「きょうの健康」今週は「大腸がん徹底解説」と題してお送りしています。
今日もタレントのゴルゴ松本さんとご一緒です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
早速ラインナップご紹介します。
今日は4日目になります。
再発したらどのようにしたらいいのかお話を伺ってまいります。
どうでしょう?再発。
やっぱり一番怖いとか不安に思う事じゃないですか?そうですよね。
一度は治ったと。
手術も成功したぞってまた今までのように生活できてきた時にまた再発って怖いじゃないですか。
本当にそうですよね。
詳しく伺いましょう。
お話をして下さる方ご紹介致します。
大腸肛門外科腫瘍外科の医師で大腸がんの手術を多く手がけていらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
昨日のお話で大腸がんは治る可能性が高いと。
手術をすれば。
…と伺ったんですけどもまずそれはどうしてか。
大腸がんは進行が遅くて比較的性質のおとなしいがんとされてます。
とはいってもですよ先生再発してしまう事もありえますよね?手術でがんを完全に取りきれた場合は治る確率が高いんですが取りきれたと判断されていても目に見えない小さながん細胞が体内に残っている場合がございます。
それが手術後に目に見えるまで大きくなって再発という形をとります。
大腸がんは他のがんに比べて再発は少なめです。
早期がんでありましたら数%から十数%ぐらいございます。
進行していて例えばリンパ節転移があるような状況であっても約3割程度でございます。
ほかの臓器や腹膜に転移がある場合は手術後の再発率というのはかなり高めになります。
早期発見だとゼロですね。
ゼロですものね。
やはりいかに早期発見が大切かというのがこれで分かりますよね。
はい。
一昔前は再発したら予後が厳しいと考えられてましたけども現在は再発後の治療も多様化して再発しても早く見つけて適切な治療をする事で治る可能性もあります。
諦めずに治療をする事が大切です。
大腸がんの再発といった場合に大きく分けて3つのパターンがございます。
遠隔転移というのは非常に多い再発形式でございます。
大腸に発生したがんが大腸から離れた場所に飛んでそこで大きくなるものでございます。
一番多いのは肝臓でございます。
はあ〜。
まず下の方に大腸のがんがありますね。
それが肝臓に転移するんですか?こちらに直腸がんございますけどこちらから肝臓あるいは肺に転移をする事が多いです。
それはなぜ違う場所に移動するんですか?肝臓とかね。
うつってしまうんですか?血液の流れが2つルートがございます。
肝臓を通るルートと肝臓を通らずに心臓を通って肺へ行くルートがございます。
そのせいで肝臓と肺に遠隔再発が多いとされております。
血液の中に入り込んでという事なんですね。
がん細胞が入り込んでその血液経由で流れる血行性の転移と申します。
あとほかに血行性転移で多いものとしましては例えば脳転移であるとかあるいは骨の転移というのもございます。
大腸にできたがんそれが肝臓に行った場合にはそれは肝臓がんというのかそれともそのね…。
そうですね何て言うんですか?これはやはり大腸がん。
大腸がんから飛んできたものでございますので大腸がんの性質を持っております。
性質といいますと?どのような抗がん剤が効くかという事になりますと例えば肝臓から出た肝臓がんに効く抗がん剤ではなくて大腸がんに効く抗がん剤が選択されます。
それは脳の場合も一緒という事ですか?脳の場合も一緒でございます。
それは調べるんですか?細胞を。
細胞を調べる事はなかなか難しいケースがございますので例えば肺に小さなものがたくさんあったとしますと肺がんがたくさんいっぺんにできるという事は確率的には高いものではないのでこういう小さいものがパラパラできるというのはむしろどこかから飛んできたものである可能性が高いという事で転移というふうに。
そのほかにも画像的ないろんな特徴からこれは転移ですよという事が示される場合もございます。
治療としてはどんなふうにしていくんですか?遠隔転移ですけども手術可能であれば切除する事が多いです。
例えば肝臓に複数ある場合でも切除をする場合あるいはいっぺんに取ってしまう場合もあります。
機能的に残る肝臓に大きな問題がなければ切除が可能でございます。
ただこれたくさんあって切除できない場合などは抗がん剤の治療などが優先されます。
こちらの写真をご覧下さい。
肝臓に遠隔転移がたくさん…。
黒い所ですね?この黒い部分が転移でございます。
うわ〜大きい。
この白いここは肝臓なんですけどその中にたくさんがんの転移がございます。
この状態ですと切除はできません。
抗がん剤の治療を最初に行います。
それで残った肝臓の転移はこれだけになりましたのでここまで小さくなると切除が可能になりました。
抗がん剤治療でそんな小さくなるんですか?抗がん剤で効いてきますと小さくなるものもございます。
全部が全部小さくなる訳ではないですけども効果があれば小さくなって手術が可能になる場合もございます。
でもこれだけ小さくなったらそれだけでも見るだけでも安心できますね。
例えば重要な血管が近接しているという場合も離れてくれば取れる事がございますし。
どれぐらいの期間で小さくなるんですか?おおよそ3か月とかあるいは1年ぐらいかかる事もございます。
でも3か月ぐらいでそんなに急速に小さくなる事もあるんですか。
そのぐらいで効果を見てやるという事もございます。
人によって違いますよね?薬も合う合わないってあるじゃないですか。
やはり抗がん剤の効果というのは万人に等しいという訳ではございません。
抗がん剤が効く人もいれば効かないという方もいらっしゃいます。
これはもちろん効いた例ですので逆に抗がん剤やるけども効果がなかったというケースでやはり切除まではいけなかったという例もございます。
ここまで遠隔転移のお話でしたが3つのうちの今度2つ目ですね。
ゴルゴさんこの局所再発というのはどういう事だとお考えですか?これはあれじゃないですか?また同じ所にできたっていう事じゃないですか?局部…同じ場所にっていう事じゃないんですか?はいそのとおりでございます。
局所再発ですけどもこれはがんがもともとあってそこを手術して取ったはずなのにまたその近くにがんが再びできる事でございます。
肉眼的に取りきれたと思われていたんですけども目に見えないがんが残っていてそれが大きくなってきて局所再発の形をとるという事になります。
直腸がんに非常に多いです。
その場合どう治療するんですか?直腸がんの局所再発の場合ですがやはりこういった重要臓器がございますのでその重要臓器に影響がなければ切除が可能になる事がございます。
切除ができない場合は抗がん剤あるいは放射線治療の適応になるかと思います。
昨日もおっしゃってましたけど直腸の場合は結腸と違いまして短いじゃないですか。
長さが15センチぐらいだっておっしゃってたんで切ってまたそこに再発した場合は本当にどんどんどんどん短くなっちゃう訳じゃないですか。
やっぱり一番難しいですよね?はい。
これ2度目再発した場合は人工肛門になる確率の方が高いですか?人工肛門になるケースは非常に多うございます。
人工肛門になるのもそうですけどもその周りの臓器に浸潤している事がありますのでそれらを合併切除が必要になる事がございますので非常に大きな手術になる事もございます。
この腹膜播種ですかこれはあまり聞いた事がないんですが。
はい。
腹膜に散らばるようにがんが再発するような状態でございます。
これ腹膜でございます。
おなかの中ですね?おなかの輪切りでございます。
こちらおなかの側です。
こちらが背骨になりますかね。
こちらおなかで大腸とかあるいは小腸あるいは肝臓胃袋なんていうのはみんな腹膜という膜で覆われております。
ここの腹膜でずっと覆われたスペースを腹腔と申します。
だんだん大腸がん大きくなりますとこの腹膜に顔を出すようになります。
そうしますとがん細胞はバラバラと種をまくように散らばります。
おなかを守ってる腹膜全体ががんになってしまうという事ですか?はい。
いろんなパターンがございますけどもいっぱい細かなものがたくさん増えるものがパターンでございます。
種をまくようだとどうですか手術なんてなかなか…。
何度もしなきゃいけなくなりますよね。
腹膜播種残念ながらたくさん無数に数えられないぐらいできた場合は手術による治療というのはちょっと厳しいものがございます。
限られた場所にポツポツあってそれが切除可能な場合のみが手術の適応になります。
それ以外の場合はやはり抗がん剤の治療が適応になるかと思います。
ここまで手術の方法についていろいろ伺ったんですが今度は今抗がん剤と言いましたが化学療法について教えて頂けますでしょうか?手術ができなかった場合まず抗がん剤というのを考えないといけないです。
抗がん剤で完全にがんを治療するという事は難しいんですががんを縮小させたりあるいは進行を遅らせて生存期間を延ばすという効果がある事は分かっております。
大腸がんの抗がん剤ですけども2000年以降たくさん種類が増えてまいりました。
患者さん一人一人に合った個別化治療も行われるようになってまいりました。
基本的には1つの薬剤あるいは複数の薬剤を組み合わせて行う事が通常でございます。
点滴で行ったりあるいは内服で行ったりする事がございます。
最近では分子標的薬といわれるような新しいタイプの抗がん剤も複数登場しております。
分子標的薬?はい。
これまでの抗がん剤というのは正常細胞も含めてがん細胞を攻撃しておるんですけども分子標的薬というのはがん細胞に特異的に存在するような分子に対してそれをターゲットにして攻撃するというお薬でございます。
抗がん剤を投与する事によって副作用で苦しいというような話は聞いた事あるんですけどやっぱり健康なものまで影響を与えてたっていう事なんですね。
分子標的薬のほかのものとしては例えば血管新生というがん細胞を栄養する血管を作る事を阻害するようなお薬もございます。
がん細胞の遺伝子を検査する事である種の分子標的薬の効果があるかどうかという事を今知る事ができます。
でも本当先ほどおっしゃいましたけれども抗がん剤というと…。
めまいがするとか吐き気がするだとか脱力感で何もしたくなくなるというのはいっぱい聞いてきたんですよ。
抗がん剤の副作用ですけども例えば大腸がんの抗がん剤ですと吐き気であるとかあるいは手足のしびれそして皮膚の症状などというのが大きな事で挙げられております。
吐き気に関しては副作用を早めに抑えるあるいは強力に抑える薬などもありますので上手にコントロールできるようには今なっております。
それでも副作用がどうしても強い場合には薬を切り替える別の薬をトライするというケースもございます。
大腸がんというのは進行しにくくて比較的治しやすくて再発しにくいというのは分かったんですけどそれでも再発する場合はありますよね?はい。
それはどのぐらいの期間で分かるんですか?再発が起こるとしたら…再発があっても早期発見であれば治る事がございます。
大切なのは手術後の定期検査を受ける事でございます。
再発の頻度というものが大腸がんの進行度によって変わってきますので手術後の経過観察のスケジュールというのも変わっております。
例えば直腸がんで進行がんであった場合3か月置きに血液検査これは血液中の腫瘍マーカーというものを測ります。
それで半年に1回画像検査。
これはCTあるいは超音波検査を行います。
これらの画像検査必要があればもちろんMRIとかPETとかそういった検査も追加される事がございます。
3年間は毎年大腸内視鏡検査を行って頂いてそれ以降は主治医の先生とあるいは腸管の状況によってという事になります。
5年間こういった検査を行って再発が認められなければほぼ完治といってよいかと思います。
5年間でほぼ完治。
はい「ほぼ」でございます。
術後っていうのはこの検査が非常に大切だという事ですね。
再発する方の95%は5年以内に起こってまいりますので5年以降再発する事っていうのは非常にまれでございます。
ただし年に1回例えば地域あるいは職場の健康診断を受けるという事は非常に大事な事だと思います。
うちの父も去年亡くなってるんですけどもそういうのも含めて検査をあまり行かなかったんですねその後ね。
術後っていうのはね。
だからそういうのをいろんな人に伝えていきたいなと思いますね。
本当に手術もそして再発してもいろんな治療法があると。
ですからやっぱり諦めないできちんと対応する。
それが必要なんだなっていうのを改めて思いましたけど。
手術をしたからといって安心しないでその後の検査は欠かさず行って下さい。
また万一再発したとしてもその治療の選択肢というのは非常に増えております。
治療効果も上がっておりますので諦める必要はございません。
治療方針に悩んだら自己判断せずに主治医とよく相談なさって下さい。
諦めずにね。
昔と違いますからね。
そうですよね。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/07/09(木) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 大腸がん 徹底解説「再発したら」[解][字]
大腸がんは他のがんに比べて再発率は高くない。また万が一再発しても、治療法の選択肢は多く、早く見つけて適切な治療をすることで、再発の場合でも治る可能性がある。
詳細情報
番組内容
大腸がんは、進行が遅い・性質が比較的おとなしいなどの特徴があり、再発率は高くない。しかし手術で取り切れたと判断されても、実は目には見えないがん細胞が残り、手術後に目に見えるまで大きくなって再発に気がつくことがある。ただし、再発してもあきらめる必要はない。現在は手術だけでなく化学療法、放射線治療も進歩し、早く見つけて適切な治療をすれば治る可能性がある。そのためにも、手術後の定期検査が非常に重要だ。
出演者
【ゲスト】ゴルゴ松本,【講師】東京大学大学院講師…須並英二,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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