【寄稿】韓国ウォン、今こそ貨幣単位を変えよう

【寄稿】韓国ウォン、今こそ貨幣単位を変えよう

 韓国銀行の統計によると、2014年末には韓国の全ての金融資産が1京3587兆ウォン(約1510兆円)になったという。京は兆が1万個なければならない。この数字がわれわれの想像の枠内に入ってくるためには、1000ウォン(約110円)を1ウォンに変える貨幣単位の変更が前提となるべきだろう。現在、経済協力開発機構(OECD)に所属している国家の中で、韓国よりも低い通貨単位を使用している国は存在しないし、ドルやユーロに対するウォン相場も1000ウォンをはるかに上回っている。

 貨幣単位の変更とは、公開的で透明な手続きを経て旧貨幣を新しい単位の新貨幣に変えることをいう。貨幣単位の変更には、単位の変更だけではなくマクロ経済的なショックが伴う。ところで、こうした側面から見た場合、今は最高の時を迎えている。現在韓国は物価が下落する中、成長率も低下するなど経済的活力が陰りを見せている。また政府は、公約を履行するためにも地下経済を改革し、財政基盤を拡充し、税収不足を解決しなければならない難題を抱えている。現時点で貨幣単位の変更が必要なのは、取引費用の削減だけではなく地下経済の改革で税収の増加や、デフレの抑制などにより景気を回復させ経済成長率を引き上げる効果があるためだ。貨幣単位の変更は、発行された5万ウォン(約5600円)新券の約70%が市場からの退出を余儀なくされた状況で、これらが再び世の光を浴び、流通できるきっかけを提示するだろう。

 貨幣単位の変更に伴う否定的側面としては、物価上昇への圧力や貨幣発行費用の増加、資金の海外流出などが挙げられている。特に通貨単位を引き下げることによる「1の位の繰り上げ」効果で、物価の上昇が多少懸念されている。ところが現時点でこの取り組みは、デフレの懸念をなくし、適当なインフレ心理を刺激することができるため、韓国経済にとって肯定的な効果として作用すると思われる。さらに貨幣発行費用の増加は貨幣発行に伴う投資の増加に、資本流出に伴う為替の不安定化はウォンの価値上昇を阻み景気を回復させる方向に、それぞれ作用するだろう。

キム・インジュン=ソウル大経済学部名誉教授
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