ポイントはいつもよりやわらかめのごはん。
覚えておくといいですね。
今日の舞台はちょっと変わった日本語教室。
(玄関のチャイム)あっ!おはようございます。
彼女はこの教室の先生。
(取材者)今何やってたんですか?時には私の名前をキム・ナムユンなのにキム・ナムコン。
キム・ナムコン。
彼女が教えている外国人は日本語が分からないだけではありません。
生徒は耳が聞こえないろうの外国人。
「あ〜っ!」という。
「わ〜これか」。
言葉を学び誰かと通じ合いたい。
そんな思いに寄り添うキムさんの教室です。
6万人を超える外国人が暮らす…キムさんの教室は町なかに建つマンションの一室にあります。
(玄関のチャイム)この日も日本語を学びたいという人が訪ねてきました。
耳が聞こえないろうの外国人を受け入れていると聞いてはるばる静岡からやって来ました。
2年前日本人と結婚し台湾から移り住んだホさん。
言葉を学び日本の事をもっと知りたいと考えています。
日本語を教える時最初に立ちはだかるのが国による手話の違い。
ホさんの場合夫から日本の手話を習ったため辛うじて会話はできます。
しかし日本語の読み書きは自分の名前を書くのが精いっぱいです。
耳で聞いて覚える事ができないホさんにとって言葉は目で見て得られる情報が全て。
正確に文字を書けるようになるのが何より大切です。
更に「あいうえお」の一つ一つに対応した指文字も覚えなければなりません。
名前覚えた。
おお〜!私もその中の一人ですので。
(取材者)結婚して?はい結婚して。
日本に来る前キムさんは韓国で手話通訳の仕事をしていました。
在日韓国人の男性と結婚し日本で暮らし始めたのは20年前。
当時はキムさんも日本語の壁に苦しんだといいます。
外に行って会話をする時に分からない。
分からなくて…これって何の意味かな?ずっと分からなくてみんな笑ってるのに自分は笑えない。
まるでろう。
ろうの気分。
みんなしゃべってるんですけど自分が分かんない。
主人がいる時には「何?何?」と翻訳して通訳してもらったりして。
でも何回もすると面倒くさいので向こうが。
向こうはそう思ってないけど悪いなと思って「じゃいいわ」と。
…で聞くのに集中してでもやっぱりつまらないし分かんないし。
分かんないのでつまらない楽しくない。
とにかく誰かと話がしたい。
その時頭に浮かんだのが手話でした。
同じ団地に暮らしているという耳が聞こえない日本人。
キムさんは毎日団地の入り口に立ち手話をしている人が出てくるのを待ち続けました。
この辺でウロウロすれば必ずどこかで出てくる。
下りてきたの見てはい。
「ああこの瞬間を3か月も待ってたぞ」としては〜いってあ〜っと。
「私韓国人だよ。
手話できるの?」と。
ようやく見つけた住民はキムさんの部屋のすぐ上の階に暮らしていました。
韓国の手話だけを頼りに会話を試みたキムさん。
そんな彼女を温かく迎えてくれたのが中村さん夫妻でした。
この日から日本語が分からないキムさんと耳が聞こえない中村さん夫妻の不思議な交流が始まりました。
分からない時に「ごめん。
これちょっと分からないから書いてくれない?」と書くんですよ。
書くとこれが意味が分からないので韓国の意味を調べる。
「あっこういう意味か。
ああこの手話はこの意味で使うんだ」と。
手話と日本語をいっぺんに学ぶ事ができるという恵まれた環境。
誰かと話したい一心でつかんだ中村さん夫妻との出会い。
そこで教えてもらった日本の言葉はキムさんの世界を広げていきました。
この異国でなんとか話ができるこの喜び。
さみしくない。
だから2人は掛けがえない私にとっては宝石です。
10年ほど前キムさんは日本の手話通訳の資格を取得。
耳が聞こえない人たちのサポートを始めました。
左上?はいそうです。
その中で出会ったのがろうの外国人でした。
日本語を学ぼうにもその場所すらありませんでした。
キムさんは2年前日本語教室を設立。
外国人の受け入れを始めたのです。
この日やって来たのはトルコの人たち。
日本の手話ができるのはこの男性だけです。
トップラクさんは結婚を機に来日しこの教室で学び始めました。
ドイツで自動車整備をしていた経験があり日本で働く資格もありますが雇ってくれる会社は見つかりませんでした。
そのため生活は苦しく教室に通い続ける事ができなくなりました。
この教室に来る外国人たちはさまざまな人生を背負いながら日本で暮らしています。
(取材者)誰?ペコペコ。
トップラクさん?トップラクさん。
街がにぎわう大型連休。
一人教室へと急ぐ人が。
4年前結婚して日本に来ました。
教室に通い始めて1年。
キムさんもあきれるほどの頑張り屋さんです。
今日はゴールデンウイークで休みです。
だけど佐々木さんの希望で休みたくない。
勉強したいという事で。
今日の授業は日付を表す日本語。
手話で何度も繰り返しながら覚えていきます。
日本では誰もが知っているゴールデンウイークという言葉。
来日して4年。
幸恵さんはこの日初めて知りました。
幸恵さんは耳が聞こえない日本人の夫と2人暮らし。
20歳以上年の離れた喜浩さんから熱烈なプロポーズを受け結婚を決めました。
日本で暮らし始めたものの全く理解できない言葉。
幸恵さんは何をするにも夫を頼るしかなく3年間家に籠もってばかりいました。
言葉も分からない日本で生きていく。
そんな妻のために喜浩さんが見つけてきたのがキムさんの教室でした。
(玄関のチャイム)キムさんの教室には夫の喜浩さんも月に1度顔を出すようになりました。
友達の夫婦も一緒です。
目的は韓国の手話と言葉を学ぶ事。
よろしくお願いします。
チャルプッタカムニダ。
返事は?覚えてる?覚えてる?忘れた?そうそうそうアンナガ。
うまくなりましたね。
日本語を学ぶ幸恵さんの大変さを少しでも理解したい。
喜浩さんが韓国語を学び始めた理由の一つです。
日本語を学び始めて1年。
幸恵さんが初めて書いた作文です。
「日本語はむずかしいです。
文化もむずかしいです。
でも楽しいです。
もっと学びます」。
この日幸恵さんは食材を教室に持ち込みキムさんと一緒に韓国料理を作り始めました。
ふだんお世話になっている日本人スタッフにふるさとの味を振る舞うためです。
今日きくと思いますよ。
幸恵さんが夫以外に料理を作るのは初めての事です。
心がオープンになった感じですごくうれしく思います。
今までちょっと遠慮した部分もあったと思うんですが作ってくれたのですごくうれしく思います。
(取材者)すごいみんなやっぱしゃべるんですね。
しゃべって遊んで。
2015/07/06(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー File.34「キムさんの日本語教室」[解][字]
愛知県名古屋市に耳が聞こえない「ろう」の外国人を対象にした日本語教室がある。“言葉”と“聴覚障害”という二つの壁と向き合いながら奮闘する人々を見つめる。
詳細情報
番組内容
愛知県名古屋市にちょっと変わった日本語教室がある。先生は、韓国出身のキム・ナムユンさん。彼女が教える生徒は、日本語がわからないだけではない。この教室で学んでいるのは耳が聞こえない「ろう」の外国人。“言葉”と“聴覚の障害”という二つの壁と向き合いながら、『誰かと通じ合いたい』と日本語と日本の手話の習得に奮闘している。様々な人生を背負いながら、キムさんの教室で学ぶ生徒たちのブレイクスルーを見つめる。
出演者
【司会】風間俊介
ジャンル :
福祉 – 障害者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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