惑かけてもいい?いいよ。
どんどんかけてくれ。
ねぇ好きな山1つ開けてみて。
ねぇちょっと…ちょっとごめんね。
(咳)どうも…。
ここのホテルのシェフうちの叔父さんの知り合いでそれでちょっと…。
梢さん。
君と白井の恋愛に口を挟む気はないよ。
ただ…お父さんと一緒に昔命懸けで炎と闘ってきた人間としてひと言だけ言わせてほしい。
お父さんは家族をないがしろにするような人間じゃなかった。
どんな時もたとえ火災現場でさえ君やお母さんの事を思って闘ってたよ。
君にどうしても行ってもらいたい所があるんだ。
どうぞカウンターに。
紅さんから電話をもらいました。
どうぞ。
(まり子)どうぞ。
早速握らせてもらいますね。
(寿司政)トロイカ穴子。
あなたのお父さんが一度だけこのお店に来られた時に召し上がったものです。
一度だけ…?どういう事なんです?どうして紅さんは私にこちらへ伺えと?おいまり子!あの記事頼む。
どうぞ。
これは…父!?
(寿司政)25年前うちが火事を出し当時10歳だった私はあなたのお父さんに命を救われたんです。
(寿司政)だから店を持った時紅さんに頼んだんです。
命の恩人のあなたのお父さんを連れてきてほしいと。
(寿司政の声)でもあなたのお父さんは命の恩人だなんて呼ばれる事を嫌がりこう言ったんです。
(田無勉)じゃ3貫だけごちそうになるよ。
トロイカ穴子それだけでいい。
ずっと苦労をかけてきた女房を亡くしちまってね…。
その女房が好きだったネタなんです。
(寿司政)食べてお父さんは泣いていた…。
「消防官やってて間違ってなかったよな?」と亡くなった奥さんに呼びかけながら…。
私みたいな人間を助けるためにお父さんはあなた方家族に寂しい思いをさせていたのかと思うと申し訳なくて…。
それに私には…こんな命まで授かって。
助けてくれてありがとうございました。
(まり子・正太)ありがとうございました。
さあ召し上がってください。
お願いします。
私…。
私こんなお寿司初めて…。
おいしい…。

(咳)何…何咳なんかしてんの?ここんとこちょっと風邪気味…。
(咳)何ちょっと大丈夫?ねぇちょっと…蓮次郎!ああ…。
(包丁の音)おはよう。
あっ起きた〜?ごめんねゆうべは…。
(咳)バカよね〜。
あんなに熱があって私に付き合うなんて。
体力には自信あったんだけどさ。
なんかかえって迷惑かけちゃったね。
それより帰らなかったの?もしかして。
帰れるわけないでしょう病人置いて。
すいません。
でも嬉しかった。
本気で自分の事心配してくれる人がいる。
それがすごーく嬉しくて。
紅蓮次郎!私順子に断ってあなたにプロポーズしちゃうぞ。
(笑い)あっまた冗談だと思ってんな…。
私も一緒に食〜べよ。
あこれだ。
おはしは…。
今日は休むでしょ?ちゃんと寝て風邪治さないと。
もう大丈夫だよ。
ダ〜メ!ちゃんと寝てなさい。
これは命令。
了解。
じゃあね。
ありがとう。
ねぇ…。
私本気になってもいい?返事はあとでいいわ。
じゃあね…。

(早苗)きれいな人ね。
うわっ…!?
(早苗の笑い声)
(咳払い)ねぇ〜あの方が紅さんのいい人〜?いや…いい人ってわけじゃないよ。
でも良かった〜。
紅さんにもああいう方が出来て。
「にも」?ほら俊介君は北海道の大学行っちゃって円は京都の大学行ってこのところ疎遠になってたでしょ〜。
ああそうですね。
紅さんどうしてるかな〜って心配してたの。
私1人だけ幸せになっちゃまずいし…。
え?それどういう…?私たちねお見合いサークルで出会ってすごーく気が合っちゃって。
もうそろそろけっこ…。
…結婚!?アハハ…ダメダメダメ…。
ね!紅さんもだから幸せになってね。
早くお一人様卒業してね。
じゃあね。
(ため息)お一人様を卒業か…。
水沢様お荷物が届いております。

(電話)はいもしもし。
あなたと話がしたいの。
私の手元には芳村君から送られてきた手帳がある。
ここにはあなたたちがやった事がすべて書かれてるわ。
嘘よ。
そんな話私が信じると思うの?じゃあこの手帳を警察に持っていくわ。
取り返したかったら7時に私のプレハブに来る事ね。
待ってるわ。

(鐘)
(鐘)あの手帳…。
本当にあんな手帳が…。
まさか墓石の中に隠そうとでも…。
あり得るわ。
行って取ってきなさい。
私はこのまま彼女をつけるから。
ご命令とあれば。
何よ不服なの?あいえ…。
よく来たわね。
はっきりさせましょう。
変な濡れ衣着せられていい迷惑だわ。
すべて警察に任せるつもりだった。
でも黒革の手帳を見た時気が変わったの。
信じると思うの?そんな話私が。
(電話をかける音)あもしもし?今朝ありがとう。
ちゃんと寝てたよ。
病院も行ったし。
(美冴)「紅さん徹と芳村君がどうやって殺されたかわかったの。
今私のプレハブで…」「あっ!何するの!?やめて…」もしもし?
(電話の切れる音)もしもし美冴さん!
(不通音)
(美冴)あ…助けて紅さん!ああー!ああ熱い…!美冴さーん!美冴さーん!うわああー!うああー!バカじゃないんだよ!危ないって!放せ!俺は消防官だ!中に人がいるんだ!危ないって!放せー!美冴さん!
(消防車のサイレン)こっちだー!急げー!急げ!2階に要救助者1名!頼むぞ!
(消防隊員)進入!要救助発見!美冴さーん!美冴さーん!美冴さーん!美冴さん…!?うああー!美冴さん!美冴さん!生きてる…。
美冴さん!美冴さん!
(咳)
(咳)しっかりしろ!要救助者確保!大丈夫か?立てるか?あの…あの女が急に…!わかったからしゃべるな!しっかりしろ!手帳…!?えっ?手帳…!美冴さん?美冴さん!美冴さん!どうしたんだ?あっ…!?見るんじゃない!美冴さん…?美冴さん…!美冴さん!ガソリンか…。
その手帳には何が書いてあったんですか?消火器をすり替えた話とか…それを知っている自分は社長や専務に殺されるんじゃないかって。
そしてあなたはそれを室井都に突きつけ襲われた。
紅さんと電話をしている時でした。
急に襲われて…。
どういうふうに殺したかわかって。
私のプレハブでね…。
あっ…!その電話の様子がおかしかったんで自分は慌てて駆けつけたんです。
確かに室井都のポケットにはあなたに掛けた手錠の鍵が入っていた。
しかし頭部にあった打撲痕が…。
打撲痕があったんですか?
(岩橋刑事)黒さん!
(岩橋)見てください。
火災が起きた時すぐに駆けつけた近所の人が撮ったビデオです。
これは…!?どうしました?なぜ貝塚が…!?ひょっとしたら室井都を襲い火をつけたのは貝塚なんじゃないですかね?ええいましたよあの火災現場に。
室井社長を捜しにね。
で行ってみたらあの火災調査官がちょうどプレハブの中に飛び込もうとしてるのが見えて。
そしたらものすごい炎でしょう。
しかしあの火災の中で室井社長が亡くなっていたとは…。
あなたはこの会社のナンバー2だ。
確かに発ガン性物質を含んだ製品の回収問題で会社は揺れに揺れてたんでしょう?それに当の社長も会社を受取人とした高額な保険に入っていたんですよね?ちょっと待ってくださいよ!じゃなんですか!私が社長を殺して火をつけたとでも!?
(貝塚)冗談じゃないよ!
(貝塚)そんな疑いを持ってんなら帰ってくださいよ!全面否定ですか…。
(黒崎)ああ。
だがな…室井社長の頭部に残る打撲痕が気になる。

(黒崎)貝塚が室井都を襲い火を放ったという線なら納得出来るんだが…。
なあ紅。
はい。
最初の水沢徹の事件に戻るとどうなんだ?火災のプロとしてその…連中は消火器の中身をどこに捨てたと思う?それはうちの白井も気になってたようです。
白井!例の地図黒さんにお見せしろ。
はい!これです。
バツ印の所は調べました。
残りは2か所だけです。
ああ随分…よく調べてくれたねぇ。
はい。
あとはこっちで調べる。
いやぁ助かる。
ありがとう。
じゃ。
失礼します。
お前の調査が役に立つな。
だといいんですけど…。
で主任…。
なんだ?今夜30分でいいんです。
付き合ってほしい所があるんですけど…。
え…?ここ…梢さんのアパートじゃないか。
今日…梢さんの誕生日なんです。
えぇ?で俺…主任の言うとおり最後に自分の気持ちをぶつけてみようと思って…。
お前そういう事は俺のいない所でやれよ。
どうせフラれるんです。
だから見届けてください。
見事にフラれるところ。
(チャイム)
(梢)「はい」白井です。
誕生日おめでとう。
…切らないで!「あれから考えたんだ」「なぜ消防官辞められないのかって」俺この仕事が好きなんだ。
ホースを握って消火に当たった現場で人を助け出した時すすで顔を真っ黒にした人が「ありがとう」って…。
そういう事がすごく嬉しいんだ。
「いやもちろんありがとうって言われたいから消防官をやってるんじゃない」俺は人間が好きなんだ。
人間が好きだからその人間の命を守りたいと思って消防官をやってるんだ。
助けてくれてありがとうございました。
(まり子・正太)ありがとうございました。
そしてその人間の中で一番…一番大好きなのは梢さん…君だ。
もし辞令が下りて消火活動の最前線に立つ筒先になったらその火災現場に君がいると思って君を助けようと思ってホースを握る。
君を死なせたくない…。
その思いだけでこの仕事を続けていく。
俺は死なない。
どんな危険な現場でも君がいるから死なない。
俺に消防官を続けさせてほしい。
「君を守るために消防官を続けさせてほしい」お願いだ!君が…。
君が好きなんだ。
死なないで!私も…消防官の妻としてあなたを絶対死なせない。
梢さん…。
死なせないから!主任…今梢さん「消防官の妻として」だって…。
良かったなぁ。
良かったな白井。
ありがとうございます。
でもお前抱きつく相手が違うだろ。
ありがとうございます!おい…!俺に抱きついてどうするんだ!ほら。
行ってこい!あっ…!
(瓶の割れる音)おい大丈夫か?お前。
どうしよう…。
えっ?ああ良かった。
マニキュア割れてない。
マニキュア?誕生日のプレゼントです。
あ…除光液のほうダメだ。
いいから。
行け。
はい…。
柄にもない事しやがって…。
除光液…?まさか…。
嘘だー!うああー!もう観念するんだな!
(黒崎)ここだ!室井玩具から持ち出した消火器の中身を捨ててるお前を見た人間がいる!いや…俺は室井社長に命じられたから…。
そしてそれに気づいた芳村正樹をお前は殺害した!いや違う!芳村を殺したのも社長だ。
3000万…3000万でどうです?なんの事?とぼけるな。
あなたは貝塚専務を使ってあのプレハブの消火器を空の消火器とすり替えた。
俺がこの情報を水沢主任のお姉さんに渡せば水沢主任の3億の保険金も入ってこなくなるんですよ。
安いもんでしょ?3000万…。
どうです?ふざけないで。
あなたの言いなりになんかならないわ。
そうですか。
じゃあ…。
(電話をかける音)
(刺す音)
(芳村)ああっ…!そして俺は社長からすぐに連絡をもらい水沢美冴に罪を着せるためにペーパーナイフを受け取りそれを彼女の車の上に置いた。
(貝塚の声)彼女の指紋を付けるために…。
そしてお前は芳村正樹が証拠となる手帳を水沢美冴に送ったと知りそれを取り返そうとした。
あの女が墓の中に隠したのは黒革の手帳なんかじゃない!
(貝塚の声)トランプだ。

(美冴)ええ入れたわ。
お墓にトランプを。
手品が大好きだった徹のせめてもの供養にと思って…。
美冴さん…やめようよそんな悲しい嘘つくのは。
嘘…?君がトランプを入れたのは室井都や貝塚専務の目を欺くためにだろ?お墓に黒革の手帳を隠したと思わせてね。
何言ってんの?なんで私がそんな事しなきゃならないの?室井都を…殺害するためだ。
やめてよバカバカしい。
殺されかけたのは私なのよ。
もう少しで焼け死ぬところだったのよ。
あなたが一番よく知ってるじゃない。
ここに1枚のハンカチがあります。
でもこれはただのハンカチではありません。
魔法のハンカチなんです。
今からこのハンカチに火をつけます。
ご覧のようにハンカチは激しく燃えています。
しかし…。
燃えない魔法がかかっているためハンカチは…このとおり元のままです。
魔法のタネ明かしは…これだ。
このマニキュアを落とすための除光液と同じ成分のアセトンにハンカチを浸しておいたんだよ。
つまりライターの火は気化したアセトンを燃やしただけでハンカチそのものは燃えていなかったんだ。
君があのプレハブで俺に見せたマジックと同じ仕掛けだよ。
(美冴)ああー!ああ熱い…!君はあの時室井都を殺害するためのイリュージョンを演じてみせたんだ。
(美冴)あっ!何するの!?何してるの!?気持ち悪い。
帰るわ。
そして俺の姿が見えると1階に火を放ち…。
アセトンを染み込ませたカーテンに火をつけ俺に助けを求めた。
それからマジックで使う不燃物の大きな箱の中に身を潜めたんだ。
美冴さん…。
火元は…君だ!なぜだ?どうして…?どうしてこんな事したんだ!?あなたに言われて…一度は復讐なんて忘れて生きようと思った。
あなたとの未来を…本気で考えたわ。
でも…。
この手帳が届いたの。
この手帳本当は室井玩具の総務が送ってきた徹のものだったのよ。
(美冴)ここには徹が社長の室井都と専務の貝塚からどんなひどいいじめを受けていたか細かく書かれてた。
(美冴の声)そして徹の悔しい思いも…。
それだけじゃない。
徹は室井都に焼き殺されたのよ。
あの女は死んでいく徹を笑って見てたのよ。
やっぱり許せなかったの…。
あの女だけは。
徹がどんなつらい思いでどんな悔しい思いを抱えたまま火に焼かれて死んでいったか…。
順子を火事で亡くしたあなたならわかるはずよ!美冴さん。
2人で生きてきたの!笑う時も泣く時も一緒…。
2人で支え合って生きてきたのよ。
徹にもうマジックを見せてあげる事は出来ないのよ。
わかるよ…。
火事はマジックじゃない。
燃えたものは決して元には戻らない。
すべてを灰にするまで燃やし尽くすんだ。
16年前…火は俺からすべてを奪った。
お母さーん!思い出の詰まった家具家大切な順子の命…。
そして家族の幸せな未来まで…。
順子…!俺は火が憎い…。
火をもてあそぶやつはもっと憎い!その思いだけは16年経った今でも燃え尽きる事がないんだ!だから…だから俺は火災調査官になったんだよ。
この憎しみの炎で明日の火を消すための情熱を燃やし続けて今日まで火と闘ってきたんだ。
美冴さん…。
君はマジシャン失格だ。
君はマジックを人を殺すために使った。
君のマジックは人を幸せにするための人を楽しませるためのものじゃなかったのか?徹君だってそう願ってたはずだよ。
紅さん…。
そして俺も消防官失格だ。
こんなに近くにいたのに君の憎しみの炎を消す事が出来なかった。
君に…火をもてあそばせてしまった。

(美冴)ごめんなさい…!
(嗚咽)
(パトカーのサイレン)さあ立って。
美冴さん!出来る事なら…君のマジックにずっと騙されていたかったよ。
先輩…。
俺…。
なんにも言うな。
大丈夫だよ俺は。
あんまりですよ。
どうして先輩はいつも火事で大事な人を…。
宿命だよ。
愛しいものたちを奪っていく火と闘い続ける…。
それが紅蓮次郎の宿命なんだろう。
そんな…。
そんな人生つらすぎます。
だがな白井。
あいつの背中を見てみろ。
(黒崎)痛みを1つ背負うたびに強く優しくなってきた背中だ。
消防官の大きな背中だ。

(早苗)紅さん!ねぇ〜この間紹介した彼ったらね4回も結婚しててひどいのよ〜。
早苗さん!今は先輩をそっとしておいてあげてください。
なんでよ?あっ…。
ダメですよ。
早苗さん…!紅さん!私たちは結ばれる宿命でーす!お願いですから。
早苗さん!行きましょう。
梢さんの手作り弁当なんて隊員たち喜ぶなぁ。
はい!じゃ紅さんにもよろしくね。
はい。
じゃ。
うん。
いいか!火災現場は一期一会だ。
様々な人間たちの思いが焼け残る現場で灰の中から真実を掘り起こすんだ。
真実は必ず灰の中にある。
行くぞ!
(一同)了解!
ミュージカル劇団・発起塾
所属する団員の平均年齢はなんと64歳
2015/07/13(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
火災調査官・紅蓮次郎[再][字]

雨が燃やす紫の炎!!火の海から女マジシャンを救え!!灰の中の殺人発火トリックとは!?

詳細情報
◇番組内容
紅蓮次郎は部下の火災調査官・白井と婚約者の梢との会食で、梢から不本意な言葉を聞いてしまう!!そんな中、紅の知人の女性マジシャン・美冴の所有するプレハブ小屋から出火、美冴の弟が死亡する!! 人気シリーズ第9弾!紅の恋心の行方は?
◇出演者
船越英一郎、河相我聞、平泉成、マギー、山下容莉枝、床嶋佳子、中澤裕子、渡辺典子、斉木しげる、長谷川朝晴 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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