(林弘太郎)おお〜っすげえ!ステーキ弁当だ!
(鬼久保巌)遠慮しないで食ってくれ。
俺のおごりだ。
そうなんですか!?
(一同)ありがとうございます!
(権田千夏)ステーキ弁当ですって。
(木内光義)あれ2000円以上はするぞ。
おうそこの2人。
ステーキ弁当食わねえか?俺のおごりだ。
いや…。
どうぞ。
遠慮するなよ木内君権田君。
なんだかんだ言って私たちは同じ一課の同志じゃないか。
私の気持ちだ食べてくれ。
おごりだ。
ああ…ありがとうございます。
食べるんですか?だって…。
ですよね。
うわ〜…。
(千夏・木内)いただきます!あ〜うまい!
(花沢太郎)ただいま!あ〜腹減った。
あれ?なんだろうこの幸せな威圧感。
ステーキ弁当!嘘!?鬼久保警部のおごりっす。
そんな…。
そっちの2人も食ってるぞ。
えっ!?あっ食べてる!僕のは?すいません2つしかないんですけど。
ステーキ弁当はデブの敵だ!!一生恨んでやる。
仕方ないよな。
はい仕方ありません。
うん…!
(錦織玲子)ただいま〜!
(玲子)今そこでねお店の20周年でステーキ弁当ワンコインで売ってたからみんなにも買ってきた!ワンコイン?500円?みんなもう食べてるの?あっそっか安いもんね。
(藤原あかね)へえおまっとうさん。
(あかね)寄せ鍋を豆乳仕立てにしてみまして…。
どうぞごゆっくり。
(花沢太郎)ごちそうさまでした。
今日はおかわりせえへんの?満腹です。
ありがとうございました。
(あかね)ええ毎度おおきに。
小鍋のお勘定払いましたか?やっぱり払ってませんか。
なんだか鍋を食べに来るにしてはヒリヒリした空気だなと思いまして。
(武島圭吾)うるせえんだよデブ!てめえデカか?無銭飲食の現行犯で逮捕します。
(あかね)お客さん忘れ物!デザート出すの忘れてしもうて。
堪忍してな。
(あかね)へえ。
いやこいつ無銭飲食じゃ…。
知り合いどすねん。
知り合い?また来とくれやす。
花沢さん。
あの人きっと刑務所出たばっかりやな。
僕もそう思いましたけど。
何年入ってはったかわからへんけど中で仕事しても頂けるお金は雀の涙。
美味しいもん食べとうてもお金がなかったんと違うん?いやだからといって無銭飲食を許すわけには…。
ちょっと…ちょっと!
(あかね)ほら全部食べてはる。
1滴も残さんと。
あの人随分前にいっぺん来はりましてん。
刑務所出てまた来はったいうんはうっとこのお鍋が美味しかったまた食べたかったいう事ですやろ?だけどあかねさん…。
どうせ食い逃げするのならおかわりしはったらええのになあ。
すいまへん。
(権田千夏)それで見逃したんですか?無銭飲食を。
はい。
(木内光義)そいつ味しめて必ずまたやるぞ。
あかねさんの優しさが身に染みてしっかり更生すると思います。
甘いな…花沢。
そのくらいで反省する奴が刑務所出てすぐ食い逃げなんかするわけないだろうが!木内っちゃんそれ違います。
何が違うんだよ?食い逃げしてからあかねさんの優しさに触れたんです。
あかねさんの優しさに触れたあとで食い逃げしたわけじゃありませんから。
屁理屈を言うな!でもあかねさんがいいって言うのなら仕方ないですね。
まるで菩薩様のような人です。
あのあかねさんに殺人の前科があるなんてとても思えません。
確かその事件錦織課長も担当してたんですよね?
(錦織玲子)ええ。
所轄の一刑事でまだ若くて美人でスタイルも抜群で掃きだめに鶴所轄のマドンナって言われてた頃にね…。
はい?何!?あっいえ…。
(物音)
(高橋誠一)何をしてる!?うっ!ああ…!
(殴る音)
(高橋)ううっ…!
(カメラのシャッター音)お疲れさまです。
お疲れさまです。
(鬼久保巌)相撲部屋お前また太ったな。
4キロ5キロは誤差の範囲ですのでご心配なく。
誤差…?ガイシャは?この店の社長の高橋誠一。
(林弘太郎)鬼久保警部!近くの浪人生が午前2時頃に2人の男が逃走していくのを目撃したそうです。
金庫を開けようとしているところを社長に見つかり殺害した。
(千夏)現場に残されたバールから指紋が検出されました。
(玲子)前科者照合は?
(千夏)一致しています。
武島圭吾。
傷害強盗窃盗で前科5犯。
3日前に刑務所を出所したばかりです。
こいつ…。
(玲子)どうしたの?知ってるのか?あかねさんの店で無銭飲食した…。
この男だったの?だから言っただろうが!すいません…。
犯人は金品を奪えなかった上に殺しまでして追い詰められてる。
また何かを起こさないとも限らないわ。
すぐに武島を押さえて共犯者も突き止めて!
(木内・千夏)はい!行くぞ花沢!花沢!はい。
あの時逮捕してればこんな事には…。
今さらグダグダ言うな!行くぞ!武島の悪仲間片っ端から当たるぞ。
はい!
(山下直也)武島?あいつ出所したんですか?連絡ありませんでしたか?
(山下)そんなもんあったらとっくに逃げてますよ。
どうして?あいつキレたら手つけられへんから。
仲間うちでもあいつは狂犬やって言われてるし…。
狂犬?刑事さんさっさと捕まえてくださいよ。
やばいっすよマジで。
絶対またなんかやりますよ。
(西田)すいません。
ちょっといいですか?
(西田)どちらへ行かれるところですか?
(刺す音)
(西田)うっ…待てー!おい大丈夫か?手配中の武島です。
向こうへ行きました。
あっ木内っちゃん!救急車お願いします!おい花沢!武島!木内っちゃん!待て!
(武島)うっ!武島〜!うっうう…!武島圭吾高橋誠一殺害容疑で逮捕する!クソ〜!お前が呉服屋の主人をやったんだな?俺は殺しはやらねえよ。
現場に落ちていたバールからお前の指紋と呉服屋の主人の血痕が見つかった。
あれはあいつが店主を殴り殺したあとバールをこっちに投げてよこすから受け取っちまったんだよ。
あいつ?共犯の事か?バールから共犯の指紋は出てないぞ。
あいつは手袋してたから。
どうしてお前手袋してなかったんだ?買う金がねえからだろ?そんな金あったら鍋食って逃げたりしねえよ。
なあデブ。
花沢だ。
お前なんかにデブ呼ばわりされる覚えはない。
人の恩を仇で返しやがって。
共犯の名前を言え!俺はなあのおかみみたいにお人よしでないんでな。
タダじゃ言えねえなあ。
この野郎…!花沢やめろ!おい武島!あの日お前が帰ったあとに小鍋屋のおかみがなんて言ったか教えてやるよ!…え?おかみはなお前が刑務所から出たばっかりだって気づいてておかわりすればよかったのにってそう言ったんだ!無銭飲食されたっていうのに…。
お前はそんなおかみをお人よしだって笑うのか?お人よしじゃねえかよ。
この野郎…!花沢!やめろっつってんだろうが!あいつはなんてふてくされてんだ。
血圧上がるわ。
武島の資料です。
母親の連れ子だった武島は幼い頃から義理の父親の暴力を受けて育ち実の父親は母親のゆきずりの相手だったそうで顔はおろか名前すら知らないそうです。
中学時代は恐喝と窃盗の常習犯。
補導と停学を繰り返して中学を卒業して真面目に働こうと入社した工務店では現金盗難事件で犯人扱いをされ社長と社員を殴って逮捕されています。
(千夏)出所後も傷害と強盗を繰り返し人生の3分の1を刑務所で過ごしています。
調書によると何度か立ち直ろうとはしたみたいですけどその都度誰かに裏切られてまた元の木阿弥に…という人生ですね。
お前が世界で一番不幸な男か。
悪いのは全部世の中ですってか?
(蹴る音)何してる!?いい加減に仲間の名前を吐けよ。
うるせえんだよ。
仲間がまた犯罪を犯せばまた1人呉服屋のご主人のような犠牲者が出る事になるんだぞ。
知らねえよ。
なあ武島。
今日までのお前の人生を僕はどうする事も出来ない。
だけど明日からの人生にならかかわれる。
余計なお世話だよ!小鍋屋のおかみからだ。
お前甘いものが好きなんだろ?世の中にはなこうしてお前を心配して信じてお前に優しくしてくれる人だっているんだよ。
仲間の名前を教えてくれるまで何度でも来るからな。
(一同)いただきま〜す!いい?みんな。
お肉ばっかりじゃなくて野菜もたくさん食べなきゃダメだぞ!
(木内こずえ)じゃあこずえ玉ネギ食べる!よーし!
(木内さちえ)じゃあさちえ白菜食べる!偉い!
(木内かなえ)じゃあエノキ食べる。
じゃあ花ちゃん肉食べる!ハハハ…。
(さちえ)あ〜花ちゃんずるい!
(こずえ・かなえ)ずる〜い!アツアツッアツアツッ…!
(木内菜穂子)花ちゃんどんどん食べてね。
今夜は花ちゃんを励ます会だからってパパが特別にたくさんお肉買ってきてくれたから。
えっパパが…?いや別に…腹が減ってただけだよ。
僕を励ます会って…。
そんなの初めて聞いたけど?木内っちゃんありがとう。
なんだよ気持ち悪いな!
(かなえ)パパと花ちゃん仲良しだ。
そうだよ仲良しなんだよね〜!「ね〜!」じゃないよ。
やめろって!離せよもう!パパ照れてる〜!
(4人)照れてる〜!別に照れてるとかそういう事じゃない…。
(菜穂子)パパかわいい〜!
(かなえ・さちえ・こずえ)かわいい〜!《武島は家族で楽しく鍋を囲んだ事など一度もなかったかもしれない…》
(千夏)花沢さんすぐ取調室へ。
武島が大事な話があるからあのデブを呼べと言っているそうです。
あのデブ?はい。
あのデブ。
とぼけるな!お前がやったんだろうが!さっさと吐けオラ!
(机をたたく音)おう待ってたぞデブ沢。
貴様…!
(武島)うっとうしいんだよ。
あんたらには何も喋らないって言ってるだろ。
この野郎…!ちょっと警部!勝手にしろ!だったらこのデブ…。
お痩せのお友達とイチャイチャしてな。
(鬼久保)おい。
はい。
大事な話ってなんだ?「別に。
世間話ならあのオヤジよりあんたの方がマシだろ」「世間話?」そうだよ。
悪かったな。
大事な話があるって言ったんだろ?それじゃあ話してやるよ。
耳の穴かっぽじってよく聞けよ。
よ〜し。
あんたあの小鍋屋のおかみに惚れてるだろ?えっ?あのおかみは優しいだとかなんとかって言っておかみの事ばっかり言ってるじゃねえかよ。
いやだからそれは…いい人だからだろうが。
あんたには無理だ。
無理?高嶺の花だって言ってんだよ。
惚れるだけ無駄だ。
諦めろ。
それが言いたかったんだよ。
「お前…」大体あのおかみはあんな立派そうな男も袖にしてたんだしな。
「立派そうな男?」「袖にしたってなんの事だ?」「前にあの小鍋屋に行った時どっかの社長みたいなのが来て…」よりを戻そうっていきなり言ってた。
おかみの事を小春って言ってたな。
小春?
(武島)おかみはもうこの人と一緒になったからって旦那の事を言ってた。
そういえばあの旦那どうしてるんだ?この間店にいなかったよな?ご主人は若い女性に走って離婚した。
若い女?バカな男だなあ。
あんないいおかみ…。
そうだ。
あんないいおかみだ。
妙ですね。
確かあかねさんはお客さんとの痴情のもつれで相手を殺害したんですよね。
武島の話だと出所したあとにもう一度やり直せないかと言ってきた男がいた…。
当時あかねさんが2人の男性と付き合っていたという情報はなかったんですか?なかったわ。
もう15年も前の事になるけどあかねさんの相手は吉岡という老舗料亭の息子だった。
(玲子)その吉岡が殺害され当時園で一番の売れっ子だった芸妓の小春つまりあかねさんが自首してきた。
あかねさんは密かに付き合い結婚の約束までした吉岡が銀行の頭取のお嬢さんと結婚する事になったと知ってカッとなって突き飛ばしたら頭を打って死んでしまったと供述した。
でも確かに当時あかねさんと吉岡が付き合ってる事を知ってる人物が誰一人見つからなかった。
芸妓と客の恋愛が園ではご法度だから隠し通したって事ではなかったんですか?あかねさんもそう供述してたんだけど…。
そのあかねさんに吉岡ではなく別の恋人がいたとすると…。
殺害動機が成立しなくなる。
それじゃあやっぱり…あかねさんは無実…。
(鈴春)結婚運恋愛運。
5割引きどすえ。
ねえちょっと。
座ればピタリと当たりますえ。
ちょっと〜!
(ため息)うわっ!ああびっくりした!鈴春さん昔は園で売れっ子芸妓さんだったんですよね?ハハハ…そんな事誰に聞きはったんな。
そうどす。
その頃あかねさんには恋人がいらっしゃったんですよね?15年前。
それは…それはあの…。
お相手は料亭の息子さんっていう事になってますが実は他の男だったっていう事ありませんか?100万円!どっかの社長さん風の立派な男性だったんじゃないですか?どいて!どいてちょうだい。
どいて。
あんた商売の邪魔になる。
どいて!どいてちょうだい!課長…。
こんにちは。
ああ…錦織さん。
堪忍どすえ。
うちがまた余計な事したばっかりにあの人また事件起こさはったみたいで…。
いいえ。
おかげで武島は少しずつ心を開いてきたみたいだし花沢はあかねさんは菩薩様のような人だって感激してました。
いやうちはそんな…。
さあさあどうぞ。
過去にあんな事件を起こしたなんて信じられないって。
え…?実は…私もそう思ってるの。
どうしてもあの事件納得がいかなくて…。
錦織さんうちは罪を償いました。
もう終わった事どす。
私の中では終わってないんです。
思い出しとうないんです。
蒸し返さんといてもらえませんか?そうもいかない事態になってきたの。
あかねさん芸妓時代に恋人がいたわね?恋人って…せやからそれは…。
料亭の息子さんじゃなくてどこかの会社の社長さんのような人。
あかねさんが出所したあとここへやって来て小春もう一度やり直せないかって言った人。
園で芸妓してましたらお客さんがそない勝手に思わはる事かてようけあります。
そない思われてこそ一人前の芸妓やて教わりました。
その方がどなたなんか…フフ。
そういう人は他にもようけいてはりましたさかいな。
でももしその人が本当の恋人だったとしたらあかねさんが吉岡さんを殺害する動機が成立しない。
当然あかねさんは犯人ではなかったという事になります。
ほんまにもうあの事は思い出したくないんです。
どうぞお引き取りください。
(玲子)あかねさんは犯人じゃないわ。
彼女必死で何かを隠してる。
問題はなぜ彼女が自首してきたのか。
やはり15年前の事件の真相を明らかにしないと。
どうしたの?あなただってあかねさんが無実だと思ってるんでしょ?もちろんです。
だったら真実を知りたいでしょう!?もちろんです。
よし…。
(元村隆)なんだって?ですから15年前の芸妓が客を殺害した事件をもう一度捜査したいと思います。
君は誤認逮捕だったかどうかを再捜査させてくれと言ってるんだぞ。
真実を突き止めるのが我々警察官の義務です。
真実ね…。
呉服屋の主人を殺害した凶悪犯はどうなっている?市民を恐怖に陥れたまま肝心の事件をほったらかして昔の事件を蒸し返してる場合なのか?もちろんその件につきましても最善を尽くします!では。
(舌打ち)
(武島)何も喋らねえぞ。
あの小鍋屋のおかみあかねさんっていうんだけど実は殺人の前科がある。
でもなあかねさんが犯人じゃないんだ。
は?きっと誰のかの身代わりになって自首した。
身代わり?何言ってんだよ。
殺人事件だろ?ハハ!たとえ惚れた男のためにだって身代わりになんかなるかよ!何年も何年も刑務所に入ったって一生殺人犯の汚名は消えねえんだぞ?フッ。
そんなバカな事をする奴がどこにいるんだよ。
あかねさんならやりかねない。
あの人はそういう人だ。
周りから殺人犯という汚名を着せられてもちゃんと罪を償えば人生をやり直す事が出来るっていう事をあの小鍋屋で証明している。
どんな人間でも人生はやり直せる!また来る。
(武島)あ〜あ。
この警察署掃除もろくに出来ねえのかよ。
ゴミぐらいちゃんと拾っとけよ。
(千夏)会田康人窃盗で前科3犯。
現在京都市内に在住。
こいつだ。
どうしてわかる?あのひねくれ者がこれを。
ん?「アイダ」やったな!花沢。
行こう木内っちゃん!待って!この件は鬼久保警部に任せて。
いやでも…これ花沢のお手柄じゃ?あんたたちには別の仕事がある。
会田さん。
会田さん!?
(会田康人)はい。
(鬼久保)会田康人。
呉服店店主高橋誠一殺害容疑で…。
(鬼久保)署まで来てもらうぞ!
(刑事)こら待て!
(林)確保!確保!
(玲子)ご苦労さま。
会田が自白した。
武島の自供どおり殺人の実行犯は会田だった。
よし!課長わかりました。
川上智美。
西陣の織物工場で働いています。
川上智美って誰ですか?15年前の事件当時園の舞妓であかねさんつまり小春さんの妹分。
同じ置屋であかねさんが実の妹のようにかわいがってた。
当時のあかねさんの事を一番よく知ってる人は誰かって考えるとやっぱりこの人じゃないかと思ってね。
あかねさんの当時の恋人の事もわかるかもしれませんね。
それとこの人あかねさんが逮捕された直後に舞妓をやめて園を離れています。
(花沢と木内の足音)川上智美さんですか?
(川上智美)はいそうですけど…。
京都府警の者ですがあかねさんの事でお聞きしたい事があるんですが。
実は15年前の事件が起こった頃あかねさんがお付き合いをされていたのは料亭の息子の吉岡さんではなく他の男性だったらしいという噂を耳にしたんです。
当時一番近くにいらしたあなたならご存じではないかと思いまして。
知りません。
でももしその噂が本当ならあかねさんが吉岡さんを殺害する動機が成立しなくなる。
つまりあかねさんは無実だった可能性が出てくるんです。
私何も知りません。
僕はあかねさんは誰かの身代わりになって自首したのではないかと思うのですがそれは…あなたではありませんか?花沢…!あかねさんが身代わりになるとしたら当時実の妹以上にかわいがっていた舞妓の梅春さんつまりあなた以外には考えられないんです。
あなたは事件の直後に夢だった舞妓をやめて園を去っていますね。
それはどうしてですか?それは…。
お姉さんがあんな事になってしまったので。
他に理由はありません。
帰ってください。
お話しする事はもう何もありません。
帰ってください!わかりました。
木内っちゃん帰ろう。
いや…でもまだ…。
お子さんがいらっしゃるんですね。
え?その食器棚のかわいいマグカップもお揃いですしその買い物袋についたぬいぐるみもお子さんが好きそうなものです。
(川上真琴)ただいまー!おかえりなさい。
お邪魔してます。
お名前は?川上真琴です。
どちらさまですか?真琴ちゃん心配しなくても大丈夫。
太ってる人に悪い人はいませんから。
はあ…。
フフフ…。
はい!錦織さんすんまへん。
なんにもお話しする事はおまへんけどなあ。
あの2人が会ってきたんですよ。
(玲子)梅春さん…今の川上智美さんに。
園では仕込みから舞妓になる時先輩芸妓がお姉さんとして杯を交わして教育係になるそうね。
へえ。
妹分の舞妓さんがお座敷で失敗をするとお姉さんの芸妓が謝罪に行く。
その関係は実の姉妹以上に深くて強い。
花沢あんたの考えを言って。
いやでも…。
真実にたどり着いたんでしょ?花沢…。
わかりました。
僕はこう思うんです。
智美さんは当時密かに恋愛関係にあった吉岡さんと結婚を巡ってトラブルとなりもみ合った拍子に殺害してしまったのではないかと。
そして智美さんはあかねさんに泣きついた。
それでうちが智美さんが犯した殺人事件の身代わりになって自首したって…。
そない言わはりますのんか?そうです。
あかねさんならそうするんじゃないかと思うんです。
智美さんが吉岡さんを殺した証拠はどこにおますの?確かにそれはありませんが…。
ありませんけど僕は…!そんな当てずっぽうみたいな話やめておくれやす。
うちは菩薩様でも神様でもおへん。
いくら大事な妹分やいうたかて…フッ。
殺人犯の身代わりやなんて。
そないな事あるわけおまへんやろ。
ほな。
でもお腹の赤ちゃんのためならどうでしょうか?智美さんには今中学2年生になる真琴ちゃんというお嬢さんがいらっしゃいます。
中学2年生14歳です。
つまり今から15年前あかねさんが自首してきた時智美さんのお腹に宿っていた子です。
その子のためだったらあかねさんは智美さんの身代わりになって刑務所に入る覚悟をしたんじゃないでしょうか?もしほんまやったら…。
花沢さんあんたそれがどないな事かわかってはりますのんか?…はい。
智美さんは刑務所で赤ちゃん産まはったらよかったんどすか?生まれてきた子にあんたのお父さんはこのお母さんが殺したんやってそない言わせたらよかったんどすか?なんの罪もない真琴ちゃんにまだ14歳の真琴ちゃんにそんな十字架を…。
自分の母親が父親を殺したやなんてそんな重たい十字架をこれからずっと背負って生きていけってあんたらはあの子にそんな宣告をしはるつもりどすか?それがあんたらの真実どすか?うちはそんな真実いりまへん。
もう事件は終わってますのえ。
それを今さら蒸し返して。
真実や真相やって…。
人を不幸にするのが警察の仕事どすか?花沢さん。
見損ないましたわ。
情けないなあ。
(智美と真琴の笑い声)
(智美)かわいいね。
ねえ形が…。
(真琴)かわいい。
(智美)かわいいね。
(智美)ちゃんとこれからも水やりやってくださいね。
(智美)お願いしますよ。
(真琴)はーい。
(智美)ちゃんと咲いてるね。
(真琴)毎日やったから。
(智美)そうだね。
そうだそうだ。
偉い偉い。
僕は市民の平和と幸福のために警察官になったわけで誰も喜ばない解決なんて解決とは思えないんです。
それが真実だとも思えないんです。
(引き戸の開く音)
(あかね)まだ開店前どす。
勝手に入らんといて。
錦織課長からです。
その手紙なんて書いてあったんだ?いや見るなって言われてるから見てないです。
そうか。
見ちゃおう!権ちゃん!なんて書いてあるんですか?「しかるべき時が来るまですべてをあかねさんにお任せします」
(玲子の声)「みんなの幸せのためにあなたを信じています」「錦織玲子」やったあ!木内っちゃん。
ああ。
よかった。
うん。
身代わり?
(玲子)そうです。
証拠は?ありません。
だったらなぜ今さら蒸し返す?真実を突き止めるのが我々警察官の仕事です。
しかし証拠がないとすれば関係者の自白を待つしかありません。
しかるべき時が来るまで。
しかるべき時ね…。
はい。
君の思うようにすればいい。
そのために作った特別班だ。
君が捜査一課長の任にある限りは…だが。
ありがとうございます。
あかねさんがな出所したら金返しに来いってさ。
ああ。
その時は一緒に鍋を食おう!あんたもお人よしだなあ。
付き合ってやるよ。
ただいまー。
(一同)パパ!おかえりなさい。
はいただいま。
お利口にしてたか?あなたおかえりなさい。
ただいま。
(小寺)
今日のあるき目ですは2015/07/07(火) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[終]刑事110キロ[再][字]
「さよなら花沢太郎!証拠ゼロ…祇園花街の未解決殺人が15年目に動き出す!!」
詳細情報
◇番組内容
京都の町で人気のおまわりさんが、ある日突然、刑事に!?石塚英彦が、20年の交番勤務で培った洞察力と人間観察力を生かして難事件に挑む、“規格外”の刑事を演じる!
◇出演者
花沢太郎…石塚英彦
木内光義…中村俊介
権田千夏…星野真里
鬼久保巌…石丸謙二郎
林弘太郎…陳内将
鈴春…石井トミコ
木内菜穂子…井上和香
白石あかね…竹下景子
錦織玲子…高畑淳子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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