コラム:ドローンだけでは戦争に勝てない理由

2015年 07月 16日 10:18 JST
 
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David Axe

[13日 ロイター] - 過激派組織「イスラム国(ISIL)」に対する空爆は、米国防総省のデータを信じるのなら、壊滅的な打撃を与えている。しかし、そうした公式統計には意味がない。米軍パイロットは往々にして、何を攻撃しているのか分かっていないからだ。

イラクとシリア上空を飛行する米パイロットは、最近のどの紛争よりも、標的を見つけるのを無人機(ドローン)に頼り切っている。これは、地上部隊を直接的な戦闘に関与させないというオバマ大統領が打ち出した方針の結果の1つだ。

だが、敵の位置を見つけるのにドローンの性能がひどく悪いことが大きな問題となっている。何十年もかけて開発されてきたにもかかわらず、米無人機が提供する戦場の画像は視界が狭く、粒子も荒い。

人間の視力はドローンのセンサーにいまだ勝るものであり、空爆を主とする戦争でも地上には兵士が必要だ。米国政府がイスラム国との戦いで「人間の視力」を使わない限り、空爆が標的を攻撃しているかどうか確実に知ることはできないだろう。

米国防総省のデータでは、素晴らしい功績が示されている。2014年8月の最初の空爆から今年6月22日までに1万5000回以上の空爆が実施され、イラクとシリアでイスラム国の標的7655カ所を破壊もしくは損害を与えた。また当局者らは、空爆により、1カ月当たり約1000人の過激派戦闘員を殺害したと推計している。

国防総省は「シリアとイラクのISILの標的を破壊することは、彼らの作戦実行能力にさらに制限する」と主張している。

しかし、米軍の成果評価や死者数、さらには空爆がイスラム国に大打撃を与えているという主張を疑うには十分な理由がある。   続く...


 

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 7月13日、米国防総省のデータを信じるのなら、「イスラム国」に対する空爆は壊滅的な打撃を与えている。しかし、標的発見をドローンに頼る米軍パイロットは往々にして、何を攻撃しているのか分かっていない。写真は米海軍の無人機。2013年5月撮影(2015年 ロイター)

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