韓国化粧品業界の成長基調を後押ししたのは、海外の観光客と韓流ブームだ。10年前にはわずか71万人にすぎなかった韓国を訪れる中国人観光客は、昨年612万人と760%も急増した。アモーレ・パシフィックの徐慶培(ソ・ギョンベ)会長は「韓国ドラマなどに刺激された韓流は、中国人女性たちが韓国製の化粧品を初めて買うのに最も決定的な役割を果たした。一度使ってみた女性たちが韓国に観光で訪れることで再び人気が高まる善の循環作用が定着した」と分析する。
韓国化粧品は少なくともアジア地域では確固たる基盤を固めている。海外からの観光客が70%を占める国内の免税店市場で、LG生活健康のブランド「后」とアモーレ・パシフィックの「雪花秀」は、昨年10月から他の全てのブランドを押しのけ8カ月連続で1、2位を占めている。
■韓流、中国、「早く早くの文化」の力
さらには韓国の化粧品メーカーがさまざまな実験とアイデアを通じて開発した新たな製品も、大きな役目を果たした。ハンスキンが2006年に開発したBBクリームが代表的なケースといえる。BBクリームの元祖はドイツで開発された肌再生治療剤「ブレミッシュバーム」クリームだった。ハンスキンがこれに肌のトーンを調節できる色調機能を取り入れ、名前も分かりやすくBBに変えて発売した。ハンスキンは、BBクリームの発売開始以降、50億ウォン(約5億8000万円)にも満たなかった年間の売上高が4倍以上となる228億ウォン(約25億円)にまで増えた。
ハンスキンでチーム長を務めるミョン・スジンさんは「今ではBBクリームは一つの新しい化粧品のカテゴリーとして定着した。国内ブランドから始まって今ではディオールやエスティローダーなど世界的なメーカーもBBクリームを生産している」と話す。最近になって中国でブームになっているかたつむりクリーム、顔を覆うマスクシートなどは韓国メーカーが最初に開発した製品ではないが、速やかに量産体制を構築した上、独創的な方式を用いて中国現地の消費者の注目を集めることに成功した製品だ。LG生活健康の車錫勇(チャ・ソギョン)副会長は「韓国の素晴らしさを伝えた韓流と巨大市場である中国、そして韓国特有の『早く早く』の文化の三拍子が韓国化粧品産業のレベルを高め、成長基調をリードしている」と話した。