0民謡魂 ふるさとの唄「長崎県平戸市」 2015.07.11


(城島)
「民謡魂ふるさとの唄」今回は長崎県平戸市からお送りします
いにしえの時代から海外貿易の拠点として栄えた平戸
恩恵をもたらしたのは風でした
初めて目にする新しい文化を次々と運んできたのです
栄華を極めた平戸
今日はその風を感じながら異国情緒あふれる唄の魅力に迫ります
(拍手)
(拍手)ありがとうございました。
ご案内は私城島茂と…。
アナウンサーの近藤泰郎です。
(2人)よろしくお願いします。
さあ今日は長崎県平戸市にお邪魔しています。
平戸市は長崎県の北西部にあります平戸島との間にあります平戸の瀬戸は遣唐使の時代から船が行き交う交通の要衝。
朝廷からの船は平戸の瀬戸を抜け中国に向かって帆に風を受けていました。
江戸時代に鎖国が行われるまではここ平戸が海外貿易の拠点となっていたんです。
今回はそんな日本の玄関口平戸から長崎県の民謡をたっぷりとお届けして参ります。
それでは早速お聴き頂きましょう。
長崎は諫早の言葉で「かわいい」を意味する「のんのこ」。
「長崎のんのこ節」を木島裕さんの唄で。
そして捕鯨にかける漁師の勇ましさが後にお座敷唄になりました「平戸節」を堀ひろみさんにうたって頂きます。
それでは2曲続けて…。
(2人)どうぞ。
(拍手)
(シテマタサーイサイ)
(シテマタサーイサイ)
(拍手)
(拍手)
(拍手)さあ続いては私たちも民謡で一つになるコーナーです。
聴いて楽しい民謡はうたうともっと楽しいという事でお待ちかね会場の皆さんも一緒になってうたうコーナーです。
今日は堀ひろみさんと木島裕さんです。
よろしくお願いします。
(木島堀)よろしくお願いします。
さて堀さんはお母さんが平戸のご出身という事なんですか?はい。
根獅子の出身です。
(拍手)ありがとうございます。
平戸には祖母たちに会いによく来るんですけれどもやっぱり落ち着きますね。
さて今日は何をうたって頂けますか?秋田県の「ドンパン節」をうたいたいと思います。
皆さんいかがでしょうか?
(拍手)でねもうお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんがマイク向けますのでドキッとされた方もねいますけれども是非一緒に木島君がお囃子入れますのでマイク向けられたら恥ずかしがらないでね。
(木島)それじゃあ皆さん手拍子もよろしくお願いします。
秋田県民謡「ドンパン節」です。
(手拍子)
(木島)いきます。
みんな一緒に!
(堀木島)ありがとうございます。
(拍手)堀さん木島さんそして客席の皆さんありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
(拍手)
(拍手)平戸に吹く風。
春には中国大陸からの風が吹き秋東から中国大陸へ向けて風が吹く。
この風に乗りさまざまな人が海の向こうから訪れこの風に乗り日本人もまた異国へと旅立つ。
それゆえ平戸にはさまざまな風が吹き抜ける事となりました。
文明の風時代の風そして唄の風。
今日は平戸の風を感じながらその魅力に迫ります。
時を遡る事1400年。
日本を統一しつつあった大和朝廷は中国を統一した隋その後の覇者唐へ使節団を派遣します。
平戸は中国へ向かう風待ちの港であり日本の玄関口。
遣隋使遣唐使らによって中国からさまざまな文化がもたらされます。
空海や栄西は平戸に滞在し茶や禅を広めました。
中国との国交によって異国からの風が平戸から日本へと流れ込むようになったのです。
風に乗って中国から渡ってきたのは文化だけではありませんでした。
1274年1281年2度にわたってモンゴル帝国が攻め込む元寇です。
戦場となった平戸。
数百人が命を落とします。
救ったのは風。
攻め込んできたあまたの船が暴風雨によって海の底へと沈むのです。
この日を境に日本と中国国家間の貿易は途絶えます。
しかし珍しいもの手に入らないものほど人の興味とお金を集めるものはありません。
貿易によってもたらされる富はばく大。
日本そして中国も混乱の時代にあった中で平戸は独自に海へとこぎ出し貿易の道を模索します。
その中でキーパーソンとなる中国の豪商王直と出会い平戸へ迎えます。
そしてついに国ではなく平戸が貿易を始めるのです。
平戸の町は中国からの珍しいものや料理歌や音楽でにぎわった事でしょう。
後の時代に中国からの歌を日本的にアレンジしそして全国に流行した「さのさ」も生まれます。
そんなにぎわいを想像しながらお聴き下さい。
「水仙花」。

(拍手)1543年種子島にポルトガル人が漂着。
日本に初めて鉄砲を伝えます。
実はこのポルトガル人こそが王直が招いた貿易相手でした。
時に世界は大航海時代。
香辛料を求める船がヨーロッパから東へ東へと風に乗り海を渡っていたのです。
1550年ポルトガル船が平戸へ入港。
平戸を入り口にして日本に西洋の風が吹き込むのです。
初めて見る西洋人。
瞳や頭髪の色も違えば話す言葉さえ知らぬもの。
そんなポルトガル人がもたらすものは未知のものばかり。
眼鏡ビードロカステラ。
西洋文化の風は人々を幸せに包み鉄砲火薬は戦乱の世を一層かき乱す突風となって吹き荒れます。
そして彼らが持ち込んだものの中で何よりも日本人に大きな影響を与えたのがキリスト教。
ポルトガル人は布教を条件に貿易を始めるのです。
次々と誕生する信者。
その広まりは想像以上に早く気が付けば全国に30万人を数えます。
しかしその時はまだ深い悲しみにつながる事になるとは想像だにしないのです。
1609年平戸にオランダ船入港。
1613年イギリス船入港。
海を渡ってきた風が平戸に繁栄をもたらします。
17世紀の日本に花開いた国際貿易都市平戸。
唄の向こうにその栄華を想像すればおなじみの民謡も違って聞こえるかもしれません。

(拍手)順風満帆に見えた平戸に逆風が吹き始めます。
1612年1613年1616年禁教令公布。
キリシタンに好意的だった平戸も一転弾圧の舞台となり悲しみに包まれます。
1616年二港制限令。
1633年鎖国令公布。
鎖国令は翌年以降も次々と公布されそのつど厳しいものとなっていきます。
日本人による海外貿易の禁止。
ポルトガル船の来航禁止。
オランダ商館の出島移設。
こうして国際貿易都市平戸の灯が消えたのです。
6万石の一城下町となった平戸。
しかしオランダがもたらした蘭学の熱は冷めませんでした。
医学や砲術兵法は吉田松陰や勝海舟ら幕末の志士を平戸へとひきつけます。
そして日本に明治維新という新しい風をもたらすのです。
平戸に吹く風。
時代の中で何かをもたらし時には時代さえも左右してきた。
やむ事もなく今も頬に当たる風。
次は何を運び来てそしてどこへ吹き抜けていくのでしょうか。

(拍手)息を合わせ重い木を動かす木遣り唄。
気温と状態を読み時を計った酒造り唄。
この国には先人の知恵によって生まれた唄や風習文化があります。
なくしたくないもの「ジャパニーズソウル」。
今日はここ平戸にうたい継がれ全国に伝わったといわれる「田助ハイヤ節」をお聴き頂きます。
田助とは平戸港を補う副港として開かれた港町。
交通の要衝でもあった平戸の瀬戸のすぐそばにあります。
帆船の時代には風待ち潮待ちの船が田助港をにぎわせ江戸中期には年間で400隻以上の船が入港したといわれています。
板子一枚下は地獄
命懸けで海を渡る男たち
しけでも波穏やかな田助はまさにお助けの港でした
港にたどり着いた船乗りを癒やしたのは田助の女たち
最盛期には芸者遊女合わせて130人
男たちをねぎらうためうたい踊ったのが「田助ハイヤ節」です
つかの間の悦楽
即興から生まれた唄と踊りは港から港へと語り伝えられやがて地域の芸能として暮らしの中に根づいていったのです
佐賀の呼子山口の下関寄港地がうたい込まれ男たちに愛されてきた事が分かります。
今日は田助ハイヤ節保存会の土肥テイさんそして木下洋子さんにお越し頂きました。
どうぞ。
(拍手)よろしくお願いします。
土肥さんは宴会での騒ぎ唄であるこの「田助ハイヤ節」ですけどもまだ当時小さなお子さんでした土肥さんにとってはなかなか縁がなかったような気がするんですけどどういうふうに唄に出会ったんですか?そのころと比べてこの田助の町平戸はどうですか?変わりました?だいぶ変わっております。
田助の港もほとんどそういう面影はなくなっておりますし。
でも変わらないものがあるとしたら何でしょうか?土肥さん今地元の小学生のお子さんにも毎週教えてるそうです。
今日は田助小学校の5年生6年生の17人の皆さんにもちょっと駆けつけて頂いてるという事で楽しみですね。
そうです。
今日は皆さんの前で立派に御披露できると思っております。
よろしくお願いします。
田助小学校の皆さんも頑張って下さいね。
5年生6年生の皆さんです。
(拍手)ちょっと聞いてみようかな。
緊張してる?いいえ。
すごいな!すごいね。
ちょっとちびっ子に聞いてみよう。
どう?女の子にまぎれて緊張してる?いえ。
度胸あるね。
(拍手)漁師や船乗り男たちだけじゃなく町じゅうに愛されうたい継がれてきた唄。
そこには笑顔がありうたげがあり自由がありました。
どんなに時代が巡っても唄や踊りはその人々たちの楽しい気持ちや心とともに伝わっていくのでしょう。
なくしたくないもの「ジャパニーズソウル」。
今日は「田助ハイヤ節」に感じて下さい。
それではどうぞ。

(チョイサーヨーイヤサー)・
(チョイサーヨーイヤサー)・
(コリャサイサイ)・
(チョイサーヨーイヤサー)・
(チョイサーヨーイヤサー)・
(コリャサイサイ)・
(チョイサーヨーイヤサー)・
(チョイサーヨーイヤサー)・
(コリャサイサイ)・
(チョイサーヨーイヤサー)
(拍手)ありがとうございました。
田助ハイヤ節保存会の皆さんそして田助小学校の皆さんでした。
ありがとうございました。
頑張ったね。
(拍手)さて近藤さんいよいよ大詰めです。
続いては?高橋キヨ子さんに「雨の降る夜節」をうたって頂きます。
長崎は対馬の花街でうたわれてきたとても雰囲気のある唄です。
今日は舞踊団「若竹」の踊りとともにお楽しみ下さい。
それでは…。
(2人)どうぞ。
(拍手)
(拍手)
(拍手)長崎県平戸市からお送りして参りました「民謡魂ふるさとの唄」。
そろそろお別れの時間です。
次回は長野県佐久市からお送りする予定です。
暮らしの中で生まれた民謡。
佐久ではどんな唄が聞こえるのでしょう。
次回もどうぞお楽しみに。
最後もやはり長崎県の民謡で締めくくりましょう。
「長崎さわぎ」。

(ヨイヤサーヨイヤサー)・
(ヨイヤサーヨイヤサー)・「こちの座敷はこちの座敷は」・
(ヨイヤサーヨイヤサー)・「エー目出度い座敷」・「鶴が御門に鶴が御門に」・
(ヨイヤサーヨイヤサー)・「エーササ巣を架ける」・「ハァ大背美ヤ大背美ヤ」・「明日も又大背美ヤ」・「ハァヨッシリヨイサー」
(拍手)
さてお立ち会い。
2015/07/11(土) 15:05〜15:50
NHK総合1・神戸
民謡魂 ふるさとの唄「長崎県平戸市」[字]

今回は長崎県平戸市から。いにしえの時代から海外貿易の拠点として栄え、歴史の波に翻弄されてきた平戸。その歩みを、“風”をテーマにした音楽劇で描く。司会は城島茂。

詳細情報
番組内容
今回は長崎県平戸市から。いにしえの時代から海外貿易の拠点として栄えた平戸。元寇やキリスト教の伝来など、歴史の波に翻弄されてきた。その歩みを本條秀太郎の音楽と舞踊団「若竹」の踊りで壮大に描く。城島茂の「ジャパニーズ・ソウル」では、平戸から全国に伝わったとされる「田助ハイヤ節」を取り上げ、伝統を受け継ぐ人々の熱き思いに迫る。更に「長崎ぶらぶら節」や「水仙花」等、異国情緒たっぷりのステージでお届けする。
出演者
【司会】城島茂,近藤泰郎,【出演】高橋キヨ子,佐々木理恵,堀ひろみ,木島裕,本條秀太郎,本條秀五郎,本條秀典,元永拓,石山裕雅,鼓友緑美代,鼓友緑佳,新津幸子,新津美恵子,舞踊団「若竹」ほか

ジャンル :
音楽 – 民謡・邦楽
音楽 – 民族音楽・ワールドミュージック
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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