組み立てられたほこを試しに曳く、曳き初めが行われました。
アフリカウガンダ。
カリンズ森林保護区。
ここで世にも不思議な現象が目撃されました。
仲よく毛繕いする2匹のサル。
どこにでもある光景に見えますが実はこの2匹はまったく別の種類。
この森では別種のサル同士がまるで1つの家族のように一緒に暮らしているんです。
青みがかった色をしたブルーモンキー。
そして赤い尻尾に白い鼻が特徴のレッドテイルモンキー。
それぞれアフリカ大陸に広く分布するこの2種のサル。
一日中一緒に過ごす姿はここカリンズの森だけで見られるといいます。
種の垣根を越えて共に生きるブルーモンキーとレッドテイルモンキー。
お互いの尻尾を引っ張ってじゃれ合うのは子どもたち。
まるで血のつながった兄弟のように一緒に遊びます。
さらに恐ろしい天敵には互いに一丸となって立ち向かいます。
ブルーモンキーとレッドテイルモンキー。
一体なぜ違う種類のサルたちが一緒に暮らすんでしょうか。
今日はその不思議な関係の秘密に迫ります。
(テーマ音楽)ウガンダの西部。
標高1,400メートルほどの高原に広がるカリンズ森林保護区。
赤道直下にもかかわらずひんやりとした空気に包まれています。
早速森に分け入ります。
案内をしてくれるのは京都大学の橋本千絵博士。
橋本さんたちのチームは20年以上前からこの森に暮らすサルを研究しています。
早速大物が登場です。
絶滅の危機にあるチンパンジーですがこの森ではよく見られます。
こちらはロエストモンキー。
この辺りでしか見られないとても珍しいサルです。
カリンズの森に暮らすサルの仲間は6種類。
ここはアフリカ屈指の「サルの楽園」なんです。
森に入って20分余り。
ついにお目当てのサルを見つけました!赤い尻尾のこちらのサルその名もレッドテイルモンキーです。
白い鼻が特徴です。
体の大きさは40センチほど。
木の上で暮らす小型のサルです。
そのすぐ隣に別のサル。
ブルーモンキーです。
体長は50センチ。
レッドテイルモンキーよりも一回り大きな体格をしています。
ブルーモンキーとレッドテイルモンキーはそれぞれ30匹ほどの群れで暮らしています。
どちらのサルも群れのメンバーは1匹の大人のオスと10匹余りの大人のメスそしてその子どもたちからなります。
この森では異なる種類の群れ同士が総勢60匹にもなる大きな群れを作って一緒に暮らしているんです。
別種のサル同士の群れ。
一体どんな暮らしなんでしょうか。
こちらはレッドテイルモンキー。
足の間から小さな尻尾がのぞいています。
顔を出したのは生まれて3か月ほどの赤ちゃん。
一日中お母さんのおなかにしがみついて過ごします。
こちらブルーモンキーのおなかにも赤ちゃんがいます。
あっ顔を出しました!今はどちらのサルも子育ての真っ最中なんです。
しばらくすると群れが移動を始めました。
ブルーモンキーとレッドテイルモンキー。
どちらも一緒に同じ方向へと進んでいきます。
移動するのはもっぱら木の上。
地面に降りることはめったにありません。
細い枝の上を走るブルーモンキー。
あっ跳んだ!でも落ちていきます。
大丈夫?枝につかまりました。
木から木への大ジャンプ。
ちょっと危険そうにも見えますが地面に降りずにすむため効率的なんです。
小柄なレッドテイルモンキーも助走をつけて…ジャンプ!こちらも抜群の跳躍力で渡っていきます。
今度はおなかに赤ちゃんを抱いたお母さん。
大丈夫でしょうか。
無事に渡りきりました。
おや?今度は小さな子どもです。
あっ落ちちゃいました!よかった〜無事でした。
移動開始からおよそ20分。
総勢60匹もの巨大な群れは目的地にたどりついたようです。
やってきたのは1本の大木。
ブルーモンキーたちが何か食べています。
木の実がたくさん!ブルーモンキーは木の実が大好物なんです。
レッドテイルモンキーもやってきました。
同じ木の実を食べ始めます。
レッドテイルモンキーも木の実が大好きなんです。
昼下がり。
おなかがいっぱいになったブルーモンキーたちは昼寝の時間。
こちらでは毛繕いが始まりました。
スキンシップで仲間との絆を深めます。
レッドテイルモンキーも毛繕いを始めました。
気持ちよさそうな顔。
休憩の時間も一緒なんですね。
こちらではなんとブルーモンキーがレッドテイルモンキーに毛繕いしています。
ブルーモンキーがやめると…「ねえねえもっとやってよ」とレッドテイルモンキーが催促しているようにも見えます。
違う種類のサルとは思えない仲の良さです。
2つの群れを一日中追跡したところブルーモンキーとレッドテイルモンキーは丸1日ずっと一緒に過ごしていることがわかりました。
観察を始めて8日目。
私たちは2種のサルのさらに深い関係を目の当たりにしました。
木の上に並ぶブルーモンキーの子どもとレッドテイルモンキーの子ども。
追いかけっこが始まりました。
子どもたちにとっても種の違いは関係ないようです。
あっ尻尾をつかみました。
まるで兄弟のように戯れる2種のサル。
ここカリンズの森ならではの光景です。
それにしてもどうしてこんな不思議な関係が生まれたんでしょうか。
ある日のこと。
その謎を解く手がかりとなる事件が起きました。
ブルーモンキーが集まり何かを警戒しています。
その先にいたのは別のブルーモンキーの群れ。
隣の群れと鉢合わせしたんです。
徐々に近づく群れと群れ。
枝先に並んでにらみ合う両者。
どちらも一歩も譲りません。
実は同じ種のブルーモンキー同士他の群れとはとっても仲が悪いんです。
縄張りを守るため激しく戦います。
別の日。
今度はレッドテイルモンキー同士の争いです。
レッドテイルモンキーも同じ種の他の群れとは仲が悪いんです。
さらに別の日。
再びブルーモンキー同士でケンカです。
今度は以前にぶつかったのとは別の群れでした。
実はカリンズの森では同種のサル同士のケンカが頻繁に起きるんです。
ケンカが多いのはこの森に暮らすサルたちの密度がとても高いからだと考えられています。
例えばブルーモンキーの場合他の森では1平方キロあたり20匹ほど。
でもここカリンズの森では倍の40匹にもなります。
なぜこれほど多くのサルが暮らすのか。
それはこの森に生えるある植物に理由があります。
それがこちらムサンガの木です。
ムサンガの実はサルたちの大好物。
この森ではムサンガの木が他の森に比べとても豊富です。
ムサンガは季節に関係なくしかも長い期間実をつけます。
一年中食べ物が豊かなため高い密度でサルが暮らせるんです。
カリンズの森ではそれぞれの群れの縄張りがびっしりと並んでいます。
だから頻繁に鉢合わせ。
縄張りをめぐるケンカが絶えないんです。
実は別種のサルが一緒に行動するようになったのはこの縄張り争いに勝つためではないかと橋本さんたちは考えています。
そういうことだと考えています。
例えばブルーモンキーの群れ同士が戦う時。
レッドテイルモンキーと一緒に暮らす群れはブルーモンキーだけの群れに比べて群れが大きく見えます。
縄張り争いの時には数が多いほうが有利。
だから一緒に暮らすようになったのではないかというんです。
群れ同士の競争を勝ち抜くため別の種類のサルと手を組む。
サルの楽園カリンズの森ならではの環境が生んだなんとも不思議な関係です。
いやぁレッドテイルモンキーとブルーモンキー互いになくてはならない存在なんですな。
おっヒゲじい。
今日は珍しく納得して頂けましたね。
う〜んでもちょっと待った。
この森って他にもサルの仲間がいましたよね。
他のサルたちとも一緒に暮らせばもっと心強いんじゃないですか?確かに。
でもそれは難しいんです。
どうして?例えばチンパンジー。
いくら同じサルの仲間とはいってもチンパンジーは時に狩りをすることがあるんです。
他のサルを襲うこともあるので一緒に暮らすことはできません。
えっそうなの?それは無理ですなぁ。
じゃ他のサルは?こちらのロエストモンキーの場合暮らしているのはもっぱら地面に近い場所。
ブルーモンキーとレッドテイルモンキーは木の上なので一緒には暮らせません。
なるほどねぇ。
同じように他のサルも食べ物や生活空間がそれぞれ異なります。
だから一緒に暮らすのは難しいんですよ。
そうなんだ。
レッドテイルとブルーは偶然にも暮らしぶりが似ていたため奇跡的な関係が生まれたというわけなんです。
一緒の場所で採食をする。
次の場所でも同じ物を食べられる。
う〜ん似たもの同士だからこそできた共同生活というわけですな。
ヒゲじい今度は納得して頂けましたか?はい。
レッドテイルとブルーアカの他人同士なのにこんなに気がアオうとは。
なんちゃってね。
第2章では恐ろしい天敵が接近。
ブルーモンキーとレッドテイルモンキーの群れにピンチが訪れます。
そして2種のサルが一緒に暮らすもうひとつの理由が明らかになります。
今回の舞台アフリカ東部ウガンダにあるカリンズの森。
ここでは6種類もの個性豊かなサルたちが見られます。
絶滅危惧種のチンパンジーもおよそ400匹が生息することが確認されています。
まさにサルの楽園なんです。
このカリンズの森がサルの楽園となっているのには独特の事情があります。
そのカギを握るのはウガンダ南西部の人々に古くから飼育されてきたこちらの動物。
大きな角!この地域特有の牛アンコレ牛です。
実はアフリカの多くの地域ではサルなど森の野生動物を食べる習慣がありました。
しかしカリンズの森の周りで暮らす人々は古くから牛乳や乳製品を主なたんぱく源としてきました。
そのためわざわざ森で動物を狩りする必要がほとんどなかったといいます。
牛乳がサルたちを守ることにつながっていたなんてホント意外ですよね。
牧畜の伝統のおかげで守られたサルの楽園カリンズの森。
いつまでも失われずにいてほしいですね。
アフリカウガンダのカリンズの森。
レッドテイルモンキーとブルーモンキーは全く別の種類なのに一緒に食事をしたり毛繕いをしたり。
まるで1つの家族のように暮らしています。
(雷鳴)4月。
雨の季節が訪れました。
高い木の上にブルーモンキーのオスを見つけました。
こうして辺りを見張るのがオスの役目。
これは縄張りを主張する鳴き声。
オスの日課です。
この大きな声。
1キロ先まで届きます。
うん?合いの手を入れるかのように奇妙な鳴き声が続きます。
近くにいたのはレッドテイルモンキーのオス。
鳴き声の主はこのオスでした。
実はこれも縄張り宣言。
でもレッドテイルのオスが鳴くのはなぜか決まってブルーが鳴いたあと。
このブルーが先行しレッドテイルが続くという関係。
観察を続けていると他にもありました。
移動の時まずブルーモンキーが動き始めます。
すると少し後れてレッドテイルモンキーがやってきます。
先をゆくブルー。
レッドテイルはあとをついていくんです。
この2種のサルの動き橋本さんたちの調査でも明らかになっています。
ブルーモンキーが動くと少し後れてレッドテイルモンキーが追いかけていたんです。
さらに食事の時も同じような関係がありました。
2種が同じ木で食事をしていた時。
あっレッドテイルが追い払われてしまいました。
食事の時もブルー優先。
そしてレッドテイルがあと。
何やらブルーに遠慮しているかのようです。
一緒に暮らす2種の関係は対等ではないんです。
この関係はどうして生まれたんでしょうか。
ある日のこと。
突然ブルーモンキーのオスが身構えました。
ブルーのオスが鳴くと近くにいたレッドテイルが一斉に木から下りました。
ブルーモンキーたちも上のほうを気にしています。
姿を現したのは大きな鳥。
カンムリクマタカです。
小型のサルを主な獲物にする恐ろしい天敵です。
ブルーモンキーの鳴き声のおかげでレッドテイルモンキーは助かりました。
観察によるとブルーが先に天敵に気付き警戒の声を出す場面が多いといいます。
レッドテイルモンキーはブルーモンキーの警戒の声を利用するため遠慮してまであとをついていくようなんです。
それには体の小さいレッドテイルがより天敵に襲われやすいことが関係しているといいます。
それが理由だと考えています。
2種のサルの共同生活。
その背景には天敵から身を守るためのレッドテイルモンキーの思惑もあったんです。
でもいざという時は一緒に敵に立ち向かうこともわかっています。
その瞬間を捉えた映像がこちら。
肉食獣のゴールデンキャットがサルたちの前に現れました。
サルたちが警戒の声を上げています。
見て下さい。
ブルーとレッドテイルが一緒になって立ち向かいます。
そしてついにゴールデンキャットは退散。
天敵に対しても仲間の数が多いほうが有利なんです。
同種との縄張り争いと天敵への対策。
一緒に暮らすブルーモンキーとレッドテイルモンキーの不思議な関係はこの森で生き抜くためにサルたちが手に入れた知恵だったんです。
4月半ば。
レッドテイルモンキーの親子です。
赤ちゃんたちはすくすく育っています。
こちらでは…あっ歩いています。
意外にしっかりした足取りですね。
ブルーモンキーの親子はどうしているでしょうか。
こちらでも赤ちゃんは枝の上を走り回っています。
レッドテイルの子どもたちと一緒になって遊び回るのももう間もなくです。
サルたちの暮らしに欠かせないムサンガの実を目当てに赤ちゃんを連れたレッドテイルがやってきました。
こうして赤ちゃんは少しずつこの森で生きるすべを学んでいきます。
別種のサル同士がまるで1つの家族のように暮らすカリンズの森。
厳しい競争を生き抜くため手を組んだレッドテイルモンキーとブルーモンキー。
たぐいまれな2種のサルの営みはこれからも続いていくことでしょう。
(玄瑞)行くぞ!2015/07/12(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「頼るは“アカの他人”!? サルたちの不思議な関係」[字]
アフリカに暮らすブルーモンキーとレッドテイルモンキー。全く別の種類なのになぜか一日中一緒、まるでひとつの家族のように暮らす。サルたちの不思議な関係の秘密に迫る。
詳細情報
番組内容
アフリカ東部・ウガンダのカリンズ森林保護区。6種ものサルが暮らすサルの楽園だ。ここで研究者も驚く奇妙な現象が目撃されている。ブルーモンキーとレッドテイルモンキー、まったく別の2種のサル同士が一日中一緒に行動。互いに仲よく毛繕いしたり、子どもが一緒に遊んだり、まるでひとつの家族のように暮らすのだ。ところが、同種同士はとても仲が悪く、いつもケンカばかり。サルたちの不思議な関係の秘密に迫る。歌:平原綾香
出演者
【語り】和久田麻由子,龍田直樹,豊嶋真千子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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