『ストレイヤーズ・クロニクル』 本年度上半期皆殺し映画堂々の第一位。ジョージ・ミラーが撮ったらこんな話三秒で終わるよ!(柳下毅一郎) -4,845文字-
監督 瀬々敬久
原作 本多孝好
脚本 喜安浩平
撮影 近藤龍人
音楽 安川午朗
主題歌 ゲスの極み乙女
出演 岡田将生、染谷将太、成海璃子、松岡茉優、白石隼也、高月彩良、黒島結菜、豊原功補、石橋蓮司、伊原剛志
Childhoods’ End
廃ボーリング場。マリファナ栽培の温室の前で錯乱した少女が倒れていると、三人の少年がやってくる。
「あーあーすっかり薬漬けになっちゃってるよ~」
というところに半グレ風不良集団があらわれる。
「この子、解放してあげてよ。今なら罪には問わないからさ」
「ふざけんなああ」
といって襲いかかってくる不良どもだが、すべての攻撃を躱すスバル(岡田将生)とすべてを受け止めて平然としているワタル(白石隼也)の前にあっという間にあしらわれてしまう。それでもなぜか余裕をかますリーダーだが、当然のごとく瞬殺。パニックに陥った少女が飛び降りようとするのを察知したスバルは足を引っかけてそれを阻止。スバルは三秒先の未来が見え、先読みして行動できる無敵の男なのだった。無事少女を保護して意気揚々と引き上げようとしたところで突然ワタルが倒れる。スバルは電話で
「ワタルが破綻した!」
SOSに答えてやってきたのは渡瀬(伊原剛志)。
「父親はどうということのない二世議員だが、この娘の祖父は与党の大物(石橋蓮司)だからな」
と恩を売っていることを強調する。
That Day そのころ
東南アジア某国では超能力者の少年たちが奴隷売買の組織と戦っていた。車椅子のマナブ(染谷将太)をリーダーに、高速移動とか口から鋲を吹く女とかのチームがバタバタと相手を倒していく。彼らこそ遺伝子改造で作られた超能力者たち、“チーム・アゲハ”であった。
The Next day その次の日
チーム・アゲハが日本に潜入し、空港でスバルとすれ違う。スバルはオフィスのような部屋で渡瀬からアゲハを逮捕するよう命じられる。どうして日本映画の陰謀家はいつも薄暗い照明のモノのない殺風景な部屋にいるのだろうか。アゲハは遺伝子改造実験の責任者である科学者が出演するシンポジウムを狙ってくるはずだ! というわけでスバルと耳がものすごくよくて周囲の人の声が全部聞こえてしまってうるさくてしょうがないたいへん不自由な能力の持ち主サヤ(成海璃子)らは会場に潜入するのだが……
さて今年もいろんな映画を見てきたけれど、この映画、本年度の邦画としては断トツにひどい。脚本もひどいが演出もひどく、予算はないし演技はクリシェばかり。瀬々敬久がこの手のメジャー作品になると手抜きをするのはいつものことだが、それにしてもここまでひどいのははじめてかもしれない。本年度上半期皆殺し映画堂々の第一位である。
脚本のひどさ、穴だらけのプロットについて書いているとたぶんいくら書いても終わらない。もちろん全員がほぼポーズをつけるだけのアクションもひどい。そもそもアクション映画として見ると超能力者たちがどうしようもなく弱い。ちなみにどんなのがいるかというと、
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