(花山)このまま別れたらあの2人は二度と心を分かち合えない。
2人の間を取り持てるのはお前だけだ。
(恭子)お母さんを傷つけてしまうかもしれない。
それが怖いの。
(圭介)俺は会うつもりもないし許す気もない。
憎くないのかよ?俺たち捨てたんだぞ。
(恭子)このハンバーグ誰に習ったの?
(調)みさきのマスターに教えてもらったんだ。
(律)マスターから託されたんだ。
絹江さんの32年分の思い。
このまま絹江さんがいなくなったら絶対に後悔する。
(絹江)「お母さんは遠くからずっと恭子のことを見守っています」
(恭子)お母さん。
(律)お母さん。
律。
ごめんね。
せっかく路加君が来てくれてるのに。
(律)うちのことは気にしないで。
じゃあ行ってくるわね。
(律)お母さん。
今日はお母さんはお休みしていいからちゃんと娘になってきて。
絹江さん待ってるはずだから。
ありがとう。
律。
・
(ドアの閉まる音)・
(調)律兄ぃ。
母ちゃんどうしたんだよ?
(律)実はお母さん…。
お…お母さん?
(三崎)絹江?三崎さん。
大輔君。
お母さんは?
(花山)いなくなったんだ。
えっ?
(花山)すまない。
俺がちゃんと見てれば。
でもどこに?
(花山)ベッドの脇にこれが。
(絹江)「今まで迷惑掛けたね。
邪魔者は消えるよ」「あんたはあんたの人生を生きな」
(三崎)やっぱりあいつはあんたに顔向けができなかったんだ。
(花山)まだ本調子じゃないのに今無茶したら。
行き先に心当たりはないんですか?
(三崎)心当たりといってもあいつ特に出掛けることもなかったし。
お店だと思います。
えっ?出ていくにしてもきっと三崎さんに挨拶してから行くと思うんです。
確かにそういう義理堅いところがあったな。
とにかく行ってみよう。
(花山)戻ってくるかもしれないから俺はここに。
(三崎)何かあったら連絡してくれ。
行こう。
はい。
(律)《絹江さん。
ありがとうございます》
(調)《お願いします。
俺に料理を教えてください》
(奏)《カナからもお願いします》《私すごく幸せよ。
ありがとう。
お母さん》お母さん。
絹江。
(絹江)何しに来たんだい?今日は律の弟が来てんだろう?そんなものを持ってどこ行くの?
(絹江)さあね。
あの人の墓参りにでも行って後は足の向くまま気の向くまま。
(絹江)あんたには迷惑掛けたね。
もう二度と顔出さないから。
私はイタリアにでも戻ったとあの子たちに伝えといて。
体には気を付けるんだよ。
あんたはもう一人じゃないんだから。
(三崎)絹江。
いくら何でもこんな別れはねえんじゃねえのかい?体のことだってそうだ。
出ていくにしても病気をちゃんと治してから行けよ。
別に長生きしようなんて思っちゃいないよ。
あんたにも世話になったね。
こんな私を置いてくれて感謝してるよ。
ふざけないで。
勝手に出てって勝手に戻ってきてやっと会えたと思ったらまた…。
だったら何で戻ってきたの?私の気持ち何で聞こうとしてくれないの?私お母さんのこと恨んでた。
「何で出ていったんだ?」って。
そのせいでお父さんもつらい思いをして。
そんなお父さんを見るのもつらかった。
だから私は何もなかったように過ごそうと思ったの。
お父さんと圭介と3人でも幸せになってみせるって。
でもずっと心に穴があいてた。
お父さんも圭介も笑顔でいても全然笑えてなかった。
それって全部お母さんのせいなのよ。
すまなかったよ。
だから私は消えるって。
何でそうなるの?私お母さんの気持ちが分からなかった。
どうして出てったんだろう?私が駄目な子だから嫌いになったのかもって自分を責めてた。
でも…。
手紙くれてたんじゃない。
届かないのに何通も何通も何通も。
なのに最後の一通がこれ?こんな手紙ならもらっても少しもうれしくない。
私からもう逃げないでよ。
ホントの声を聞かせてよ。
お母さん。
恭子。
私も一日だって恭子のこと忘れたことないよ。
(絹江)私はあんたたちのことが大好きなんだ。
私はあんたたちより大事なものなんてこの世にはない。
あんたたちのそばにいられるならもう何にも望まない。
お母さんのバカ。
もっと早く言ってよ。
(泣き声)恭子。
お母さん。
もうどこにも行かないで。
ちゃんと長生きして。
私たちを見守ってて。
うん。
うんうんうん…。
よし。
焼けたよ。
(路加)おいしそう。
(調)母ちゃん遅いな。
お母さんならきっと大丈夫だよ。
(奏)だったらいいけど。
(路加)あのね。
僕お兄ちゃんにお願いがあるの。
何?
(路加)またお料理教えて。
(路加)今度ママに作ってあげるの。
おいしいもの食べたら笑顔になれるんでしょ?うん。
そうだよ。
じゃあレンジで作るポテトサラダ教えてあげるね。
やったー。
(奏)だったら練習兼ねてみんなで晩ご飯作ろう。
えっ?
(調)そうだな。
おいしいもん作って母ちゃんのことも笑顔にさしてやろうぜ。
路加。
今夜は超うまいポテトサラダ一緒に作ろうな。
(路加)うん。
(奏)材料見てこよう。
(調)あっ。
俺も行く。
(路加)僕も。
(花山)いやぁ。
もうとにかく無事でよかったですよ。
あの調子なら予定どおり退院できるでしょう。
ありがとう。
大輔君。
心配かけてごめんね。
いいって。
それじゃ俺はこれで。
(三崎)退院後のことだが絹江には店に戻ってもらおうと思ってる。
三崎さんさえよければ私は…。
あいつとはずっと店をやっていきたいんだ。
三崎さん。
母のことよろしくお願いします。
ああ。
いや…。
あのう。
ひとつ聞いてもいいですか?
(三崎)うん?調に教えていただいたハンバーグって…。
(三崎)ああ。
あれは絹江の味だ。
(三崎)一度だけあいつに無理やり作り方を教わって作ったことがあったんだ。
でもあいつそのハンバーグ見て泣きだしてよ。
悪いことしたと思ったよ。
あいつの心の中にはあのときのハンバーグがずっとあったんだ。
どうしようもない後悔と一緒にな。
お母さん。
今度あいつのハンバーグ食ってやってくれ。
はい。
ありがとうな。
あんたのおかげで絹江もやっと背負ってるものが下ろせる。
律のおかげなんです。
(三崎)うん?律が私の背中を押してくれたんです。
今日だけはお母さんはお休みでいいからちゃんと娘になってきてって。
あいつホントにいい子だな。
はい。
自慢の息子です。
よいしょ。
(調)いいね。
よし。
上手上手。
(調)いいね。
頑張れ。
(奏)頑張れ。
お芋の形がちょっと残るぐらいがおいしいからね。
(路加)うん。
・
(ドアの開く音)・ただいま。
おばあちゃんの退院の日聞いてきたからその日はみんなで行きましょう。
(路加)おばちゃん。
僕ポテトサラダ作るんだよ。
後でおばちゃんにも食べさしてあげるね。
ありがとう。
楽しみだわ。
食べたら笑顔になれる?えっ?うん。
おばちゃんすっごい笑顔になっちゃう。
やった。
僕頑張るね。
(調)よし。
行こうか?路加。
律。
ありがとね。
うん。
(一同)いただきます。
ああ…。
うん。
路加君。
このポテトサラダすごくおいしい。
ホント?うん。
久しぶりにお母さんの笑顔が見られた
それだけで何だか胸があったかくなったんだ
(三崎)書けたか?はい。
ああ。
これでうちもハンバーグ解禁だ。
それもこれも律。
お前のおかげだ。
いえ。
僕は何も。
・
(ドアの開く音)・
(奏)律兄ぃ。
おじいちゃん。
カナ。
(三崎)お前学校どうしたんだ?
(奏)テスト期間だもん。
午前中だけ。
だったらうち帰って勉強しなきゃ駄目だろう。
(奏)いいの。
律兄ぃに教えてもらったからばっちり。
それより今日はスポンサーが来てるの。
優。
斎木?
(若月)ちょうどそこでつかまっちまってな。
(斎木)俺は若月がけしからんことをせんようにお目付け役だ。
(三崎)お前らいいところに来た。
(三崎)今日は新メニューがあるぞ。
(若月・斎木)えっ?ジャーン。
(斎木)おお。
待望のハンバーグが。
(若月)どうしたんすか?マスター。
知ってる。
これおばあちゃんのレシピでしょ?おじいちゃん。
ああ。
そうだ。
ところでカナ。
今日は何しに来たの?金曜日おばあちゃんの退院祝いでしょ?だからおじいちゃんと相談しようと思って。
(若月)ってかカナちゃん。
さっきからじいちゃんばあちゃん言ってるけどどういうこと?
(奏)あっ。
2人はまだ知らないんだっけ?あのね。
おばあちゃんはうちのお母さんのお母さんなの。
(若月)えっ?
(奏)だからおばあちゃんは私にとってもおばあちゃんなの。
(若月)この数日の間に何が起きたんだ?色々あってね。
(斎木)でもおかしいだろ。
よしんば絹江さんが妹君のおばあさんだとしてもマスターは関係ないはずだ。
(奏)えっ?
(斎木)えっ。
知らないのか?だったら教えてやろう。
実はここの2人は夫婦じゃなかったんだぞ。
(奏)えっ?
(若月)ってか何で斎木が偉そうに言うんだよ?
(斎木)うん…。
あっ。
(奏)おじいちゃん。
おじいちゃんはカナのおじいちゃんじゃないの?うん?うん。
(奏)じゃあどうしておばあちゃんと一緒に暮らしてるの?えっ。
いや。
それは…。
(奏)おじいちゃんはおばあちゃんのことどう思ってるの?えっ?えっ…。
(奏)好きなの?嫌いなの?はっきり言って!
(三崎)うん…。
いや。
ああ。
うん…。
お母さんの思い全部ここに書いてあるから。
圭介がお母さんを恨む気持ちも分かるの。
私も同じように思ってた時期もあるから。
でもできれば圭介にもお母さんを受け入れてほしい。
(圭介)姉さんはもう許したのか?うん。
読むだけでも読んであげて。
退院は金曜日だから。
どうするかは圭介に任せるから。
・
(花山)こんばんは。
(絹江)はいよ。
(花山)どうですか?
(絹江)退屈だねぇ。
こんなに寝てばっかりいたら根っこが生えちゃうよ。
(花山)ハハッ。
もう少しの辛抱ですから。
(絹江)ハァ…。
はいはい。
病人はおとなしくしてるよ。
(花山)圭介は見舞いに来ましたか?いや。
来ないね。
この前圭介と飲んだんです。
(絹江)うん?あいつ深酒しちまって。
(絹江)しょうがない子だね。
あいつはあいつで色々考えてるみたいですよ。
(絹江)うん。
(若月)これでいい?
(奏)カレー王子。
右に5mm移動。
(若月)5mm?
(奏)ああ。
サイキックス。
左に2mm移動。
(斎木)2mm?
(奏)もう。
今日はおじいちゃんとおばあちゃんの大切な日なんだからしっかりしてね!
(若月・斎木)はーい。
(調)カナのやつやけに張り切ってんな。
今日は特別な日だからね。
(調)っていうかマスター大丈夫か?
(若月)こう?
(奏)違う!いいわよ。
行きましょう。
(絹江)はい。
(絹江)うん?さあお母さん。
(絹江)うん。
(拍手)
(絹江)あっ。
何だい?この騒ぎは。
(調)何って。
ばあちゃんの退院祝いだよ。
(奏)みんなで用意したの。
(環)おばあちゃん。
退院おめでとう。
(路加)退院おめでとう。
(絹江)あっ…。
ありがとう。
(一同)おめでとう。
おばあちゃん。
おめでとうございます。
(みつ子)あのう。
あのう。
圭介さんの妻のみつ子と申します。
初めまして。
あのう。
圭介さんたぶん今ごろこ…こちらに向かってると思います。
気を使わなくたっていいんだよ。
あの子は私を許してないんだろ?
(みつ子)いえ。
あのう。
そういうわけでは…。
仕方ないよ。
自業自得さ。
(環)パパ。
(みつ子)あなた。
(絹江)圭介。
(圭介)いやぁ。
いやいや。
母さん。
久しぶり。
ちっこくなったかな?何だよ。
こんな近くにいるんだったら言ってよ。
あっ。
あのう。
俺の嫁のみつ子。
(みつ子)もうご挨拶したわよ。
(圭介)えっ?そうなの?まあいっか。
とにかくめでたい。
さあ乾杯をしよう。
えーと。
あれ?ビールがないな。
(奏)駄目。
みんなでジュースで乾杯するの。
(圭介)何だよ。
ビール飲めると思って会社早退したのに。
(調)叔父さん。
酒目当てかよ?
(路加)おじちゃん。
ジュースでいいよね?
(圭介)路加君に言われちゃしょうがねえな。
(みつ子)すみません。
照れてるんだと思います。
(絹江)これからもよろしくね。
あんな息子だけど。
(みつ子)こちらこそよろしくお願いいたします。
もう…。
(奏)よし。
みんな揃ったところでおじいちゃんからおばあちゃんに重大な発表があります。
(絹江)えっ?まだ何かあるのかい?
(三崎)えー。
それは…。
あれだ。
(奏)もう。
早くしてよ。
(三崎)ああ。
ああ…。
(絹江)何なんだよ?いったい。
(路加)あのね。
おじいちゃん。
おばあちゃんにプロポーズするんだって。
(環)孫たちだけで考えたのよ。
これが私たちからの退院祝い。
(調)そういうこと。
(絹江)何言ってんだよ。
私たちはそういう関係じゃないよ。
(奏)でもおじいちゃん。
おばあちゃんのこと好きだって。
(奏)プロポーズするって約束したもん。
ねっ?路加。
(路加)うん。
約束したよ。
絹江。
お前の言うとおりだ。
いまさら夫婦なんて柄じゃねえよな?ただ俺もお前らの家族にしてほしいんだ。
俺を律や環や調や奏や路加の本当のおじいちゃんにしてくれ。
それでもってここにずーっといてくれ。
俺にはお前が必要なんだ。
仰々しいねぇ。
そんなこと言わなくたってあたしゃどこにも行きやしないよ。
ここは居心地がいいんだよ。
でなきゃ12年もいやしないさ。
(拍手)はい。
ありがとう。
(絹江)ありがとう。
お母さん。
今度子供たちの絵描いてくれない?
(絹江)どうかしらね。
もう10年以上も描いてないからね。
お願い。
私お母さんの絵が大好きなの。
(絹江)しょうがないね。
うん。
フフフ。
・
(ドアの開閉音)
(隆)急に連絡してすまない。
(真也)話って何?2015/07/13(月) 13:25〜13:55
関西テレビ1
明日もきっと、おいしいご飯 〜銀のスプーン〜 #31[字][デ]
律(高杉真宙)は絹江(藤田弓子)が娘・恭子(富田靖子)を捨てた後も彼女に手紙を書き続けていたと知る。手紙に涙した恭子は入院中の絹江のもとへ。ところが、絹江は…。
詳細情報
番組内容
絹江(藤田弓子)がイタリアにわたった32年前から、日本に残してきた恭子(富田靖子)たちに向けて書き綴っていた手紙の束。それを三崎(丸岡奨詞)から託された律(高杉真宙)は恭子と向き合う。「今日だけはお母さんはお休みでいいから、ちゃんと娘になってきて」
手紙に涙した恭子は、病院にいる絹江のもとへ。ところが、絹江は黙って姿を消していた。絹江は三崎の店にいた。
番組内容2
想いを振り払うように立ち去ろうとするところへ、恭子たちがやって来る。「もう私から逃げないで、本当の声を聞かせて」そう絹江に詰め寄る恭子に絹江は、ついに口を開き…。
その頃、真也(河井青葉)は週刊誌を前に悩んでいた。自分を虐待していた母親が体調を崩している。憎しみとも慕情とも分からぬ感情が真也を覆い包む。そんな中、真也の店に律と路加の実父・隆(和田聰宏)がやってきて…。
出演者
早川 律:高杉真宙
早川恭子:富田靖子
花山大輔:山田純大
雨宮真也:河井青葉
鈴井 環:岩田さゆり
茂木和彦:木本武宏
・
早川 調:前田旺志郎
早川 奏:田附未衣愛
雨宮路加:山口祐輝
・
一柳 隆:和田聰宏
鈴井みつ子:芳本美代子
小川絹江:藤田弓子 ほか
スタッフ
【原作】
『銀のスプーン』小沢真理(講談社「Kiss」連載中)
【脚本】
森山あけみ
【演出】
金子与志一
【プロデュース】
松本圭右(東海テレビ)
西 麻美(松竹)
原 克子(松竹)
竹内絵唱(松竹)
【音楽】
市川 淳
【主題歌】
高橋 優「おかえり」(ワーナーミュージック・ジャパン)
【制作著作】
松竹株式会社
【制作】
東海テレビ
ご案内
【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/ashita_gohan/
【公式ツイッターアカウント】
@hirudoraTokaitv
【LINE】
@hirudora
【YouTube】
好評配信中!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:28989(0x713D)