3きょうの健康 知っておきたい 認知症「どう接するか」 2015.07.09


「きょうの健康」今週は「知っておきたい認知症」です。
今日も藤田弓子さんご一緒です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
ではまずラインナップご紹介します。
今日は4日目です。
患者さんとどう接するかについてお話を伺ってまいります。
教えて下さいますのは…神経内科特に認知症の診断と治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
藤田さん身近な人が認知症になった場合どう接すればいいと思いますか?どうするっていうよりまず不安になってしまってめげそうなんですけど。
そうですね認知症の人は物事が思うようにいかなくなるためまた場所や時間など自分のいる状況が分からなくなってきたりするため潜在的に大きな不安を抱いています。
そして認知症の方と接する時には安心感を持って頂く事が大事でそのために大切なポイントがあります。
さて今日お話ししたいのはシーン別でのどう接するかです。
このように中にはご家族にとって対処に困ってしまうケースもあります。
そういった場合どうすればいいか是非知って頂ければと思います。
ではまず日常での接し方ですけども大切なのは認知症の人に安心感を持ってもらう事です。
この4つが基本となります。
認知症の方と一緒に散歩にお誘いするという時にどんなふうに誘いますか?えっ!そうですね「今日お天気がいいから一緒に歩きましょう」って。
確かに認知症の方にゆっくり優しい言葉で話すそれがすごく大切になってきます。
今言われたようにお天気がよくて公園にお花が咲いているので一緒に散歩に出かけましょうという形で声をかけてあげればよろしいかと思います。
ゆっくり話せば認知症の方はお話を理解しやすくなります。
せかすように「散歩に行かないと認知症がひどくなるわよ」というような言い方は避けて頂ければと思います。
もし気持ちに余裕があれば軽く手を握って笑顔で言ってさしあげるとより安心して散歩に行ってもらえるんじゃないかなというふうに…。
楽しい所に行けるんだ楽しい事がこれからあるぞというふうにちゃんと思って頂けるように。
それを表情に出して頂けるとより伝わりやすいというところがあると思います。
そして「短く簡潔に話す」ですが例えば認知症の人がまだパジャマを着ている状況で散歩に行く場合「着替えて出かけましょう」という一度に2つの事を言うと認知症の方には伝わりにくいというところがあります。
そこでまず「着替えましょう」と声をかけて下さい。
そして認知症の方が着替えが終わったらそのあとでじゃあ「散歩に出かけましょうか」とこのように順を追って分けて話して頂くと認知症の人が理解しやすく行動しやすい誘い方になります。
続いて「先回りして伝える」です。
認知症の方は次に何をするかという手順を忘れてしまう事がよくあります。
そこで作業が止まってしまうと戸惑ってしまいそうすると更に不安感に襲われたり自信を失ってしまいやすいという事があります。
例えばいつも散歩の同じコースを歩いている場合途中認知症の人が家を間近にして角で立ち止まったとします。
角の右を曲がるとおうちがもう見えるんですけどもそこはさりげなく…さりげなく声をかけて頂けるといいように思います。
つい「忘れちゃったの?」とか「ほら」とかせかしたりしがちですよね。
はい。
本人に考えてもらうのが脳のリハビリだと思って「さてどっちの角に曲がると家になるの?」というような形で無理に考えさせようとすると不安感を増大させて逆効果になってしまうんですね。
散歩に行く事自体を嫌がってしまうという事につながりかねません。
認知症の方が戸惑いを感じた場合本人は言葉では言わないんですが表情やしぐさそういったところにサインが出てまいります。
認知症の人と一緒に何か行動をする時にはできるだけご本人の表情を見るようにしてあげればというふうに思います。
そして必ず守ってほしいのが…認知症の人が散歩の最中に道が分からなくなった時に「昨日も教えたのに何で分からないの」というふうについつい言ってしまうのも理解できなくもないんですがでも認知症の人はできない事や失敗があった場合にその時点で心情的に傷ついています。
その上で非難して失敗を認めさせるような事は更に追い打ちをかけてしまうような事になりかねません。
認知症の人はそのひと言で更にダメージを負ってそのために散歩を嫌がって行かなくなってしまうという事もあります。
そうすると活動量が減って認知症が悪化しやすくなって家族にとってもダメージになってしまうという事があります。
そうならないために認知症の人にできない事や失敗があってもできるだけ寛容に受け止めて頂ければというふうに思います。
そしてできればですね「この道ってなかなか迷いやすい道だね」というような失敗を気にしないような気遣いをしてあげれば更にいいように思います。
こちらが不安に思ってる場合じゃないですね。
認知症の方の方がもっと不安だっていう事が分かってないといけませんね。
認知症の方は日々大きな不安を抱えながら過ごしておられてそれを言葉には出さないですけどもいろんな場面でその不安が出てくる時があります。
そういう場合は早めに不安を解消してあげるという事が大事になってくると思います。
ではここから対処に困りやすい場合の接し方についてです。
引きこもりもの盗られ妄想興奮や暴力は認知症が進行するとよく見られる症状です。
実はこういった事が起きた場合その背景には必ず認知症の本人には理由となる心情があります。
その心情を少しでも理解しようと考えてみるとどう接したらいいか見えてくる事があります。
ではまず認知症の方がなぜ引きこもりを起こすか考えてみたいというふうに思います。
認知症の人は初期から意欲低下が見られますが進行に伴ってその程度が強くなってくる事があります。
その対応の一つに昨日お話しした意欲を向上させる薬を使用するという事がありますけどもそれだけでは不十分な事があります。
またさまざまな事が思いどおりにいかなくなるため自信を失う事や不安が増大する事があります。
その結果趣味や活動をやめてしまって外出の機会も減るつまり引きこもるという事が少なくないんです。
そうすると運動などの身体活動や人とのコミュニケーションなど脳を活性化する機会も減りまして認知症が進行しやすい状況になってしまいます。
そこで実際に引きこもりを解消できた例を紹介してみたいと思います。
70歳ぐらいの認知症の男性の方でもともと家庭菜園が趣味でいろんな種を買ってきて野菜を育てるのが得意だった方がおられます。
認知症が進んでくると…家庭菜園をやめてしまわれた方がおられます。
なんとか続けて頂きたいという事で奥様と相談致しました。
自分も一緒にやる?自分も一緒にだんだん大きくなったり一緒に感動するっていう事を一緒に味わったらどうでしょう?それとっても大切な事なんです。
まさしくこの奥様も種まきからだと手間もかかって認知症の方には難しいんですけども奥様が種ではなくて苗を買ってきて奥様が一緒に苗を植えると認知症の方が苗のお世話を続けて園芸を家庭菜園を続ける事ができたというようなケースがありました。
このように趣味の一部分をサポートする事で趣味を楽しみ続ける事が可能な事があり引きこもりを解消できる事があります。
続いてもの盗られ妄想ですが認知症が軽度から中等度の段階でよく見られる症状の一つです。
どうして起こるかご説明してみたいと思います。
もの盗られ妄想は財布など大切なものを自分でどこにしまったか記憶障害によってしまった事を忘れてしまいます。
認知症の方はなぜか分からない状況を不安になりたくないため避けようとします。
そこで自分を納得させるために誰かが盗んだというふうに思い込んでしまうんです。
一緒に暮らしている家族など身近な人が疑われる事が多いようです。
「冗談じゃない私なんか盗らないわよ」って言いそうですね。
そう思われるのも無理もないんですけどもまず感情的にならずに「財布がなくなったの?じゃあ一緒に探しましょう」という事で2人で一緒に探してみて下さい。
家の中にあるものであれば探しているうちにいずれ見つかると思います。
本当に?とんでもない所入れちゃってる事ないです?そういう事もあるんですけども見つかる事もあります。
見つからない事もありますけどももし見つかった場合は「ここにあったよかったわね」という形で一緒に解決した事を喜んで頂ければと思います。
特に一緒にお茶を飲んだりお菓子を食べたりして別の話題に話を移すと財布の事はご本人は思い出す事はあまりありません。
もの盗られ妄想が起こるような認知症の段階ですと認知症の人は一旦ほかの事に注意や興味が移るとその前の事には意識がいきにくくなります。
このもの盗られ妄想は症状が出たり治まったり繰り返す事が多いんです。
基本的には毎回同じように淡々と対応して頂くのがいいと思います。
もの盗られ妄想は経過とともにどんどん悪くなる症状ではなくて毎回落ち着いてこのように対応頂くとやがて治まっていきます。
では続いて認知症の方が興奮や暴力を起こした場合の接し方です。
認知症の方は時に夜中に興奮して大声を出したりささいな事で暴言や暴力を振るったりする事があります。
これはちょっと怖いですね。
どうしよう。
まず優先すべきは家族や介護する人の身の安全です。
身をていしてそれを止めようというふうには考えないで頂ければというふうに思います。
危険を感じたらそばから離れるとか人を呼んで複数で対応する。
場合によっては一時的に少し避難をすると。
まずは身の安全を確保して頂ければというふうに思います。
その上で一旦状況が落ち着いたらいつどこでどんな状況でどんなきっかけで誰に対してこういう興奮暴力行為があったかという事を記録して頂ければというふうに思います。
そうやって整理する事でなぜ起こったか患者さんなりの理由が見えてくる事があります。
ただこういう症状がなかなか治まらないようであれば迷わず認知症の専門医などに相談して頂ければと思います。
例えば家族が何気なく着替えをさせようとした時いきなり怒りだして暴れたというようなケースを考えてみたいと思います。
その原因を考えてみますと本人に声をかけずにいきなり着替えをさせようとしたというところで本人としてみれば理由もなく体を触られて服を引っ張られたという意表をつかれて一体何をされるんだという事で恐れの気持ちとそれから怒りの気持ちが出てきて暴力につながってしまったというような事はありました。
急に触ったりなんかしちゃいけないんですか?そうなんです。
本人に安心して着替えをして頂く動作というのはいくつかポイントがあります。
ご家族とか介護をする人が…これから何をするかという事を本人に伝えてから着替えをするという事が大切になります。
前回先生少し視野が狭くなるとおっしゃってましたね。
一般の方以上に認知症の人は見える範囲が狭くなっていますので見えない所からいろんな事をされるというのは認知症の人にとっては非常に不安になったり怖がったりというような事があるんだろうと思います。
2日間おつきあい頂きましたけれどもどんな感想お持ちになりました?いや〜やっぱりもし身近な人がなったらという事もそうですし自分がなったらっていう事といつなるか分からないって事をすごく現実的に捉えました。
認知症はまだなってない人もあるいは認知症になった方も全ての人に有効な対処方法があります。
まだなってない人には50歳を過ぎたら生活習慣などを改めて認知症の予防を心がけて頂きたいと思います。
もの忘れや今までできていた事がなぜかできなくなった場合早めの受診で早期発見早期対応につながります。
今自分や家族に何ができるかを把握して認知症への予防や認知症の進行予防に役立てて頂ければと思います。
そういう意味で本当にまさしく「知っておきたい認知症」という事ですよね。
そうですね。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/07/09(木) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 知っておきたい 認知症「どう接するか」[解][字]

認知症の人は常に大きな不安を抱いているため、安心感を持ってもらえる接し方が大切。家族が困ってしまう状況でも、適切な対処法がある。どう接すればよいか伝える。

詳細情報
番組内容
認知症の人は常に大きな不安を抱いている。そのため家族など周りの人が、本人に安心感を持ってもらえるよう接することが大切。ときに引きこもりや物盗られ妄想、興奮や暴力など、家族がどう接していいか分からない場合があるが、本人の心情を理解すると解決法が見えてくることがある。日常での基本的な接し方や、周囲が困った場合に有効な対処法などを紹介する。【出演】藤田弓子、池内健、桜井洋子アナウンサー
出演者
【ゲスト】藤田弓子,【講師】新潟大学脳研究所教授…池内健,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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