報道特集【陸自部内資料に『遺書作成』の記述▽台湾人の元慰安婦は今】 2015.07.11


採決日程をめぐる攻防がヤマ場を迎えている安全保障関連法案。
安倍総理大臣は今日、大震災の被災地、宮城県南三陸町を視察した後、このように早期採決への意欲をのぞかせた。
与党側は早ければ来週15日の委員会採決を目指す中…一方、法案に反対する集会やデモが全国各地で開かれた。
最高気温30.7度と今年初の真夏日を記録した札幌では、北海道弁護士会連合会が反対集会とパレードを企画。
主催者によると大学教授や市民ら6000人が参加したとのこと。
また、富山県でも炎天下の中、弁護士や大学教授、医師などの呼びかけでおよそ1000人が集結。
集会では来週の法案の強行採決を図る与党を牽制し法案の廃案をうたった集会アピールを採択した。
北九州市の集会には500人以上が参加し、デモ行進が行われた。
一方、長崎市では8月9日の長崎原爆の日に市長が読み上げる平和宣言の中で安保関連法案について、慎重な審議と丁寧な説明を政府に求める文言を盛り込む案が示された。
長崎市は、今月末には平和宣言の骨子を発表することにしている。
戦後70年の今年、私たちが過去の歴史とどれだけ誠実に向き合えるかが問われています。
安保法制をめぐる論議もそうした観点から考えられるべきものでしょうが、今日の特集では戦時中の慰安婦の問題を考えます。
ぜひともご覧ください。
続いては、こちらのニュースです。
今日午前、大阪市中央区のマンションで、20代の女性が首などを刺され死亡した。
警察は現場にいた24歳の男を殺人未遂の疑いで逮捕し、容疑を殺人に切り替えて動機などを調べている。
午前11時頃、大阪市中央区高津3丁目のマンションで、20代の女性が首などを複数箇所刺されるなどして倒れているのを通報を受けて駆けつけた警察官が発見した。
女性は病院へ運ばれたが、死亡が確認された。
警察は、この部屋に住むアルバイトの隅田龍馬容疑者が刺しましたと認めたため、殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。
警察によると女性は、隅田容疑者の部屋に置いていた荷物を取りに行っていたとのこと。
隅田容疑者は取り調べに対して、別れ話を持ち出され、刺したと供述しているとのことで、警察は容疑を殺人に切り替えて動機などについて捜査する方針。
今日午後、大分県宇佐市で、同級生2人と一緒に川で泳いでいた15歳の男子中学生が溺れ、行方不明になっている。
今日午後2時半前、大分県宇佐市の駅館川で泳いでいた中学生3人のうち、1人が溺れ川に流された。
この事故で近くに住む中学3年の井上和哉さんの行方がわからなくなっている。
警察によると、川の深さは深いところで6m、幅はおよそ75mで、井上さんは同級生2人と対岸まで泳いで渡る遊びをしていた。
現在、警察と消防は50人態勢で井上さんを捜索している。
ギリシャ議会は新たな金融支援を受けるための財政改革案を賛成多数で承認した。
EUなどから改革案に前向きな評価が出ていて、11日のユーロ圏財務相会合で支援の動きが前進するか期待が高まっている。
ギリシャ議会は11日、チプラス政権が新たな金融支援を得るためにEU側に提出した財政改革案を賛成多数で承認した。
改革案は批判の的となっていた早期退職制度を改め、年金の給付抑制や法人税、一部の付加価値税の引き上げなどを盛り込みEU側に譲歩した内容。
2年間で最大120億ユーロ、日本円でおよそ1兆6000億円の収支改善を目指している。
ロイター通信などによると、改革案の内容を精査していたEUやIMF=国際通貨基金は10日、ギリシャ政府に必要な支援額は740億ユーロ、およそ10兆円と結論づけた上で前向きな評価を出したとのこと。
こうした評価を踏まえ、11日に開かれるユーロ圏財務相会合で支援の可否が協議され事態が前進するか期待が高まっている。
今日は全国各地で気温が上昇し、3カ所で今年初めて35度を超える猛暑日を記録。
422カ所で真夏日となった。
関東地方や東海地方では、今年初めて35度以上を記録する猛烈な暑さとなった。
気象庁によると、岐阜県郡上八幡で最高気温が35.8度を記録、さらに茨城県笠間市で35.2度、群馬県館林市で35度を記録し、3カ所で今年初めて猛暑日となった。
また、前橋市で34.8度を記録するなど、30度を超える真夏日になった地点は午後5時までに422カ所となった。
午後2時です。
手元の温度計では35度を上回りました。
先ほどから汗が止まりません。
気象庁は、各地に高温注意情報を出して注意を呼びかけたが、熱中症になる人が相次いだ。
都心で31.3度を記録した東京では24人、横浜市で30.4度を記録した神奈川では6人が救急車で運ばれこのうち中学3年の男子生徒1人が重症。
東京と千葉ではこの暑さで光化学スモッグ注意報が発令された。
明日も北日本から西日本にかけて30度以上の真夏日が続く見込みで、気象庁はこまめに水分を補給するなど熱中症に注意するよう呼びかけている。
不適切な会計処理が発覚した東芝は、田中社長が損失を先送りするよう促す意向を幹部らに伝えていたことなどから、問題を調査している東芝の第三者委員会を中心に、田中社長の辞任は避けられないとの見方が強くなっている。
関係者によると、東芝での利益の水増しなどの不適切な会計処理について、外部の専門家による第三者委員会が調査した結果、田中久雄社長が東芝の幹部らに対し、損失などの計上を先送りするよう促す意向を伝えていたとのこと。
東芝では第三者委員会を中心に、経営トップの責任は免れず、9月の株主総会を待って田中社長の辞任は避けられないという見方が強まっている。
また、田中氏の前の社長だった佐々木則夫副会長も社長当時、損失の先送りを促す意向を伝えていたことなどから、辞任が避けられない見通しとなっている。
一方、証券取引等監視委員会は第三者委員会の報告を待って行政処分を視野に入れて本格的な調査に乗り出す方針。
中国訪問を検討。
安倍総理大臣が8月下旬、または9月初旬に中国を訪問する検討を進めていることが明らかになった。
中国側が9月3日に首都北京で行われる抗日戦争勝利の記念行事に合わせて安倍総理側に訪問を働きかけているもの。
日中両政府は今後、記念行事の内容や総理の戦後70年談話の表現ぶりなどを見極めながら訪問実現への可能性を慎重に判断すると見られる。
エジプトの首都カイロにあるイタリア領事館前で11日、大きな爆発があり1人が死亡、4人がケガをした。
イタリア領事館の職員にケガはなかった。
治安当局は車に仕掛けられた爆弾が爆発した可能性があるとしている。
犯行声明は出ていないが、エジプトでは最近、観光客を狙った事件が多発しており先月には東部の観光地で自爆テロが起きていた。
静岡県の大井川鉄道に今日からきかんしゃトーマス号の仲間、ジェームス号が加わり、運行を開始した。
赤い車体のSLジェームス号が現れると一番列車を待ちかねた多くの家族連れや鉄道ファンが夢中で写真に収めていた。
また、今日はトーマス号も姿を見せ来場者たちを喜ばせた。
ジェームス号は来月まで合わせて16日間、32本が運行される。
これ何?と近寄ってくるのはアメリカ・サンディエゴ動物園で生まれたコアラの赤ちゃん、生後9カ月。
この日は、お母さんと離れてハイハイの練習をする。
飼育員がコアラのぬいぐるみの背中に抱きつかせようとするが、嫌がる素振り。
やっぱり一番安心するのはお母さんの背中なのか。
特集です。
陸上自衛隊の部隊が死生観の確立のためとして隊員に遺書を書かせていたことが私たちが入手した内部資料から明らかになりました。
安保法制に先行して有事を意識し、行われていた自衛隊内部の訓練の一端、皆さんは、どのようにお考えになるでしょうか。
安全保障関連法案が来週にも衆議院で採決される可能性が高まってきた。
議論は深まったのか。
JNNが今月4日、5日に行った世論調査。
政府・与党がこの法案を国民に十分説明しているか聞いたところ十分だと答えた人が10%だったのに対し、不十分だという人は85%に上った。
また、今の国会で法案を成立させることへの賛否を聞いたところ、賛成29%に対し、反対は59%だった。
懸念は地方議会にも広がっている。
この国会の会期中、昨日までに全国合わせて296の地方議会から安保関連法案に関する意見書が寄せられた。
その大多数は、法案の廃案や撤回、または慎重な審議を求める内容。
一方、あくまでこの国会での法案成立を目指す安倍総理は今週、自民党のインターネット番組に連日出演、不安の払拭に努めた。
皆さん、こんばんは。
自由民主党、参議院議員の大沼みずほです。
今日は第3回として、自衛隊員は危険にさらされるをテーマに安倍総裁にお話を伺ってまいりたいと思います。
新たな任務が増えると、その分リスクが増えるんではないかというような議論もあります。
そのことについては、どうお考えでしょうか?新たな法案の成立によって自衛隊員のリスクが増すのではとの声に反論した安倍総理。
その自衛隊で行われている死生観の確立、遺書を作成。
自衛隊内部で行われていた有事を意識した指導の実態が明らかになった。
2013年10月付けの航空安全情報。
これは陸上自衛隊の内部資料。
情報公開法に基づいて防衛省が開示したもの。
この中では、有事を意識した訓練というテーマで各地の陸上自衛隊の部隊が有事に備えてどのような訓練を行っているのか、隊員による投稿で紹介されている。
千葉県の木更津駐屯地にある飛行隊の幹部、3等陸佐が訓練の様子について投稿していた。
有事の際にどのような行動をとるかなど訓練の内容が具体的に紹介されている。
そして、その他、有事を意識させる方策という項目で、こんな記述がある。
この雄翔館や予科練平和記念館は、旧海軍の飛行予科練習生の遺書を展示するなど、戦争の記録を次の世代に伝える目的で建てられた施設。
有事を意識させるために隊員に遺書を書かせていた実態。
陸上自衛隊は「報道特集」の取材に対し遺書の作成については、各部隊で一般的に行っているものではない、一部の部隊において、部隊長の統率上の指導の一環として隊員の任意に基づき作成したものであるとコメントしている。
自衛隊のほかの部隊でも、遺書を書かせているケースはあるのか。
およそ30年間、陸上自衛隊の北部方面隊などに所属していた男性。
5年前に突然、万が一のときのため家族への手紙を書くようにと上司から言われた際、遺書を書くものと認識したと話す。
書いた手紙は、上司も自由に開けることができるロッカーに保管するよう指示があった。
PKOなど海外派遣が増える中殉死の覚悟を求められることは国民を守るためという入隊時の宣誓内容に反するとして苦情申し立てをし手紙を取り戻した。
男性から相談を受けていた佐藤博文弁護士は自衛隊員個人の内心の自由が侵害されかねないと話す。
なぜこの自衛隊の遺書が問題かといったら、書かせたということだけが問題じゃないんです。
自衛隊が管理していて、内容に問題があったらそれに対して介入するからなんです。
男性の苦情申し立てに対し、陸上自衛隊は、単に自己の死亡のみに準備する遺書とは全く別ものであるとしている。
しかし、北部方面隊で遺書を書かされたという相談は相次いでいると佐藤弁護士は言う。
番組が入手した、一部の部隊で遺書を書かせていたという内部資料を佐藤氏に見てもらった。
死生観の確立、精神教育と書いてありますから、要するに、殉死の覚悟ですよね。
国家のために死ぬということですね。
海外派遣が増え、自衛隊員のリスクが焦点となる中、部隊として不測の事態にどう対応するのか。
自衛隊としての焦りも見えると言う。
自衛隊員が、今回の安保法制によって海外にどんどん派遣されていく。
そういう焦りが、こういう死生観の確立、精神教育、遺書を書かせるうんぬんという形で現れてきていると思います。
国会の正門前の方に至る道ですけれども、こういうふうにびっしりと、若い人たちの呼びかけでこれだけ集まっているという。
憲法という言葉が一番多く聞かれます。
学生たちが国会前で毎週金曜日、安保関連法案は違憲だなどと声を上げるようになったのは先月初めのことだった。
絶対におかしいと思ってるから。
声を上げ続ける理由を聞いた。
主催しているのはSEALDsという学生たちのグループ。
メンバーの奥田愛基さんらは、安保関連法案の条文を細かく読み込んだ上で現在の法律との違いを比較する。
これは彼らがつくったブックレット。
法案は日本国民の安全を脅かすものだとして問題点を挙げている。
SNSなどでつながった学生たち。
それぞれ国会の審議をチェックし地方公聴会にも足を運んだ。
具体的にロジックを突いていっても問題がたくさんあるし、なおかつ11法案を一気に通すなんて、はなから無理だし、プロセスとしても国民投票も完全にすっ飛ばして、解釈だけで変えようとしている、本当に明らかな欠陥もある。
安倍さんの答弁とかどうですか?はぐらかし、はぐらかしで全然答えてくれないんだなっていうのは感じて。
顔を出して声を上げることについては…就職することになると思うんですけど。
結局、怖いです。
名前と顔を出すのは怖い。
就活以外にもテレビとか出るとすぐネットとかで誹謗中傷が飛んできたりとか。
めっちゃ怖いです。
めっちゃ、くじけまくっているんですけど。
彼らは、国会前に立つ理由をこう話す。
若者が全国でデモやったりとかしてるわけじゃないですか。
そういう文化も生まれつつあって、よく考えたら、50年後、多分生きてるのは僕たちなんですよ。
だから、未来には希望があると思ってて、この法案絶対止めたいと思っているし、それは全然あきらめてないですけど、もし通ったとしても廃案にすればいいと思うんですよ。
それをできる力を持っているのは今の政権与党じゃなくて、だから自民党さんじゃなくて僕たちの側なんだと思っていて。
自分たちが考えてもいいし、言ってもいいと、あのえらそうにしている人たちだけが決めるんじゃないんだというカルチャーをつくっていくこと、それがすごく大事。
ここ4人は。
今週やります。
今、ここでスピーチの話をされて、ハードル上がったと思って。
昨日の抗議行動には初回の1000人をはるかに超える1万5000人以上が集まった。
そしてこの日、彼女もまた初めてのスピーチに臨んだ。
大学2年のもえこです。
今日はものすごい緊張してるんですけど、頑張って話したいと思います。
私たちは今、大きな岐路に立っています。
平和を考える上でも立憲主義を考える上でも、このような形でこのまま法案が通ってしまったら私たちは本来、国家が一番大切にしないといけないはずの立憲主義、そして民主主義を永遠に失うことになるかもしれません。
陸上自衛隊の内部資料で遺書作成の指導が明らかになりましたけれども精神教育という文言ですとか、一種心の中にまで介入しようともしてるんじゃないか、そうもとられかねないような文言もありましたから、少し違和感を覚える部分もありました。
これが実際入手した内部資料なんです。
有事を意識した訓練について、各部隊の幹部が書いているんですけどね、中を見ますと、こうやって墨塗りの部分があったりして、このページもかなり墨塗りが多いですね。
ところが、隊員の内面にまで踏み込むような、ここですか、一番下ですね。
死生観の確立、この部分、遺書のことを言及しているんですけど、この点についてはすべて公開している。
どうしてかなという部分もあるんですけれどもそれにしても陸上自衛隊のコメントですよね。
遺書作成については、隊員たちの任意に基づいてやっているんだと言っていますけれども、自衛隊という組織を考えたときに任意で断ることができるのか、はなはだ疑問だと思いますね。
僕はSEALDsという若い人たちの抗議行動、昨日の夜、取材してきたんですけれども、何かものすごい、今までとは異質のすごく高いテンションのエネルギーを感じてね。
言葉の選び方とか、国会の中で聞かれる言葉とか、今までの古い社会運動の言葉とちょっと違ってて、クールというか、ダサくないというか、センスがいいんですよね。
国民なめんなとか、自民何だか感じ悪いよねとか、リズム感みたいなのがあって、だから、みんな楽しんでる感じがする。
新しいカルチャーみたいなものを感じたんですけどね。
僕は古いのかもしれませんけど、あと、村上龍の昔の小説で「希望の国のエクソダス」というのがあるんですけど、その中のフレーズで、この国には何でもあると、ないのは希望だけと。
そのフレーズを参加者が引いてて、昨日の集会で、だけど僕たちは言わざるを得ないんだということを言ってたので、それがとっても印象に残りましたね。
次の特集は慰安婦問題です。
戦時中、アジア各地の日本軍占領地に慰安所がつくられ、日本や植民地だった朝鮮、台湾からも多くの女性が送り込まれました。
慰安婦問題は時に政治や外交問題と化し、慰安婦の声がゆがめられてきた側面があります。
戦後70年、私たちは改めて元慰安婦の生の声を聞こうと台湾に向かいました。
時々日本語がまじるおばあさんたちの証言をぜひお聞きください。
かつて「桃子」と呼ばれた女性がいる。
その人は台湾南部のある町でひっそりと暮らしていた。
桃おばあさんは、台湾に帰ってきて長いこと、この青果市場でヤシの実を売って生計を立てていました。
今は引退していますけれども、今もこの青果市場の一角で暮らしています。
東京から来ました。
日本の東京から来ました。
聞こえますか?聞こえない。
日本から来ました。
あ、こんにちは。
陳桃さんは92歳。
元慰安婦。
こんな重たいもの持ってきて。
この日、支援団体の人たちが届けたのは馬英九台湾総統からの旧正月の贈り物。
みかん、なし。
わかるよ。
桃おばあさんは、馬英九総統に何度も会ったでしょ、会ったことあるでしょ?おばあさんに会いに来たでしょ。
知ってるよ、何回も来た。
日本語覚えてますね、まだ。
そうでもないよ。
もう発音なんか日本人みたい。
陳さんは幼い頃に両親を亡くした。
16歳の頃、おじの借金を返すため別の台湾人のもとに身売りされ、飲食店で接客の仕事をするようになった。
そして1942年、身売り先の台湾人から2年間インドのアンダマンに行って看護助手として働くよう言われたと言う。
19歳のときだった。
しかし、現地に着くと、慰安所で日本兵の相手をするよう命じられたと言う。
6月4日、船に乗ってね、インドまで行った。
あのときね…今ね、そのときのことを思い出したらね…一緒にアンダマンに行った女性たちとともに、話が違うと強く抗議したが、部隊の大隊長に脅され、あきらめるしかなかったと言う。
アンダマンで…元慰安婦の陳桃さん。
現地では一日十数人から20人以上の兵士を相手にしなければならなかったと言う。
あそこで2年間ぐらいおった。
今もね、私あの、そのときのことをね、もう忘れる…忘れようと思ってるの。
だけどね、いつも心の中に入ってる日本兵のための慰安所が海外に初めて設置されたのは1930年代、中国だったとされる。
1941年に太平洋戦争が始まると、日本軍はシンガポールやフィリピン、ビルマなどに攻め込み、占領地には慰安所が次々と設置されていった。
各地の慰安所には日本人女性のほか当時、日本の植民地だった朝鮮や台湾の女性たちが送り込まれた。
これは台湾に駐屯する日本軍の参謀長が陸軍省あてに打った電報の記録。
ボルネオで慰安婦が不足しているため、台湾から20名の女性を追加で派遣したいと了承を求めている。
元慰安婦の支援を行ってきた弁護士は、台湾ではだまされて慰安所に送り込まれたケースがほとんどだと話す。
ほとんどの人は食堂や病院での炊事・洗濯の仕事だと言われたり病院の看護師の仕事だと言われたりして、だまされて海外に行きました。
海外ならより多くのお金を稼ぐことができて家の経済状態を改善できるのではないかと考え、みんな喜んで行ったんですが、実際には慰安所に行かされやらされた仕事は慰安婦でした。
モモコ、あのときから…モモコって言われてたんだ?おばあさんの名前?ええ。
日本政府から、おばあさんたちにお詫びしてもらいたい。
私の心、いつもね、覚えてるよ。
日本にいじめられたこと、あくまでも覚えてるよ。
今もね、そのときのことを思い出したらね、もう何も言えない。
1945年8月、陳さんは台湾に帰り、おじの家に戻った。
しかしおじは、陳さんが慰安婦だったことを知ると、汚い女だとののしり、陳さんを荷物ごと家の外に放り出したと言う。
陳さんは戦後、台湾各地を転々としながら住み込みで炊事の仕事をしたり、ヤシの実を売ったりして生きてきた。
2度結婚したが、子どもはできず、男の子を1人養子にした。
私、ヤシ売ってるの。
で、今はダメ。
重いもんね。
1999年、陳桃さんを含む台湾の9人の元慰安婦が日本政府を相手取り、賠償と公式謝罪を求める裁判を東京地裁に起こした。
しかし、裁判では、被害者個人が国家に直接賠償を請求する権利はないなどとして訴えが退けられ、2005年に敗訴が確定した。
とにかく台湾人の慰安婦は南洋から台湾に戻ってきた後もほとんどの人が悲惨でした。
経済的に苦しく、貧困にあえいでいました。
病に冒された人も多かったのです。
日本に帰ったらね、あたしたちのことをね、日本政府に話してください。
あたしたちはね、日本時代から今まで…昔から今までね、自分1人で苦労してね、生活してる。
1952年に結ばれた日華条約には、日本の植民地だった台湾の請求権について、別途、取り決めを行うことが明記された。
しかし、1972年の日中国交正常化によって日本と台湾は国交関係を失い、その取り決めは行われないままとなっている。
台湾における慰安婦問題の中心的な役割を果たしてきたのがこちら、婦女救援基金会です。
こちらはスタッフルームになってますけど。
スタッフのほとんど女性ですね。
婦女救援基金会は元慰安婦を支援するとともに日本政府に対し、賠償と公式謝罪を求めている。
これ、何で残す意味があるんですか?おばあさんたちが好んで身につけていたものを残すことで気持ちを残したいからです。
着ていた服は写真でも見ることができます。
これは私たちとおばあさんたちとの思い出を物を通して残す方法の1つです。
婦女救援基金会の鄭さんは、慰安婦問題を政治問題としてとらえるべきではないと話す。
慰安婦問題というと、政治と結びつけて考える人が多いと思います。
でも、それを女性が性暴力という迫害を受けた問題として考えることはできないでしょうか。
もちろん、できれば日本政府におばあさんたちに正式に謝罪させておばあさんたちが天国に行く前に心の重荷を下ろしてあげたいです。
この2人はボランティアで活動に参加している大学生。
正直に言うと、確かに高校生のときはありました。
でも、今は日本が嫌いではありません。
むしろ好きです。
日本という国や民族に親近感を持っています。
日本と台湾はもともと仲がいいし。
台湾は一般的にとても親日的です。
植民地だった歴史があるので、私たちのおじいさん、おばあさんの世代には日本語を話す人がたくさんいます。
この問題を知ったからといって、日本への思いは変わりません。
全くそういう反日的な雰囲気は皆さんの間にないですね?反日感情を抱きながらこの活動を進めてしまうとおばさんたちが人生で経験してきたことの意味や社会との関係を狭めてしまう可能性があります。
ですから、私たちは女性の人権という視点でこの問題を考えています。
私たちの活動は、初めは確かに民族主義と一致していました。
しかし、私たちは考えを改めました現在のようなやり方で活動するようになったことで、より多くの人たちにこの問題を認識してもらい支持してもらえるようになりました。
1995年、村山政権のもとでアジア女性基金が発足した。
これは韓国、台湾、フィリピンなどの元慰安婦に民間の募金による償い金や総理大臣からのお詫びの手紙を渡す事業だった。
我が国としてのしっかりした、これに対する誠意を込めた取り組みというものを進めてまいりたいと。
募金の総額は5億円を超え台湾の元慰安婦には1人200万円の償い金のほか、政府予算から医療・福祉支援金が渡されることになった。
しかし、台湾では多くの元慰安婦がこの償い金とお詫びの手紙を受け取らなかった。
台湾政府が現在までに認定した元慰安婦は58人だが、アジア女性基金の関係者によると償い金を受け取ったのは13人だけだった。
陳桃さんも、この償い金を受け取っていないと言う。
アジア女性基金は日本の民間の募金を償い金としたものです。
しかし、私たちが主張してきたのは日本政府の謝罪と賠償です。
日本政府が民間の募金で解決しようとする態度は受け入れられませんし、誠意がないと感じています。
だから私たちは償い金の受け取りを拒否したのです。
生き残ったおばあさんたちの中でも、償い金に対する意見はそれぞれあったと思います。
そのため私たち基金会自身が募金活動を行って自分たちの力で支援金を渡し、台湾政府にも働きかけて、合わせて一人当たり400万円が支払われ今も生存者には、毎月およそ6万円の生活支援金が台湾政府から支給されている。
私たちはもう1人の元慰安婦に会った。
陳蓮花さんが台湾の工場に勤めていた19歳のとき、看護助手として働くようちこく迫ったと言う。
蓮花さんは看護助手として働くつもりで船でフィリピンのセブ島に向かった。
しかし、現地の港に着くと出迎えに来た日本軍の兵士の1人が本当の仕事は慰安婦だと教えてくれた。
その兵士は、蓮花さんと同じ台湾人だった。
だまされたと知って泣いたが、逃げるすべはなかったと言う。
これ、おばあさんでしょ?これ和服着てるよ、和服。
20歳。
とてもきれいですね。
ねえ、ありませんよ。
きれいじゃないよ。
いや、きれいですよ。
この和服は慰安所を経営していた日本人の妻が慰安婦たちのために注文してつくったものだと言う。
蓮花さんは、その慰安所では日本名で呼ばれていた。
日本の名前?ええ。
セブ島に着いてしばらくするとアメリカ軍による攻撃が激しくなり、蓮花さんたち慰安婦は日本兵とともに山に逃げた。
戦争はね、ダメだ。
昔のこと、若いもの全然わからないね。
蓮花さんはアメリカ軍の捕虜となり収容所に入れられた。
そこで再開したのはセブ島に着いたとき慰安婦の仕事をすると教えてくれた、あの台湾人兵士だった。
その台湾人兵士は、戦争が終わった後、蓮花さんの夫となった。
旦那さん、優しかったですか?卒業したの?ええ。
日本行って、京都行った。
着物つくる。
売って。
子どもができなかった蓮花さんは、2人の養女を育てた。
娘も孫も優しくしてくれます?台湾政府が認定した元慰安婦58人のうち、生存者は蓮花さんを含めて、わずか4人となった。
蓮花さんもまた、日本のアジア女性基金からの償い金は受け取らなかったと言う。
日本人のことを憎んでますか?蓮花さんは1980年代に流行した日本の演歌も歌える。
お会いできて、うれしかったです。
おばあさんたちの涙を見ていますと70年たっても、何十年たっても時が苦しみを癒すということはないのかなと思いました。
おばあさんたちに話を聞く時間はほとんど残されてなくて、私たちが取材したのは今年の2月なんですけれども、そのときには台湾には5人の元慰安婦のおばあさんがいたんですが、そのうち1人が亡くなって、今は4人、そして最初に紹介した桃おばあさんについても1人暮らしが困難になって最近、施設に入ったそうです。
慰安婦の問題というのは、最近ほかのメディアがなかなか取り上げなくなっちゃっている中で非常に重要な問題、特に今年は戦後70年ですし、一部の政治家が言っているように、慰安婦というのは強制性がなかったことを言ってる人たちが、今日、ご紹介された陳桃さんとか陳蓮花さんの今回の証言をどういう気持ちで聞くんだろうかなと思いながら僕は見ていたんですけれども、日本政府は現在生き残っている、たった4人しか生き残っていない4人の台湾人の慰安婦の人たちにはきちんと謝るべきだと思いますね。
この取材を始めたきっかけですが、今、金平さんも言ったように、日本ではことさら強制連行の有無に焦点が当たっている。
韓国ではあまりにも政治問題化し過ぎて本当のおばあさんの思いとか言いたいことがなかなか見えてこない。
さらに慰安婦問題の本質がよくわからなくなってしまっている。
そこで、原点に戻って台湾のおばあさんたちの生の声を聞いたんです。
あともう1つ印象的だったのは、おばあさんをサポートしている若い女性たちですね。
かつてこういった支援グループは非常に政治的というか、闘争的だったんだけれども、若い女性たちがおばあさんとともにいることで、女性の尊厳とか生き方を一緒に考え、学ぼうとしている、そういった姿が非常に印象的でした。
この後はスポーツ、林さんです。
プロ野球連続試合安打の話題からです。
西武の秋山選手は29試合連続試合安打を放ち、プロ野球歴代7位タイまで伸ばしました。
プロ野球記録は33試合です。
日本記録まであと4試合。
西武の安打製造機・秋山の記録はどこまで続くのか。
日本ハムの先発・有原に対し、第1打席。
まずはフォアボールを選ぶ。
さらに2回の第2打席もフォアボール。
なかなか勝負してもらえない。
秋山のバットからヒットは生まれるのか。
ファンの声援を受け、4回ツーアウトで迎えた第3打席。
これで30試合連続安打達成。
張本勲さんらに並び歴代4位となりプロ野球記録まであと3とした。
秋山は、さらにヒットを放ち、3安打猛打賞。
現在8回途中、日本ハムが8−7でリードしている。
先日、連続ノーヒットを34打席で止めたメジャーリーグの安打製造機、マーリンズのイチローは、1点を追う6回、代打で登場した。
するとカウント2−2からの5球目。
3塁線を破る芸術的な流し打ち。
現地メディアもこの一打を絶賛。
スランプに苦しんでいた41歳が完全復活ののろしを上げた。
テニスのウィンブルドン準決勝。
3年ぶりのグランドスラム優勝を目指すフェデラーが世界ランキング3位、地元イギリスファンの声援を受けるマリーを圧倒した。
自身のキャリアの中でも最高のサーブが打てたと、この試合、なんと20本ものエースを決める。
さらに相手のサービスゲームでもバックハンドが冴え渡る。
コーナーを厳しく攻められても…33歳とは思えないフットワークと老かいなテクニックでポイントを奪う。
全盛期の力を取り戻したフェデラーがストレートで圧勝。
史上最多8度目の優秀をかけて決勝で、王者・ジョコビッチと対戦する。
今シーズンのメジャー第3戦、全米女子オープン。
スーパー中学生の山口すず夏選手が決勝ラウンド進出に挑んだ。
全米女子オープン2日目。
日本人史上最年少出場、14歳の山口すず夏は6番パー3のティーショット。
見事1オンに成功する。
2mのパットをきっちり沈め、この日初バーディー。
これで勢いをつけ、巻き返しを狙うが、コースを攻略できず、トータル9オーバーで予選落ち。
14歳の挑戦に幕が下りた。
日本人最年長の大山志保は猛チャージ。
スコアを4つ伸ばし、トータル4アンダー。
首位と3打差の2位タイに浮上した。
新国立競技場の建設問題について総工費は2520億円に上りますから、これはあまりにも巨額すぎないかと話題になっていますね。
実際アスリートからもいろいろな意見が出ているんですね。
昨日、元陸上競技選手の為末さんも自身の公式サイトで反対意見を言ったんですが、その理由の1つにサブトラックのない競技場では世界選手権を開催できないことを挙げているんです。
屋根の構造、有無とかに注目されているんでけれども、そこで実際を競技を行うスポーツ選手が置き去りなっている。
2015/07/11(土) 17:30〜18:50
MBS毎日放送
報道特集[字]【陸自部内資料に『遺書作成』の記述▽台湾人の元慰安婦は今】

▽陸自部内資料に「遺書作成」の記述▽台湾人の元慰安婦は今

詳細情報
番組内容
【陸自部内資料に「遺書作成」の記述】
安保関連法案の審議で焦点となっている「自衛隊員のリスク」。報道特集が入手した陸自の部内資料には、「遺書の作成」ついて、記述した文章があった。実態に迫る。

【台湾人の元慰安婦は今・・・】
戦時中、多くの女性の名誉と尊厳を傷つけた慰安婦の問題。日下部キャスターが台湾で暮らす二人の元慰安婦を取材した。彼女たちの人生を追い、その思いに迫る。
出演者
【キャスター】
金平茂紀(TBSテレビ報道局)
日下部正樹(TBSテレビ報道局)
小林悠(TBSテレビアナウンサー)
林みなほ(TBSテレビアナウンサー)
関連URL
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おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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