6きょうの健康 大腸がん 徹底解説「進歩する手術」 2015.07.08


「きょうの健康」今週は「大腸がん徹底解説」と題してお伝えしています。
今日は3日目になります。
ラインナップご覧頂きましょう。
ゲストご紹介致します。
今日明日2日間おつきあい頂きます。
どうぞお入り下さい。
タレントのゴルゴ松本さんでいらっしゃいます。
よろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
今日は大腸がんですね大腸がんの手術についてはどんなイメージでらっしゃいますか?文字に「大腸」大きいという漢字が入っているからやっぱり大ごとなね大変な手術になるんじゃないかというイメージはあります。
ねえ。
どんな手術なのか手術のあとはどうなのかいろいろ気になりますよね。
気になります。
それでは教えて頂きますお話をして下さる方…大腸肛門外科腫瘍外科の医師で大腸がんの手術を多く手がけていらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
大腸がんの手術をしますとそのあとの日常生活といいましょうかねそれがなかなか難しいと聞くんですけどもどうでしょうか?食事制限やトイレが大変になったりすると思ってらっしゃる方多いかと思います。
でも多くの場合は数週間から数か月で元の生活に戻れる事が多いです。
普通の生活に戻れるんですか?はい普通の生活に戻れます。
ただ腫瘍のできます場所によりましては日常生活にちょっと影響が出る事もございます。
ただ最近大腸がんの手術の進歩目覚ましいものがございます。
患者さんにとって負担が少なくて日常生活により影響が出ないような手術が可能になっております。
まず大腸はどんな臓器なのかからお話し申し上げます。
ゴルゴさん大腸の長さですがどのくらいあると思われますか?僕の体で…理科室の模型で見た事あるんですけどこうなってますよね。
僕昔盲腸切った事あるんでその辺からこうですから…。
1メートル前後じゃないですか?はい。
じゃあこちらご覧下さい。
これ全部大腸でございます。
おなかの中に折り畳まれて入っております。
ずっと伸ばしますと1.5メーターから2メーターぐらいの長さになります。
長いんですね。
1本の長い大腸ですけども大きく分けまして結腸と直腸という部分に分けて考えられております。
それではあちらの模型を使って説明させて頂きたいと思います。
はい。
おなかの右下にありますこの部分が盲腸でございます。
盲腸からずっと来ましてS状結腸まで。
左下にありますこのカーブがS状結腸まで…。
この部分が結腸でございます。
この間で水分が吸収されて液状の便が固形に変わります。
そうなんですね。
直腸というのはここから肛門まででございます。
この間に固形の便が蓄積されまして肛門から定期的に便が排出されるという事になります。
水分が吸収される場所なんですね?はい。
結腸では主に水分が吸収されます。
結ぶ腸まっすぐな腸という事ですもんね。
あとですね大事な構造物としましてはおなかの中にあるいは体中どこでもリンパ節というのがございます。
リンパ節というのは血管沿いに無数にあるんですがこれらはリンパ液に混ざった細胞であるとか異物をこし取る作業をしております。
これ大腸がんにおきましてはがん細胞がこのリンパ節に転移をしているかどうかというものが非常に治療に大事な意味を持ってまいります。
それではその治療どんなものなのか説明して頂けますか?はい。
まず大腸の構造でございます。
大腸の構造いくつかの層で考えられております。
まず大腸の一番内側は粘膜の層でございます。
その下に粘膜下層という層がございます。
それから大腸は筋肉がございますので固有筋層という層それからその外に漿膜下層という層がありまして大腸とほかの臓器を分けるものとして漿膜がございます。
かなり断層があるという感じですよね。
厚さはそれほどはないんですがその中に層は…。
たくさんあるんですね。
はいございます。
大腸がんの治療は基本的にがんの進行度で決まります。
進行度はまず大きさではなくてどこまで深くがんが入っているかという事。
それとリンパ節転移があるかどうか。
そしてほかの臓器や腹膜に転移があるかどうかこういったものの組み合わせで決まってまいります。
手術が必要になるのはこの粘膜を越えてからでございます。
粘膜下層に入って少ししますとリンパ節転移の確率が出てまいります。
こうなってくると手術が必要になってまいります。
手術が必要になるのはこの辺りですけれども更にリンパ節転移があってももちろん大腸がんでは手術が可能ですしほかの臓器や腹膜に転移があっても切除可能であれば大腸がん手術の適応となります。
ただ手術をする事が不可能である全身状態あるいはがんの広がりを見て不可能であれば化学療法や放射線療法などほかの治療法も考えます。
手術可能であればとにかく諦める必要はないという事になってくるんですね。
諦める必要全くございません。
いろんな段階での治療方法があるという事ですね。
そうですよね。
がんのできる場所によってその後が随分変わるとおっしゃってました。
その辺りのお話をして頂けますか?特に直腸がんでございます。
直腸は肛門に近い所。
そして骨盤の中にございます。
深くて狭いスペースにございます。
更には周囲に大事な臓器がたくさんあります。
神経や血管もございますので結腸がんの切除よりもやはり難しいものになります。
切除範囲によっては神経あるいは血管等を一緒に切除する事になります。
その結果としては排便機能の障害あるいは性機能や排尿機能に障害が出る事がございます。
それではがんができた場合ですが実際にはどういう形の手術になるのか説明して頂けますでしょうか?はい。
ではこちらで。
ではがんができた場合どのように手術を計画するかという事をご説明申し上げます。
S状結腸にがんができた場合。
この場合どのように取るかといいますとまず口に近い側を10センチ程度取ります。
それからお尻に近い側も10センチ程度切除致します。
20センチ!はい。
20センチですけどがんの大きさもありますので20センチ以上取る事にはなると思います。
それに加えましてリンパ節というのがございますのでリンパ節の郭清というのを行います。
切除のサイズとしてはこのような形。
リンパも切除していくんですか?この辺も。
はい。
ここだけじゃなくてこっちも切除しなくちゃいけないんですか?腸管沿いに加えてこれ大動脈なんですが大動脈に近い側のリンパ節も取ると。
リンパ節だけ取る事はできないので血管ごと取る事になります。
1.5か2メートルぐらいあるっていうんでこの結腸だと賄えるのかなっていう気はするんですけど回復するまでに相当な時間かかりそうな感じはしますよね。
はい。
ただ結腸ですとこのぐらい取りましてもほとんど影響出ないと思って頂いていいかと思います。
直腸になると少しお話は変わってまいりますけど。
直腸ですね?どうするのか教えて下さい。
直腸にできた場合ですが直腸この長さが約15センチぐらい。
15センチ。
そんなに長いものではございません。
ちょっとこれすいません移動致します。
直腸にこのようにがんができた場合ここから肛門の一番終わりの所まで約5センチだと考えて下さい。
この場合にどのように手術を行えるかという事でございます。
結腸だと10センチ10センチで20センチですけどこれはそれの長さ…全体で15ですからないですもんね。
もし取るとしたら肛門まで全部取ってしまう事になりますよね。
はい。
以前であればここから肛門も取らなきゃいけないという術式もございましたし…。
直腸全部取るぐらいの?そういう事もございました。
これもこっちですね。
最近ではやはり直腸を取って直腸から肛門側約2センチから3センチを取れば必要十分であると考えられておりますので。
肛門の括約筋がない事には排便ができなくなってくる訳ですよね?括約筋を温存しないと排便機能に障害が出ます。
じゃあ括約筋の活躍が大事だという事ですね?
(笑い声)そのとおりでございます。
はい。
本当1センチ2センチ3センチの差が非常に大きく分けるという事になってくるんですね。
直腸に関しては本当に場所1センチ2センチの違いが大きな術後の機能の影響を及ぼしますので大事な部分でございます。
先生一ついいですか?例えば本当に肛門に近い場所だったらどういう感じになるんですか?これ難しいケースだと思います。
肛門括約筋に浸潤しているような場合がございます。
その場合は人工肛門というのを考えなければいけない。
ただゴルゴさん申されましたようにもう少し余裕があった場合。
先ほどみたいにたくさん余裕はないけど少し余裕があった場合にどうなんだという事で最近は肛門をこれでも温存しようという手術術式も考えられております。
括約筋をちゃんと残す事ができると。
そういう術式も考えられています。
一部ですけども残す術式も考えられております。
かなりの医学の進歩ですよね。
まさに手術の進歩という今日タイトルどおりですけど。
具体的にその術式についてご説明申し上げましょう。
最近では括約筋間切除術というのが行われるようになっております。
これ先ほどのように非常に肛門お尻の出口に近いがんでございます。
こういうものができた場合以前であれば全部取って人工肛門を作らざるをえないようなものでしたけど究極の肛門温存術といってこの内肛門括約筋というものがございます。
外肛門括約筋…括約筋の間に入っていって内肛門括約筋を一部もしくは全部切除する形でがんを切除して吻合を行って人工肛門を回避するという手術術式が最近では行われるようになっております。
相当細かい手術ですね。
非常に高度な手術でございます。
また標準的な術式ではないんですけども手術前に抗がん剤と放射線を使う化学放射線療法というのがあるんですがそれを使うような治療法もございます。
こちらの部分ががんになります。
こちらですね。
直腸がんでございますけどもこの部分治療をしたあとこのぐらい小さくなりますのでこのあとで手術をするという方法もございます。
そうかそうか。
いきなりメスを入れる訳じゃなくて放射線治療のあと小さくしてから手術をすると。
そういった治療で肛門をなんとか残そうとか局所再発率を減らそうという工夫がなされております。
先ほどから人工肛門という話が出ましたがどんなものなのか…。
人工肛門でございますが直腸がんの手術後などでもともとの肛門が切除してなくなった場合おなかに新しく便の出口を作ります。
これが人工肛門でございます。
筋肉はもちろんございません。
感覚もございませんので自然に便が出てまいります。
排便されると。
それを受け止めるためのパウチといわれている袋。
これでございますけれどもこちらの面をおなかに貼り付けて便が出てきたらこの袋にたまります。
これをトイレで捨てると。
中身をトイレで捨てるという事になります。
僕のイメージだとおなかからホースのようなものがあってそこの先に袋があってそこに便がたまって後々捨てるっていうイメージだったんですけど直接貼り付けられるんですか?人工肛門自体の高さ2センチぐらいですので…。
そんな小さいんですか?そのぐらいですのでそれの上に貼り付けるという事になります。
ちょっと見せてもらってもよろしいでしょうか?こちら側をおなかにつけるんですね?テープを取りますと粘着面が出てきます。
ペタッとシールみたいにそこで貼り付けます。
非常に軟らかい。
軟らかい素材です。
24時間つけているという事?24時間ずっとつけっ放しで2〜3日で貼り替える。
定期的に貼り替える事が必要ですけど。
人工肛門は避けたいという方もいらっしゃると。
覚悟がいると思いますよねこれ一つつけるにしても。
それはいかがでしょう?人工肛門絶対にしたくないという方非常に多うございます。
しかしどうしても人工肛門にしたくないからといって例えばがんの根治性を損なうとかあるいは温存したとしても便が我慢できないあるいは便の回数が多くなるといった影響に耐えられるかどうかというのは社会的な状況によるかと思います。
肛門を残すような手術をされた場合どんなリスクがあるのか人工肛門というのはどういうものかという事を主治医の方からよく説明を受けられてそれで判断する事が大事だと思います。
いかがでした?今日「進歩する手術」という事でお伝えしたんですがどんな感想をお持ちになりました?僕がイメージした子どもの頃の手術とだいぶ違うなとかなり進歩してるなっていうのに気付きましたね。
あんまりそこまで怖がらなくてもいいのかなという感覚になりましたね。
そういう意味じゃ本当に正しい情報を知ると。
本当にできる場所によって随分手術方法も予後も違うんだという事を今日学びました。
そうですね。
手術が可能であれば大腸がんは治る可能性のあるがんです。
直腸がんでございましても技術の進歩で肛門が温存できるケースも増えております。
ただがんの進行度等によっては人工肛門がやはり必要な場合もございます。
基本的には患者さんのご意思を尊重して選択して頂くという事になります。
それぞれの術式のメリットデメリットをきちんと医師に確認して判断する事が大切かと思います。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
明日もよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
ありがとうございました。
2015/07/08(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 大腸がん 徹底解説「進歩する手術」[解][字]

大腸がんが大腸の内側の壁の粘膜よりやや深く侵入し、リンパ節転移の可能性がある場合は手術が適応。大腸がんの場合、進行していても手術で取り除ければ治る可能性が高い。

詳細情報
番組内容
大腸がんが、粘膜よりやや深く侵入し、リンパ節転移の可能性がある場合は、手術の適応になる。他の臓器や腹膜に転移している進行がんでも、切除可能であれば手術を行う。いずれも手術で取り除ければ治る可能性がある。切除方法は、がんが結腸にできた場合と直腸にできた場合とでは大きく異なる。直腸がんは、以前は肛門まで切除し人工肛門にすることが多かったが、手術の技術の進歩で、肛門を温存できる方法も可能になってきた。
出演者
【ゲスト】ゴルゴ松本,【講師】東京大学大学院講師…須並英二,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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日本語(解説)
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