光州ユニバ出場選手 「MERSへの不安感なくなった」

【光州聯合ニュース】「大会前は出場を取りやめることまで考えた。今は? 参加したのは最高の選択だったと思う」――。

 韓国南西部の光州で行われているユニバーシアード夏季大会の陸上に出場した米国のドンドレ・エコールズ選手(22)は中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染への心配があったかどうかを問う質問にこう答えた。その上で、「余計な心配だった」として、「今は安心して大会を楽しんでいる」と笑顔を見せた。

 MERSはユニバーシアード大会の最大の障害となった。新体操女子で世界トップクラスのマルガリータ・マムーン選手(ロシア)らはMERS感染への懸念を理由に参加を取りやめた。

 出場した選手らの多くも漠然とした不安を隠せなかった。空港や選手村などではマスクを着用して移動する選手団の姿が目立った。だが、不安感は徐々に和らいでいった。中国のバレーボール選手は「韓国に来る前はMERSを心配していたが、選手村に来てみたら不安な気持ちがなくなった」として、MERSへの対応だけでなく、選手村の環境が良かったと親指を立てた。

 陸上女子のヨハンナ・サルメラ選手(フィンランド、24)も「大きな心配はしなかったし、大会中の今も変わらない」として、「同じチームの選手たちも大きくは心配していない」と伝えた。

 選手村の衛生的な環境や過剰なほど繰り返される発熱検査、新規の感染患者が発生していないとの情報を聞いた選手らは不安をぬぐい去った。

 MERS感染患者が集中的に発生したソウルや首都圏から高速鉄道「KTX」で2時間以内の距離になるが、不安を感じる選手や役員はほとんど見当たらない。MERS感染予防に全身全霊をかけた組織委員会の取り組みも功を奏した。

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は先月29日の首席秘書官会議で、「MERSにしっかりと対応しており、安全ということを世界に発信できる良い機会」として、徹底した予防策を指示した。黄教安(ファン・ギョアン)首相も開幕2日前の今月1日、大会の会場を訪れ、「MERS感染が確認されてから国内で初めて開催される大規模な国際イベントで、韓国の危機管理能力をアピールできる重要な機会」と強調した。

 組織委員会の金ユン錫(キム・ユンソク)事務総長は「安心、安全な大会を目標に掲げ、入国から出国まで全員をMERSの危険から守るという覚悟で臨んだ」と述べた。選手らは韓国入国直後、空港や駅、選手村で発熱検査を受けた。

 韓国や中東5カ国などMERSが発生した国の選手や役員らには体温計が配られた。エボラ出血熱が発生したアフリカ2カ国の選手らにも同様の措置が取られた。選手村や本部ホテル、競技場など会場周辺には117台の熱感知カメラが設置され、選手村病院の入り口にはMERS感染が疑われる患者のための診療所が設けられた。

 大規模な国際スポーツイベントのうち、熱感知カメラが設置される大会は珍しい。ユニバーシアード大会を主催する国際大学スポーツ連盟(FISU)から過剰な対応との指摘が出るほどだった。組織委員会はFISUや中東諸国の代表団に対し、「選手らが試合に集中できるようにするためには不可欠」などと理解を求めた。

 あまりにも多い熱感知カメラに不満を漏らしていた選手らの気持ちも和らいだ。タイのバドミントン選手は「韓国入りした瞬間から選手村や競技場でMERSに備えた努力を感じた。おかげで安心して試合に出場できた」と話した。

 組織委員会の関係者は「選手たちの理解を求めるため、チラシも作って選手村に配布した。不便を我慢しながらも要請を受け入れてくれた各国選手団の協力でMERSのない大会となった」と感謝の気持ちを伝えた。

 ユニバーシアード大会は14日に閉幕する。

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