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“One Cloud”をコンセプトにすべてをクラウドへ、IIJが次世代クラウドと新型ネットワークサービスを発表
(2015/7/16 11:24)
株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は15日、「IIJ GIOサービス」で提供しているIaaSのサービス構成を刷新し、新たなラインアップとして「IIJ GIOインフラストラクチャーP2」(以下、IIJ GIO P2)を10月より提供開始すると発表した。あわせて、企業のネットワークに必要な機能を仮想化し、オンデマンドで提供する新型ネットワークサービス「IIJ Omnibusサービス」(以下、IIJ Omnibus)を9月より提供開始することも発表した。
新サービスの発表にあたり、IIJ 代表取締役社長の勝栄二郎氏は、「近年、ITを取り巻く環境は激変している。スマートデバイスの普及にともない、あらゆる場所から通信が可能になった。また、クラウドの進展によって、機器の中にとどまらずデータを預けて柔軟に利用できるようになった。そして、データ解析技術の進化により、膨大な情報をビジネスや生活に生かせるようになった。さらに、企業システムでは、仮想化技術を活用することで、専用ハードウェアを使う必要がなくなるとともに、人的リソースの削減、自動化による迅速化、人的ミスの削減を図ることが可能となった」と指摘。
「こうしたIT環境の変化に対応し、今回提供する2つの新サービスでは、複雑な設定や運用作業を行うことなく、電源を入れるだけで迅速にIIJのクラウドに接続し、そのリソースを利用できる環境を実現する。今後、この2つのサービスを融合的に提供し、さまざまなサービスメニューを展開していく」と、新サービスを提供する背景を述べた。
「IIJ GIO P2」は、パブリッククラウド「IIJ GIOホスティングパッケージサービス」と、オーダーメイド型の「IIJ GIOコンポーネントサービス」の後継となる次世代クラウドサービス。より信頼性・処理性能を高めたパブリッククラウドと、オンライン申し込みで即時利用を可能にしたプライベートクラウドを、1つに融合したサービスとして提供する。
一方、「IIJ Omnibus」は、SDN(Software Defined Networking)とNFV(Network Function Virtualization)の技術を活用したクラウド型の新ネットワークサービス。IIJが独自開発したNPS(Network Processing System)をゲートウェイとして、インターネット、セキュリティ、WANなど、顧客ネットワークに必要な機能をサービスモジュールとして提供する。
IIJ 専務執行役員 クラウド事業統括の時田一広氏は、新サービスのコンセプトについて、「当社はこれまで、パブリッククラウドやプライベートクラウドなどのサービスをそれぞれ個別に開発し、提供してきたが、今回は、“One Cloud”をコンセプトに、2つの新サービスを組み合わせて提供する」という。
「“One Cloud”は、複数のサービスを1つのプラットフォームで複合的に提供し、すべてのシステムをクラウド上で実現することを目指す新たなコンセプト。パブリックとプライベートを統合するだけでなく、コンピューティング、ネットワーク、セキュリティを1つのリソースで提供。さらに、マルチクラウドを接続して1つのクラウド環境を実現する。今回の新サービスも、単体で使うよりも統合して使ったほうが、そのメリットは何十倍にも大きくなる」と説明した。
新サービスの特徴としては、「IIJ GIO P2」は、仮想サーバーを中心とした共有リソースを提供する「パブリックリソース」と、VMware仮想化環境と物理サーバーを専有リソースとして提供する「プライベートリソース」、パブリックリソースとプライベートリソースの両方のサーバーで利用できる「ストレージリソース」から構成され、最適なリソースを組み合わせてシステムを構築できる。また、マルチキャリア対応やプライベートセグメントの延伸など外部接続性にも優れており、オンプレミスや他社クラウドサービス環境とシームレスな連携が可能となる。
「パブリックリソース」では、仮想サーバーを中心とした共有リソースを用意し、開発環境、簡易なWebサービスから高いI/O性能が求められるオンラインゲームやECサイトのプラットフォームまで、幅広い用途に対応できる柔軟なパブリッククラウドを提供する。性能保証タイプ、ベストエフォートタイプ、専有タイプから自由に選択できる。
「プライベートリソース」では、オンプレミス環境で構築されたシステムをそのまま移設でき、企業の基幹システムにも利用できる信頼性の高いプライベートクラウドを提供する。VMware仮想化環境と物理サーバーを中心としたラインアップを用意し、専用のリソースとして利用できる。
「IIJ Omnibus」は、クラウド上の専用プライベート領域に独自開発のNPSを自動生成し、NPSを介して各機能モジュールを提供する新サービス。ユーザーは、専用のオンラインポータルから必要な機能モジュールの申し込み、設定、管理を自由に行うことができる。宅内(拠点)に設置する機器は、IIJから無償提供されるサービスアダプタ1台で完結するため、ユーザーはサービスアダプタを接続するだけで、センター側との自動接続、自動管理機能により容易にWANを構築できるという。
NPSは、ユーザーの仮想ネットワークの核となるシステムで、IIJ独自のSDNオーケストレーターによって、クラウド上に自動生成される。NPSはオンラインポータルから申し込むと、速やかに生成されるため、ネットワークの構築をすぐに始めることが可能。また、NPSはほぼ無限に仮想空間上で拡張することができるため、顧客ネットワークの規模拡大にも柔軟に対応する。NPSのクラウド基盤は、複数拠点に物理的に分散して配置されるため、ネットワークのディザスタリカバリ対策としても有効となっている。
「IIJ Omnibus」で提供するオンラインポータルでは、ユーザーがサービスの追加、削除を行うオーダー用サイト、サービスの設定、監視、管理を行うコントロールパネル、メンテナンス情報などを通知するサポートサイトを用意しており、すべてのサイトはシングルサインオンで利用可能。ユーザーは、NPS、各機能モジュール、サービスアダプタまで、「IIJ Omnibus」で提供されるすべての要素について、オンラインポータルから契約、設定、管理を行うことができる。
「IIJ GIO P2」と「IIJ Omnibus」の2つのサービスを組み合わせて利用するメリットについて時田氏は、「『IIJ GIO P2』を利用することによって、オンプレミスのシステムをすべてクラウド環境に移行することができる。これに加えて、『IIJ Omnibus』を活用することで、インターネットやセキュリティ、WANなどネットワークに必要な機能もクラウドに展開し、各種機器を自社で所有することなくネットワーク機能を利用できるようになる」としている。
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