6人生デザイン U−29「ユーズドデニム販売員」 2015.07.08


オレンジのニット帽に丸メガネ。
流行のデニムを合わせたカジュアルなファッションで登場したのが今回のUー29。
濱野さんが働くのは広島県尾道市にあるデニムショップ。
ほほう〜いい感じですね。
メインの商品はユーズドデニム。
でも単なる古着でもなければ人工的に加工したものでもありません。
色合いやシワに尾道で働く人の個性と物語が刻み込まれたオリジナルです。
この試みの一番の特徴は尾道で働くさまざまな職業の人たちに新しいデニムをはいてもらいユーズドデニムに仕上げるところ。
これまでに延べ360人がデニム作りに参加してきました。
伝えたいのは働く事のかっこよさです。
濱野さんはこの取り組みにほれ込み1年前神奈川県から移住してきました。
(取材者)ここじゃないとできないんですかね?濱野さんがすっかりほれ込んでいる尾道。
古くから港町として栄えてきました。
人口はおよそ14万。
風情のある町並みでも知られ大林宣彦監督の尾道三部作をはじめ数々の映画のロケ地になっています。
商店街にあるお店の営業時間は午前11時から午後7時。
店長と濱野さんの2人で切り盛りしています。
濱野さんの主な担当は接客とデニムの品質管理。
店長の縄稚卓也さんは長年アパレル業界で働いてきました。
店長。
濱野さんの働きぶりいかがですか?こんにちは。
お客様先ほどもぷら〜っと前を来て頂きましたよね。
そうそうはい。
ええ雰囲気の店だなと思って。
接客は得意という濱野さん。
その様子ちょっと見せてもらいましょう。
これ女性の方がはいてた職業なんですけどこの人がもうベストオブ膝ダメージデニム。
ベストオブ膝ダメージ?一体どんな人がはいてたんですか?保育士さん。
(2人)あ〜。
保育士さん!はあ〜。
濱野さんたちが大切にしているのはデニムから伝わる人々の息遣い。
だからネットで販売はせず店頭で実物を見てもらう事にこだわっています。
市民にデニムをはいてもらいオリジナルのユーズドデニムを作ろうという試みです。
2年前に始まりました。
今年は90人が参加。
全員がボランティアです。
一人に2本新しいデニムが渡され1週間ごとにはき替えます。
はき終えたデニムは濱野さんが回収。
専門の職人によって洗いがかけられます。
はく集める洗うのローテーションをおよそ1年繰り返しようやく完成。
商品としてショップに並びます。
毎週木曜はデニムの回収日。
濱野さんは参加者のもとを訪ね1週間はき込んだデニムを集めて回ります。
まず訪れたのは畳職人の工房。
じゃあこれ今週のお願いします。
門田さんはこの道50年のベテラン。
デニムは慣れ親しんだ作業着。
まさに相棒みたいな存在です。
続いて向かったのは…はいお願いします。
はい。
整備士といえばツナギのイメージですがこちらではデニムを作業着にしました。
体をかがめて作業する事が多いため太もも一帯にはヒゲと呼ばれる独特の色落ちが出ています。
いや〜僕もよくはきますが知らなかった。
でもこれデニムマニアにはたまらないんですよね濱野さん。
さあここでショータイム!尾道デニムのファッションショーです。
(笑い声)こんにちは。
お世話になります。
大量の洗いたてのデニムを抱え次に向かったのは漁業組合。
組合長の田頭さんをはじめ16人の漁師さんが参加しています。
(取材者)うわっすご〜い!これが組合長のデニム。
使い込まれてなかなかの汚れ具合ですね。
(取材者)色って全然やっぱ違うもん?3年前の濱野さんです。
つけまとカラコン命のギャルでおしゃれといえば流行のものを身につける事でした。
短大を卒業して大手IT企業に就職。
営業事務として働き始めます。
ああそれですね多分。
働く毎日に充実感を感じられず僅か2年で退職。
そんな時たまたまテレビで目にしたのがユーズドデニムを市民が作るというニュースでした。
(取材者)衝撃?何かうん…ぽか〜んみたいな。
思い立ったら即行動の濱野さん。
地元の神奈川県から広島県の尾道まで車で12時間かけて向かいます。
そして1か月後。
濱野さんは尾道への移住を決意。
ユーズドデニムの販売担当として働き始めました。
濱野さんの自宅にお邪魔しました。
こんにちは。
どうぞ。
住んでいるのは5年間空き家だった古い平屋のアパート。
広々とした3DKで家賃は1万8,000円です。
家電製品やインテリアなど室内にあるのはほとんど町の人からの頂き物です。
頂き物は…すごいな。
濱野さんの給料は手取りでひとつきおよそ15万円。
前の仕事の2/3です。
ファッションと交際費にそれぞれ4万円。
地元の人たちと一緒に過ごす時間を大切にするため外食する事が多いそうです。
そしてこちらが濱野さんの1週間スケジュール。
火曜と水曜はお店の定休日。
でも在庫の管理やイベントなどで出勤する事も多いといいます。
そんな濱野さんの休日をちょっとのぞいてみましょう。
初夏。
尾道の海岸は潮干狩りシーズン。
平日でも親子連れや観光客でにぎわいます。
のんびり潮干狩り…と思いきや濱野さんこの日は漁師さんたちのお手伝い。
何でそんな軽々抜けるんですか?いっぺんに両方抜こう思うけ片方をちょっと動かして。
あっ…。
分かった?すげえ。
こうして一緒に働く事でデニムに刻まれるシワや汚れの理由を知る事ができます。
濱野さん休日も結局デニム一色なんですね。
どっちでも。
何だかいい感じですね〜。
尾道に来て1年。
人と人をつなぐデニムの不思議な力を実感しています。
在庫で残っとるけの。
おお残っとるけ。
朝8時。
商店街の人通りもまばらなこの時間。
濱野さん何だか忙しそう。
何が始まるのかな。
やっていたのはデニムの品質管理に欠かせない撮影作業。
クリーニング工場から帰ってきたばかりの洗いたてのデニムを一本一本撮影しパソコンに記録します。
月に2回。
継続して撮影する事で微妙な色落ちやシワのつき方などをきめ細かく把握する事ができます。
今ではデニムを見ただけで誰がはいているかが分かるようになりました。
これ秀さんのやつですよ。
秀さんこと漁師の山本秀徳さんのデニム。
ここ…。
膝下のこの長靴の跡が特徴です。
(取材者)すごい個性的な…。
ね〜。
おお〜。
こちらのデニムは何をやってる人ですか?来る。
すごい。
あっ!お疲れさま。
お疲れさまで〜す。
地元の居酒屋にデニムプロジェクトに参加している面々が集まりました。
(一同)おめでとうございま〜す!この日は月に一度の懇親会です。
デニムがつなぐ人と人。
年齢や職業も違う人たちが集まりデニムのはき心地や色落ち具合を報告し合います。
営業のネタとして。
へえ〜でもうれしい!地元の人たちと過ごすこうした時間が濱野さんの元気の源なんですね。
濱野さんが尾道に来て1年。
今年のユーズドデニムの完成が近づいてきました。
いつ店頭に並べるか。
いくらで売るか。
重要な判断を初めて任される事になりました。
参加者90人180本のデニムの記録をチェック。
更に自分の目でも確認します。
よし…。
悩んだ末間もなく商品になると選んだのはこの5本。
色落ちが早く個性が際立つデニムです。
いざ店長のもとへ。
これもジャイアントの方のやつなんですけど…田頭さんのやつがもう結構色がいいんですけど。
「このデニム最強!」と言っていた漁協の組合長がはいていたもの。
濱野さんのイチオシです。
できるだけいい値をつけたい。
ん〜しっかり!意気込んで臨んだミーティングでしたが商品として認められたのは1本。
濱野さんならではのプレゼンはできませんでした。
ちょっと悔しいね。
5月下旬。
濱野さんが町の人と大切に育ててきた今年のユーズドデニム第一号が店頭に並びました。
壁を塗る時とかに足を片膝立ててこういう状態なんですけど。
これが?そうなんです。
あそうですそうですはい。
お店の評判を聞いて足を運んでくれたお客さんが早速試着。
あめちゃめちゃいい!ジャストサイズ!ぴったりです。
ぴったりですね。
左官職人がはき込んだデニムのかっこよさに男性は一目ぼれ。
早速購入してくれました。
ありがとうございます。
バッチリかっこいいです本当に。
やったね濱野さん!そんな濱野さんに最後に質問です。
自分が…・これもかっこええな。
失礼します。
あ〜やっぱりいいですね。
でもこれ即戦力っすね。
2015/07/08(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「ユーズドデニム販売員」[字][再]

広島県尾道市で、地元の人たちにデニムをはいてもらい、ユーズドデニムを制作し販売するのが、濱野さんの仕事。地方での暮らしを通して、新たな価値観との出会いを見つめる

詳細情報
番組内容
縁もゆかりもない地方都市にIターン就職した女性が今回の主人公。濱野さんは広島県尾道市で、地元で働く人たちにボランティアでデニムをはいてもらい、一点モノのユーズドデニムを制作し販売するのが仕事だ。学生時代はつけまつげとカラコン“命”のギャル。短大卒業後は大手企業の営業事務職に就職した。そんな濱野さんが、地方で暮らすことで実感してゆく新たな価値観との出会いを見つめる。
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:6458(0x193A)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: