多額の借金を抱えたギリシャ。
EU側が突きつけた緊縮策を受け入れるのか。
先月、判断を迫られたチプラス首相は、国民投票で決めると言って緊縮策にノーと投票するよう呼びかけた。
結果は、ノーの圧勝。
ギリシャはユーロを離脱しちゃうの。
と思ったら。
チプラス首相はノーと呼びかけたはずのEU案にそっくりな改革案を出してきた。
な、何でだ。
しかも、よく見るともっと貸してって、ちゃっかり要求もしている。
EU側はギリシャを助けるのか。
運命のときが迫っているヨーソロー。
こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
今夜のゲスト、タレントのサヘル・ローズさんです。
よろしくお願いします。
今週もこの番組、ギリシャですが注目していましたか。
もちろんです。
ギリシャの影響によって大きく株価も暴落していますしギリシャ国内の失業率も大変な状況なので、これはひと事ではなく気になっています。
すごく頼りになりそうですね。
1時間目は、まずそのギリシャです。
どうなっていくのかその行方を詳しく見ていきます。
2時間目は日本から360億円。
これは何を指しているのか、後ほどお伝えします。
今週もギリシャ問題についてです。
3週連続ですから分かりますよね。
ノーと突きつけたのにEU案にそっくりなものを出すってどういうことかと思いますよね。
その疑問、サヘルさんもお持ちですか。
しかもちゃっかり要求もしているし何でということがたくさんあります。
今回、ギリシャがEU側に提出した構造改革案を見ていきましょう。
これを知らないと進まないですね。
今回ギリシャが構造改革案で譲ったものと譲らなかったもの、譲歩しなかったものについて見ていきます。
まず消費税です。
ギリシャにとって主な産業である観光業に影響するものを並べました。
レストランは税率を23%に引き上げる。
当初、ギリシャはこれを13%と言っていたので、そういう意味では大幅な譲歩といえます。
ホテルについては後ほど詳しくやります。
ギリシャには離島がたくさんあります。
行ったことありますか。
ないです。
その離島の優遇措置も段階的に廃止、軽減税率を段階的に廃止するということです。
次に法人税。
26%から28%に引き上げます。
ギリシャは実は29%、ここまで上げていいと言っていました。
しかしEU側がそれをやってしまうと経済成長がマイナスになってしまうということで28%に抑えました。
議論されていた年金改革です。
支給開始の年齢を67歳、一律で引き上げました。
さらに年金受給者の医療費の負担を4%から6%に上げました。
ギリシャは当初、5%に抑えてほしいと言っていましたが、結果的に譲歩しました。
さらに、もう1つあります。
国防費、3億ユーロを全体で削減しますと言っています。
ギリシャは当初、2億ユーロと言っていました。
しかしEU側は4億ユーロ削減しなさいと求めました。
間をとって歩み寄ったといえます。
先ほどのホテル、13%ですがEU側はレストランと同じ23%に引き上げを求めていました。
サヘルさん、なぜ13%になったと思いますか。
観光客が、上げすぎるとよくないということですか。
ギリシャは観光立国ですからこれをやってしまうと集客に問題が出る。
そのため、譲歩できないということでした。
これをすべて合わせると2年間で1兆6000億円の節約になります。
これがまさに審査されている状況です。
ここまでは状況が分かりましたか。
ギリシャがどれぐらい譲歩したのか分かりますか。
比較しておもしろいのがチプラス首相がことし1月に掲げた公約、国民全員の医療費負担が無料、さらに低所得者の電気代がただ年金受給者のクリスマス・ボーナス与えますというものを挙げていました。
これだけ見るとギリシャも譲歩したということが分かりますね。
そもそも先週言っていた国民投票がノーということでしたが、EU側が突きつけた条件にかなり寄っていますね。
先週、やったものを見てみましょう。
おさらいです。
先週、ギリシャの国民投票でいろんな選択肢があることをやりました。
いちばん現実的でないといったものがありました。
?マークがついているものです。
国民投票でノーと言って、EUと交渉してEUの支援を受けるというものでした。
都合がよく、なかなか現実的でないと言っていたんですが先ほどの構造改革案ではほぼ同じものを提示して矛盾したことが起きています。
国民投票でノーと言っておきながらEU側に譲歩した意見を出していたらノーと言って皆さん怒りませんか。
この人がギリシャの状況を取材しました。
千里子さん、ご覧ください。
私の後ろで今、ギリシャ大変なことになっています。
10日、アテネでは、政府の構造改革案に反対する集会が開かれました。
国民投票から1週間たった今も預金の引き出し制限など資本規制が続き、投票後も何も変わらない現状に、いらだちが広がっています。
アテネ市内に住むデスピナ・イェロヤコムウさんです。
国民投票では、反対に票を投じましたが、混乱が続くのを見て不安を募らせています。
イェロヤコムウさんは、知的障害のある息子と共に暮らしています。
気持ちは分かりますね。
自分たちが思っていたことを信じて投票したら全然違う方向に向かっているし、家族を持っている人からしたら自分たちの未来はどうなるのか、行き先が真っ暗ではないですか、これはつらいです。
こんなに混乱させて国民投票をやった意味はあったんですか。
そこから聞いていきましょう。
今週も、デスクはこの人です。
小島デスクです。
小島さん、まだギリシャにいるんですか。
今週はEUの本部があるベルギーのブリュッセルからお伝えします。
後ろにある建物、EUの本部で首脳会議なども開かれる場所です。
ギリシャの支援について話し合う財務相会議が今まさに開かれています。
意外な展開になってきていますが国民投票って何だったのでしょうか。
正直よく分かりません。
僕もびっくりしました。
同じように感じたギリシャの人も多いと思います。
チプラス首相は、先週の黒板と違って国民投票の結果を受けてないように思います。
考えられることを資料にまとめてみました。
チプラス首相は実はある程度、緊縮策を受け入れないとギリシャはどうにもならないと感じていたと思います。
ところが政権内には緊縮策を絶対認めないユーロ圏から離脱すべきだという極端な主張をする人も少なくありませんでした。
こうした反対派を押し切るためにも自分の後ろには民意があるということをはっきり示したかったのではないかと思います。
そして国民が緊縮策を受け入れやすくするよう新たな手を用意しました。
すごい手があるんですか。
EUに歩み寄った感じなんですか。
実はチプラス首相は今後3年間で、7兆1000億円余りに上る新たな金融支援を要請しました。
これには2つのねらいがあります。
1つは、先月末までの借金を返すとともにこれから必要となるお金も用立ててもらおうというものです。
もう1つは新たなお金を低い利子でたくさん借りることで借金の負担を軽くすることを目指そうというものです。
お金をもらうことで返済資金にしたり低い利子で借金をしていきたいということを言っているんですね。
新たな支援を勝ち取れば緊縮策を実行することになっても国民に対して暮らしがよくなると説得できると考えているんだと思います。
そんなちゃっかりした要求をして、EUはいいですよと言えるんですか。
信じていいのかどうか分かりませんね。
信頼できるんですか。
まさにその信用が問われています。
今、ユーロ圏の財務相会議が開かれていてギリシャが出してきた新しい構造改革案を巡って話し合いが続いています。
きのう終わるはずでしたが結論が出ずに急きょ、きょうも行われることになりました。
ユーロ圏各国にはチプラス政権は信用できないという思いが根強くあります。
なにしろ交渉の途中でいきなり席を立って国民投票をやりますと言い出した相手ですからドイツやフィンランドなどはチプラス政権が仮に緊縮策を実施すると約束したとしても本当に実行するか分からないとしています。
今、最新の映像が入ってきたようです。
フィンランドの財務大臣の声が入ってきました。
不思議です。
疑いがあったり信用はできない。
なのに助けてあげるわけですよね。
なぜですか。
私が正解を出しましょう。
たぶんEUが助けてくれなかったら、中国やロシアと手を組んでしまおうとチプラスさんは思っているんではないですか。
小島さんどうですか。
確かにチプラス首相はロシアのプーチン大統領と連絡を取り合っていました。
ロシアにしてもクリミアの問題でEUとの関係が悪化していますのでギリシャをきっかけにEUの足並みを乱すチャンスがあればやりたいと思っているはずです。
中国もギリシャに接近を図っています。
すでにギリシャ最大の港の運営権の一部を手にしています。
だからといってロシアや中国が多額の借金を抱えるギリシャを助けられるかというと、そこまでは期待できないのが実情です。
チプラス首相もどこまで本気でやっていたかということは分かりませんが、中国とロシアに接近を図ることで交渉でEUの関心を引きたいという思いがあったのではないかと思います。
そうするとEUは、ギリシャを救わないということもあるんですか。
交渉がすんなりまとまるとは思わないんですができれば、ギリシャを救いたいというのが本音だと思います。
ギリシャがデフォルトですとかユーロ圏からの離脱に追い込まれると、スペインやイタリアなど財政上に不安を抱えている国への影響は避けられないからです。
このあとユーロ圏の財務相会議のあとに後ろの建物でチプラス首相も参加してユーロ圏の首脳会議が開かれギリシャ問題を協議する予定です。
国が破綻しかねない瀬戸際に立たされているギリシャに対して、新しい支援の道を開くのか、重大な局面を迎えています。
ブリュッセルから小島さんありがとうございました。
小島さん、疲れが出ていますね。
ギリシャは僕たちも追いかけてもどうなっていくか展開が分からない。
難しいです。
ニュースもだんだん分からなくなってしまうところがあるのでこういうふうに分かりやすくまとめていただくと助かります。
何かあったら番組で追いかけましょう。
続いて2時間目です。
久しぶりの地球儀登場です。
ギリシャから移動して、アフリカ大陸。
中央アフリカ共和国という国をご存じでしょうか。
アフリカのど真ん中にある国です。
ここでは激しい武力衝突が続いていて、傷ついた子どもたちを救おうと国連が支援を進めています。
ただその事業が危機に直面しています。
中央アフリカの奥地、森林地帯の町に設けられた避難民のキャンプを訪ねました。
戦闘が激しい地域から逃れてきたおよそ2000人が暮らしています。
初めは緊張した表情だった子どもたち。
日本からの取材だと紹介されると歓迎の歌を歌ってくれました。
国連のスタッフが子どもたちを励まそうとゲームやスポーツをして遊ばせています。
中央アフリカではイスラム教徒とキリスト教徒の対立を背景に、さまざまな武装勢力が1年半にわたって全土で激しい戦闘を繰り返してきました。
ことし5月、国連の働きかけもあって各勢力が停戦で合意しましたが、これまでに5000人以上が死亡しました。
今も国連の平和維持活動の部隊や政府軍があちこちで警戒に当たりものものしい雰囲気が残っています。
避難民キャンプの近くの施設にはもっと深刻な事情を抱える子どもたちが集められていました。
武装勢力によって、戦闘に参加させられた元少年兵です。
この16歳の少年は、父親を殺害した武装勢力に復しゅうするため、別の武装勢力の少年兵になりましたが今はそれを後悔しています。
ここでは少年兵の社会復帰に向けた教育や職業訓練を行っています。
ただ急激な環境の変化を受け入れられない少年も少なくありません。
日本人のユニセフ国連児童基金のスタッフも子どもたちのケアに加わっています。
小川亮子さんです。
小川さんが今、力を入れているのは戦闘で両親を亡くしたり、少年兵として人を殺害して故郷を追われた元少年兵のために里親を探すのを手助けすることです。
無事、受け入れ先を見つけることができた少年もいます。
停戦合意に合わせて武装勢力から解放された少年兵は350人余り。
今後、最大でおよそ1万人が解放されることになっています。
ところが、少年兵の復帰事業を進めてきた国連は、中央アフリカの事務所のスタッフを減らし、支援センターの一部を閉鎖しました。
原因は資金不足です。
シリアやイラクなど世界の各地で紛争が続く中で、中央アフリカには国際的な関心が低く、国連はことし、必要な資金の4分の1しか集めることができていません。
今後、子どもたちへの支援も滞るのではと心配されています。
忘れさられてしまった場所だし中央アフリカの今の現状を知らない方もたくさんいると思います。
皆さんの周りにいる子どもが遊んだり勉強したり夢を持つのが、育っていく環境なのに国が1つ違うだけで武器を持たされて人をあやめる。
ただ人を殺してしまった子どもたちの心のケアは時間をかけていかないといけないし、家族と引き離されて、家族のためにしかたなく少年兵になっている子もいますが未成年です。
そういうことが行われてはいけないわけです。
武器でなく学ばせることが必要な国があるのに、まずそういう国があることを知ることが大事でないかと思います。
里親が見つかればいいけど見つからない子もいるわけだから、国連がもう少し面倒を見てあげられませんか。
中央アフリカのこうした現状も資金不足によって支援が不足してしまう。
私自身も知らなかったんですが世界の紛争の現状を私たちがどうやって知ればいいのか、国連に私たちは、どういう貢献ができるのかということで東京に出先機関があるので取材してきました。
こちらです。
東京渋谷区に国連のさまざまな機関が入っているビルがあります。
でもその活動について皆さんどのくらいご存じなんでしょうか。
その活動を紹介してもらうことにしました。
いっぱい並んでいますね。
一般利用できる図書館です。
棚には国連総会や理事会で話し合われた中身のすべてが年代ごとに並んでいました。
ほかにも国連がまとめたさまざまな統計や条約なども所蔵されています。
私も初めて来たんですが中にはこんな人もいらっしゃいました。
一般市民には少し遠い感じもします。
でも。
国連は世界の今の状況や国連の活動を日本の皆さんに知ってもらうため学生たちに国連の役割を伝えたり各国のキーパーソンを呼んで講演会を開いたりしているんです。
サヘルさん、知っていましたか。
知っています。
行ったことあります。
折しも国連は創設70周年を迎えました。
ところが元事務次長を務めた明石康さんは国連は今大変なときなのだと教えてくれました。
国連で最初の日本人職員として40年間、数々の歴史的な活動に携わった明石さん、国連を最もよく知るからこそ抱く危機感があります。
国連については知らないことが多かったんですが日本はどれだけ貢献しているか分かりますか。
まとめてみました。
国連を運営するために各国お金を出し合っているんですが、日本はアメリカに次いで2番目に多く出しています。
その額、本当に多いです。
360億円。
それだけでなく先ほどのVTRにあった小川さんのように世界各国に行ってスタッフとして苦しんでいる人たちの支援も行っているということです。
こういう金額を見ると大丈夫ではないかとよく言われますが、それだけ多くの国と地域でお金が足りないというのが信じられないですね。
世界に今ある問題についてもっと知らなければいけないと感じました。
番組も終わりに近づいてきました。
千里さん、このNHKまできょうはプライベートジェットで来たんですよね。
持ってないよ。
そんな千里さんに見せたいものがあります。
びっくりしますよ。
これ、電気飛行機なんです。
航空機メーカーのエアバス社が開発しました。
通常、飛行機で使う燃料は一切使っていないです。
家庭にあるようなリチウム電池だけで飛んでいるんです。
途中で電池は終わらないかな。
パイロットによると音もほとんどなく本当に静かに飛ぶそうです。
環境に優しそうですね。
今飛んでいるのがイギリスとフランスをまたぐ海峡。
74キロあるんですが30分余りかけて渡りきったということです。
2015/07/12(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽ギリシャが改革案提出・期限迫りEU各国はどう動く?[字]
国民投票で、緊縮策に反対の意思を示したギリシャ。一転、EU側に改革案を提出した。EU首脳会議で、金融支援は実現するのか。改革案の中身とEU各国の動きを徹底解説。
詳細情報
番組内容
【ゲスト】サヘル・ローズ,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】サヘル・ローズ,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
ニュース/報道 – 海外・国際
ニュース/報道 – 解説
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