1ららら♪クラシック「古きをたずね新しきを知る〜バッハの“イタリア協奏曲”〜」 2015.07.09


(「イタリア協奏曲」)「ららら♪クラシック」今回は…チェンバロのための独奏曲です。
でも「協奏曲」って普通オーケストラが登場しますよね。
どうして1人で演奏しているの〜!?そしてバッハがタイトルに込めた「イタリア」への思いとは?名曲誕生の秘密を解き明かします!「ららら♪クラシック」今日はバッハの「イタリア協奏曲」です。
耳に心地よいチェンバロの名曲ですよね。
さあ今日のゲスト「ららら♪クラシック」初登場になります。
ふかわりょうさんです。
(一同)よろしくお願いします。
ようこそお越し下さいました。
ありがとうございます。
ふかわさんは現在NHKで絶賛放送中の「きらクラ!」の司会をお務めになっている…。
はい。
FM放送ですね。
クラシックはお詳しいというふうに伺ったんですけれど。
小さい頃からピアノを習っていてやっぱりどっかで…日常生活の中でクラシックに触れる時間というのがあって3年前に「きらクラ!」という番組が始まってより密にクラシックに触れる機会が増えたのでだいぶ自分の中に…最近になって。
聞くところによるとどうやらもう…あのですね…それ何情報を仕入れたんでしょう?もちろん経験なくはないんですが名前出してよろしいですかね…。
で「せっかくだから弾いてみたら?」という事で…まあ一部分ですけども。
とんでもないまた大物と。
お金で買える経験ではないので。
この「イタリア協奏曲」はどういうイメージですか?協奏曲というと「ピアノ協奏曲」とか「バイオリン協奏曲」とかっていうのは多少聴きなじみがある…。
経験者ですからね。
少しバカにしてますよね?どうやら。
とんでもないです。
「イタリア協奏曲」っていうのはちょっと自分の中にしっかりと入ってないんですけど。
皆さん「協奏曲」といえばこんな曲ですよね。
独奏楽器とオーケストラが共演する演奏形態。
ソリストの巧みな技とオーケストラの迫力ある響きが味わえ基本的には3つの楽章で構成される大曲それが…バッハの「イタリア協奏曲」は…。
1台のチェンバロで演奏する…それでも「協奏曲」と名付けられている訳は1人の演奏者がオーケストラのようなダイナミックな響きもまたソリストのような技巧的な旋律もどちらも表現するからなんです。
なぜこんな事ができるかというと…。
2つの鍵盤を持つチェンバロを使って演奏するから。
この2段の鍵盤はそれぞれ違う響きを持っています。
下の段の鍵盤はご覧のように上の鍵盤を連動させる事もできより厚みのある音が出せるのです。
この楽器の特性を生かしてオーケストラとソリストの共演を表現する「イタリア協奏曲」。
どんな曲なのか少し聴いてみましょう。
有名な第1楽章。
オーケストラ全員で合奏しているかのようなダイナミックな響きで始まります。
第2楽章はオーケストラを伴奏にソリストが叙情的に歌い上げていくイメージ。
そして華々しく演奏される最後の第3楽章。
2段の鍵盤を駆使し1人で協奏曲を演奏できる「イタリア協奏曲」。
チェンバロの表現力を存分に引き出した傑作なのです。
ほお〜。
いかがですか?そうですね。
2段鍵盤というのが登場してくるんですよね。
2段ある方がやっぱり音の幅は広がるっていうのは間違いないんでしょうね。
そうですね。
VTRの中でも下の段を弾く時と上の段を弾く時音が全く違ったじゃないですか。
あれがなんでできるのかがほんと不思議ですね。
このあとその辺りのところはたっぷりと実演も交えてねご紹介したいと思います。
さあ続いてはですね…ふかわさん音楽の父…すばらしいです。
もうちょっと自信を持ってお答え頂きたかったですね。
よかったです。
このタイトルにはドイツ人であるバッハのイタリアへの深い思い。
是非VTRでねご覧頂きたいと思います。
クラシック音楽の歴史の中でドイツ出身の作曲家は欠かせない存在。
まずはこの人…そのベートーベンと並ぶ大作曲家…そして今日の主役…この「ドイツ3大B」と呼ばれる巨匠たちをはじめそうそうたる顔ぶれが今のクラシック音楽のレパートリーを生み出してきました。
実はバッハが生まれた頃のドイツは芸術面ではまだ後れを取る国だったのです。
このころ芸術文化をリードしていた国はイタリア!ルネサンスやバロックの音楽もこの地で花開きさまざまな音楽の様式も作り出されました。
「協奏曲」の形態を生み洗練させていったのもイタリアの作曲家たち。
イタリアは最先端の流行が生み出される芸術都市だったのです。
1685年ドイツのアイゼナハに生まれたバッハにとってもイタリアの音楽は憧れの存在でした。
20代後半そんなバッハにイタリアの音楽を学ぶ絶好の機会が訪れます。
この時バッハが仕えていたのは音楽好きの…彼は当時大流行していた協奏曲を1台のチェンバロで弾けるようバッハに編曲を依頼したのです。
イタリアの作曲家が書いた協奏曲の楽譜を初めて目にしたバッハは次々とチェンバロの作品に仕上げていきました。
例えば…。
こうしてバッハはこの時期イタリアの協奏曲の様式にじかに触れ協奏曲のスタイルとその本質を習得していったのでした。
それから20年ほどの歳月が流れた1730年ごろ。
作曲家として円熟期を迎えた40代半ばのバッハは再びチェンバロ1台で演奏する協奏曲を書こうと考えます。
しかし今度は20代の頃に取り組んだ編曲ではなく完全にバッハオリジナルの旋律で。
芸術の先進国イタリアで生まれた協奏曲を1台のチェンバロで自分の音楽として表現したい。
それはドイツ人でもこれだけの事ができるという事をアピールしたいバッハの挑戦でもありました。
こうして1735年に発表されたのが…通称…イタリア由来の協奏曲のスタイルを踏襲したうえでバッハならではの曲作りのセンスも感じられる傑作の誕生でした。
「イタリア協奏曲」は発表直後から大ヒットし…更にこの曲の発表により当時のバッハの音楽に対する世間の評価も変わっていきます。
それまでは……というふうに言っていた人たちがむしろ…非常に驚いたという事でバッハはとても面目を施してまたやる気になったと思いますね。
幼い頃からイタリアの芸術に憧れその音楽を学んだバッハ。
「イタリア協奏曲」は協奏曲発祥の国イタリアの作曲家の作品をもしのぐ名曲として高い評価を受けたのです。
イタリアの音楽をたくさん自分で吸収して自分の中で料理してみんなに発表するというような相当な情熱がないとできないと思いますよね。
今はねクラシック音楽で大国というとドイツってイメージになりますけどこのころはまだまだイタリアに後れを取った後進国だったんですね。
更にね実はこの「イタリア協奏曲」には一緒に発表された曲があるんですよ。
ここにバッハの深いねらいが実は見て取れるという部分なんですけれどもこちら。
この部分これは…今回取り上げている曲ですね。
そしてもう一曲こちらに…。
イタリアらしい曲とフランス的な曲を一緒に発表しているんです。
でもこの曲を書いた時のバッハ自身まあ40代じゃないですか。
で周囲から「もうあの人は古い」って言われていたっていうそこはでもショックでしたね。
ああ…そうですね。
ちょうどまた時代的にもうバッハの死後6年たってモーツァルトが出てきちゃうんですよ。
そういうもうほんとに転換期でもあったので。
でも時代ってちょっと軽薄で残酷なところありません?なんかそこから外れるとすぐに価値がなくなったみたいな扱いになりますけどでも僕たちこうやって200年もたってから見てみるとそれはそれでどちらのものもいいんだなってちゃんと分かりますもんね。
結局今音楽の教科書を開いたら当たり前のようにバッハがいて音楽室の後ろに飾られてますけどこれは一人の天才が生まれたというよりも才能はあったかもしれないですけど結局…バッハってどこか天才のイメージもあって汗をかいてないイメージすらあるんですよね。
なんかすごく学んでとか吸収して必死になってもがいてるイメージがなかったので意外でしたね。
ふかわさんはいかがですか?こういう先人に学び…みたいな。
いろいろ写すまではいかないまでも…。
でもバラエティーお笑いの世界でも…ギャグをそのまま盗んでしまうとそれは「パクった」という表現になってしまうんですけど芸をいろいろ見てで自分の中で表現して…最初はうまくいかないんですけどやっぱり回を重ねるごとに自分のものにするっていうのはもしかするとちょっと近い事かもしれないですね。
まさにバッハとねつながる部分。
そこねあんまり…つなげる必要はそんなにないかもしれないですけどもしかすると似てる部分はあるかもしれないですけど。
将来「大ふかわ」になるかもしれませんからね。
もうやめてもらっていいですかつなげるの。
ここでちょっとブレーク!7月といえば七夕。
という事で今月のテーマは…今回もたくさんの曲をおすすめ頂きました!ではメッセージと共にご紹介します。
まずはこちら!う〜ん確かに!宇宙旅行できそうな気分になれますよね。
続いて2曲目は!懐かしい人と再会できる…。
そんな夜もすてきですね。
そして今回最も多くおすすめ頂いた曲は…。
その昔モーツァルトも星空を眺めながらロマンチックな事を考えたのかも!?皆さんもすてきな音楽と共に夏の夜空を見上げてみてはいかがですか?イタリアで生まれた音楽形式「協奏曲」を1台のチェンバロで表現した…そこにはドイツ人のバッハが芸術の先進国イタリアに寄せた憧れと挑戦の思いがありました。
ここからはチェンバロ奏者の鈴木優人さんが登場!多彩な表現を可能にするチェンバロの驚くべき楽器の仕組みを紹介します!ここからは今回「イタリア協奏曲」を演奏して頂きますチェンバロ奏者の鈴木優人さんにも加わって頂きます。
どうぞよろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
さあまずはですねこの「イタリア協奏曲」なぜ1台のチェンバロで演奏できるのかという事なんですけれども。
実はこの楽器ですと2段あるんですね鍵盤が。
今どういう事になってるのかご説明したいと思うんですがそのためにはここも外してしまってこの「ジャックレール」という蓋を今日は外してしまいます。
うわあ細かい。
そうするとですねここにズラーッと並んでるのが「ジャック」と呼ばれる部品なんですがチェンバロの場合は鍵盤を指で押さえますとこのジャックの中にあるツメというもの…。

(ふかわ)あっ!はじいた…。
(鈴木)はじきます。
今見て頂いた上の鍵盤に対応してる1本のジャックがあります。
下の鍵盤を押さえると今度こちらの2本が上がるんですね。
実は…どういう事かというと…。
下鍵盤を押すとはじかれるこの2本の弦。
左側の弦の音に対し右側の弦はその1オクターブ高い音が鳴るんです。
つまり1本のキーでオクターブの音を同時に鳴らせるというわけ。
その上この真ん中のジャックには更なる秘密が…。
(鈴木)ここにレバーがありましてこうやってスライドさせる事でツメが弦を触らないので鳴らない。
でこうやって入れてあげると…。

(ふかわ)オクターブだ!緻密な作りですね。
すごく繊細な作りになってる。
更に「カプラー」という機械がついてまして…こちらの鍵盤を見て頂くとここに取っ手があるんですが実はこの上の段がスライドするんですね。
動きましたね。
(ふかわ)ちょっと動きましたね。
(鈴木)これで何が起こるかといいますと先ほどですと下の段を弾くとね…。
こういう事だったんですね。
何も起こらないんですが。
カプラーを入れますと…。

(ふかわ)えっ!?分かりますか?ここを見て頂くと上の段が一緒に動いています。
そうすると先ほどのジャックも3本同時に動くんですね。

(ふかわ)ええっ!なるほど。
いやあしっくりきましたよ。
実はこの「イタリア協奏曲」っていうのはバッハが2段鍵盤で弾いてほしいと指示した曲でしてまさに今の構造を使ってそれが表現できるようになっていますけれども。
ではここからは実際に楽曲でね細かく見ていきたいと思います。
まずはソロとオーケストラの共演のように聴こえてくる部分をちょっと聴いてみましょうか。

(ふかわ)おお〜。
これ今オーケストラとソロのパートに分かれていたとしたらどちらの手でソロを弾いていたと思いますか?もう一回頂けないですか?あっ。
どうしたの?右手!下の段が高い。
(鈴木)正解です。
ソロ。

(鈴木)こちらですね。
よく見たら高い音。
右手で演奏しているのがメロディーのパートで左がほんとにオーケストラで伴奏を奏でているように。
さあでは今度は続いて同じメロディーを掛け合うようなシーン。
いろんなイメージを持ってちょっと聴いて頂きたいと思います。
実際に今のシーンはエコーのようにやまびこのように聴こえてきたりそれからオーケストラの中でもオーケストラが弾いたあとにソロが弾くかもしれないしそれから何でしょうね弦楽器から管楽器に受け渡したかもしれない。
いろんなイメージを広げられるような書き方をバッハ自身がしているという部分…。
そうだったんだ。
変化を楽しむという部分です。
いいですか?はいすっきりしました。
鈴木さんは指揮者としてもご活躍なんですがこの曲は指揮者としての感覚で弾いたりする事もあるんですか?そうですね。
いろんな音を出す時にこれは何の楽器かなって。
先ほどの…。
これ伴奏じゃあバイオリンとビオラがしてて…。
これを例えばオーボエが吹いてるとかそういうふうにこうイメージしながら弾くとすごく楽しい感じがするんですよね。
やはりバッハはイタリアに行った事がなかったんですけれどもイタリアのコンチェルトの明るくて掛け合うようなすごく生き生きとしたところを音楽に取り入れましてそれをチェンバロ1台で表現しようとしたのでそういうちょっとオーケストラのような響きをチェンバロ1台で作る事ができるっていうのが楽しいですし自分にとってのチャレンジみたいなところがありますね。
なので是非そういういろんな…こうオーケストラをイメージしながら音色の違いを聴き分けて頂きたいと思います。
それでは鈴木優人さんの演奏でバッハの「イタリア協奏曲」第1楽章をお聴き下さい。

(拍手)いやあ〜すごいですね。
チェンバロの音色がどこかその…オーケストラの音色に変換されて入ってくるというか。
音色の変化って通して聴くとよりリアルに感じませんでした?そうですね。
ドイツ人のバッハがイタリア風で一発かましたるぞっていうなんか覇気が見えるような気がしましたね。
ある種チェンバロっていう限られた世界だからこそこの限られた範囲でどうにかしようっていうその思いがあふれて伝わってくるからものすごい迫力があるというか全然もう聴こえ方が今日で変わりましたね。
ふかわさんもチェンバロの奥深い魅力のとりこになったようですね。
2015/07/09(木) 10:25〜10:55
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「古きをたずね新しきを知る〜バッハの“イタリア協奏曲”〜」[字][再]

ゲストにふかわりょうさんをお迎えしてバッハの「イタリア協奏曲」を大特集!この作品の演奏に欠かせないチェンバロの響きの秘密も解き明かします。演奏ゲスト/鈴木優人

詳細情報
番組内容
今回はバッハの「イタリア協奏曲」を紹介。この曲、タイトルに「協奏曲」の文字がありますが1台のチェンバロで演奏される独奏曲。通常はオーケストラと独奏楽器が登場するのが「協奏曲」なのに、独奏できるのはナゼ!?そしてドイツ生まれの“音楽の父”バッハが「イタリア」に抱いた思いとは。番組後半ではチェンバロ奏者の鈴木優人さんと一緒に2段の鍵盤をもつチェンバロの音色のメカニズムを徹底解剖!名曲の魅力に迫ります。
出演者
【ゲスト】ふかわりょう,チェンバロ奏者…鈴木優人,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門

ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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