7NHK高校講座 物理基礎「投げられた物体の運動〜放物運動〜」 2015.07.08


(黒田)「物理基礎」今回はこんなパフォーマンスから始めましょう。
うわ〜すご〜い。
(ブツリン)う〜んなかなか見事なもんだね。
投げられたクラブは一見複雑な動きをしているように見える。
でもこれを物理の目で見ると何かが見える。
投げられた物はどんな運動をしているのだろう。
改めまして寝ても覚めても理系女子…現役高校生の…今のジャグリングのように…それが今日のテーマです。
でも結構複雑な動きだったよ。
というか…あ〜言ってくれちゃって。
で熊谷君には複雑に見えたジャグリングの動き。
果たしてどんな動きなんでしょうか?という事で今日のメニューはこちら。
まず「鉛直に投げる」。
つまり縦の方向に投げる。
そして…そしてジャグリングのように…この順番で考えていきます。
真上に投げ上げる事を…投げ上げられた物はだんだん遅くなり一番上で止まりその後下に向かって落ちていきます。
0.1秒ごとに印をつけてみましょう。
今回投げられた物の運動についてお話頂くのは大津豊隆先生です。
先生よろしくお願いします。
(大津)お願いします。
前回は物が落ちる運動落下運動について学習しました。
今回はその続きとして投げられた物体の運動について考えていきましょう。
今鉛直に投げ上げたりんごの動きがこちらに出ています。
この運動を前半と後半の2つに分けて考えてみます。
まず後半です。
後半は落ちていく運動です。
これは前回学習した落下運動です。
この時働いているのは重力だけでしたね。
そうですね。
では前半について考えてみましょう。
この上に上がっていくりんごに働く力は…投げた人の…熊谷君それブ〜。
え〜。
人の手の力が働くのは投げた時だけ。
はいそうですね。
今回の学習では空気抵抗を考えませんのでりんごに働く力は重力だけです。
ですから上に上がっていく時も落ちていく時もこの物体は…えっ上に上がる時も等加速度直線運動?
(ブツリン)そう落ちていく時等加速度直線運動だという事は分かる。
でも上がっていく時も等加速度直線運動ってちょっと信じられないよね。
どういう事なんだろう?では投げ上げられた物体の速度の変化の様子を矢印で表してみましょう。
まず初速度vで投げ上げられた物体の1秒後の速度は重力加速度の大きさがgですのでv−gとなります。
2秒後はv−2gとだんだん小さくなっていきます。
1秒ごとにgの分だけ速度が小さくなっていくって事ですよね。
はいそうですね。
ではこの速度を表す矢印の先端を結んでみましょう。
そうするとこのようなv−tグラフが得られます。
今時間を表す横軸とそれからこのグラフの交点をtとしましょう。
そうするとこの時刻tにおいて速度が0である事が分かります。
速度が0という事は…そうです最高点ですね。
この最高点に到達する前すなわち上に上がっていく時それから最高点に到達して落ちていく時このどちらにおいても…グラフが一直線という事は…鉛直に投げ上げられた物体は速度が一定の割合で変化していきます。
という事は加速度が一定。
すなわち…鉛直に投げ上げられた物は等加速度直線運動をしているのだ。
という事が分かったところで今度はこの速度や距離を表す式を考えてみよう。
ここで出てくるのがこの等加速度直線運動の式です。
鉛直投げ上げも等加速度直線運動なのでこの式が使えます。
しかしここで注意してほしいのは投げ上げでは…ですから下向きの重力加速度gにマイナスをつけて速度は…距離は…これが鉛直投げ上げの式なのだ。
次は水平に投げられた物の運動を調べてみましょう。
それでは熊谷君このボールを水平に投げてみて。
うん分かった。
じゃあいくよ。
そうそのとおり。
そこで問題です。
ここに2つのボールがあります。
このトンカチのようなものをぶつけるとこっちのボールは真下に落下してこっちのボールは水平に打ち出されます。
ではこの2つのボール…それは…間違いない?うん。
じゃあ試してみましょう。
いきま〜す。
お〜。
あれ?ほとんど同じだ。
フフそれでは今の様子をスローモーションで見てみましょう。
同時に床の上に落ちました。
0.1秒ごとに止めてみましょう。
鉛直方向に注目すると2つのボールの高さはいつも同じです。
また水平に打ち出されたボールは水平方向には一定の速度で進んでいる事が分かります。
ではボールの動きを見てみましょう。
水平方向に打ち出されたボールは鉛直方向に関しては自由落下するのと全く同じ動きをしています。
一方水平方向です。
水平方向に関しては等速直線運動をしている事が分かります。
…ので等速直線運動なんですね。
水平方向の等速直線運動それから鉛直方向の自由落下この2つが組み合わさってこのような曲線を描いているんです。
ではここで熊谷君に問題。
このボールを水平にものすごい速さで投げたら…いやどんなに速く投げたっていつかは地面に落ちちゃうでしょ。
う〜んそれがそうでもないんだよね〜。
えっ?さて水平に物を投げたらどこまで届くのか。
例えば野球のピッチャーが高さ1.5mの所から時速150kmで投げた場合およそ23m先で地面に落ちる。
でももっとも〜っと速く投げたらどうなるだろう?ここで地球は丸いという事を思い出して下さい。
ものすごい速さで投げると例えばこの辺りまで届いたとしましょう。
もっと速く投げるとこの辺りまで。
そして更に速く投げるとこのように地球を1周するのではないでしょうか。
実際もし空気がなければ秒速7.9kmで水平に投げると地球を1周する事になります。
こんな事が物理の計算から分かるんだ。
試してみよう。
今日使うのはこれ。
名付けて…いやこれただの物差しじゃん。
まあそうとも言うけど。
この古いプラスチックの物差しに段ボール紙の板が直角に貼り付けてあります。
ここに十円玉をこのように2つ載せてビュンとやるとこれどうなると思う?うん?あっ分かった。
一方は真下にそのまま落ちてもう一方は水平に打ち出されてそれが…そうピンポ〜ン。
じゃあこれをやってみます。
いきま〜す。
うん同時に落ちてたね。
うん。
これは簡単に作れるので是非試してみて下さいね。
さあいよいよ「斜めに投げる」。
番組始めのジャグリングの動きを考えていきます。
もう皆さんはお分かりかもしれませんが物体を…この点を意識して斜めに投げ上げられた物体の動きを見てみましょう。
ボールを蹴ってみましょう。
ボールは曲線を描いて飛んでいきます。
一定の時間ごとに印をつけるとボールの描く曲線がはっきりと分かります。
この曲線を放物線といいこのような運動を…斜めに投げられた物はこのように放物線を描いて放物運動をします。
この時働いてる力は重力だけです。
この放物運動を鉛直方向と水平方向に分けて見てみましょう。
ばねを使ってボールを打ち出します。
打ち出されたボールの放物運動を2つの方向に分けて見てみましょう。
鉛直方向の動きを見ると上がっていく時はだんだん遅くなり下がっていく時はだんだん速くなっています。
水平方向は速度が一定です。
今見たように斜めに打ち出された物体は鉛直方向に関しては鉛直投げ上げと同じです。
これは重力が働いているからです。
一方水平方向に関しては力が働きませんので等速直線運動をしてる事が分かります。
放物運動の場合もこのように2つの運動に分けて考える事ができるんですね。
そうですね。
この2つに分けて考えると一見複雑そうに見える運動も大変分かりやすくなるんですね。
では最初に見たジャグリングの動きを調べてみましょう。
もう分かったと思うけどこのクラブも放物運動をするんです。
(ブツリン)これが放物運動といわれてもよく分からないよね。
ではクラブを1本だけ投げてみましょう。
さあどうでしょうか?放物線を描いているでしょうか?クラブの重心に印をつけます。
放物線が現れました。
という事でこのクラブの動きも重心に着目すると放物運動である事が分かりました。
このように…でも…今回は重心の探し方を手ほどきしましょう。
例えばこの円。
この円の重心は円の中心。
これは簡単だよね。
じゃあこの正方形は?これは2つの対角線が交わった所。
これも簡単だよね。
じゃあこんな形の重心はどうでしょう?これは難しいと思うでしょう?でもこんな形でも簡単に重心を見つける事ができるんです。
まずこのように糸をつけてつるします。
そして鉛直の方向つまり糸に沿って…線を引きます。
よいしょ。
そして次にもう1か所別の所に糸をつけてこんなふうに直線を引きます。
そしてこの2つの直線が交わったここ。
ここがこの形の重心なんです。
そうここが重心。
で重心の位置が分かるとこんな事ができるんだ。
はい!今日はいつもより…では最後の問題です。
このようにボールを打ち出します。
初速度が同じであればどのような角度で打ち出すと最も遠くまで届くでしょうか?さあ熊谷君どれくらいの角度だと思う?う〜んそれは…。
う〜ん。
どれくらいの角度で打ち出すとボールは一番遠くまで届くでしょうか?まず水平との角度を15度にして打ち出してみましょう。
およそ…次は30度です。
およそ…今度は45度。
およそ…最後に60度です。
およそ…全部の放物線を重ねると45度の時一番遠くまで飛んでいます。
はい今の実験では…空気抵抗がないとして…へぇ〜…もちろんそれが物理なんだよ。
という事が分かったところでジャグリングを見ながら今日はおしまい。
(3人)さよなら。
鉛直に投げ上げられた物体は上がっていく時も落下する時も…この運動を式で表すとこのようになる。
水平に投げられた物の運動を2つの方向に分けて考えると鉛直方向は自由落下の運動。
水平方向は等速直線運動である。
斜めに投げられた物の運動は鉛直方向は投げ上げ運動。
水平方向は等速直線運動である。
この運動を…描かれた曲線を…そういう事なのだ。
2015/07/08(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「投げられた物体の運動〜放物運動〜」[字]

投げられた物体の運動を放物運動と呼ぶ。今回は投げられた物体がどんな運動をするか実験を通して学ぶ。ポイントは(1)鉛直に投げる(2)水平に投げる(3)斜めに投げる

詳細情報
番組内容
投げられた物体の運動は、複雑そうに見えるが、2つの方向に分けて運動をとらえると、その特徴がよく分かる。前回に学習した落下運動を復習すると、より理解が深まる。鉛直方向と水平方向に着目すると、鉛直方向は、鉛直投げ上げあるいは自由落下運動と同じであり、水平方向は、等速直線運動をしていることがわかる。【講師】大津豊隆(豊島学院高校教諭)【司会】黒田有彩、谷知博
出演者
【講師】豊昭学園豊島学院高等学校教諭…大津豊隆,【司会】黒田有彩,熊谷知博

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:6404(0x1904)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: