このまま地球温暖化が進んだら、水面下に沈む都市が判明しました

2015.07.16 07:00
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さようなら、マイアミ……。

先週、世界の気候変動に関するユネスコ会議で、科学者が改めて「気候変動はもう始まっている」と主張しました。言われるまでもなく、ここ数年の異常気象は誰もが感じているはずです。この会議が開催されていたパリも、まさにちょうど歴史的な熱波に襲われていました。気候変動で一番の問題は、なんと言っても地球温暖化です。近いうちに間違いなく海水面は上昇します。

今秋開催される、より大規模な国連の気候変動会議の前段として、将来どうすれば海水面の上昇を避けられるのか、科学者は2つの地球温暖化のシナリオを考えています。今すぐすべての二酸化炭素排出活動をやめたとしても、産業革命以前のレベルに戻ることはおろか、現状維持すらできません。本当に待ったなしなのです。

ひとつ目のシナリオは、今世紀中に地球の平均気温が2度上昇したら、とても悪いことが起こるというものです。もうひとつのシナリオは、今世紀中に平均気温が4度上昇したら、かなり最悪なことが起こるというものです。というか、もう悪いことしか起こらないんですね……。


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今月のサイエンス誌に、最近の地球温暖化の傾向から、気温が何度上昇すると極域氷床がどのくらい溶けるかを推測した研究が載っていました。それによると、平均気温が2〜3度上昇すると、海水面が少なくとも6メートルは上昇するのだそうです。


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つまり、一番マシなシナリオ通り、平均気温が2度しか上がらないように頑張っても、海水面は6メートル上昇するということ。天候に関する機関「Climate Central」が作成した地図を見ると、アメリカの都市の海岸線がどのように変化するのかわかります。こういう時に常に名前が上がるマイアミは、もちろん完全に水面下です。ハリケーンの被害に遭ったニューヨークやニューオーリンズは、大部分が水面下になる地域もかなりあり、結構衝撃的です。


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カリフォルニア州のサクラメントは海岸線から100マイル(約160km)ほど内陸にありますが、サンフランシスコ湾の海水面が相当上昇するので、2つの川に挟まれたサンフランシスコ湾の三角州のようになります。

さらにClimate Centralには、海水面の上昇によって影響を受ける人数が多い都市トップ10も載っていました。以下の各都市名をクリックすると、海岸線の変化がわかる地図にリンクします。ニューヨークは、海に近く人口も密集している大都市なので、かなりの人数が影響を受けることになります。


1. New York City
2. Virginia Beach
3. Miami
4. New Orleans
5. Jacksonville
6. Sacramento
7. Norfolk
8. Stockton, CA
9. Hialeah, FL
10. Boston
     1,870,000
      407,000
      399,000
     343,000
      290,000
     286,000
     242,000
     241,000
     225,000
     220,000


Scientific American」では、このような急激な海水面の上昇を避けるには、今世紀末までに二酸化炭素排出ゼロの目標を達成するしかないと書いています。しかし、悲観的になりたくはないですが、このままでいくと到底達成できそうにありません。

今世紀中に地球の平均気温が4度上昇するのを避けるために、科学者は大気中に排出する温室効果ガスの量を9,000億炭素トンまでに抑えることを提案しています。人類は1780年から2050年までに、およそ5,920億炭素トンを排出すると思われ、現在年間およそ400億炭素トン排出している温室効果ガスの量を、少なくとも40%は減らす必要があります。そして21世紀末までには、温室効果ガスの排出をゼロ、もしくはマイナスにしなければなりません。

Scientific Americanには、特定の業界の二酸化炭素排出量を減らすための計画の概要がありますが、この計画では不十分です。だって本来なら昨日まで、いや前世紀までにやらなければならなかったことですよね。


source: Science, Climate Central, Scientific American

Alissa Walker - Gizmodo US[原文
(的野裕子)

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