（安倍祥明）１９８６年６月２４日生まれた時間は朝の６時ごろですね？
（美希）はい。
ほうほうほう。
これは面白い結果が出ましたよ。
美希さんの運勢には恋愛や結婚運を示す第三課に玄武がございます。
玄武というのは芸術や天才の神将です。
恐らく美希さんは才能が豊かな方とご縁がおありかと。
才能が豊かな人？あの実は私が勤めているレストランのパティシエに食事に誘われてるんです。
すご〜くきれいな宝石みたいなケーキ作る人なんです。
それはすばらしい才能ですね。
あっでもいつも同じ服着てるし髪の毛もぼさぼさで何かこう生活力がなさそうっていうか。
周りのみんなからもやめとけって言われるし…。
あの私どうしたらいいでしょうか？才能あるアーティストというのは９割方そんな人たちですよ。
でも心配はいりません。
美希さんは初伝発用が最高に財運の良い青龍という神将ですので一生お金に困ることはないでしょう。
ほんとに？ええ。
ですから必要以上に悩むことはありません。
いい人でしたらおつきあいしてみてはいかがですか？
（美希）ありがとうございます！今度一緒に食事に行ってみます。
是非そうしてください。
よろしければ恋愛成就の霊符もご用意しておりますが。
下さい。
では占いと合わせて５，６００円ちょうだいいたします。
（美希）はい。
きつね君。
（沢崎瞬太）えっと恋愛恋愛れん…あっこれか。
失礼しま〜す。
あっありがとうございました。
ま〜たホスト商法で腹黒いことやりやがって。
ご一緒に霊符もいかがですかって昔からそんなことやってたんだろ。
ご一緒にドンペリもいかがですか？いいだろ満足してもらえたんだから。
占いはエンターテインメント。
当たることより満足してもらうことのほうが大事なのさ。
まあ確かに。
すごくうれしそうだったけど。
彼女がなぜ占いにやって来たのかわかるか？全然。
少しは考えろ。
周りに交際を反対されて迷ってたからだ。
迷うということは本心では彼が好きだという証拠だろ。
つまり誰かに背中を押してもらいたかっただけなんだよ。
ふっ…やっぱりホストだ。
（只野路子）ネットに書き込み？
（佐伯）ええ只野先生のクラスの沢崎瞬太君についてなんですがこれ。
「１５年前に王子稲荷で拾われた捨て子は飛鳥山高等学校に通っている沢崎瞬太」。
何ですか？これ。
管理者宛に削除の要請を出しました。
生徒たちにうわさが広まることもないでしょう。
ひどい…こんないいかげんなこと。
ただもしそこに書いてあることが本当で沢崎君自身がまだそのことを知らないとしたら…。
これを見たらショックですよね。
あのこの件私に任してもらえませんか？大丈夫ですか？デリケートな問題ですけど。
私臨時教員で短い間だけの担任ですけどやるからにはきちんと生徒と向き合いたいんです。
（みどり）似合ってんじゃないその格好。
へぇ〜。
母さん何しにきたんだよ。
（みどり）何ってお客さん連れてきた。
（江美子）こんにちは瞬太君。
陰陽屋さんいる？どうしたの？
（江美子）ちょっと相談があってね。
（みどり）うん。
これはみどりさん陰陽屋へようこそ。
（みどり）あっこの間はほんとにありがとうございました。
聞きましたよ働き始めたそうですね。
（みどり）はい。
あっ母は脚が良くなって実家に戻りました。
主人はまだ仕事が決まらなくてプラモデルばっかり作ってるし瞬太の進級も危ういですけどまあ何とかやってます。
そうですか。
あっ今日お客さん連れてきたんです。
商店街にあるラーメン屋さんの上海亭って知ってるだろ？そこの女将さんの金井江美子さん。
こんにちは江美子さん。
どうも。
（みどり）じゃあ私仕事があるから。
（江美子）あぁありがとね。
うん陰陽屋さんよろしくお願いしますね。
頑張れ。
どうぞ。
今日はどうされました？はい実は陰陽屋さんに折り入ってお願いがあってね。
何なりと。
厄払いっていうのかなそれとも商売繁盛っていうのか…。
お店で何かあったのですね？ここだけの話…うちの店呪われてるみたいなのよ。
呪い…ですか？お茶どうぞ。
（江美子）ありがとう。
何だか最近客足がぱたりと途絶えちゃってねぇ。
えっ上海亭が？いつも満員だったじゃん。
それがさ急に売り上げが落ちてきたんだよ。
何か変なもんがついたんじゃないかって心配で心配で。
それで呪われたと？もちろんばかげてるとは思ってるよ。
でもさ１カ月ぐらい前にうちの店の前にあれがあったんだよ。
あれといいますと？きつね石さ。
えぇ〜！？何ですか？そのきつね石というのは。
知らないの？祥明。
王子稲荷の奥にあるご神体だよ。
この辺の住人ならみんな知ってることだけどね。
そのきつね石に触った者は呪われるっていわれてんだよ。
もともとは江戸に来ていた西国のお姫様がその石に触った途端きれいな髪の毛が全て抜け落ちてしまったことから始まった伝説さ。
その石が江美子さんのお店の前に？そう。
朝シャッターを開けたら目の前に…。
でどうしたの？
（江美子）何か怖くなっちゃってさ無我夢中で戻したのよ。
（回想江美子）ごほっごほっ！＊触っちゃったんだ…。
ははっ。
前に西高の不良が度胸試しとかいって触ってそのすぐあとにバイクで事故ったってことがあったんだよね。
（江美子）おととしも酒屋のシゲちゃんがお祭りんときに酔っ払って触っちゃってそしたら次の日ぎっくり腰になったんだよ。
やっぱり上海亭の客が減ったのも間違いなくきつね石の呪いだよ。
はぁ…お稲荷さんには絵馬まで奉納してお参りしてたんだけどね〜。
あぁ…まさか呪われるとは。
ほうほうほう。
それは実に興味深いですね。
きつね君早速その石を持ってきてもらえるかな。
道中事故やぎっくり腰にはくれぐれも気を付けてくれたまえ。
お前ばかにしてるだろ。
ほんとにきつね石の呪いはあるんだって。
そうさ。
実際触った人には悪いことが起きてんだよ。
そんなの印象の問題ですよ。
印象の問題？人間の記憶っていうのは事実を記録しているんじゃなく印象を捉えているんだ。
つまりその石を触った人たちについては悪いことばかりが印象に残ってしまっただけさ。
でもそんな都合よく悪いこと起きるかな？なら占い師の常とう句を教えよう。
最近何か悪いことはありませんでしたか？この魔法の言葉を使えばどんな客でも百発百中。
つまり悪いことなんていつでも誰にでも起きてんのさ。
やっぱりこいつ腹黒い。
（江美子）もうごちゃごちゃ言ってないで何とかしておくれよ。
もう陰陽屋さんぐらいしか頼むところがないんだよ。
お断りします。
おはらいぐらいしてくれたっていいじゃないか〜。
そもそもお店の客足が遠のいたのは江美子さんの経営努力が足りないからじゃないですか？何だって？占い師のあんたに何がわかんだよ！こっちはね３０年間一切妥協しないでラーメン作ってんだよ！そうだよ。
上海亭のラーメンは最高だって。
とにかく安請け合いはできませんね。
経営コンサルタントにでも相談なさってください。
あぁ〜そう。
いいのかな〜そんなこと言っちゃって。
商店街の集会では話は持ち越しになったけど私らまだこの店を正式に認めたわけじゃないんだよ。
やっぱり陰陽屋は元ホストが女から金をだまし取ってるだけのいかがわしい店だ〜！…って私がみんなに言えばここからすぐに追い出すこともできんだけどねぇ。
どうすんだい？私を敵に回すと…怖いよ。
江美子さんを失望させるわけないじゃないですか。
どうぞ。
どうぞ。
最善の努力をさせていただきます。
わかりゃいいのよ陰陽屋さん。
で何でパソコンなんだよ？いや要は客が来ればいいんだろ？だったらおはらいなんかするより口コミサイトに書き込んだほうがよっぽどましさ。
（内藤）口コミサイト？お店に星とかを付けるグルメサイトですよ。
そこで上海亭をべた褒めしておけば多少の宣伝効果にはなるはずです。
よっ。
あっありがとうございます。
それで呪いが解けりゃいいがなぁ。
おいついでにうちの店も書いといてくれよ。
だそうだきつね君。
きつね？陰陽師にはきつねがつきものなのでそう呼んでるだけです。
どうされました？あっ…いやべつに。
あぁ〜もう俺こういうの苦手なんだよね。
祥明がやれよ。
あっあれ？もしかして祥明って機械音痴？そういえば携帯も持ってなかったもんね。
パソコンとか人さし指だけでボタン押すタイプだ。
あぁ…。
えっ？めんどくさいから任せてるだけだ。
はぁ〜お前ってほんと性格悪いな。
ただいま〜。
（内藤）へいおかえり〜。
先生こんばんは。
あっ瞬太君。
陰陽屋さんも。
また来てたんですか？こんばんは路子先生。
気安く下の名前で呼ばないでください！くんくん！くん！あれ？先生シャンプー変えた？す〜す〜した匂いがするけど。
あぁ〜自分のなくなったからおじいちゃんの借りてるだけ。
何だよ〜。
男もんなんて使うなよ。
いいでしょべつに。
…ってそれより何で私のパソコン勝手に使ってるわけ？貸してほしいって言うからな。
やめてよ勝手なこと。
デスクトップの写真を元素記号にするのはやめたほうがいいですよ。
うん。
おおかたの男性は引きますから。
これ元素記号なんだ？ロシア語かと思った。
余計なお世話です。
大体あなたは私のことを恋愛偏差値の低い女だと思っているようですが私だってあなたに負けないくらい恋愛のことならよ〜く知ってるんですから。
路子。
ほう。
いつ学んだのですか？大学のとき。
授業で。
授業？生物学と心理学を学んでいたので恋愛行動については全て科学的に説明ができます。
まあ一部の線虫の雄は食べ物よりも生殖のための雌を優先的に選ぶなど例外的な事例はありますけどね。
せんちゅうって何？線虫っていうのはね線形動物門に属する動物の総称なんだけどその中でも…。
路子。
何？とりあえず飯食うか？あっ食べてきたからいいや。
えっ？それよりパソコン。
あぁ…もう少しで終わるからもうちょっと貸してよ。
何やってるの？うんあの〜投稿サイトの掲示板を探してるんだ。
掲示板？王子に限定してと…。
あっこれだ。
あぁ！見ちゃだめ！どうした？あっいや…あのこれは…。
グルメサイト？うん。
上海亭のお客さんが減ったっていうからいいコメント書いてあげようと思って。
あぁそう。
いい？どうぞどうぞ。
えっ何だよこれ。
えっ？うん？上海亭のことぼろくそに書いてある。
「最低の店。
特にラーメンは麺がのびのびでガチでマズい！」って。
上海亭の麺が延びてたことなんて一度もないよ。
ひでぇなそりゃ。
「ガチでヤバイ！ガチで吐きそう！」って…。
他にも悪口ばっかり。
ハンドルネームは…ラーメン番長。
どうやらこれが呪いの正体のようだな。
うん。
うん？どうする？陰陽屋さんよ。
なるほどきつね石ねぇ。
（珠希）ショウ！こんにちは珠希さん。
もしかして私に会いに？ちょうど珠希さんにお聞きしたいことがあったのです。
恋人ならいない。
あぁ…たまに元彼とメールしたりはするけど今はフリーだから。
きつね石についてです。
きつね石？随分と興味深い言い伝えが残されているようですが何かマスコミなどに大々的に取り上げられたことは？ないないない。
私もバイトして初めて知ったぐらいだし。
なるほどわかりました。
お会いできて良かった。
私も。
じゃあ。
（沢崎）出来た。
いいね〜。
あっ大変大変。
あぁおかえり。
（みどり）今只野先生から連絡あって私たちに内々で話したいことがあるって。
えっ？匿名なのをいいことにひぼう中傷しているようなやからです。
あまり気にされることも…。
ラーメンにはえが入ってた？そんなの気付かないわけがない。
うそ八百並べやがって。
誰なんだいこのラーメン番長ってのは。
さあわかりません。
陰陽屋さん何とか捜し出してもらえないかい？原因が呪いではないとわかったので私にできるのはここまでです。
いいのかな〜そんなこと言って。
ここで断ったら印象悪いな〜。
人間の記憶は印象が大事だって誰かさん言ってたけど。
私を敵に回すと…。
怖いですよね。
何で俺がラーメン屋で張り込みしなくちゃならないんだ。
いいじゃん。
どっちみちいんちき陰陽師なんだから。
悪いね陰陽屋さん。
これサービスだから。
ありがとう。
頼んだよ。
うん。
（江美子）あっ隆平もうちょっと丁寧に切れつってんだろ〜。
（金井）は〜い。
（江美子）心を込めないとうまい料理は出来ないんだよ！
（金井）わかってるよ。
来るかな？ラーメン番長。
さあな。
ただわなは仕掛けておいた。
わな？うん。
投稿欄にコメントを書いておいたんだ。
はえが入ったラーメンなんて信じられない。
証拠の写真を見せてみろってな。
えぇ？そんな挑発乗るかな？ネット上のクレーマーなんて自己陶酔型のお子ちゃまがほとんどさ。
むきになってラーメンの写真を撮りにくる可能性は十分ある。
はえを合成した写真を作るためにな。
うっま。
だろう？こってりさっぱり魚介豚骨うんぬんかんぬん抜かしているラーメン屋が幅を利かせた昨今にあってこれはすばらしい。
うん。
毎日でも食べられる優しい味といったところか。
（千鶴）聞いたわよ陰陽屋さん。
（高坂）上海亭のためにいろいろやってんだって？上海亭のためではなく江美子さんのためです。
（千鶴）うわ〜あんたやっぱりホストだね。
でどうだった？少なくとも今夜は怪しい客はいませんでした。
そっか…。
しかしあの丁寧な仕事ぶりをあそこまでぼろくそに書くというのはうん…何か店に恨みがあるとしか思えないな。
恨みって？ライバル店による嫌がらせか江美子さん個人に対する恨みか。
（内藤）そいつはねぇな。
（千鶴）そうよ〜。
江美ちゃん口は悪いけどひと様に恨み買うような人では絶対ないから。
（内藤）あいつ首にタオル巻いてるだろ。
あれ死んだ旦那が店でいつもやってたんだよ。
旦那の思いもしょい込んで息子育てながら毎日笑顔張り付けて店守ってきたんだろうな。
一緒に働いてるのは息子さんですか？おう。
隆平な。
（高坂）隆平君はもともと漫画家を目指していて有名な漫画家さんのところでアシスタントをしてたんだけどねお父さんが亡くなってから店に戻って手伝いを。
（内藤）そこほら。
隆平が小さいときに書いた落書きだ。
あいつ昔から絵描くの好きだったからな。
（高坂）今はお店を手伝いながらコンクールとかに作品を送ったりしてるみたい。
２人のことを知っている人ならあんなひどいこと書いたりしないと思うんだけどね。
じゃあ新顔のお客さんかな？新顔のお客ねぇ…。
あっそういえばここ最近妙なＴシャツ着た男よく見かけない？
（高坂）あぁ〜いるいる。
あの〜漢字書いてあるやつでしょ？あぁ〜そうそうそうそう。
あっそいつなら陰陽屋の前で俺も見た。
えっ…。
きっとあいつだよ犯人は。
だってすごい目でにらんでたもん。
えっ？誰を？もしかして江美ちゃん？うん。
（高坂）じゃあそいつに決まりだよ。
やっぱし？う〜ん…Ｔシャツの男ね。
（内藤）瞬太お前そろそろ帰らなくていいのか？遅くなるとまたみどりちゃんや吾郎さん心配するぞ？大丈夫。
今夜は源次郎さんのとこで夕飯食べてきてって言われてるから。
すいません急にお邪魔してしまいまして。
（沢崎）いや…いえ。
とんでもないです。
（みどり）瞬太のことですよね？あの子がまた何か？あの〜…。
１５年前のことなんですけど。
王子稲荷神社に赤ちゃんが置き去りにされていたという新聞記事を見て…。
すいませんこんなこと聞いて。
でも瞬太君の担任として知っておかなきゃいけないんじゃないかと…思いまして…。
あぁ…。
あぁ〜ははははっ。
んんっ…。
うふふっ。
まあお茶。
お茶どうぞどうぞ。
何だもうそのことですか〜。
えっそのことって？
（みどり）私たちまたてっきり成績のことかと。
だってこの前も三者面談で呼び出されたばかりでしたし。
あっはい…おっしゃるとおりあの子はお稲荷さんで見つかった赤ちゃんです。
年末の寒〜い朝でした。
お参りをしたときに籠が置いてあるのを見つけてのぞいてみたら中で赤ちゃんがすやすや眠ってたんです。
もうびっくりしてすぐ警察に連絡しました。
でもそれでどうして２人が育てることに？
（みどり）とりあえず私が勤めている病院で預かることになったんですけど親は結局見つからなくて施設で保護をしてもらうっていう話になって。
でもそのときにはすっかり情が移っちゃって私が引き取りたいって手を挙げたんです。
ほんとの親が見つかるまでっていう約束ですけどね。
（沢崎）みどりちゃん言い…あっ。
ちゃんとしてよもう。
（沢崎）うちの奥さん言いだしたら聞かない性格なんで。
あの瞬太君はそのことは？さあ。
さあって…。
（みどり）いや幼稚園のときにそのことが原因で嫌がらせをお友達から受けたことがあって一度きちんと話したことあったんですけどね。
まだあの小さかったからかよくわかんなかったみたいなんですよね。
こっちは真剣に話してたのにただふ〜んって。
もともと脳天気な子だしねふふふっ。
（沢崎）あっそうだ。
そういえばほらあのときにいじめた子が滑り台から落っこちて手をほら骨折しちゃって。
そうそう瞬太にはお稲荷さんのご加護がついていてそのたたりだなんて話になってでもそれからは誰もあの子に嫌がらせしなくなったのよね。
（沢崎）そうなの良かったよね懐かしいね〜。
あの…。
（みどり）よく覚えてるはははっ。
あの〜。
瞬太君に改めて真実を話すおつもりは？
（沢崎・みどり）えっ？実は先日投稿サイトに心ない書き込みがありまして。
書き込み？瞬太君は実は王子稲荷で拾われた捨て子だと。
あぁ〜あっそういうことはあのこれまで何度かありましたから。
どうせどこかのうわさ好きが書いただけでしょ。
でも瞬太君ももう大人ですし変な形で本人が気付くよりはご両親からもう一度きちんと話をしたほうが…。
（みどり）ええいつかは話そうと思ってます。
でもそれってもう大したことじゃないんですよね。
えっ？
（みどり）１５年も一緒にいるとどうでもよくなってくるんです。
始まりがどうだったかなんて。
そうだよね。
うん。
（沢崎）あっ先生ほらお茶お茶。
（みどり）どうぞ飲んでください。
はぁ〜。
はぁ。
嫁入り前の娘が何でぃその格好は。
嫁にいってからちゃんとします。
はぁ〜。
どうした？何かあったのか？孫にはねおじいちゃんに言えない悩みもあるの。
肩肘張ってあんまり無理すんなよなっ。
まだ先生になったばかりなんだから。
あっねえそういえばさおばあちゃんの隣にもう１つ位はいがあるじゃない。
これって誰の？あぁ？あぁちょいとな。
何それ。
お供え下げとくね。
あっ！ヤッベ〜。
「雨宮咲月」ってもしかして彼女？愛人？ばか。
こっちにだってな孫には言えねぇことがいろいろあるんだよ。
そんなことよりお前シャンプーまた俺のを使ったな？あれいいねす〜す〜してすっごいさっぱりする。
（岡島）はぁ〜パンチラ見てぇ〜！
（史尋）そういう願望は心にしまっておいたほうがいいよ。
いや先生に言われたんだよ。
夢は口に出さなきゃかなわないよって。
そういえば最近上海亭行った？行ってないけど。
上海亭がどうしたって？グルメサイトの書き込みにさ上海亭の悪口がいっぱい書いてあって今陰陽屋でその犯人捜してんだ。
マジかよ。
あっ出た。
このラーメン番長ってやつ？そう。
あぁ〜今日はえが入ったラーメンの写真アップしたみたいだね。
えっ？
（史尋）ほら。
うそ…。
（史尋）いやこれは合成だな影の角度が違う。
いつ写真を…。
くん！くんくん！
（史尋・岡島）おっ。
（一同）三井さん。
はぁ〜。
昨日ずっとお店にいたけど写真撮ってる客なんていなかったけどな。
（岡島）ほらもともと撮影してあったんじゃないのか？
（史尋）だったらもっと早くアップしてるだろ。
そうか。
ほうほうほうこれはこれは。
ほうほう言ってる場合じゃないだろ。
うん。
写真は合成のようですしこれは明らかに業務妨害ですね。
管理者に連絡して削除を依頼しましょう。
でもこんな写真載せられたらもうほんとにうちは…。
落ち込んでる暇はないですよ江美子さん。
この写真をよ〜く見ていつ誰に出したものなのか思い出してください。
そんなの無理よ。
上海亭を守るためですよ。
どうしたの？何かわかったの？もういいわ。
えっ？やっぱりサイトの書き込みなんて気にしてたら商売できないわようん。
こんなの放っておくことにする。
だめだよこのままにしてたらもっと…。
わかりました。
祥明。
江美子さんがそうおっしゃるんならもうこの件は終わりにしましょう。
悪かったね陰陽屋さん。
いろいろありがとね。
いえまた食べに伺いますよ。
今度はサービスしないよふふふっ。
あの〜陰陽屋さんちょっといいですか？瞬太君のことなんですけどいずれあなたも知るかもしれないので先に言っておきますね。
あいつが何か？瞬太君は１５年前この境内に捨てられていたところをお母さんに拾われて育てられたそうです。
ほうほうほう。
きつね君は関東総社とまで呼ばれたこの王子稲荷に捨てられていたのですか。
それはそれは。
何にやにやしてるんですか？とにかくこのことを瞬太君に知られないように陰陽屋さんにも気を付けてほしいんです。
随分おせっかいなんですね。
おせっかい？いちいち家庭の問題に首を突っ込んでたら先生も身が持ちませんよ。
私はいいかげんで無責任でちゃらんぽらんなあなたとは違うんです。
ひと言増えたな。
全ての生徒に対して誠意を持ってきちんと対応したいんです。
だったら君は捨て子だったんだと先生からきつね君に伝えたらどうですか？誠意を持って。
あなたねぇ。
じゃ俺は店があるので。
ちょっとお願いしますよ！ほら。
何だよこれ。
おいおい！ちょっと待てよ！瞬太君？おい！ねえ高坂君どうしたの？先生ラーメン番長のこと知ってますか？ええ…それが？ラーメン番長がアップした写真を拡大したら水差しに写真を撮ってるやつが写り込んでいて。
それを見たらあいつが急に…。
全くこの街の住民はみんなおせっかいが好きだね。
・ここにいたんだ隆平さん。
何だよ。
あのはえ入りの写真とか書き込みとか全部隆平さんの仕業だよね。
あっな…何言ってんだよ。
何でだよ。
グルメサイトの写真を拡大したら水差しに隆平さんが写ってたんだ。
何であんなことを…上海亭はあんたの母さんが必死に守ってきた店だろ！自分の子供がやったって知ったらきっとすごく悲しむよ。
もううんざりなんだよ。
えっ？こっちはもうすぐ新人賞の締め切りなんだ。
ラーメン作ってる場合じゃないんだよ。
だからあんな悪口を？店が暇になれば漫画を描く時間が増えるからな。
そんな…。
うちの伝統の味なんだ私はこの味に命張ってんだって毎日毎日全く代わり映えのしないラーメン作り続けて。
あんなくそみたいな仕事やってられっかよ。
言い過ぎだろ。
誰のおかげで今まで生きてこられたと思ってんだよ。
今すぐ帰って謝れ！お前みたいなガキに言われてもな…。
・何の説得力もありませんね。
何だあんた。
さてと。
私は陰陽屋のあるじ安倍祥明と申します。
この度は上海亭の江美子さんからご依頼を受けおはらいをするために参上したしだいです。
はぁ？おはらい？ほうほうほう。
これはこれは。
何だよ。
あなたですね？きつね石を動かしたのは。
お店の前に置いて客足が減った原因は呪いだと江美子さんに思わせようとした。
それが？それはまずかったですね。
あなたもご存じでしょう。
きつね石に伝わるまがまがしい言い伝えを。
あなたがちで呪われてますよ。
ふざけんな。
俺のどこが呪われてんだよ。
体だってどこもおかしくねぇよ。
おかしいですって。
そこまで鈍感になってるとは呪われてるとしか言いようがない。
不粋ではありますが鈍感なあなたが全く気付いていないようなのでこの際あえてお教えしましょう。
何だよ。
江美子さんはラーメン番長があなただと気付いていますよ。
えっ？まさか。
おふくろは何も言ってこないぞ。
気付いていても何も言わないでいるだけです。
あのはえ入りラーメンのチャーシューは端の部分が使われていました。
丁寧な仕事をされる江美子さんがあんなものをお客さんに出すわけがありません。
あれは賄い用に使っているのですね。
写真を見た江美子さんはそのことに気付いたはずです。
じゃあ…じゃあ何でおふくろは俺を怒んないんだよ。
まだわからないんですか？あなたは有名漫画家のアシスタントまでしていたのにお父様が亡くなりしかたなくお店を手伝うことになったそうですね。
そうだよ。
無理やり仕事辞めさせられてしょうもないラーメン作らされることになったんだよ。
そのことを江美子さんは今でも申し訳ないと思ってるんですよ。
はぁ？だから息子がラーメン番長だとわかっても何も言わなかった。
ばかなこと言ってんじゃねぇよ。
それはあんたの勝手な想像だろ。
ええ。
ですがもしも私の想像が正しければ近々江美子さんはあなたにこう言うはずです。
しばらく店を休んでいいよと。
（金井）そんなわけねぇよ。
おふくろは俺をこき使うことしか考えてねぇよ。
解呪狐石穢気分散邪気消除急々如律令。
おはらいの儀式は以上でございます。
もうすぐ開店の時間ですよね。
お店にお戻りください。
何がおはらいだよ。
とんだいんちき野郎だな。
・
（自動ドアの開閉音）
（江美子）どこ行ってたんだよ全くもう〜。
ほら早く賄い食べちまいな。
店開けるよ。
ああ。
またラーメンかよ。
（江美子）あっそうだ隆平。
ん？しばらく店休むかい？えっ？
（江美子）最近暇だからさ私１人でも十分だしあんたに給料払うのももったいないからね。
それに…。
漫画のコンクールの締め切り近いんだろ？どうしたんだい？いや…。
店のことはいいから頑張んな。
ううっ…。
祥明はいつ気付いたんだよ？犯人が隆平さんだって。
そもそもきつね石はこの界わいの人間しか知らないだろ？それを使ったってことは身近な人間が犯人だとは思ってた。
であのラーメンの写真を見たあとの江美子さんの反応で息子が犯人だと確信したのさ。
でもそれじゃあ江美子さんの気持ちまではわからないですよね。
うんそうだよ。
何で怒らないで黙ってるってわかるんだよ。
江美子さんは王子稲荷に毎年絵馬を奉納してるって言ってただろ？彼女は漫画家を目指している息子を誰よりも応援してたんだよ。
だったら隆平さんに教えてやれば良かったのに。
ば〜か。
家族のことなんて他人に言われなくたって嫌でもそのうち気付くさ。
そんなもんかな。
うんそんなもんさ。
お前だってほんとはわかってんだろ？自分が捨て子だったってこと。
何言ってるんですか！いいかげんなこと言わないでください。
いいんだ先生。
べつに気にしてないから。
瞬太君…。
祥明の言うとおりもう随分前から知ってたよ。
でもはっきりさせちゃうと関係がおかしくなりそうで怖いっていうか。
そのうち父さんも母さんも俺が気付いてること何となくわかってくれるかなとか思ってそのままにしてただけだよ。
だっておかしいよねこんなの。
親に気を使って何でもないふりしてるなんて。
やっぱりほんとの家族じゃないんだよね。
いや…それが普通だよ。
えっ？一番気の許せる相手が家族だなんていうのはうそだ。
みんなほんとは家族にこそ一番気を使ってる。
江美子さんだって息子に気を使ったからこそ何も言わなかった。
そうだろ？だけど…。
相手のことを考えて無理して頑張って何とか幸せな関係を築いてく。
それはそれで１つの家族の形だとうん俺は思うけどな。
だけどどうしてわかったんだよ。
俺が捨て子だって気付いてること。
わかりやすいんだよお前は。
俺を殴ったあのとき…。
お前なんかに何がわかんだよ。
母さんに謝れ！いいのかな？お母さんに払ってもらっても。
わかったよ。
バイトを断わらなかったあのとき。
それにさっきも。
誰のおかげで今まで生きてこられたと思ってんだよ。
今どきの高校生があんなに親のことを考えるなんておかしいだろ。
まあバイトは普通に小遣い欲しかっただけだけどね。
瞬太君絶対に留年せずに２年生になりなさい！えっでもこの前はもう無理だって…。
ほら今から帰って勉強。
えっちょ…。
送ってくから！はいおいで！何だかせわしねぇなぁ〜。
あれ源次郎さん買ってきたんすか？目ざとい野郎だね全く。
いい関係ですねお２人も。
べつにあいつのためじゃねぇよ。
孫と俺が同じ匂いっていうのが気に食わねぇだけだよ。
ほらよっ。
あっ油揚げ入ってる。
うちの賄いだ。
熱いうち食ってとっとと帰りな。
いただきます。
・「ココロ空モヨウ」うっめぇ〜！路子先生。
あっ何？ショウと…。
祥明さんとはどういう関係ですか？はっ？・
（ドアの開閉音）祥明！これこれ見て！ラーメン番長の書き込みが変わったの！「素朴だが深い味わいがある。
俺はこのラーメンがやっぱり好きだ」。
良かったですね。
うん。
陰陽屋さん！見つけたよラーメン番長。
えっ？
（千鶴）ほらＴシャツの男。
（高坂）みんなでふんじばってきた！
（槙原）しばらくはひっそり見守ってようと思ったのにな。
ひっそりしたいときにはそんな目立つＴシャツなど着るな。
（千鶴・江美子）えっ？
（千鶴）えっ知り合い？久しぶりだな。
会いたかったぜヨシアキ〜！ヨシアキ？2015/07/08(水) 02:20〜03:22
関西テレビ１
よろず占い処 陰陽屋へようこそ ＃０２[再][字]
「空腹占い師、呪いのラーメンの謎を解く」
錦戸亮 倉科カナ 知念侑李 杉良太郎
詳細情報
番組内容
陰陽屋に、中華料理店『上海亭』の女将・金井江美子（濱田マリ）が相談にやって来る。最近、客足が突然ぴたりと途絶え、「店が呪われているのではないか」と言う江美子。店の前には、触った者は必ず呪われると古くから言い伝えられている狐石が置いてあったという。話を聞いた祥明（錦戸亮）は、陰陽屋の存続をちらつかせる江美子に協力するため、手っ取り早くパソコンの口コミサイトにべた褒めのコメントを書こうと提案。
番組内容２
ところが、そこにうそ八百の書き込みがあるのを発見した江美子はますます怒り、半分脅される形で、祥明は店で張り込むことになる。
一方、路子（倉科カナ）は、インターネットの掲示板に瞬太（知念侑李）が捨て子だと書き込まれていることを知り、胸を痛める。自宅を訪ね、両親のみどり（南野陽子）と吾郎（見栄晴）に瞬太の捨て子騒動の真相を尋ねる路子。
番組内容３
しかし、２人は「大したことではない」と、あっけらかんとした態度で真相を語り、路子を驚かせる。
翌日、祥明の仕掛けた罠に掛かった犯人が、グルメサイトの掲示板に、店で撮影したハエ入りラーメンの証拠写真を新たにアップ。それを知った江美子はますます落ち込むが、祥明に促され写真を見ると、突然、犯人捜しをやめると言い出し…。
出演者
錦戸 亮（関ジャニ∞）
倉科カナ
知念侑李（Ｈｅｙ！ Ｓａｙ！ ＪＵＭＰ）
柏木由紀（ＡＫＢ４８）
駿河太郎
・
宮川一朗太
濱田マリ
ふせえり
見栄晴
・
南野陽子
／
杉良太郎
＜２話登場人物＞
若葉竜也
上野なつひ
木下隆行（ＴＫＯ）
スタッフ
【原作】
天野頌子「よろず占い処 陰陽屋シリーズ」（ポプラ社刊）
【脚本】
黒岩 勉
【音楽】
井筒昭雄
【主題歌】
関ジャニ∞「ココロ空モヨウ」（テイチクエンタテインメント）
【プロデュース】
豊福陽子（関西テレビ）
稲田秀樹（共同テレビ）
小林 宙（共同テレビ）
【演出】
土方政人
【制作】
関西テレビ
【制作著作】
共同テレビ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
サンプリングレート : 48kHz
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