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芥川賞に又吉さんと羽田さん 直木賞は東山さん7月16日 20時37分
第153回芥川賞と直木賞の選考会が16日夜、東京で開かれ、芥川賞にお笑い芸人として活躍する又吉直樹さんの「火花」と羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」の2作品が選ばれました。また、直木賞には東山彰良さんの「流」が選ばれました。
芥川賞
芥川賞の受賞が決まった又吉直樹さんは大阪・寝屋川市出身で東京在住の35歳。相方の綾部祐二さんとお笑いコンビ「ピース」で活動し人気を集めています。中学生の頃から太宰治の小説に親しむなど読書家として知られ、これまでもエッセーなどを執筆してきましたが、小説デビュー作の「火花」が今回、芥川賞を受賞しました。受賞作の「火花」は、若手お笑い芸人たちがそれぞれの葛藤や悩みを抱えながら理想とする「笑い」を模索する物語で、単行本の発行部数が純文学の小説としては異例の64万部に達するなど大きな話題となっていました。
また、同時受賞となった羽田圭介さんは東京都出身の29歳。高校3年生の時に発表した「黒冷水」が史上最年少で文藝賞を受賞し、小説家としてデビューしました。その後は毎回、異なったテーマで作品を発表し、自転車で旅をする高校生の青春の1コマを描いた「走ル」で初めて芥川賞の候補に選ばれてから今回、4回目の候補で受賞しました。
受賞作の「スクラップ・アンド・ビルド」は祖父の介護をする28歳の青年を主人公に、若者が高齢者にどう向き合うかを問いかけた物語です。毎日のように「死にたい」ともらす祖父に安らかな最期を迎えてほしいとある計画を立てた主人公が、計画を実行するなかで、これまで知らなかった祖父の心情を理解していく様子をユーモアを交えながら描いています。
直木賞
直木賞の受賞が決まった東山彰良さんは台湾出身の46歳。9歳で福岡県に移り住んだあと、平成14年、中国の大学院に留学中に書いた「タード・オン・ザ・ラン」で第1回「このミステリーがすごい!」大賞の銀賞・読者賞を受賞しました。直木賞は初めての候補で受賞となりました。
受賞作の「流」は1970年代から80年代にかけての台湾を舞台に時代に翻弄される一家を描いた長編小説で、東山さん自身のルーツを題材にしています。主人公の少年が何者かに殺害された祖父の死の真相を追って繰り広げる謎解きを軸に、主人公の成長と青春を丹念に描いた作品です。
東山さんはNHKの取材に対し、「知らせを受けたばかりですがどう喜んでいいか分からないくらい幸せです。この作品は、台湾生まれ、日本育ちで、アイデンティティが確立できなかった自分のために書いたような小説です。思い入れがあったのでこの作品で受賞できたことは感慨深いです」と話していました。
受賞作の「流」は1970年代から80年代にかけての台湾を舞台に時代に翻弄される一家を描いた長編小説で、東山さん自身のルーツを題材にしています。主人公の少年が何者かに殺害された祖父の死の真相を追って繰り広げる謎解きを軸に、主人公の成長と青春を丹念に描いた作品です。
東山さんはNHKの取材に対し、「知らせを受けたばかりですがどう喜んでいいか分からないくらい幸せです。この作品は、台湾生まれ、日本育ちで、アイデンティティが確立できなかった自分のために書いたような小説です。思い入れがあったのでこの作品で受賞できたことは感慨深いです」と話していました。