4きょうの健康 知っておきたい 認知症「悪化を防ぐには」 2015.07.08


「きょうの健康」今週は「知っておきたい認知症」です。
今日と明日ご一緒下さいますのは藤田弓子さんです。
ありがとうございます。
よろしくお願い致します。
認知症なんですけれどもどんな事を?自分がもしなったら全く違う人になってしまうのかなっていう印象なんですよね。
経験とかこれまで積んできた事とかが全部なくなってしまって逆に言うと新しい人に生まれ変わっちゃうのかなと。
それではラインナップご紹介します。
3日目今日ですけれども認知症の悪化を防ぐにはどうしたらよいのかお伝え致します。
教えて下さいますのは…神経内科特に認知症の診断と治療がご専門でいらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
認知症の悪化というのは防げるものなんでしょうか?認知症の方が早期の段階で受診しますと適切な治療によって悪化を防ぐ事が可能なんです。
また認知症の方に適切な生活環境を整えて頂く事で患者さんやご家族の生活の質を保つ事ができます。
へえ〜。
さて今日お話ししたい認知症の悪化を防ぐためのポイントはこちらです。
ではまずきょうのポイント1。
特に薬の効果が期待できるのが認知症の約7割を占めるアルツハイマー病です。
こちらに脳の断面を映した画像を見てみたいと思います。
正常な方と比べるとアルツハイマー病の人はこういう黒く映っている所が多くなっている事が分かると思います。
これは脳が萎縮している事を示している事になります。
アルツハイマー病の治療の基本はお薬でその作用のしかたによって大きく2つに分ける事ができます。
一つは意欲を向上させる薬になります。
脳の神経細胞間の情報伝達を活発にする事によってやる気を出させる効果があります。
認知症の人はニュースなど周りの出来事に関心がなくなったり意欲がなくなって趣味や活動をやめてしまったというような意欲低下が起こる事が多いのです。
この症状に早い段階から対処しないと患者さんは更に脳を使わなくなって認知症がどんどん進んでいく心配があります。
それを防ぐためにこのお薬が有効な訳です。
お薬はいくつか種類がありドネペジルやガランタミンはのみ薬になります。
一方リバスチグミンは貼り薬になりまして…。
貼り薬?貼り薬はですねのみ薬をのむのを嫌がる人とかのみ忘れが多い人に使いやすいお薬になります。
これらの薬を内服して頂くと患者さんが怒りっぽくなったように感じる事がありますがこの症状は副作用ではなくて薬が効いていて認知機能がよくなるためにいろんな事に気付いて反応が出てきたそういう症状の可能性もあります。
対処に困るようであれば薬の使用を家族の判断でやめるのではなく医師に相談して頂ければと思います。
薬の量を減らしたりあるいは薬の種類を変えるというような方法があります。
また別の作用の薬を併用するとうまくいく事も結構あります。
藤田さんどういう作用だと思われますか?怒りっぽくなったりするのじゃなければ逆にニコニコ笑っちゃうというかおとなしくなってしまうんですか?そうなんですもう一つは脳の神経細胞の過剰な興奮を抑える事で気持ちを穏やかにする薬メマンチンというのみ薬があります。
意欲を向上させる薬と併用する事で認知症の方が怒りっぽくなるのを抑える効果があります。
また薬の作用とは関係なく認知症がある程度進行すると時に興奮したり落ち着かないという症状が見られる事がありますけどもそういった場合にはこのメマンチンを単独で使用する事もあります。
メマンチンの注意点としては…例えば内服を夜にして頂くとか薬の量を調節するとかいうような対処を致します。
気を付けて頂きたいのは薬をのみ始めてからあるいは薬の量や種類を変えてから患者さんに何か変化がないかどうかそこを観察して頂ければというふうに思います。
例えば家事を手伝う外出をする意欲が出てきた。
こういういい面もありますし怒りっぽくなったとかずっと寝るようになったという悪い面も少しでも気付いた事があればそのつど医師に伝えるようにしてみて下さい。
その変化に応じてご家族と相談しながら医師が薬の選択や量を調節する事がよりよい状態を保つ事につながります。
家族でのつきあい方がすごく肝心ですよね。
ふだんのそれこそ関係がね。
そっぽ向いて暮らしてるとその人がどういうふうな時すごく怒ってるとかすごくうれしいとかどういう事しゃべるかっていう事分かってないと。
変化が分からない。
やはりコミュニケーションというのはすごく大事でちょっとした声がけとか調子がどうとか食欲がどうというような事を日頃の会話の中に入れて頂ければ気付きのヒントになるように思います。
独り暮らしの人には絶対無理ですよね。
独り暮らしの認知症の方というのはすごく増えています。
その場合は介護あるいは福祉の方と連携をしてヘルパーさんに自宅を訪問して頂くあるいはデイサービスに通ってデイサービスの場で服薬確認や副作用の確認をして頂く。
そういう連携がお独り暮らしの認知症の方を支える上では非常に大切になってきます。
きょうのポイント2。
さて藤田さん進行を遅らせる認知症のリハビリってどんな事をすればいいと思いますか?目とか声とか体使うリハビリじゃないですかね?体のいろんな所を使ってリハビリとするというのはとても大切な事でその中でもいくつかのポイントをこのあと紹介したいと思います。
認知症の場合リハビリというのは脳を活性化するためのリハビリで認知症の悪化を防ぐ上で薬とともに効果的と考えられています。
リハビリによって脳をしっかり使う事で残っている脳の機能を活性化し失った機能を補うように心がけます。
またリハビリの行い方によっては患者さんが安心感や自信を持ち意欲を取り戻す事にもつながるんです。
この2つの大きな目標を果たすために欠かせないポイントが…例えば昔の写真や昔使った道具あるいはおもちゃなどを使って家族やグループで思い出を語るという方法があります。
周りの人に聞きますと本当に昔の事はよく覚えてるって言うんですね。
ですからでしょうか。
最近の事は抜け落ちてても。
そうなんです。
認知症の人は長い間定着した記憶は脳の中に残っている事が多いため子どもの時や若い時の事は会話がしやすいという事があります。
例えばどこの小学校に通っていたとか学校を卒業したあとにどういうふうな事をしたか。
こういう話は結構スラスラと出てくる事が多いんです。
例えばですねこの毎回同じような話をする繰り返すという事であっても本人が自分の事をどんどん話す事であればそれはそれでも大丈夫なんです。
この方法は回想法と呼ばれておりまして実際に一部の医療施設や介護施設でも行われ認知症の人が生き生きと取り組まれるケースが多いです。
これ以外には…そういったやり方もあります。
ポイントは認知症の方が親しめるテーマを選んであげる事になります。
ここで少し実例を挙げてみたいと思うんですけども昔音楽の先生をされておられた認知症の方が通っているデイサービスでピアノを弾いてみたところとてもうまく弾ける事が分かりました。
それ以来皆さん歌を歌う時に喜んで演奏するようになったという事がありました。
でもピアノ弾くって結構難しい事だと思います。
認知症の方がどうしてできたの?と思われるかもしれません。
藤田さんいかがでしょうか?この方なぜピアノが久しぶりにやっても弾けたんでしょうか?多分ですね私たちもお芝居やってて何て言うんですか例えば同じ役をしばらくぶりにやってもできる事があるんですね。
それって体が覚えてるっていう言い方するんですよ。
それじゃないですかね?はいそのとおりなんです。
実は我々には体で覚えている記憶と言葉で覚えている記憶2種類があります。
本当に体が覚えてるんですか?楽器を弾くとか歌を歌う絵を描くなどこういう一連の作業は体が覚えている記憶で言葉に頼らずに行う事ができます。
久しぶりにやってみたら自然にできたという事も少なくありません。
このような音楽や絵画などを用いる方法は芸術療法と呼ばれておりこのような取り組みも実際に一部の医療機関や介護施設で行われています。
ではきょうのポイント3。
料理や洗濯掃除など認知症の人が家族と一緒に家事を行うだけでもやり方を工夫すればとてもよいリハビリになります。
実は家事というのは先ほどの芸術療法のように体が覚えているというのとは違って大変高度な記憶力や複雑な判断力が必要となります。
家事は全て1人で行う事はなかなか難しい作業になります。
ただし誰かが一緒にしてあげる事で1人ではできない事でもできるようになり日常的に達成感や自信を感じる事ができて自分の居場所とか役割を感じてそういう大きな効果が得る事ができます。
ではここで料理を例に説明してみたいと思います。
認知症の方と一緒にカレーライスを作る事を想定してみたいと思います。
台所に立って目の前に食材とまな板と包丁があります。
まず大切な事なんですけども1つ1つシンプルにお願いするという事があります。
このジャガイモとニンジンを包丁で切ってねというようなそういう感じで声をかけて頂ければ…。
ジャガイモとニンジン両方言っちゃっていいんですか?「1つ1つ」って書いてあるから「ジャガイモだけ切ってね」じゃないんですか?基本は包丁で切る作業が1つのお願いというふうに考えて頂いて大丈夫です。
ただ大事な事は今目の前にある事この1つのお願いが同じ視野に入っているという事が大切になります。
認知症の方というのは自分の見える範囲視野が…ですのでこのジャガイモとこちらのニンジン別々の場所のものを同時にお願いするというのはこれは対応が難しくなってまいります。
さて患者さんがまずジャガイモを包丁で切り終えました。
そしたら「うまくできたね」と言ってこの作業がうまくいっている事をお伝え頂ければと思います。
そうする事によって認知症の方が安心して作業に取り組め次のステップに進みやすくなります。
先生例えば包丁を使うみたいな事はちょっと危ないからとかやらせない方がいいんじゃないかと思いがちですよね。
そうではないんですか?はい。
認知症の方がどこまでできるかというところの見極めは大切になりますので包丁を使う事が危険だなと思うようであれば包丁で切る作業は認知症の方にはやらないで頂いて本人ができるという事であれば包丁で切るという事も是非やって頂ければというふうに思います。
もし目の前でニンジンを前にして作業が止まってしまって戸惑っている様子が見受けられたら次はニンジンを包丁で切るんだよねという先回りして言ってあげる。
さりげなく手伝ってあげるという事が必要になります。
例えば思い出してもらうまで黙って見ていると認知症の方は少し混乱し始めるかもしれません。
もちろん「何で分かんないの!?」というふうに責めるのは避けて頂きたいと思います。
失敗を防ぐあるいは本人が失敗と感じる事を防ぐ事が大切になります。
また「もう大丈夫私がやるから」というふうに代わりにいろんな事をやってしまうのも本人が自信をなくしますのでそこのところは本人ができる事とできない事を見極めて頂ければと思います。
そして1つの作業をなんとかやり終えたら「ありがとう」とか「助かったわ」というような感謝の気持ちを伝えて頂ければというふうに思います。
認知症の方に自分が必要とされていると感じてもらう事でまた料理をする気になってもらうなど次につなげる事ができます。
やっぱり認知症大体大人になったりお年召してからそうなるじゃないですか。
あまりそういうふうに思わないでお子さんと何か一緒にやろうとか何か興味ある事をやりましょうとそのぐらいの感じで優しくっていうか接しないと駄目なのかなとちょっと今思いました。
子どもさんには皆さん忍耐強く寛容に接する事ができるんですけども同じような気持ちで認知症の方に接して頂く面も必要になってきます。
認知症の方のペースに合わせてできる事をやって頂くという事が大切な事だと思います。
そうですね。
はい。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/07/08(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 知っておきたい 認知症「悪化を防ぐには」[解][字]

認知症は早期に受診すれば薬やリハビリで悪化を防ぐことが可能。リハビリのポイントは本人ができることで家事も有効だ。具体的な場面を想定したリハビリの方法も紹介する。

詳細情報
番組内容
認知症は早期の段階で受診すれば薬やリハビリで悪化を防ぐことが可能。薬は家族が患者の様子を医師に伝えて調整する。患者の行動の変化に気付くのがポイント。リハビリは本人ができることを行ってもらう。残っている脳の機能を活性化し、安心感や自信を持つことができる。家族と一緒に家事をするだけでも効果的な場合が多い。【出演】藤田弓子、池内健、桜井洋子アナウンサー
出演者
【ゲスト】藤田弓子,【講師】新潟大学脳研究所教授…池内健,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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